パーソナリティ障害とは
パーソナリティ障害とは、精神疾患のひとつで、多くの人と違った行動や反応を取り、本人に著しい苦痛があったり、周囲が困っている場合に診断されます。
パーソナリティ障害には、境界性パーソナリティ障害や妄想性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害などいくつかタイプがあり、アメリカ精神医学会では10種類に分類しています。
パーソナリティ障害の原因や親との関係
パーソナリティ障害の原因について、はっきりとは解明されていません。現在のところ、本来生まれ持った遺伝的要因や脳の機能的要因、環境的要因、社会的要因などが考えられます。
遺伝的要因というのは、親からパーソナリティ障害になりやすい性格を受け継いでいる場合や、脳の神経伝達物質セロトニンの分泌量などです。セロトニンは気持ちの落ち着きや幸福感に影響するもので、これが不足するとパーソナリティ障害やうつ病などの精神疾患になりやすいといわれています。
しかし遺伝的要因に関しては、同じ遺伝子を持つ双子で合っても環境が違えば二人とも症状を発症するケースは極まれであることが分かっています。このことから、パーソナリティ障害の原因は遺伝的要因よりも環境的要因が大きいと考えられています。幼少期の育てられた環境は、パーソナリティ障害の原因に大きく関係すると考えられているため、親の影響が大きいとされています。
幼少期の虐待や、親の愛情不足や反対に過保護な親の愛情、両親の離婚で親と合えなくなるなど、さまざまなことが成長したのちに精神のバランスに影響を及ぼし、パーソナリティ障害を引き起こす要因になっていると考えられます。
親との関係について母親の影響が大きいといわれますが、これは母親と子どもが触れ合う時間が多いためです。必ずしも母親が原因というわけではなく、父親の影響もありますし、親以外の周りの大人が影響を及ぼすこともあります。
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ビジネス心理学とは?パーソナリティ障害のチェックや診断方法
パーソナリティ障害の診断基準は、その症状により社会生活に支障が出ていたり苦痛を感じたりしていないかどうか、ということが大きな判定材料になります。具体的には、社会生活や家庭生活すべてにおいて言動が柔軟性に欠けている、本人が苦痛を感じていて社会生活が困難になっている、といった状態です。
それに加えて、症状が小児期から青年期に発症し成人期になっても持続していること、頭のケガや薬物乱用による症状ではないということも診断基準に加えられます。
また自分自身でパーソナリティ障害かどうかをチェックする方法として、インターネット上で行えるセルフ診断があります。セルフ診断の結果は必ずしも正確だとはいえませんが、ひとつの目安として役に立ちます。
パーソナリティ障害の接し方について
パーソナリティ障害を治療中の患者と接するときは、相手を否定しないようにしながらも、必要以上に甘やかしてはいけません。相手の要求を断るときは相手を見はなすのではなく、要求をきけない理由があることも伝えます。適度な距離を保つことが大切です。
パーソナリティ障害の治療や病院での検査について
パーソナリティ障害の治療は、抗精神病薬による薬物治療と、認知行動療法や指示的精神療法、精神分析的精神療法などの精神療法で行います。パーソナリティ障害は思考パターンが偏った形で形成されているので、それを正しくもどしていく治療になります。
病院での検査方法としては、医師と面談によるやり取りや、今までの状況、生活の様子、対人関係についてなどから総合的に判断します。他の病気が原因となっている可能性がある場合、血液検査や頭のCT検査などを行うこともあります。
パーソナリティ障害は専門家に相談を
パーソナリティ障害の症状の多くは、年齢を重ねることで軽減していくことが分かっています。しかし現時点で社会生活が困難である場合、時間をかけて症状の軽減を待つよりも、きちんと精神科や心療内科などで治療を受けるようにしましょう。
精神科のある病院でも、必ずしもパーソナリティ障害にくわしい医師がいるとは限らないので、きちんとパーソナリティ障害の治療を得意とする病院を探すことも大切です。