USPとは?マーケティング用語USPの意味や事例、作り方

USPとは?マーケティング用語USPの意味や事例、作り方

あなたは「USPを定めて売り上げアップ」などといった話を聞いたのではありませんか? USPの例としては、ドミノピザの「ホットでフレッシュなピザを30分以内にお届けします。もし、30分以上かかったら、ピザの料金はいただきません。」が最も有名ですよね。

当時、ドミノピザ以外にも、30以内にピザ届けるお店はあったそうですが、お客様に対する約束として、このUSPを宣言し、一気に宅配ピザでトップの地位に上りつめました。このように、うまくUSPを活用することで一気に売上をのばすことが可能です。

ただ、USPは、「独自の売り」とか「競争優位性」など、微妙に違ったニュアンスで伝えられ、少しわかりにくく誤解されていることもあるようです。ここではUSPの意味から、USPの作り方まで、くわしく解説していきます。

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目次 〜マーケティング用語USPの意味・事例・作り方〜

1.USPとはなにか? その意味やUSPの条件とは

2.具体的なUSPの事例を紹介

3.USPを作る前に知っておくべき3つのポイント

4.USPの作り方

5.USPに頼りすぎるな

1.USPとはなにか? その意味やUSPの条件とは

USPとはなにか? その意味やUSPの条件とは

はじめに少し書きましたが、USPは「独自の売り」とか「競争優位性」とか微妙に違ったニュアンスで伝えられているようです。ここでは、まずUSPの意味や、そもそもUSPであるための条件などについて解説します。

1-1.そもそもUPSとは?

USPとはUnique Selling Propositionの略です。誤解を恐れずにUPSとは何かを、あえてわかりやすくいうなら、「消費者に対する独自の強力な提案」ということになるでしょう。USPは今からおよそ50年ほど前に、ロッサー・リーブスというコピーライターによって発見されました。

その後、ダン・ケネディやジェイ・エイブラハムといった、色々なマーケター達によって、世の中に広まっていきました。USPを広めるときに、マーケターが自分のコンサルティングや教材を売るために、例えば「USPがない企業は潰れる」といって広めたこともあり、USPは必ず必要なものといった誤解を招いているケースも多いようです。

1-2.USPであるための条件とは?

USPを発見したロッサー・リーブスは、USPの条件を次のように定めています。

(1)消費者に対しての提案
単なる言葉や広告ではなく「この製品を買えば、この利益が手に入ります」といった提案
(2)独自のものである
競争相手が示せない、もしくは示さないものでなければならない
(3)強力・強烈な提案
数百万の人々を動かせるほど強力でなければならない

USPを正しく定義すれば、この条件に当てはまるものがUSPということになります。
あなたが普段買っている商品の中に、このような「消費者に対する独自の強力な提案」を備えたものは、いくつくらいありそうですか? おそらく、そんなにたくさんは思いつかないと思います。

このようにUSPは必ず必要なものではなく、もし素晴らしいUSPを思いついたとしても、ドミノピザのように、30分以内にピザを届ける仕組みを、新しく社内に取り入れるのはなかなか大変だったりします。

あくまでUSPは、ライバル商品との差別化を狙い、商品を一気に世の中に一気に広める時の、有効な手段の一つだと覚えておくと良いでしょう。

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2.具体的なUSPの事例を紹介

具体的なUSPの事例を紹介

どうしても、言葉の定義だけだとわかりにくいので、この章では具体例を見ていただきます。それにより、USPがどういったものなのか、より体感的に理解していただけると思います。

2-1.【M&M’s】お口でとろけて、手でとけない

【USP】お口でとろけて、手でとけないチョコレート

【ポイント】M&Msのチョコレートは、手や服を汚さず、安心して食べられるということを、このUSPを使ってうまく伝えることで、とくに小さな子をもつお母さん方に広く受け入れられたそうです。

ちなみに、このチョコレートは、日本のマーブルチョコレートのように、砂糖菓子でコーディングされていて、手ではとけないようになっています。

2-2.【ダイソン】吸引力が変わらない、ただ一つの掃除機

【USP】吸引力が変わらない、ただ一つの掃除機

【ポイント】紙パックを使用しないため、パックやフィルタの目詰りによる吸引力低下がおきない、といった商品の特徴を、明確なUSPとして表現することで、世界的な大ヒット商品となりました。

