外発的動機付けとは
外発的動機付けとは、他者からの評価や賞罰、強制といった外部からの刺激による動機付けのことです。動機付けとは、動物が行動を起こし、その方向性を決定する原因となる刺激を指します。
外発的動機付けによって行動を変えるのは、人間だけでなく動物も同じです。褒美のために芸をする犬やイルカなどは、賞罰によって動機付けられ、行動をしています。正しくできれば褒美、間違ったことをすれば罰を与えるという非常にシンプルな考え方です。
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ビジネス心理学とは?外発的動機付けの具体例
外発的動機付けはあらゆる場面で用いられています。たとえば「テストで満点をとったら新しいゲームを買ってあげる」、「お手伝いをしなければお小遣いを減らす」という約束を親と子の間ですることは、それぞれ報酬と罰によって子どもに行動を起こさせようとするものです。
子どもは“新しいゲームを買ってもらう”という報酬のために、勉強に対するモチベーションが上がり、“お小遣いの減額”という罰を回避するために、自分からお手伝いをするようになります。
ここまでわかりやすい形ではありませんが、会社内での評価が上がれば昇給・昇格、勤務態度が悪ければ降格や減給といった、大人社会では当たり前のことも、外発的動機付けの一種と言えます。金銭的な報酬のために仕事に精を出すのは、外部からの刺激によって起こる行動のひとつです。
外発的動機付けのメリットとデメリット
こうした外部からのはたらきかけによる動機付けは、動物の行動に強い影響を与えます。ただし、強いきっかけとやる気を与えてくれる一方で、設定された目標に対して手段を選ばなくなりやすいとも言われています。
営業マンが売上を伸ばすために顧客にウソをついて商品を売りつける、テストで良い点をとるためにカンニング行為をする、などがその例です。
また、強制による行動は与えられた目標を達成すると満足し、それ以上の努力をやめてしまうケースが多いと言われています。とはいえ動機付けの効力が非常に強いことは、外発的動機付けが持つ最大のメリットです。
これをきっかけとして新たな楽しみや満足感を見出す可能性もあるため、使うべき場所を考えて取り入れることで、より効果的にモチベーション高め、維持することができるでしょう。
外発的動機付けと内発的動機付けの違い
賞罰によるのではなく、自分の興味関心や楽しみによって起きる動機付けを、外発的動機付けに対して内発的動機付けと言います。知的好奇心や充足感を満たすための好意、たとえば好きな本を読みふけったり、趣味のスポーツに打ち込んだりという行動は、その原因が自分の内部にあります。
「行動することそのものが楽しい」、「人の役に立ちたい」、「自分を高めたい」という思いによって起こされる行動が、内発的動機付けです。
内発的動機付けは、外発的動機付けと違って他者から目標が設定されることがありません。自分で自分の課題に対して目標を定め、問題の解決に取り組むため、モチベーションが長期にわたって継続しやすいと言われています。スキルアップや人格的な成長につながりやすいのも内発的動機付けです。
外発的動機付けの注意点
外部から与えられる動機はわかりやすく、また非常に強力です。そのため、もともと外的な見返りを求めずに起こした行動であったとしても、あとから外的報酬が与えられることによって、それが塗り替えられてしまうこともままあります。
たとえば、子どもが忙しそうな両親を思いやって皿洗いの手伝いをした場合、その行動は見返りを求めない内発的動機付けによるものです。
しかしそれに対して、感謝のしるしとしてある日を境に「皿洗い1回100円」などといった報酬が設定されると、子どもは報酬がなければ皿洗いをしなくなってしまいます。最初は内発的な動機で行動していたものが、外的報酬のための行動に置き換わってしまうからです。
外発的動機付けを効果的に使うためには、もともとあったやる気を損なってしまわないよう、細心の注意を払う必要があります。