2006年に出版された『鏡の法則』。これは野口嘉則さんが最初にブログで記事を公開したところ、大反響を呼び、出版化されたという一冊です。書籍発売から約10年ほど時が経ちましたが、いまだに自己啓発の世界では「世の中には鏡の法則があって~」とか「鏡の法則的に、その考え方はまずいよ」などと言われたりします。
「なんだ、そんなに優れた考え方なのか!」。そう思って『鏡の法則』をくわしく知ろうとするほど、胡散臭いとか心理学的におかしいなどという批判があることがわかります。まさに賛否両論です。
この記事では、現役のプロ・カウンセラーが、鏡の法則を徹底解説。鏡の法則を信じるか信じないかは、あなた次第! なのですが、この記事が『鏡の法則』の理解に必ず役立つはずです。
あなたの人生の悩みが『鏡の法則』で解決できるのか? あるいは解決できないのか? 実践者の感想を紹介しつつ、効果やメリット・デメリットをズバリ解説していきます。
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ビジネス心理学とは?目次 〜鏡の法則の内容・感想・効果をカウンセラーが検証〜
1.『鏡の法則』とは? 意味をわかりやすく解説
さて、そもそも『鏡の法則』とは、何なのでしょうか?
『鏡の法則』とは、2006年に野口嘉則さんが出版した書籍のタイトルであり、本の中で解説された「現実は、心を映し出した鏡」という法則です。つまり、『鏡の法則』という言葉は、本のタイトルを指す場合もあれば、本に登場した法則を指す場合もあります。
したがって、もしあなたの友人が「『鏡の法則』は良かった!」と言っていたなら、本のことを話しているのか、あるいは、法則そのもののことを話しているのか、最初に聞いて整理した方が理解しやすいでしょう。
この記事では、書籍『鏡の法則』のあらすじと、本の中で登場する法則について、順番に説明していきます。
1-1.書籍・完全版『鏡の法則』の内容とあらすじ
『鏡の法則』の本の帯には、「読んだ人の9割が涙した!」と書かれています。いったいどんなストーリーなのでしょう。あらすじをご紹介します(ネタバレしますのでご注意ください)。
- あらすじ
今年41歳になる主婦の栄子には悩みがあった。小学5年生の息子が学校でいじめられているのだ。暴力はふるわれていないようだが、仲間外れにされたり悪口を言われたりしているらしい。
栄子が「自分にできることはあるか」と尋ねると「別にいじめられているわけじゃない!」と言い張ってしまう。その姿をみた栄子は、なにもできない自分や、いじめを我慢し続ける息子に胸を痛めていた。
ある日、夫の紹介で矢口という経営コンサルタントを紹介され「鏡の法則」という心のはたらきを教わる。矢口は「あなたの大事なお子さんがいじめられているのは、あなたがだれか感謝すべき人に感謝せずにその人を責めて生きているからです」という。
いわれてみると思い当たる節があった。栄子は父親と何年も会話していないどころか、父親に対してひどい言葉をぶつけてきたことを思い出す。なにやら胡散臭い話に最初は気乗りしなかった栄子だが、父親との和解が息子のいじめの解決に繋がるならと思い、「鏡の法則」を試す。
長い間こころが離れていた父との関係を修復できるのか。不安を感じる栄子だったが、矢口の指示通り電話で話してみると、父への感謝で涙が止まらなくなる。父も栄子を傷つけてしまった過去を謝罪し号泣。「鏡の法則」によって親子のきずなが完全に修復した。
その後、矢口のアドバイスを聞いて行動するうちに、突然むすこが喜びながら帰宅する。いつもいじめてくる同級生に謝罪され、仲直りしたとのことだった。鏡の法則で、息子のいじめが解決し悩みを解決することができた。
※鏡の法則の全文は、野口嘉則さんのブログでも公開されています。こちらをクリックして、リンク先からお読みください。
1-2.『鏡の法則』の著者の野口嘉則さんとは?
