もしあなたが14日以上やる気が出ない状態で落ち込んでいるとしたら、深刻に改善を考えたほうが良いでしょう。なぜならば病気の可能性があるからです。その病名は「うつ」。
うつは心の風邪と言われていて、誰でもかかる病気です。ストレス社会の現代病ともいえるでしょう。ほうっておくと悪くなる一方で、勝手に良くなることはありません。
私は心理カウンセラーとして年間500件以上の相談にのっています。その中でも多いのは「やる気が出ない」です。今回はカウンセラーの視点から、その原因と解決方法についてくわしく説明します。ぜひ参考にしてください。
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ビジネス心理学とは?目次 ~主婦必見!やる気が出ない原因を診断、解決策紹介~
1.「何もしたくない」、「眠い」…やる気が出ない原因は?
まずは、やる気がない原因を見つけましょう。人間は、理由が分からないものに強い不安を覚える生き物ですから、やる気が出ない理由を知ることで不安を解消していきましょう。以下に、あなたのやる気が出ない原因と考えられる3つを紹介します。
1-1.精神的に疲れている
精神的な疲れはたまっていませんか? たとえば、毎日強いプレッシャーを感じていたり、生活に不安を感じたりです。
特に、職場のストレスは精神的な疲れの原因になりがちです。
- 満員電車に揺られる通勤時間
- 上司、同僚、部下との人間関係
- 厳しいノルマ、達成するのが難しい仕事
様々な要因が考えられます。
また、家庭にも精神的に疲れる原因があります。
- 妻、夫、家族とのコミュニケーション
- 「お金がない」など経済的な不安
- 近所付き合い
以上は非常に多くの方が悩まれている要因です。あなたのやる気が出ない原因は、こうした精神的な疲れからきているものかもしれません。
1-2.肉体的に疲れている
肉体的な疲れはたまっていませんか? 日々の生活の中で、がんばりすぎて「過労」という状態になっているかもしれません。あるいは、身体のどこかに痛みを感じていて、いつも通りのはたらきができていないのかもしれません。
肉体的な疲労がたまりすぎると、ストレスが強すぎてなかなか眠れない日々がやってきます。
これは私自身の例ですが、事情があってカウンセラーを一時的に辞めていた時、工場で過酷な肉体労働をしていました。その時は何度も何度も眠れなくなりました。身体が疲れすぎて眠れないのです(笑)。人は肉体が疲れすぎると眠れなくなったり、眠るまでかなり時間がかかったりすることがあります。
以前に比べると寝付けなくなった。自分は不眠症かもしれないという方は、身体の疲れを疑ってみましょう。
1-3.やりたくないことを続けている
やる気が出ない最大の原因は、「本来やりたくないことを、自分の意志を無視してやり続けている」からかもしれません。ぜひ一度立ち止まって考えてみましょう。
あのiPhoneを作った会社Appleの創業者であるスティーブ・ジョブズはこういいました。
「毎朝、鏡に向かって『もし今日が自分の最後の日だとすれば、今日しようと思っていることが、本当にしたいことだろうか?』と自問するようにしている。もしその答えが「ノー」だという日が何日も何日も続くようであれば、何かを変える必要があると思うわけだ。」
あなたがいま行っていることは、本当にやりたいことですか? 実際に質問してみると、「やりたくないけど、やらなければならない」と思いこんでいる場合があります。これは強いストレスになりますね。やりたくないことを続けることはやる気の出ない原因になります。
コラム:女性特有? やる気が出ない生理前
そして体調だけでなく自律神経などにも影響するので、精神的に不安定になることがあります。
月経前症候群(PMS)は、女性ホルモンの影響で起こると言われています。なんとなくだるく、やる気も出なくて、イライラしたり、急に落ち込む。このつらさは、男性に理解してもらうのは難しく、ついつい彼氏や夫に八つ当たりしてしまうという女性も多いです。
まずは、仕事も家事も、生理前はできるだけ無理をしないようにスケジュールを組むようにして、自分をいたわってあげましょう。症状は人それぞれなので、あまりにも日常生活に支障をきたすような場合は、婦人科系の病気にかかっている恐れもあるので、一度病院に行って検診を受けることをおすすめします。
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ビジネス心理学とは?2. やる気が出ないのは病気?セルフチェックで深刻度を診断
1章で紹介した3つの原因を踏まえて、簡単な診断をしてみましょう。簡単なチェック項目をご用意しました。下記にある10個の質問のうち、7個以上当てはまる場合は、あなたは解決すべき非常に重要な課題を抱えているかもしれません。まずは下記のチェック項目を確認しましょう。
2-1.メンタル面は健康ですか?
