スタートアップとは、簡単に言えば創業して間もない企業のこと。いわゆるベンチャー企業を指します。
私はマーケティング・コンサルタントとして、多くの起業支援をしてきました。この記事では、スタートアップの事例や意味についてくわしく解説します。
スタートアップに限らず起業はとにかく失敗しやすく、10年で95%の会社が倒産します。あなたが失敗しないで済むための内容にしましたので、ぜひ読んでみてください。
※スタートアップという言葉はパソコン用語としても使われますが、この記事では割愛します。
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ビジネス心理学とは?目次 〜スタートアップとは|企業の例や意味、起業方法まで〜
- 2-1.創業メンバーにはエンジニアを必ず入れる
- 2-2.お客さんの悩みからビジネスをスタートする
- 2-3.スタートアップの段階に応じて資金調達する
- 2-4.できる限りお金を使わない、人を雇わない
- 2-5.大まかな計画やビジネスモデルを作る
- 2-6.完璧になる前にサービスを開始する
- 2-7.スタートアップでも、売上や利益を評価指標にする
1.スタートアップとは? 意味から違いまで解説
スタートアップとは、ベンチャー起業のことであると前述しました。ですが、スタートアップと起業は厳密には違います。
スタートアップとは、「創業と同時に急激に成長させて、一攫千金をねらっている企業」を指します。上場をねらっている場合もありますが、売却するだけでも大きな利益は得られますので、それで十分という経営者も多いです。
昨今は上場へのハードルが上がってきていますし、上場しても経営を続けないといけないことを考えると、売却する方が気が楽ということでしょう。
また、スタートアップ企業と呼ばれるのは、主にインターネットを使ったサービスが多いです。その理由は、インターネットを使ったサービスの方が急成長させやすかったり、売却しやすかったりすることが原因です。
1-1.スタートアップと通常の起業との違いは?
では、スタートアップと通常の起業の違いは何でしょうか? まずは表をご覧ください。
スタートアップ | 普通の起業 | |
---|---|---|
目標 | 売却か上場 | 継続すること |
成長速度 | 急激な速さ | ゆっくり |
成功確率 | 極めて低い | 低い |
借入 | エンジェル | 銀行 |
業種 | ITが多い | IT以外が多い |
社員数 | 一気に増やす | 少ない |
せまい意味のスタートアップは「売却して一攫千金をねらっている企業」のことですが、もう少し広い意味だと「売却を狙っていないが急成長している企業」も含まれる場合もあります。また、スタートアップというと、インターネットなどの新しい分野のビジネスを指すこともあります。
スタートアップは利益が急上昇するが、普通の起業(スモールビジネス)は着実な成長をする
※縦軸は利益、横軸は時間を表す。
引用元:「あなたのスタートアップのアイデアの育てかた」
なお、どこからどこまでをスタートアップと呼ぶかという明確な定義はありません。あくまで、ベンチャーキャピタル界隈の専門用語ですので明確な線引きはできないのです。
1-2.スタートアップのメリット・デメリット
ベンチャーキャピタルの世界では、スタートアップは千三つ(せんみつ)と言われます。要は、1000社あったら3社しか成功しないということですね。これはまあ極端な表現だと思いますが、難易度が極めて高いのは間違いありません。
このように、スタートアップのメリットは一攫千金できることですが、デメリットは成功確率が極めて低いことだと知っておきましょう。
スタートアップとは、する側も、社員として働く側も、また出資する側もリスクがあるのです。ですので、世の中の多数派であるリスク回避型の人にはおすすめしません。リスクを心から楽しめる人向けです。
どうしてもリスクを取りたいのであれば、うまくいった暁には大きなリターンが得られるようにしましょうね。たとえば社員であれば、ストックオプションをもらうとか、そういうことです。
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ビジネス心理学とは?2.スタートアップ完全ガイド|ゼロからの7ステップ
この章では、私の体験や、上場企業の役員になっている私の友人の話、本などの情報をもとに、スタートアップの始め方やポイントをステップ・バイ・ステップでご紹介します。
2-1.創業メンバーにはエンジニアを必ず入れる
まずは創業メンバーを集めましょう。重要なアドバイスとして、創業者もしくは創業メンバーの1人をエンジニアにしてください。
たとえばマイクロソフトの場合はビル・ゲイツが、Facebookの場合はマーク・ザッカーバーグがエンジニアでした。アップルの場合は、共同創業者のスティーブ・ウォズアニックがエンジニアでした。
日本の最近のIT企業も、創業者または創業メンバーがエンジニアです。たとえばグノシーの場合は福島良典CEOがエンジニアでしたし、カドカワの川上量生さんもエンジニアでした。
シリコンバレーの場合、創業メンバーにエンジニアがいないと資金調達を受けられないと言われています。
2-2.お客さんの悩みからビジネスをスタートする
最近のスタートアップを見ていて、私の友人と話になったのは「とにかくユーザー数を増やせば何とかなるだろう」と考えている起業家が多いこと。
ユーザー数を増やすのはいいのですが、どうやってマネタイズする(お金に変える)のでしょうか? やはりお客さんの悩みからスタートしたビジネスはお金に変えやすい。なぜなら、お客さんがお金を払うのは自分の悩みを解決するためだからです。
2-3.スタートアップの段階に応じて資金調達する
最初の資金調達は、自分のお金を出したり、共同創業者が出します。その次のステージでは家族や友人、恋人から借りるケースが多いです。たとえば、ライブドアの創業者である堀江貴文さんは、元彼女のお父さんから600万円を借りたそうですね。