『鏡の法則』を書いた野口嘉則さんのプロフィールについてご紹介します。
野口さんは、2009年ごろから自己啓発に関する講座を開講されています。また、たくさんの著書を出版されている作家でもあります。自己啓発に関する分野の本が多いのですが、ご本人はもともと対人恐怖症で、高校時代は特に悩まれていたそうです。
大学では心理学の中でも、臨床心理学や、深層心理学のほか、トランスパーソナル心理学などを専門的に学び、その他にも東洋哲学などを研究されていました。
卒業後はリクルートに入社し、その後、メンタルマネジメントの講師として起業をされています。メールマガジンやフェイスブックで情報発信をされている他、ご自身で講座を開講されていますので、よりくわしく知りたい方はこちらの公式ブログをのぞいてみると良いでしょう。
1-3.宗教やアムウェイで使われている? 胡散臭いの?
『鏡の法則』について調べていると、「宗教じみている」「アムウェイなどのネットワークビジネスのセミナーで使われていた」といった情報も出てきます。あなたも「『鏡の法則』は、胡散臭いものなのだろうか?」と疑問に思ってしまったかも知れません。ここで客観的な立場から、事実を説明しましょう。
『鏡の法則』がネットワークビジネスと関係があると言われる理由は、著者の野口嘉則さんがアムウェイの会員だからです。ダイヤモンドDDというタイトルを取っている野口嘉則さんは、月収100万円以上の収入を得ていると言われています。そのため、アムウェイのセミナーで『鏡の法則』が引用されることも多いのです。
また、『鏡の法則』はスピリチュアル好きの女性にウケがいいので、様々な勧誘セミナーで引用されています。中には宗教関連の集会もあるでしょう。盲信は危険なので、『鏡の法則』を謳うセミナーには注意してください。
とはいえ、『鏡の法則』は100万部以上のベストセラー本です。「いい本だった」「感動した」と言っている人の多くは、単に1冊の本として評価しているだけ。『鏡の法則』のファンが全員怪しい人ということはないので、ご安心ください。
ちなみに、ネットワークビジネスの裏側に興味がある方は、以下の記事をご覧ください。ネットワークビジネスの裏を知る専門家が、有名な5つの会社と勧誘の真相や、断り方を解説しています。
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ビジネス心理学とは?2.『鏡の法則』に出てくる2つの法則を解説
続いて、書籍『鏡の法則』に登場する法則について、解説します。『鏡の法則』では、主に次の2つの法則が紹介されています。
2-1.鏡の法則とは
1つ目は、『鏡の法則』です。本の中では、次のように説明されています。
現実に起きる出来事は、ひとつの「結果」です。「結果」には必ず「原因」があり、その原因はあなたの心の中にあるのです。つまり、あなたの人生の現実は、あなたの心を映し出した鏡だと思ってもらうと良いと思います。
引用元:(同著P17より引用)
少しわかりにくいかも知れませんね。たとえば、あなたが同僚に攻撃されていると感じている場合、原因はあなた自身が過去に家族や友人を攻撃していたせいだ、という考え方です。つまり、目の前の現実が、まるで鏡のように過去を写し出していると解釈するのです。
2-2.必然の法則とは
2つ目は、『必然の法則』です。こちらも、本の中の記述を引用します。
じつは、人生で起こるどんな問題も、何か大切なことを気づかせてくれるために起こるんです。つまり、偶然起こるのではなく起こるべくして起こるんです。ということは、自分に解決できない問題は決して起こらないのです。
引用元:(同著P40より引用)
『必然の法則』は、たとえば「子供がいじめられたけれど、逆に家族の絆が強くなって良かった。有意義なトラブルだった」というように、問題は必然的に起こっていて、つらくても意味がある、という考え方です。前向きに生きるために、役立つものの見方と言えるでしょう。
2-3.『鏡の法則』の源流は1冊の自己啓発本
「法則」と聞くと、まるで学術的に証明された事実のようですよね。
しかし、『鏡の法則』と『必然の法則』という2つの法則は、科学でも心理学でもありません。実は、1冊の自己啓発本が源流なのです。その本とは、イギリス人作家のジェームズ・アレンが約100年前に書いた『As a Man Thinketh (邦訳『原因と結果の法則』)』です。著者のジェームズ・アレンもまた、このような言葉を残しています。
「人は、心で思っているままの人間になるという格言は、人間の存在を説いているだけでなく、その人の置かれている状況、とりまく環境全てにまで及んでいる。人間とはまさに、思考めぐらすものであり、人格とはその思考がより集まったものである」
(引用元:バビロン成功ライブラリー)
少し読みにくい文章ですが、ジェームズ・アレンの文脈をたどると、『鏡の法則』は彼の考え方を参考にして書かれた法則だとわかります。
注意しなければならないのは、『「原因」と「結果」の法則』はあくまでも自己啓発本だということです。たしかにすばらしい本ではあるのですが、さまざまな研究成果や根拠ある心理学書とは違うということもあわせて覚えておきましょう。
つまり、『鏡の法則』は、心理学というより、自己啓発やスピリチュアルの考え方なのです。
3.鏡の法則の効果は本物?恋愛や夫婦関係は改善できる?