- メンタルに関する3つの質問(質問1~3)
1.最近、ネガティブな口癖が多くなった
例)だるい、うざい、ありえない、最悪だ、むかつく等々
2.最近、顔つきが変わったといわれる
例)元気がないと言われるようになった、「どうしたの?」と声をかけられる
3.最近、夜眠れなくなった。または、朝起きるのがつらくなった
自分が気づかないうちに、ネガティブな口癖が口から出ていて周りを驚かせてしまう人がいます。または、知らないうちにため息を連発していて、他人から「どうしたの? だいじょうぶ?」と声をかけられる人がいます。こういった場合にも、メンタル面の健康を確認したほうがいいでしょう。
2-2.身体の疲れはたまっていませんか?
- 身体に関する3つの質問(質問4~6)
4.最近、首、肩、腰に強い痛みを感じるようになった
例)後ろを振り向けない、肩こりがひどい、重いものを持つのが怖くなった
5.週に2回、30分以上からだを動かすような運動をしていない
例)トレーニングジムに通う、スポーツをするなど
6.最近、体重が3キロ以上減った、あるいは、3キロ以上増えた
例)ご飯を食べられなくなった、または、ご飯をつい食べ過ぎてしまう
特に、食生活はその人の抱えているストレスが反映されます。つい、アルコールや脂っこいものに手を伸ばしてしまったり、おかしや味の濃いものを優先して食べたりしている場合は要注意ポイントになりますね。
2-3.仕事や、人間関係で悩んでいませんか?
- 仕事や人間関係に関する4つの質問(質問7~10)
7.職場(または家庭)にいると、動悸(どうき)や息切れやめまいがする
例)会社に行きたくない、家庭の中にいたくないという気持ちを感じる
8.職場(または家庭)で、好きな人よりも嫌いな人の方が多いと感じる
例)上司、部下、同僚に対しての信頼。または家族に対しての信頼ができるか
9.今の仕事(いま家庭での暮らし)は、自分がやりたかったことではない
例)自分の人生設計通りのライフスタイルを手に入れていない
10.自分の人生に、生きづらさを強く感じている
例)言葉にはしづらい生きづらさ、苦しさを感じる
今の生活は、あなた自身がこれまで望んできたものになっているかどうか。もしそうでないなら、何かを変えるタイミングなのかもしれません。
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ビジネス心理学とは?2-4.「やる気が出ない」ことに関する診断結果を発表
さて、いくつぐらい当てはまったでしょうか。下記の診断を参考にしてください。
- 0~3個の場合
あなたが送っている日々の生活に、大きな問題点は今のところないと思われます。一時的にやる気が出ない気分になることもありますので、定期的に息抜きをするようにしましょう。
- 4~6個の場合
あなたの生活の中には、ストレスに感じることが非常に多くあります。日常的に、やる気が出なくなる時があり、ため息まじりの毎日を送っていませんか? この記事の3章をお読みください。
- 7個以上の場合
あなたは非常に多くのものに我慢をしている状態です。精神的な負担が大きいため、苦しい気持ちになっているのではないでしょうか。3章を読んで何らかの行動をしてみて、それでもダメなら他の選択肢として「病院へ行く」というものがあります。
3.やる気出ない時、やる気出ない日の簡単な解決方法5つ
これまでの診断で、あなた自身の「現状」がイメージできたことでしょう。ここからは、いまの状態をさらによくするために具体的なヒントを5つお伝えしていきます。下記はやる気が出ない状態からでも簡単に着手できて、効果が実感できる順番で書かれています。まずは上から順番に試していってください。
3-1.良質な睡眠をとりましょう
やる気がでないなら、いますぐ良質な睡眠をとりましょう。睡眠の質を上げるには簡単な方法が2つあります。
(1)アイマスクと耳栓をして眠る。
周りがうるさかったり、部屋が明るかったりすると、交感神経(こうかんしんけい)という活動やエネルギーを担当する神経が活発化します。アイマスクと耳栓はリラックスに非常に強い効果を発揮します。
(2)目を休める(就寝前の2時間は電子機器を使わない)
スマホやPCに含まれる「ブルーライト」という光もまた、交感神経を活性化させる要因のひとつです。寝室やベッドの回りには、電子機器を置かないようにしましょう。
3-2.栄養価の高い食事をとりましょう
栄養価の高い食事をとりましょう。
やる気が出ない時は、食生活が極端になりがちです。たとえば、あなたは下記のものばかりを食べていませんか?
