会社を辞めることは、人生において大きな決断です。さっさと辞めたほうがいいのか? それとも、もうしばらく我慢したほうがいいのか? など、どうしても悩みますよね。
そして、その選択に、正解はありません。もし、失敗があるとすれば、決断したあとで「こうすればよかったなぁ」なんて、後悔することだけだと思います。
この記事では、実際に2度退職経験のある私が、後になってあなたが後悔しないために、会社を辞めるための準備や手続き、私自身の体験談についてお話しします。
ぜひ、この記事を参考に、辞めるかどうかや、そのタイミングについて、じっくりと考えてみてくださいね。
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ビジネス心理学とは?目次 〜会社辞める前の準備|タイミング、手続き、貯金等〜
1.円満退職のために、辞める理由と退職願提出までの流れ
この章では、スムーズな退職のために、退職理由についてハッキリさせたうえで、退職願を提出するまでの流れを紹介します。今いる会社を通じて得た人脈やご縁が、あなたの将来にプラスになるよう、ぜひ、円満な退職を目指してくださいね。
1-1.本音とタテマエ、スッキリ辞めるための退職理由
どういった理由だとスムーズに会社を辞められるのでしょうか? それは、家族のことや身体的な問題、経済的な問題を理由にすることです。次の表をご覧ください。
- 家族の病気
- 体調不良のため近くで働きたい
- 親の具合が悪いため、労働時間を変えたい
- 親の仕事を引き継ぐ or 親戚の仕事を手伝う
- 心身療養したい
- 今の会社では実現不可能なキャリアアップを理由として伝える
- やりたい仕事が見つかった
会社で働く以上、多かれ少なかれ、必ず不満はあると思います。辞める場合は、そういったことを口にせず、タテマエでかまわないので、円満に退職できそうな理由を言いましょう。
もし、あなたがまだ、辞めることに迷いがあるなら、次の記事なども参考になります。興味があれば、ぜひ読んでみてくださいね。
1-2.正しい退職の手続き|退職願を出すまでの3つの手順
TVドラマだと「バン!」という音とともに、上司の机に退職願を叩きつける、なんてシーンを見かけますよね。あくまでこれはドラマだけの話。敵を増やし、他の社員の印象も悪くなるので、絶対にしないでくださいね。ぜひ、次の手順で、退職願を提出しましょう。
(1)まず直属の上司に「一身上のことで、ご相談したいのですが…」と切り出す
(2)上司と話し合いの上、具体的な退職日を決める
(3)あらためて退職願を上司に、手渡しする
- 退職が決まっても同僚などには言わない or 絶対口外しないよう口止め
- 上司と話し合いの上、引き継ぎや後始末などの準備をする
- 有給休暇などの消化も、上司と相談のうえ、余裕をもっておこなうこと
特に注意していただきたいのは、正式に退職が決まっても、同僚などには絶対に言わないことです。
退職することが事前に知れわたると、職場の雰囲気を悪くしたり、後任者の選任や、引き継ぎへの悪影響など、スムーズな退職のさまたげになります。くれぐれもご注意くださいね。
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ビジネス心理学とは?2.会社を辞めるタイミングや転職の準備
ここでは、会社を辞めるタイミングや転職の準備について解説します。たとえば、ボーナスをもらってから辞めた方が、金銭的には得ですし、可能な限り有給も消化したいですよね。
ぜひ、この章を参考に、辞めるタイミングについて、じっくりと考えてみてくださいね。
2-1.今で大丈夫?会社を辞めるタイミング6つのポイント
退職の意思表示は民法上、最低2週間前です。ただし、引き継ぎにかかる時間などを考え、最低2ヶ月前には、退職の意志があることを伝えましょう。
(1)仕事の引き継ぎには、どれくらいの時間がかかりそうですか?
(2)金銭的にはボーナス支給後がベストです
(3)有給を消化するつもりですか? その分は期間を長めに見積もること
(4)勤続年数1年未満は失業保険がもらえません、1年がんばるという選択肢もアリです
(5)身体の負担は大丈夫ですか? 身体を壊しそうならすぐに退職した方が良い場合も
(6)転職予定ですか? 退職後スムーズに入社できるようタイミングを図りましょう
ちなみに、失業給付金は、会社都合(おもにリストラや倒産)でない限りは、最低でも約3ヶ月はもらえないのでご注意ください。
また、辞めたいと考えだすと、どうしてもその思いが強くなりがちです。ぜひ、あせらずに、今が辞めるのに最適なタイミングなのかを、冷静に見極めてくださいね。もし、気持ちの整理が不十分なら、1章でも紹介した以下の記事を確認してみてください。
2-2.転職を考えている場合は、出来る限り早めに準備
もし、退職後、転職する予定なら、事前にしっかりと準備をしておきましょう。特に、なかなか転職先が決まらないと、どうしても妥協しやすくなります。ぜひ、次の表を参考に、事前準備をしてくださいね。
- 希望する業界・職種について検討する
- 何のために転職するのか、転職の目的をハッキリさせる
- 転職に向け、あなたのセールスポイントを洗い出す
- その上であなたが新たに勤めたい会社をピックアップする
また、転職サイトなどには「転職で給料アップ」といった、良さそうな話が書かれていますよね? しかし、これは残念ながらあまりアテになりません。なぜなら、転職サイトは利用者を増やすために、基本良いことしか書かないからです。
たとえば、30代の人が転職で年収がアップする確率は30%といった実際のデータもあり、年収アップを狙う場合は、面接時に給与交渉できる立場でないと、なかなか厳しいようです。
引用元 「転職エージェント鉄板ガイド」 30代で転職!年収は上がるの?下がるの?