ここまで読んできたあなたは、「結局のところ、『鏡の法則』は効果があるの? 効果がないの?」と、疑問に思えてきたのではないでしょうか。「細かい話より、自分の悩みの解決に使えるのかどうかが知りたい!」と思うものですよね。
この章では、プロのカウンセラーから見て『鏡の法則』に効果があると言える部分と、効果がないと批判されている部分について、説明していきます。
3-1.心理学的に正しいと言えるのは「ゆるし」と「投影」
「『鏡の法則』の心理学的に正しい部分はどこですか?」ときかれたら、わたしは「ゆるし」と「投影」という2つに関係した部分だと答えます。
1つ目は、著書の中で紹介されている「ゆるす」という行為で得られる、心の安心感ややすらぎです。
憎しみや怒りを抱き続けていると、自分にとって強いマイナスの影響が発生します。自分の考えにとらわれて、ネガティブになりがちです。だからこそ、「ゆるし」でそのような憎しみや怒りが消せると、より柔軟に物事を考えられるようになります。
たとえば、長年許せなかった父親と和解をするシーンは、もっともわかりやすい例でしょう。主人公である主婦・栄子は、矢口のアドバイスによって「父をゆるす」という決断をしました。いざ和解してみると、心の中に溜まっていた不満や憎しみが消えて、安心や感謝の気持ちが湧いてきました。
その意味では、『鏡の法則』で紹介されている方法論は、自分や他人を「ゆるす」ことができる効果的なものだといえます。あなたも『鏡の法則』のワークを使えば、ずっと怒りを感じてきた相手をゆるして、スッキリすることができるでしょう。
2つ目に、『鏡の法則』を学ぶと、「投影」に気がついて心が楽になる、という効果もあります。「投影」とは何かというと、「自分の考え方を、他人にうつし出すこと」です。
たとえば、あなたが陰口ばかり言う母親を嫌っているとします。すると「年上の女性は、みんな陰口を言うものだ。だから母親世代のおばさんは全員苦手だ」などと思ってしまいがちです。これが「投影」です。
『鏡の法則』のストーリーの中でも、主人公が父親と夫を同じように捉えて、同じ怒りをぶつけていたと気付くエピソードがありますね。こうした「投影」の心理が分かると、自分が抑えつけていた本当の気持ちに気付けます。
「そうか、自分はあの人に感じていた嫌な気持ちを、別の人にぶつけていただけだったのか」と自覚できるのです。すると、心が軽くなったり、解決策を発見できたりします。
あなたもゆるせない相手のことで、悩んではいないでしょうか? もし、「ゆるす」ことで解消できる悩みを持っているのでしたら、『鏡の法則』は大いに役立ちます。
『鏡の法則』を読み、ワークを実践すれば、心が楽になるでしょう。ギクシャクしていた人間関係が改善できる可能性もあります。この部分は、心理学的にも正しいといえます。
3-2.『鏡の法則』を心理学の専門家が批判する理由
一方で、『鏡の法則』は専門家から批判されています。それは、なぜなのでしょうか?
