いまいちモチベーションを感じられないチームメンバーたち、意欲が低い部下…そんな自分もときには、「やる気でねぇな〜」なんて思うことも。日常生活の中でこんなふうに感じることはありませんか?
簡単なモチベーションの上げ方があればいいなと感じるのは、あなただけではありません。わたしたちの日常では、経験しがちなことではないでしょうか?
この記事では、プロコーチとして400人以上のクライアントに「モチベーションの上げ方」をサポートしてきたわたしが、社員やチーム、そしてあなた自身のモチベーションが上がらない原因から解決策まで、わかりやすく解説いたします。
なお、モチベーションの意味がよくわからないという方は、「モチベーションの意味と使い方|テンションとのちがいは?」を先に読むとより理解が深まると思います。
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ビジネス心理学とは?目次 〜モチベーションの上げ方をプロのコーチが解説〜
1.なぜモチベーションが上がらないのか? 5つの理由
日常の中でしばしば経験するモチベーションの波。そもそもどうして、モチベーションが上がらないのか? そのナゾをこの章では1つずつ、くわしく解き明かします。
1-1.やりたくないことをやっている
わたしたちの脳は「痛みをさける」もしくは「快楽をえる」という、どちらからの理由で、思考したり行動したりします。やりたくないことをやっているとき、脳は「この仕事はわたしにとって痛みだ」と感じます。すると、だんだんと仕事をすることがイヤになり、モチベーションが下がってしまうのです。
私がコーチングで関わってきた中には、入社当初から仕事に対してやりがいを感じないまま会社員として15年以上を過ごした方がいました。彼は、とうとう「うつ」になり長期間復帰できなくなってしまったのです。
1-2.目標や明確な理由付けがない
目標がはっきりしていないまま長期間仕事や趣味に取り組むと、「一体、わたしはなんのためにやっているのだろう……」と、次第にむなしい気持ちにおそわれることがあります。もしくは、一応は目標を設定していても、ゴールを達成する明確な理由がなければ、そもそもゴールに向かうこと自体に興味がうすれていきがちです。
わたし自身会社員だった頃、今とはちがって、将来になんの期待もできませんでした。まるで出口のない迷路をぐるぐるとまわっているようなイライラした気持ちで、毎日の仕事をこなしていたことを覚えています。
1-3.先延ばしする
なにかをやろうと考えたときにすぐに行動にうつす人と、先延ばしする人には大きな差ができます。すぐに行動にうつす人は、「一貫性の法則」がはたらきます。そこそこ楽しめることであれば、意識して「続けよう!」と思わなくても、ラクにモチベーションをたもつことができます。
一貫性の法則とは、小学生の頃に理科の時間に習った、ボールを軽いチカラで転がすとそのまま転がり続ける「慣性の法則」のようなものです。
一方先延ばしする人は、行動を始めるのに一番よいタイミングである、「何かをやろうと考えたそのとき」を逃してしまいます。そして、次第に行動するのがおっくうになっていきます。
わたしがかつてコーチングで関わった方は、Facebookが流行りはじめた頃にFacebookコンサルとして飲食店をサポートするアイディアを思いつきました。しかしながら、自信のなさから営業することを先延ばししてしまい、結局3、4軒飛び込み営業をしただけであきらめてしまいました。
1-4.目標が高すぎる
わたしたちは自分自身の能力に対して、「自分は平均よりは上だ」という、自信過剰におちいりやすい性質を持っています(心理学の用語で、この性質を「自信過剰バイアス」といいます)。そして、自信過剰におちいっているときは、短期間で身の丈以上の目標を「絶対に達成できる!」とカンチガイしてしまうのです。
しかしながら、現実とは非情なもの……。当然のように設定した期限になっても、目標とはほど遠い現実に次第にあきらめを感じ、モチベーションは下がっていくのです。
ほかならぬわたし自身が個人事業主だった頃は、当時月収が30万円ほどだったにもかかわらず、「来月こそは月収100万円だ!」とムリな目標設定をして達成できないという経験を繰り返しては、モチベーションを下げ続けていました(汗)。
