黒字倒産とは

黒字倒産とは

黒字倒産とは、帳簿上においては黒字を出しているのですが、資金回収の遅れによって運転資金のやりくりをすることができなくなってしまい倒産してしまうことをいいます。このような状態は、勘定合って銭足らずと言われることもあります。

黒字というのは利益を計上できている状態になりますが、利益というのはキャッシュと異なり損益計算上における数字です。企業と企業との間で行われる取引において、仕入れはもちろん販売においても現金だけで決済しているのであれば、キャッシュと誤差が出ることもないでしょう。

しかし、信用取引が一般的である現在において、キャッシュと利益が100%一致するということはないのです。製品が売却されて売上計上があるにも関わらず、入金がないために人件費や仕入れの支出が賄えていない状態に陥ってしまうと黒字倒産につながるのです。

また、売掛金が大きく増加してしまい、売掛金の回収期間が買掛金支払い期間と比較をして長期化している場合に起こりやすいのが特徴です。支払い手形を相手に渡しているにも関わらず、期日に現金の準備をすることができていないと不渡り手形を出したことになってしまい、取引停止に陥ってしまうこともあります。

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黒字倒産の原因やメカニズム

黒字倒産はどのようにして起こるのでしょうか。ビジネスを始める場合には、信頼がまだないのでメーカーなどから仕入れをする場合に先払いをしなければなりません。

しかし、商品を売ってもクレジット決済となると入金は後になります。入金が遅いことで手元に資金が不足している状態になります。それでもメーカーに対しては先払いをしなければなりません。この状態を資金繰りが苦しいと表現します。

企業が倒産をしてしまうのは赤字になった時だけではありません。赤字を出し続けていても、生き残り続けている企業も多くあります。どれだけ黒字を出していても、資金繰りが悪い状態では破産をしてしまいます。つまり、現時点でどのくらい手元にお金があるのかということが倒産の境となるわけです。

黒字倒産が最も起こりやすいのは、手形の不渡りが起きている時です。後払いの約束をした手形のことを言います。約束をしているにも関わらず、資金がなければ支払いをすることはもちろん不可能です。

黒字倒産した企業数や起業例

黒字倒産した企業として有名なのはアーバンコーポレイションです。では、このアーバンコーポレイションのような黒字倒産をした企業というのはどのくらいあるのでしょうか。

赤字の企業は全体の70%となっているので、法人税の大半はたった30%程度の企業によって賄われているのです。そして70%の半数は黒字倒産をしているとも言われています。

毎年1万社以上もの企業が倒産をしていますので、そのうちの半数となると非常に高い割合で黒字であるにも関わらず倒産をしているということになります。

黒字倒産の事例

黒字倒産の事例としては、株式会社アーバンコーポレイションが代表的です。しかし、勘定合って銭足らずだからといって倒産しているわけではありません。株式会社アーバン・コーポレイションは、5年間は損益計算上は黒字の状態でした。

しかし、営業キャッシュフロー上は大きな赤字を出しています。これは売上高に対応している仕入れ在庫が売上原価によって計上されるという仕組みによるものだからです。

在庫がどんどん増加すると同時に、代金支払分の営業キャッシュフローがどんどんマイナスになっていきます。そして販売できた部分だけが費用計上されないので損益計算においては黒字になっていただけなのです。

市況の悪化によって経営難になり、過剰在庫による資本不足、そして銀行からの借り入れができないことで倒産しました。

黒字倒産を防ぐ方法

黒字倒産を防ぐには、入出金状況を把握し、過剰在庫を避けること、そして資金調達に力を入れるということが重要です。商品の販売をしたら、いつまでにどれだけの入金があるのか、入出金状況を正確に把握することです。

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