心理学の専門家たちが『鏡の法則』を批判する最大の理由。それは『鏡の法則』が原因と結果の法則の当てはまらないところまで効果があるようにみせているからです。
たとえば、父親との和解を終えた直後、栄子は息子から、いじめっ子に「いじめてごめん」と謝られたという報告を受けます。
それをきいた栄子は喜び、「このことは自分が父親と心で和解できたことに関係あるに違いない。そんな気がしてきた」(同著P55)と続けます。つまり、栄子は「鏡の法則」をつかったことでいじめが解決できたと思いこんでいるのです。
「鏡の法則」をつかうことでいじめが解決したというのは、栄子の単なる思い込み(妄想)です。鏡の法則の影響は父親の和解に対してであり、息子がいじめられなくなることには、何の因果関係もないのです。
この部分は、作者になんらかの意図があるのではないかと疑われています。たとえば、主人公に鏡の法則を妄信させて、鏡の法則を「奇跡を起こす魔法」のように演出しているのではないかという指摘です。
このような表現があると、栄子に共感した読者は「鏡の法則をつかえば、家族に良いことが起こる」と信じてしまう可能性があります。一部の人から『鏡の法則』に対して胡散臭いとか、オカルトっぽいと指摘される理由は、このような論理が飛躍するところにあるようです。
ここでの重要なポイントは、あなたの悩みが「ゆるし」で解決しきれない場合、『鏡の法則』は役に立たないということです。
たとえば、災害に遭うといったトラブルは『鏡の法則』を使っても、そのトラブルがなくなることはありえませんよね? 自分の悩みが心の中の問題なのか、あるいは行動で解決するしかない問題なのか、整理して考えることが必要です。そして、心の中の問題のときにだけ、『鏡の法則』を試してみてください。
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ビジネス心理学とは?4.実践者の感想・書評・体験談|仕事や人間関係の改善は?
「実際に『鏡の法則』を試した人は、どんな感想を持っているの? 口コミが知りたい」と思う人も多いでしょう。
ここでは、『鏡の法則』を読んで、ワークを実践した人の感想を紹介します。当たり前ですが、読む人によって本の印象は変わるものです。
『鏡の法則』の本の帯には「読んだ人の9割が涙した!」と書かれていますが、実際のところは泣かない人もいます。とくに、『鏡の法則』は家族のエピソードが多いので、読み手の家庭環境によって、受け取り方が変わるのは当然のことです。この章では、なるべく違った視点の感想を紹介することにしました。
4-1.『鏡の法則』へのS・Yさん(20代・男性)の感想
「胸のあたりがすっきりしました」
高校生の頃に、学校の先生に勧められて読みました。最初は「『鏡の法則』ってなんだか胡散臭い感じ。科学的じゃなさそうだ」と怪しんでいたものです。
ですが、いざ読み始めると引き込まれました。僕も、両親の仲が悪かったり、弟がいじめにあっていたりしており、家族の悩みに共感できたからだと思います。読んでも泣きはしませんでしたが、じーんと心に染みるような感覚がありました。
また、本のワークを実践したら、今まで「暴言ばかりいうから嫌いだ」としか思えなかった父親にも、様々な悩みがあったのだと気付かされました。だからといって、父の悪いところを完全にゆるせたわけではありませんでしたが、「なんだ、父は悪魔ではなく、ただの不器用な人だったのか」と気づき、力が抜け、同時に胸のあたりがすっきりしました。
『鏡の法則』で人間関係のすべては解決できないと思いますが、僕には役立ちました。
4-2.『鏡の法則』へのN・Sさん(30代・女性)さんの感想
「実際に行動してみる大切さを知りました」
『鏡の法則』には「人を許した方がいい」と書かれていましたが、実際に嫌いな人を許せるかと言えば、そう簡単にはできないと思います。でも、それで本当に人生が変わるのならと、まずは一番身近な母親に電話をしました。
何かにつけて弟ばかり可愛がる母とは、幼い頃から折り合いが悪く、いつも喧嘩をしてばかりでした。それでも勇気をふりしぼって「産んでくれて、育ててくれて、ありがとう」と言いました。すると母は「ありがとう。生まれてきてくれて、ありがとう」と言ってくれたのです。
あんなに嫌いで憎んでいた母がそんなことを言ってくれるなんてと、思わず涙が出ました。それからの親子関係は、少しずつ良くなり、今では母に素直に感謝できるようになりました。
どんなにいい本を読んだとしても、何もしなければ、何も変わりません。ひとつでも実際に行動してみることで、人生が変わるかもしれないと思いました。
5.『鏡の法則』を仕事や恋愛で実践する方法
