ドアインザフェイスとは
ドアインザフェイスとは、最初に相手が断るであろう大きな頼みごとをして、相手に罪悪感を抱かせることにより、小さな頼みごとを相手に受け入れてもらうという、人間の心理を巧みに操った交渉のためのテクニックです。
まず、無理だとわかっておきながら大きな頼みごとをします。当然断られますが、断った側の性格によりますが、少なからず相手側に罪悪感が生じます。そこで、次に小さな頼みごとをしてみると、その罪悪感を解消するために「それくらいなら……」と、承諾してもらえる可能性が高くなります。
ドアインザフェイスは、営業マンがよく使う心理テクニックのひとつで、営業スタイルの一種ともいえます。実際、”ドアインザフェイス”という言葉の由来は、営業マンが断られるのを前提にして、とりあえずドアから顔を覗かせるといった行為からきています。
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ビジネス心理学とは?ドアインザフェイスの心理学テクニックと例
ドアインザフェイスでは、まず、絶対断られるであろうことをあえて相手に要求します。要求を呑ませたい相手に「悪かったな……」という罪悪感を与えるのが目的だからです。
断ってしまったという罪悪感がなければ、次の小さな要求を呑ませることはできません。また、日本人は真面目で義理堅い傾向があるため、このドアインザフェイスのテクニックが有効になりやすいといえます。
ドアインザフェイスの手法は、子どもから大人に対して有効になる場合もあります。たとえば、いきなり「お小遣いを1万円増やして」と頼みます。当然却下されると思いますが、その後に「ダメなら1000円増やして」と頼むのです。すると、「しかたない、1000円くらいなら……」と、要求を受け入れてもらえる可能性が上がります。
ドアインザフェイスはセールスやマーケティングにも使える
ドアインザフェイスは、セールスやマーケティングの場面でも使えます。
”2万円で売れればよい”商品を持って営業マンは突然民家に訪問し、「この商品を10万円で買ってください」と言います。もちろん住人は断りますし、それは営業マンも承知のこと。
次に、「それでは、通常は10万円ですが、特別に3万円にします」と大幅に価格を下げて交渉に挑みます。すると、住人は少しだけ迷い始めます。
さらに「今ならこの商品もサービスでお付けいたしますよ」と、購入を迷う相手に「貸し」のようなものを作りながら交渉を進め、最終的に、本来売りたかった価格の2万円まで下げていきます。
ドアインザフェイスのテクニックは、お得感はもとより、なんとなく断りづらくなるという流れを作ることが重要なのです。
ドアインザフェイスを恋愛に活用するには
意中の相手がいるならば、このドアインザフェイスが活用できるかもしれません。あまり親しくない間柄だったなら、いきなりデートに誘っても断られる確率は高いと思います。
しかし、断られてもあきらめてはいけません。むしろ、その状況を利用するくらいの気持ちが大切です。「では、まずメールアドレスを教えてください」と連絡先を教えてもらいましょう。
相手も、「いきなりデートは無理だけど、メールくらいなら……」と考えてくれるかもしれません。つまり、これはデートに行くためではなく、連絡先をおしえてもらい、まず相手と近しい間柄になるための心理作戦と考えたほうがいいでしょう。
ドアインザフェイスで大きな要求をすることが可能
ドアインザフェイスを用いれば、最終的に大きな要求をすることも不可能ではありません。もちろん、最初に”無理な要求をする”ことが、このテクニックの要です。しかし、実は、それに続いて徐々に頼みごとを簡単なものに変えていき、ハードルを低くしていることを印象づけることのほうが重要です。
それによって、「何度も断って申しわけない」という気持ち(ある種の罪悪感)が相手に生まれ、それがどんどんプレッシャーになっていくのです。その心理変化を利用して、最終的に本来の目的である”無理ではない大きな要求”を承諾してもらう流れを作ることが可能になります。