割れ窓理論とは

割れ窓理論とは

割れた窓理論とは、ブロークンウインドウ理論ともいい、小さな不正を徹底的に正すことで、大きな不正を防ぐことができるという環境犯罪学の理論です。

割れた窓を放置していると他の窓も割られやすくなり、割れた窓を放置せずに修理しておけば、次に窓が破られることはない。ゴミだらけのところにはゴミが捨てられやすく、ホコリひとつなくきれいに維持されている場所を汚すのは気が引ける。

このような心理を利用することで、犯罪や風紀の乱れを早い段階で抑止できる、という理論です。この割れ窓理論を利用して、犯罪件数を大幅に下げることに成功した都市の例もあります。

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割れ窓理論とニューヨーク市・ジュリアーニ市長の例

ニューヨークは非常に治安の悪い街でしたが、この治安対策としてジュリアーニ市長は割れ窓理論を利用しました。まずは地下鉄の落書きをひとつひとつ消していったのです。

さらに地下鉄内において多発していた無賃乗車の取り締まりにも取り組みました。しらみつぶしのように、ひとつずつひとつずつ、小さな不正を正していくにつれて、次第に地下鉄内における犯罪が大幅に減少したのです。そして次第にニューヨークにおいて発生していた凶悪犯罪の件数自体も減少しました。

割れ窓理論とディズニーランドの例

ディズニーランドでも割れ窓理論は利用されています。施設内において修繕箇所などが見つかった場合、その箇所をすぐに修繕します。従業員のサービス品質向上に限ったことではなく、来園客のマナーそのものを向上させることができたと言われています。

割れ窓理論というのはニューヨーク市の例はもちろん、ディズニーランドにおいても効果があったとして注目されたのです。

割れ窓理論をビジネスや恋愛に応用する方法

会社の業績がどうしてもよくならない、何故か社内の雰囲気が悪い、そのような場合には、もしかすると割れ窓理論を応用できるかもしれません。良くない芽はできるだけ小さい段階で摘み取るということです。

もしもオフィスの至るところにゴミが捨ててあったり、タバコの吸い殻が落ちている、というような場合には、それをまずは改善しなければいけません。小さなことを注意していくことで、社内の雰囲気やモラルが著しく低下してしまうのを予防することができるのです。

恋愛においても同じです。恋愛というのは二人きりの時や、デートの時にだけ良い顔をしていれば、うまくいくいうものではありません。どれだけ小さなことであっても、普段から悪態をついていれば、次第にそれは大きな悪態へとつながります。小さなことからよい行いを心がけることで、相手に対して悪い印象を与えてしまうことを未然に防ぐことができます。

割れ窓理論を教育や介護現場にも活かす

せっかくの学校行事であるにも関わらず、クラスがなかなかまとまらない、ということもあるでしょう。クラスでまとまってがんばらなければならないとき、クラス全体が一致団結していなければまず勝負に勝つことはできません。

介護の現場においても同じで、なぜか施設全体がざわついた雰囲気だったり、介護の質自体が低下し、要介護者にとって満足のいくサービスを提供できていない、という問題があるとします。

その場合には一度、教室や施設の中をしっかりと見回してみてください。黒板がきれいに消されていなかったり、床が汚れていたり、物が破損したままになっていたりしていませんか? 割れ窓理論でいえば、そのような小さな乱れが教室や施設全体の乱れにつながっているのです。

割れ窓理論には批判もある

効果が高いと言われる割れ窓理論ですが、実は批判や疑問視する声もあります。犯罪が低下した原因が割れ窓理論ではなく、他の部分に理由があると主張している人も多くいます。

ディズニーランドにおいても、割れ窓理論による効果でなく、単にディズニーランドで働く人や入場者のモラルは他と比べると高い、ということが関係していると主張する人もいます。

確かに、割れ窓理論そのものに効果があるのではなく、その他の要因が関係して一定の効果を得ることができているのかもしれません。しかし、割れ窓理論を使って状況をよくしていこう、効果があるとされるものにチャレンジしようとする気持ち自体が、最も大きな影響を与えているとも言えるのです。

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