ここまで読んできたあなたなら、『鏡の法則』には一定の効果があるものの、万能の魔法ではないという事実が分かってきたのではないでしょうか。同時に「とくに悪影響があるわけではないし、『やって良かった』という人もいるのだから、試しに実践してみたいな」という気持ちにもなってきたかも知れません。
この章では、『鏡の法則』のワークの実践について説明していきます。
5-1.実践のメリットとデメリットを整理
まず最初に、『鏡の法則』のワークにどのようなメリットとデメリットがあるのか整理しておきましょう。
繰り返しになりますが、『鏡の法則』の効果は「他人をゆるせる」ことです。この最大のメリットは、憎しみや怒りというネガティブな感情から解放されるという部分にあります。人はネガティブな感情を持つと、それにとらわれたままで物事を判断してしまいます。
たとえば、友人の小さな裏切り行為に怒りを持ったままでいると、友人の行為全てに対して腹が立ってしまうといったことは、皆さんも経験したことがあるでしょう。目の前で起きている出来事に対して、すべてネガティブな意味を感じるようになってしまうのです。
強い怒りや憎しみを抱き、その人へのうらみや復讐したいという気持ちを持つことは誰にでもあります。しかし、そのようなネガティブな感情は、自分の精神状態や健康だけでなく、人生全体に対して大きな損害を生みだします。
『鏡の法則』で紹介されているワークは、他人をゆるして自分の心を解放できるものです。実践するには勇気がいりますが、非常に効果的な方法論なのでぜひ試してみてください。
逆に『鏡の法則』を実践するデメリットは、さほどありません。ワークだけなら、お金もかかりませんし、時間も数十分ほどで終わるからです。
強いていうならば、『鏡の法則』にハマりすぎて、「なんでも解決できる」と思い込んでしまうのはデメリットと言えるでしょう。たとえば、法律問題で困った場合や、病気で困った場合にまで、『鏡の法則』を使おうとする人がいますが、これは明らかに間違いです。素直に、弁護士や医師に相談した方が解決できます。
盲信しないようにする、という点に気をつけて実践すれば、あなたも『鏡の法則』を使って、上手に心の悩みを解放できるようになるでしょう。
5-2.具体的な実践のやり方
では、いよいよ具体的なワークの実践方法を説明します。
『鏡の法則』は親子関係だけでなく、職場の人間関係や夫婦や恋愛でもかんたんに実践することができます。この本の中で最も大きなテーマとして伝えられているのは「他人をゆるす」ということだからです。
作中で紹介されている「ゆるすための8つのステップ」を下記にまとめてみました。夫婦やカップルなどでペアを組んで、一緒にワーク形式で行っていくと良いでしょう。
1.許せない人をリストアップする
- 「この人をゆるすことができたら楽になる」「この人と心の底から和解したい」と思える人を紙に書く
2.自分の感情を吐き出す
- 「その人に対する自分の感情」を書きだす。バカヤロ―とかろくでなし!でもOK
3.行為の動機を探る
- 相手が自分にした行為を書く
- 相手がその行為をした動機を想像して書く
- 書き終えたら、相手を間違っているとさばかずに、未熟さや不器用さとして理解する
- 相手の行為に意識を向けて、下記を宣言する
「私がそうであるように、○○さんも喜びを味わいたかったんだ。私がそうであるように、○○さんも苦痛を避けたかったんだ」4.感謝できることを書きだす
- 相手に対して感謝できることをなるべくたくさん書きだす
5.言葉の力を使う
- 「私は、私自身の自由と安らぎとしあわせのために、○○さんをゆるします」と宣言する
- 「○○さん、ありがとうございます」と、10~30分唱え続ける
6.謝りたいことを書きだす
- 相手に対して謝りたいことをできるだけたくさん書きだす
7.学んだことを書きだす
- その人との関係を通じて何を学んだかを書きだす
8.「ゆるしました」と宣言する
- 「私は○○さんをゆるしました」と宣言する
6.『鏡の法則』は「ゆるし」で解決できる問題に効果的
この記事では、『鏡の法則』の概要やあらすじを紹介しつつ、心理学のプロから見ても正しい部分と、批判されている部分を説明してきました。また、実践の方法も具体的に紹介しました。あなたの自分の悩みに応じて、『鏡の法則』を使ってみてください。
一番重要な結論をあらためてお伝えすると、『鏡の法則』は「ゆるし」で解決できる心の問題に対しては効果的です。
カウンセラーのわたしとしても『鏡の法則』を参考にする部分があります。その中でも「他人をゆるす」というテーマについては、非常にわかりやすく書かれていると思います。
しかし、『鏡の法則』は、すべてを癒す万能薬ではないとも思っています。ひとつの考え方にとらわれたり、強く批判的になりすぎたりすることなく、ニュートラルな視点で良書から学び続ける姿勢が大切といえるでしょう。