1-5.モチベーションが上がりにくい環境
わたしたちが思っている以上に、環境のチカラは大きいもの。一般企業では、野心とやる気にあふれた新入社員も、やる気がない社員ばかりいる環境に2、3年もおかれるとモチベーションの上げ方がわからず、だんだんと仕事への意欲をなくしていく、という話をよく聞ききます。
わたしのコーチング経験を振り返ってみても、コーチングの効果でモチベーションが一時的に上がっても、やる気がない人が多い環境に戻ると、次回の面談ではまたモチベーションが下がっている、ということがありました。
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ビジネス心理学とは?2.モチベーションの上げ方 2種類
前章で紹介した、モチベーションが上がらない原因を解決していく方法を、ひとつずつご紹介いたします。あなたのお悩みのケースに合わせて活用してください。
2-1.自分のモチベーションの上げ方
あなたが、モチベーションの上げ方に悩まなくなる秘訣は2つです。
- 自分のやるべきことを好きになる
- モチベーションが高い仲間があつまる環境に身をおく
「自分のやるべきことを好きになる」とご提案すると、「それができないから苦労してるんじゃないか!」と思われるのではないでしょうか? 実は、やるべきことを好きになるにはコツがあります。
それは、心理学でいう”自己肯定感”を高めることです。自己肯定感とは、自分のことを自分でどれだけ認められているか、という感覚のこと。
わたしたちの”心”には、自分自身のことを心のどこかで認められていないときに、まわりの人や自分のやるべきことを認めることができない、という仕組みがあるのです。逆に、あなたが自分のことを認められるようになるほど、あなたがやるべきことを認められて、意欲的に取り組みやすくなるのです。
まずは、毎日コツコツと自分のことをほめる習慣をつけましょう。素直に実践していただければ、少しずつ結果がついてきます。
次に、モチベーションが高い仲間があつまる環境に身をおくということです。わたしたちは、環境に影響されやすい生きものだからです。
たとえば、わたしが昔、英語のスキルアップにはげんでいた頃のこと。毎日、単語の暗記をはじめては、めんどうくさくなってやめてしまう……ということを繰り返していました。
しかし、あるとき同じ部署に英語が好きで、同じように勉強を続けている先輩が異動してきました。その先輩とは英語の映画や勉強方法などの話で盛り上がり、わたしも自然に英語の勉強を続けられるようになりました。
先輩と英語の話をするのが楽しかったですし、経験も豊富な先輩だったので、ここで英語の勉強をやめてしまうのはもったいない、という気持ちになったのです。意識しないでも行動を習慣化できるような環境に身をおくことは大切ですね。
2-2.部下など、ほかの人のモチベーションの上げ方
あながた管理職で部下を持っている場合、モチベーションが上がらない部下をどうしていいのかお悩みかもしれません。もしそうであればまずは、部下の話をよく聞きましょう。聞き出すとよいポイントは次の3つです。
- 最近どんなことに興味を持っているのか?
- どんなことやモノが好きなのか?
- なにか困っていることや気になっていることはないか?
上記の内容について話していると、部下が好きなことやあなたが部下の役に立てることが何なのかがわかってきます。部下にしてみれば、「自分のことを気にかけてくれている」という感じを受け、あなたに対する信頼感もますでしょう。
わたしたちの幸福感の8割以上は人間関係が原因になっている、と心理学では言われています。つまり、職場に信頼できる人間関係があるだけで、部下の幸福感も上がりやすくなり、仕事へのモチベーションにもよい影響をもたらすのです。
あなたがスポーツの指導者であった場合も、選手とのコミュニケーションは大切です。できれば、選手ひとりひとりとの面談の時間をもつと、チーム全体のモチベーションを上げることにもつながるでしょう。
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ビジネス心理学とは?3.自分や部下が、モチベーションを上げるとどうなるか?