2-3.【ファブリーズ】手軽に消臭除菌、ファブリーズしよう

【USP】手軽に消臭除菌、ファブリーズしよう

【ポイント】TVのCMを上手く活用し、簡単に洗えないものを手軽に消臭除菌できるというUSPを全面に打ち出し大ヒットとなり、ファブリーズしよう(=消臭除菌)という言葉まで生み出しました。

2-4.【ジョンソン】固めるテンプル

【USP】調理用油をかんたんに処理、固めるテンプル

【ポイント】天ぷら油を固めてプルプル状にするという、商品そのもの特性をUSPにした例。このUSPをわかりやすくCMとして流し、日本中に商品が一気に広まりました。

2-5.【焼肉店】味に厳しい芦屋人が認めた凜花の黒毛和牛

【USP】味に厳しい芦屋人(あしやびと)が認めた凜花の黒毛和牛

【ポイント】兵庫県芦屋市の焼肉店、芦屋コリアンダイニング凜花が打ち出したUSP。他店との差別化を考え、うまくこのUSPを打ち出すことで、地元のポータルサイト2部門で1位を獲得するなど、うまく売上アップにつなげた事例です。

3.USPを作る前に知っておくべき3つのポイント

USPを作る前に知っておくべき3つのポイント

この章では、USPを作る前に知っておくくべき、大切な3つのポイントについて解説します。

(1)USPは独自のものでなくてもよい
(2)あなたのビジネスにあったUSPを見つけよう
(3)USPから新たなサービスが生まれることも

3-1.USPは独自なものでなくてもよい

カビキラーや固めるテンプルのように、消費者ニーズを調査した上で、最初からUSPを備えた商品を開発するケースも多くみられますが、USPは必ずしも独自のものでなくてもかまいません。

先ほどご紹介したファブリーズのような消臭除菌スプレーは、世の中にたくさん売られていますが、ファブリーズの場合、他社より先にUSPを全面に打ち出したTVCMで、一気に世の中に広まりました。

このように、たとえ競争相手の商品がすでに持っているUSPあっても、先に世の中に広めることで、大成功につながるとったケースも多くみられます。

3-2.あなたのビジネスにあったUSPを見つけよう

あなたのビジネスにあったUSPを考えるために、まずあなたの会社が、次の3つのどれに近いか考えてみてください。

(1)業務のプロセスを効率化して、悪くない商品を安く販売する
ファミレスのイメージ。それなりの商品を安く販売
(2)高水準・高品質の商品を提供する
高級料亭のイメージ。最高級素材を使った美味しい料理を高い値段で販売
(3)顧客との親密な関係で、顧客のニーズに徹底的に応える
近所の小さなレストランのイメージ。地元の常連客に愛されている

※『ナンバーワン企業の法則』 M. トレーシー (著)より一部引用

USPと一言で言っても、それぞれ(1)~(3)のどれに近いかによって、全然違ってきそうですよね。あなたのビジネスにあったUSPは、どのようなイメージになりそうですか? あなたの今後のビジネスの戦略にも大きく関わってくると思いますので、じっくり考えてみてください。

ちなみに(3)の場合は、USPと呼べないことがほとんどです。なぜならば、USPの3つ目の条件である「数百万の人々を動かせるほど強力」に当てはまらないからです。もちろん、無理に当てはめる必要もありませんし、取るべき戦略もまったく違ってきます。

この場合は、無理にUSPを打ち出すよりも、より常連客が足を運びたくなるような、工夫をした方が良かったりしますよね。このように、あなたの会社にあわせて考えてみてください。

3-3.USPから新たなサービスが生まれることも

USPを考えていくことで、新たなサービスが生まれることも少なくありません。たとえば、ドミノピザの「30分以内にお届けします。もし、30分以上かかったら、ピザの料金はいただきません。」なども、まさにその例ですよね。

また、今となってはおなじみのクロネコヤマトの宅急便も、当時は革新的なサービス・USPとして「翌日配送、地域均一料金」をうたい文句に、一気に世の中に広まっていきました。

