ザイオンス効果(単純接触効果)とは
ザイオンス効果とは、アメリカの心理学者ロバート・ザイアンスが提唱した、別名「単純接触効果」とも呼ばれている心理効果のことです。文字通り、何度も繰り返して接触することにより、好感度や評価等が高まっていくという効果です。
ザイアンスの単純接触効果、ザイアンスの法則ともいわれています。人間関係においては「熟知性の原則」と呼ばれ、会えば会うたびに、知れば知るほどに好意を持つといった心理効果を意味しています。
興味がなかったり、あまり好きではなかったりするものや人物でも、頻繁に目に触れる機会があった場合、その対象への警戒心や恐怖心が薄れ、良い印象を持つようになるといわれており、ザイオンス効果の顕著な例と言えます。
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ビジネス心理学とは?ザイオンス効果を営業やマーケティングで活用するには
ザイオンス効果は営業やマーケティングで効果を発揮することが可能です。その最も一般的な手段が、テレビCMや広告、看板、チラシなどの「プロモーション活動」です。
ザイオンス効果は、対象となる物や人物と触れ合う時間は短くとも、回数を重ねれば十分に効果が現れるといった特徴をもっているため、いかに接触回数を増やせるかが重要です。
最近では企業単位でSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に登録しているのをよく見かけます。TwitterやFacebook、Instagramなどで、定期的に自社の商品を宣伝するというのは賢い手法だと言えます。しかも、このザイオンス効果はある程度信頼を築くことができれば、目にしなくなっても、しばらくは効果が持続するメリットを持っているのです。
ザイオンス効果は恋愛や復縁にも応用できる
目に触れる機会が多ければ多いほど、相手について知れば知るほど好きになる――。ザイオンス効果は恋愛において一種のテクニックとして応用できます。営業のプロモーション活動と同様、”時間の長さ”よりも”接触する回数”の方が意味を持ちます。
つまり、好意を寄せている相手とは、とにかく何度も会うことが大切です。よく会えばそれだけ親近感が沸きますし、決まった時間・場所で会うような場合なら、なおさら効果がアップします。「あの人とまた会うかな?」と、気になりだしたりするものです。
ザイオンス効果は、一度破局してしまった関係にも効くといわれており、やはり短時間であっても、何度も顔を合わせることが復縁への近道です。
ザイオンス効果は失敗や逆効果もある
”復縁”にも当てはまることですが、まれにザイオンス効果が失敗することがあります。破局している間柄の場合、相手のあなたに対する評価が、非常に下がっている可能性があるからです。
元々の評価が低いと、何度会っても「またアイツか……」といった具合に評価が変わってくれません。その場合、むしろ、会うたびにどんどん嫌悪感が募ってしまい逆効果となります。
それを回避するための対策としては、”あなた自身を変化させる”ことが挙げられます。たとえば服装や髪形、ファッションなどの外見を変えること、「ネガティブ」だった内面を「ポジティブ」に変えることなど。ちょっとしたことで、相手からの印象がガラリと変わることがあります。
ザイオンス効果を活用するときは、まず最低限の基盤づくり(好感度のマイナスをなくす)ことが先決かもしれません。
ザイオンス効果の落とし穴に注意
相手からの評価がマイナスだった場合、ザイオンス効果がプラスに働くとは限りません。さらには、たとえ最初の評価がプラスであったとしても、ザイオンス効果がマイナスに働いてしまうことがあります。
たとえば、あなたがある異性に対して、とてもよい初対面の印象を持ったとします。数回会っているうちにさらに好感を持つようになったものの、ある日その異性と話しているときに、相手の嫌な部分が見えてしまい、少し鼻につくようになりました。すると、次に会ったときにも、その嫌な部分ばかり気にしてしまうようになります。そうすると、あなたはおそらく、その後はその相手と会わないようにするでしょう。
このように、あまり親しい間柄にならないうちに相手の欠点に触れてしまうと、”会うたびに欠点が見えてくる”ことがあり、結果的にザイオンス効果が無効化してしまいます。
人間関係の難しいところでもありますが、ザイオンス効果を過信せずに、よりよい人間関係を構築していきましょう。