- 過度のアルコール
- 脂っこい食事
- お菓子やカップラーメンなどのジャンクフード
栄養価の高い食事といっても、難しいことはありません。季節の旬の食べ物を選ぶという基準を持てばよいのです。365日、いつでも食べられるものではなく、その季節にスーパーによく並ぶ食べ物という意識で食材を選ぶと効果的です。
旬の食べ物は、最も栄養価が高い時期に収穫されているものだからです。スーパーに行ったら季節の野菜や果物を積極的に購入し、食事に取り入れていきましょう。
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ビジネス心理学とは?3-3.家事の役割分担を決めましょう
家事の負担が大きすぎるとやる気がなくなりますよね(笑)。もし家庭の中で、あなたの家事の負担が大きすぎる場合は、作業を分担制にしましょう。それぞれの作業に役割を決めるのです。
家庭の中で「やらされている」という意識は、自分の中に被害者意識を育てていきます。つまり「なんでいつも自分ばかりがやらなければならないんだろう」と考えるようになります。そして次第に相手と心の距離を作っていきます。
確かに、これまですべて一人でやっていた状態を分担制にするのはなかなか難しいもの。まずは小さな「お願い」からはじめて、少しずつ分担するようにしていくと良いでしょう。
3-4.やりたい仕事に転職をしましょう
もしあなたが今の仕事を好きになれないのであれば、しっかりと準備をしたうえで仕事を変えましょう。自分が本当にやりたかった業種・業界の仕事に転職するのです。もちろん、いきなり転職するのはなかなかハードルが高いですよね。まずは必要な準備を始めていきましょう。
私のクライアントには、プログラマーという職業から、保育士に転職した人がいます。給料は少し下がったものの、子どもたちと触れ合う毎日が本当に楽しいと言っていました。
また、私の知人には工場勤務から美容師に転職した人がいます。美容師は肉体的にも精神的にも、とてもハードな仕事として知られています。しかし、工場勤務時代は毎日立ちっぱなしで肉体労働をしたり、機械操作で生産ミスを起こさないように強いプレッシャーと戦っていたかれからすると、とても楽で楽しいそうです。
仕事を変えるという選択肢も、ぜひ知っておいてください。
3-5.うつ・病気を疑いましょう
うつや心因性の病気の初期症状は、「生活の変化に対応できず、身体が不調になる」です。最近、生活の中に大きな変化はありませんでしたか? そして、なぜか身体の調子が変だと感じることはありませんか。その場合、うつや心因性の病気を疑ったほうが良いかもしれません。これらの病気は、早期発見したほうが早く完治します。
「まさか自分がうつになるなんて」とおどろく方もいますが、もはや心の病は現代病です。「心の風邪」といわれるぐらい、だれにでも起こるものだと覚えておきましょう。
もしあなたが、やる気が出なくて深刻に悩んでいるとしたら、プロのコーチからアドバイスを受けてみるとよいでしょう。自分でどれだけもがいても、方法論が間違っていたら効果が出ないからです。
下記の記事では過去700名以上、合計2万時間を超える臨床経験をもつプロのメンタルコーチが、クライアントに提供している実際のアドバイスがまとめられています。
「餅は餅屋」というように、つまり「やる気はメンタルコーチ」。この記事を読むということは2万時間のショートカットにつながります。時間やお金を無駄遣いする前に、まずは記事を読んでみてください。
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ビジネス心理学とは?4.「脳の仕組み」から見たやる気を出す方法
「特に問題がないんだけど、どうしてもやる気が出ないんだよなあ」とお悩みのあなたには、脳の仕組みという視点からアドバイスを提供したいと思います。そもそもやる気は脳のある部分から生まれるのですが、何か行動を起こさないとやる気のホルモンが分泌されないことが分かってきました。