このように、USPは企業全体の戦略にも大きく関わってきます。場合によっては、新たなサービスの提供も視野に入れてUSPを考える必要があります。

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4.USPの作り方

USPの作り方

この章では、具体的なUSPの作り方について解説します。

(1)まずは商品の「売り」を洗い出そう
(2)USPをメッセージとして組み立てよう
(3)できあがったUSPをチェックしよう

4-1.まずは商品の「売り」を洗い出そう

まずは、商品の売りの洗い出しです。商品の特徴や、商品がもたらすメリットはもちろん、商品に含まれる成分や素材、またそれ以外にも、会社の歴史などをさかのぼって、色々なアイデアを出してみてください。

会社の歴史をUSPに使った例としては、リーバイスが有名で「世界で最初のジーンズメーカー」をUSPに採用しました。さすがに、世界で最初は無理でも「地元で最初」や「60年の実績」などといったフレーズは使えそうですよね。

また、自分たちだけでのアイデア出しにとどまらず、ぜひお客様の声や、現場の販売員や営業さんが使っているセールストークなども、参考にしてください。特に現場の声はとても大切で、大きなヒットを生むヒントが隠されていることも珍しくありません。ぜひ、最初は色々なアイデアを集めてみてください。

4-2.USPをメッセージとして組み立てよう

次に、出てきたアイデアを元に、USPをお客様に伝える強烈なメッセージとして、組み立てていきます。明太子で有名な幻の工房とくやでは、明太子を売り出すためのUSPとして次のようなアイデアを出しました。

  • 100%北海道産原料
  • 昭和時代の昔ながらの明太子作り
  • 昆布だしを隠し味として使用した、天然水100%の自家製タレ
  • 老舗「ふくや」で長年働いていた櫻井店主の確かな味覚

などなど

最初はこれらのアイデアを元にUSPを考えていましたが、いまいちシックリこなかったそうです。そこで、ヒントとなったのがお客様の声。

当初から「この明太子はよくご飯にあうんだよ~」言われていて、それをヒントに、「ご飯おかわり! と云わせてしまう幻の工房の明太子」を全面に打ち出し、楽天市場で1位を取るなどの大ヒットにつながりました。

ちなみに、この事例は『御社の「売り」を小学5年生に15秒で説明できますか?』松本賢一著で紹介されていますが、実際にはUSPというよりもキャッチコピーに近いと思います。

わかりやすい事例なので、取り上げましたが、このようにUSPとキャッチコピーがあいまいに扱われていることも多いようです。ただ、売上を増やすという意味では、あまりこだわる必要もなく、こちらの本そのものは、事例が豊富で参考になりますので、さらに深く知りたければお読みいただくと良いと思います。

御社の「売り」を小学5年生に15秒で説明できますか?

御社の「売り」を小学5年生に15秒で説明できますか?
松本 賢一 (著)

4-3.できあがったUSPをチェックしよう

無事USPが絞り込めてきたら、以下のチェックしてみてください。そもそもUSP以前に、ホームページやチラシが見られていないなどといった問題を解決する必要があるケースも多いため、チェックリストに加えてあります。ぜひ、しっかりとチェックして売上アップにつなげてください。

(1)USPの前に、そもそも顧客が欲しがる商品ですか?
(2)顧客が欲しがるユニークさになっていますか?
(3)提案ではなく、ただのユニークなだけではありませんか?
(4)そのUSPが真実っぽく、顧客の目に映っていますか?
(5)そもそも、ホームページやチラシが見られていますか?
(6)商圏や顧客を絞りすぎていませんか?
(7)価格など、USP以外のところで対象外にされていませんか?

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5.USPに頼りすぎるな

いかがでしたか? 色々な事例などふまえて、USPについてご紹介してきました。そもそもUSPは、必ず必要なものではありません。あなたの商品にライバルがいなければ、お客様はあなたの商品を買うしかないため、USPで差別化する必要はないですよね。

市場を独占している企業が業界にいない場合は、いかに早く世の中にあなたの商品を広めていくか、その戦略の方が、よほど大切になってきます。また、ホームページやチラシを見なおしたり、新たな広告戦略をした方が、売上アップにつながるといったケースも多くみうけられます。

ぜひ、あなたの会社の状況に応じた、戦略の中のひとつの手段として、上手くUSPを活用してくださいね。

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