では、ご紹介したモチベーションの上げ方を実践することでどんなメリットがあるのでしょうか? この章では、モチベーションをあげることで得られる未来をアリアリと感じていただきましょう。
3-1.仕事に対して充実感を感じて取り組める
会社員であれば短い人でも1日8時間、週に40時間は仕事をしている時間です。仕事に対してモチベーション高く取り組めるということは、少なくとも人生の3分の2近くを充実させることができるということです。
仕事に対して意欲的に取り組んでいる人は、周りから見ても魅力的にうつります。人間関係も以前よりスムーズになり、毎日職場に向かうことが楽しくなるでしょう。
3-2.資格試験などの勉強がはかどる
資格試験は孤独との戦いになりがち。たったひとりでカフェに足を運んだり、図書館に移動したり、自宅でガンバってみたり……モチベーションを下げないよういろいろと工夫をしているのではないでしょうか。
とはいえ、一度モチベーションの上げ方のコツをつかむと、参考書に向かうおっくうさも自然にやわらいで、いつでも「超集中状態」にはいることができるようになります。こうなればこっちのモノ。合格も間近でしょう!
3-3.部下やチームの生産性を上げることができる
想像してみてください。あなたの部下がイキイキと仕事に取り組んでいる姿を。チームの雰囲気は前向きで、みなが活発に意見を交わしたり、やるべきことにモクモクと一心不乱に向き合ったりしている……。
あなたも毎日会社に行くのが楽しみになってきませんか? おのずと、部署の成果も上がりやすくなりますし、問題解決も早くなるでしょう。
なにより、チームの人間関係が心地よくなり、仕事を通して自己実現したり、職場を「自分の居場所」だと心から感じられるようなメンバーが増えたりすることは、上司としても何よりの喜びではないでしょうか。
4.自分や部下のモチベーションが低いとどうなるか?
反対に、モチベーションが上がらないままなんとなく放置してしまうことだってあるでしょう。どうすれば改善できるのかと悩んだまま、そのうち悩むことも忘れてしまう。モチベーションが上がらない状態が普通になる、ということもわたしたちが経験しがちなこと。この状態だと、次のようなデメリットがあります。
4-1.仕事が遅い
同じことをやるのでもモチベーションが高い状態で取り組むのと、そうでないのとでは生産性がまったくちがってきます。わたしが以前コーチング面談をした、Aさんの話を例に挙げてみましょう。Aさんはコーチングを受けようと思うだけあり、仕事には前向きに取り組めるタイプでした。一方、Aさんの同僚のBさんは典型的な仕事嫌いの社員です。
まかされる仕事をドンドンこなしていくAさんを尻目に、Bさんは仕事をし始めてすぐにまわりの社員に雑談を持ちかけるのです。
「ねぇねぇ、最近できたこのケーキ屋知ってる〜? 誰か行った人知らない〜?」この調子で、集中して仕事をしているほかの社員の邪魔になっていることも気づかぬまま。当然、Aさんと仕事を分担しても、Bさんの仕事はなかなか進まずじまいです。モチベーションの上げ方を知らないと、まわりの人にも迷惑をかけがちですね。
4-2.効率が悪い
もちろん、仕事がより良くなるように改善しよう、という気持ちもわきにくいでしょう。4-1の例のように、あたえられた仕事すら、満足にこなせていないわけですから。効率の悪い仕事のやり方をしている当の本人は、意外と忙しい感じがいつもつきまとっているものです。
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ビジネス心理学とは?5.そもそもモチベーションは必要か?
ここまでモチベーションの上げ方についてお話をしてきましたが、わたし個人の意見ではそもそもモチベーションをムリに上げる必要はないと考えています。やりたくないことはなるべくやらなければいいし、心理学の立場から見ても上げたモチベーションは必ず下がってしまうからです。
とはいえ、この記事でご紹介したモチベーションの上げ方は、あなたやチームのモチベーション不足を根本的に解決するような内容を、意識してとりあげました。まずは1ヶ月などと期限を決めてコツコツと実践してみてください。1か月後には、あなたがおどろくほど、状況が改善しているでしょう。
なお、こちらの記事で、モチベーションを上手に使って目標を達成する方法を解説していますので、参考にしてください。
また、もしもやる気が起きない状態が数日から数週間続いて悩んでいるのなら、うつ状態の可能性も考えられます。できるだけ簡単な方法で、少しずつやる気を復活できる方法やうつ病のチェック方法も紹介していますので、こちらの記事もお読みください。