その次のステージはエンジェル投資家、さらにその次はベンチャーキャピタル、という流れで資金調達をします。エンジェル投資家とベンチャーキャピタルの違いは、前者の方が個人投資家に近く、後者の方がファンドという形で組織的に投資をおこなっています。
さらにくわしい、資金調達については下記の記事が参考になります。
Gozal 運営事務局「スタートアップが創業資金を集める7つのパターン」
2-4.できる限りお金を使わない、人を雇わない
資金調達をできたとしても、安心しないでください。スタートアップを含めて起業は、お金が一瞬にしてなくなってしまうものです。
エンジェルなどから大金を引っ張ってきたとしても、人を雇ってしまうと大変です。固定費として毎月人件費がかかることになりますので、すぐにキャッシュが切れてしまいます。
最初は創業メンバーは数人にとどめ、人数を増やさないようにしましょう。とくに売上も満足に上がっていない状態で人を雇うと、どんどんお金が減っていく最悪の展開になります。
2-5.大まかな計画やビジネスモデルを作る
スタートアップの中には、独自の技術だけを追い求めている会社もあります。「この技術を欲しくて、大企業がM&Aしてくれるんじゃないか?」みたいな甘い期待ですね。
もちろん、それでもバイアウトできる幸運な人もいるでしょう。が、それはほんの一握り。技術だけではなく販売もしっかりと行いましょう。そして、それを計画に入れてください。
ペイパルの創業メンバーであり、生みの親であるピーター・ティールも「プロダクトだけではなく、販売も大切である」と多くのスタートアップを喝破しています。
2-6.完璧になる前にサービスを開始する
スタートアップでは、基本的にお金が足りないのでとにかくスピードが大切です。サービスを世の中に出すのが遅くなると、お金を回収するのも遅くなります。IT企業の場合はサービスをリニューアルするのが楽なので、とにかく早くサービスを開始しましょう。
サービス開始は、どんなに早すぎても早過ぎることはないのです。ちなみ、完璧主義になってしまうのはメンタルの問題なのでこちらの記事を読んでください。
2-7.スタートアップでも、売上や利益を評価指標にする
サービスを開始した後は、「正しい評価指標」に基づいてビジネスを大きくしていくことが大切です。
ことIT系の企業だと、「1ダウンロードあたりのバリュエーション(評価額)は400円くらいが多いから、100万ダウンロードされたら時価総額4億円になるだろう」みたいに適当に決める会社もあります。ダウンロード数やPV数が評価指標になっているのです。
しかし、ダウンロード数やPV数が増えても、まったく売上や利益が増えない会社はたくさんあります。やはり売上や利益を評価指標に持ってこないと、間違った方向にいってしまうのです。
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ビジネス心理学とは?3.スタートアップの理解に役立つ書籍 3選
この章では、スタートアップにおすすめの本を3冊ご紹介します。
3-1.リーン・スタートアップ
『リーン・スタートアップ』
エリック・リース (著), 伊藤 穣一(MITメディアラボ所長) (解説), 井口 耕二 (翻訳)
この本は、「完璧主義を捨てて、とにかく早くサービスを世の中に出すこと」の大切さについて書いてあります。そうやって早くサービスを世の中に出せば、一般大衆は振り向いてくれないものの、オタクたちが買ってくれます。
それによって、売上を確保しながら、お客様の声を聞いて改善していくことができます。詳細は、この本を読んでみてください。
3-2.ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか
『ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか』
ピーター・ティール (著), ブレイク・マスターズ (著), 瀧本 哲史 (その他), 関 美和 (翻訳)
動画サイトYouTube、SNSのFacebook、電気自動車のテスラ・モーターズ、民間宇宙開発のスペースXなどに投資をして、成功させてきたベンチャーキャピタリストのピーター・ティール。スタートアップに興味がある人なら彼をご存知ですよね?
この本の中では、(1)大きな賭けをしろ、(2)成功するための計画を持て、(3)競争するな、(4)販売は製品と同じくらい大切、という4つの主張がなされています。本当におすすめです。
3-3.Yコンビネーター
『Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール』
ランダル・ストロス (著), 滑川海彦 (翻訳), 高橋信夫 (翻訳), TechCrunch Japan翻訳チーム (翻訳)
かなり小さな段階でスタートアップに資金を提供するとともに、3カ月にわたって集中的に指導することで知られるYコンビネータLLCというベンチャーキャピタルをご存知ですか? 彼らは他のベンチャーキャピタルなどから投資を受けられる状態までスタートアップを育てるプロフェッショナルです。
オンラインストレージサービスのDropboxや、民泊サービスのAirbnbなどの企業を育てたことで有名です。この本では、スタートアップにつきものの華やかなイメージをくつがえしてくれます。泥臭くて寝食を忘れて仕事のことだけに没頭しないと成功しないという現実を突きつけられます。
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ビジネス心理学とは?4.スタートアップは超厳しい世界!
ここまで読んでいただければ、スタートアップが普通の起業に比べて非常に難しいことはご理解いただけたと思います。お金目当てではなく、世界を変えるビジョナリーでなければスタートアップはおすすめしません。
またスタートアップほどではないにせよ、起業も非常にむずかしいものです。このビジネス心理学というブログには、起業についての有益な記事もありますので、ぜひ読んでみてください。下記の記事を読まなければ、多くの人が起業で失敗してしまうでしょう。