転職サイトの甘い言葉につられ、転職を繰り返すことになり、だんだん収入が下がる、なんて話も珍しくないようです。後から後悔しないためにも、しっかりと事前準備をしてくださいね。
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ビジネス心理学とは?3.会社辞める計画、スケジュール、各種手続き
ここでは実際の会社を辞める時の計画やスケジュールと、各種手続きについてくわしく解説します。ぜひ、上手に計画をたて、スムーズな退職を目指してくださいね。
3-1.退職までの流れ、計画、スケジュール
退職が決まったら、最低2ヶ月前には、直属の上司に直接退職理由を伝えます。その後は、次のような流れで、退職に向けて進んでいきます。
2ヶ月前 退職について直属の上司と相談
退職日の決定退職日の1ヶ月前 退職願の提出
会社が後任者を決定
後任者に業務の引き継ぎ退職日の1~2週間前 後任者を連れて、取引先へ挨拶まわり 退職日の1週間前 取引先やお世話になった人に挨拶状の送付手配 退職日前日 机の中やロッカーなどの整理 退職日当日 上司や同僚への最後のあいさつ 『会社を辞めるときの退職手続きのすべて』花本明宏 (著), 星野年紀 (著) ぱる出版 25ページより引用
後ほどくわしく紹介しますが、私の場合、上司に退職を相談してから、実際に退職するまでには、およそ1年かかりました。これは、引き止められたことと、仕事の引き継ぎに思った以上に時間がかかったためです。少し極端な例ですが、退職する場合は、期日に余裕をもちましょう。
3-2.健康保険や年金など、退職時に必要な各種手続き
退職に関連して必要となる各種手続きは次のとおりです。
■健康保険 念のため「健康保険証」のコピーをとり会社に返却。すぐに転職しない場合は、どの制度に加入するか事前に調べておく。国民健康保険に加入予定なら「健康保険被保険者資格喪失届」の写しなどを会社からもらっておく。転職までにブランクがある場合は、切り替え手続きが必要。 |
■雇用保険 「雇用保険被保険者証」の有無を確認し、会社に預けている場合は返却してもらう。紛失している場合は再発行してもらう。 「離職票」ついて確認しておく。後から郵送してくれるケースも多い。失業給付に必要となる。 |
■年金 「年金手帳」を会社に預けている場合は返却してもらう。転職先に確認し提出する。転職までにブランクがある場合は、切り替え手続きが必要。 |
■厚生年金基金 厚生年金基金に加入している場合は「厚生年金基金加入員証」を返却してもらう。 |
■税金 「源泉徴収票」をもらっておく。確定申告で必要となり、転職の場合は、転職先に提出する。 退職金が支給される場合は「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出する必要がある。退職金には所得税や住民税がかかるので、どのような手続きが必要になるか、事前に会社に聞いておくとよい。 |
このような手続き以外では、もし退職後にお金を稼ぐ必要があるのなら、スムーズに転職できなかったときのことを考え、最低でも半年分の生活費は貯金として用意しておきたいところです。
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ビジネス心理学とは?4.仕事を辞める|私の退職体験談、家族と過ごす時間
最後にあなたにも参考になることがあるかもしれないので、私の退職体験談をご紹介しようと思います。私が最初に退職したのは、ちょうど30歳のときでした。
私の退職の理由は、
- 家族と過ごす時間がまったくとれない
- この仕事を一生続けていく自信がなくなった
からです。
もともと、子供の頃からパソコンが好きで、ソフト開発会社に入社。最初は、好きなソフトの開発だけをしていましたが、少しずつ直接お客様と話す機会が増え、最終的には、ずっと東京や名古屋に単身赴任するようになりました。そして、退職を考えるようになったのです。
悩んだ末、辞める決意をし、上司に「親の後を継ぐつもりです」と相談。それから、実際に辞めたのは、丸1年後でした。これは、引き止められたことと、退職の条件として言われた、後任への引き継ぎが原因です。
当時、大規模なソフト開発プロジェクトのリーダーをしていたため、仕事にケリをつけ、後任に引き継ぐのにかなり時間をとられました。
人によるのかもしれませんが、私の場合は、スパッとは辞められませんでした。ただ、会社に迷惑をかけなかったので、その後も、その会社を訪ねるなどし、ご縁が続いています。
退職後は、実家の電気工事店に勤めましたが、残念ながら転職直後の年収は、およそ半分に減りました。年収が下がった原因は、前職のキャリアを活かせず、見習いとして1からのスタートになったためです。私はともかく、嫁さんはかなり不満のようでした。
やはり、キャリアや実績を活かせないと、年収は下がってしまいますよね。サラリーマンの良い点は、給料をもらいながら、キャリアや実績の積めることです。
ぜひ、あなたの将来のためにも、そういった意識をもって働いたり、転職先を選んだりしてくださいね。
私の話は以上ですが、最後に、これまで紹介してきた記事をまとめておきます。もしあなたに退職に迷いがあるなら、後で後悔しないためにも、ぜひ読んでみてください。
また、自分が今の仕事が好きになれず、何をしたらいいのかわからなくなっている方には以下の記事がおすすめです。自分が進む道を見つけてから、会社を辞める決断をしても遅くはないですよ。
この記事の執筆にあたり次の本を参考にさせていただきました。
『会社を辞めるときの退職手続きのすべて』
花本明宏 (著), 星野年紀 (著)
こちらの本は、退職する方法だけでなく、提出する書類の書き方、サンプルなどが図解入で解説されているなど、かなり充実した本です。
もし、すでに退職を決めているのであれば、この本を参考に、退職の準備をすることで、より楽に手続きをすすめられます。