つまり、脳がやる気ホルモンを出して行動を起こすのではなく、行動を起こすから脳がやる気ホルモンを発生させるという仕組みがあるのです。脳は行動したあとにやる気ホルモンを出すという原則があるのですね。
これは、クレペリンという心理学者が提唱した作業興奮という理論なのですが、これをもとに考えると簡単にやる気を出す方法がわかります。
4-1.やる気が出ない時は何のために仕事をするのか考える
あなたが毎日仕事に取り組んでいるのにやる気が出ないということは、その仕事を続ける目的があなたに合わないからです。
脳は行動した後に、やる気ホルモンを出す性質を持っています。しかし、行動してるのにやる気が出ないという場合は、そもそもやりたくないから。つまり、目的が自分に合わないことが原因です。
この場合、いますぐ仕事を変えましょうとまでは言いませんが、あなた自身が何のために働くのかをもう一度考えてみるタイミングにきているのかもしれません。
ここでもう一度質問ですが、あなたは、何のために仕事をしていますか? そして、その目的を自分で把握していますか?
「特に理由はないけれど、なぜかやる気が出ない…」と悩んでいる場合は、ぜひ一度たちどまって、これから何のために仕事をするのかをじっくり考えてみると良いでしょう。
もし答えがなかなか見つからない時は、あなたが生きる意味や目的について考えてみると見つかりやすいかもしれません。以下の記事では、生きる意味を見つけるタイミングやヒント、賢人たちの名言などを紹介しています。これを読めばきっと生きる意味を描くヒントが得られるはずです。
4-2.やる気が出ない時に思い出したい、9種類の相談相手
大きな問題を抱えているわけじゃないけれど、なんとなく誰かに話を聞いてほしい。そんな時があると思います。やる気が出ない時に相談できる相手が多くいたら、こんなに心強いことはないでしょう。そこで、つらい時に思い出したい、9種類の相談相手を下記にまとめてみました。
1.学生時代の友達、先輩、後輩に相談する
2.学生時代にお世話になった先生(担任の先生や部活の顧問、教授)に相談する
3.妻(夫)や恋人(彼氏・彼女)に相談する
4.自分の父親、母親に相談する
5.自分の兄弟(または姉妹)に相談する
6.自分の親戚に相談する
7.会社の上司、同僚、部下に相談する
8.民間のカウンセラーに相談する
9.医師に相談する
昔は、学校を卒業したら音信不通になってしまいがちな関係も、現代ではTwitterやFacebookといったSNSで気軽にコミュニケーションを取れるようになりました。普段から連絡を取り合い、助け合える関係を作っておくとよいでしょう。
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ビジネス心理学とは?5.やる気が出ない時があっても大丈夫
どのような人であっても、一時的にやる気が出ない状態になることはあります。落ち込むことは誰にでもあることなのです。心理学者アルフレッド・アドラーは、やる気について次のような名言を残しています。
心理学者アルフレッド・アドラーの言葉
「やる気」がなくなったのではない。「やる気をなくす」という決断を自分でしただけだ。
「変われない」のではない。「変わらない」という決断を自分でしているだけだ。メンターナビより引用
アドラーは、どのような精神状態も自分自身でそれを選んでいる、ということを指摘しています。アドラーが言うには、やる気がない状態とは、自分自身でそれを選択しているからだということですね。
しかしそうだとしても、誰でも好きでやる気がない状態を選んでいるわけではありません。そこには様々な理由や事情があるのです。それらの課題を克服して、少しずつ前向きになって、毎日を充実させていきましょう。
ポモドーロ・テクニックを知っていますか? これはやる気を高く保つ仕事術です。あまり知られていませんが、非常に効果的。ひとりでする作業には特に活用できます。ちなみに、この記事もポモドーロ・テクニックを使って書かれています。あなたもポモドーロ・テクニックを今すぐ日常に取り入れてください。私はもう手放せません…。