アルフレッド・アドラーとは?彼の心理学と本、名言のすべて

アルフレッド・アドラーとは?彼の心理学と本、名言のすべて

もしかしたら、あなたは『嫌われる勇気』(岸見 一郎/古賀 史健:著)という本をご存知かもしれません。アドラー心理学について書かれたこの本は、なんと50万部以上の大ベストセラーになり、アルフレッド・アドラー博士の名を日本に広めました。今まさにアドラーブームが訪れています。

この記事では、いまさら他人には聞けない「アルフレッド・アドラー」を、その名言や考え方から多くの影響を受けた心理カウンセラーである私が詳しく解説します。彼の人柄や、アドラー心理学の誕生の歴史、おすすめの本なども併せてご紹介。

この記事をお読みいただければ、アルフレッド・アドラーが世界にどのようなインパクトを与えたのかがわかります。さっそく、あなたも、アルフレッド・アドラーの世界を冒険しましょう!

目次 〜アルフレッド・アドラーの心理学・本・名言を紹介〜

1.アルフレッド・アドラーとは?

2.アルフレッド・アドラーの心理学

3.アルフレッド・アドラーの本

4.アルフレッド・アドラーの名言

5.勇気を補充してくれるアドラーの言葉

1.アルフレッド・アドラーとは?

アルフレッド・アドラーとは?

引用元:Introduction to Philosophy of Science
– Shawn A. Miller

アルフレッド・アドラーは、オーストリア出身の心理学者・精神科医です。かの有名なフロイト博士やユング博士と並ぶ、精神医学・心理学界の巨人の1人。1870年に生まれ、アドラー心理学という流派を創始し、1937年(67歳のとき)にその生涯に幕を閉じました。

アルフレッド・アドラーは1916年(46歳のとき)に第一次世界大戦に召集されました。そこで軍医として、多くの神経症の患者の治療に携わることとなります。患者とのやり取りの中で、彼は共同体感覚(簡単にいうと、心と心のつながり)こそが最も大切だと感じ始め、アドラー心理学の基礎となっていきます。

1-1.アルフレッド・アドラーの幼少期

アドラー心理学は、アドラー自身が経験した独特な幼少期が色濃く反映されていると言われています。彼の幼少期の特徴的なエピソードを4つご紹介いたします。

(1)アルフレッド・アドラーは、大の運動オンチで、馬車に2度ひかれた
彼は歩いているところを馬車に轢かれました。しかも2回。よけることができなかったようです。
(2)アルフレッド・アドラーは、身体が弱い/病気をしやすい
生まれた時から病弱。特に声帯が痙攣したり、くる病(乳幼児に起きやすい骨格異常)にかかったりしました。
(3)アルフレッド・アドラーは、成人してからの身長が150cm
外国人の男性として150cmは、かなり小さい方ですね。
会話するたびに見下ろされる感覚は、彼にとってツラいコンプレックスだったようです。
(4)アルフレッド・アドラーは、母親と仲が良くなかった
7人兄弟の次男ですので、自分よりも下の兄弟に関心が向くことが面白くなかったようです。

アドラー心理学のキーワードとして知られている「劣等感」。その背景にあるのは、彼の過ごしてきた幼少期が密接に関係しているのですね。

1-2.アルフレッド・アドラーとフロイトの出会い

アルフレッド・アドラーとフロイト。この2人は14歳も年が離れています(フロイトが上)。そんな2人が共同研究をしていたことで、多くの人は「アルフレッド・アドラーは、フロイトの弟子だった」という認識を抱きがちですが、実際は異なります。しいて言えば、同僚の関係にあります。

そもそも2人がまだ知り合う前、アルフレッド・アドラーは、フロイトの理論(夢判断)について熱心に研究していました。彼はフロイトの理論の賛同者だったのです。しかし、フロイトのダイナミックな考え方は、当時の世間から批判を浴び続け、ウィーン自由新聞でもフロイトの理論を否定する記事を掲載したのです。

アルフレッド・アドラーはこの新聞記事に意見書を提出しました。フロイトの理論を信じ、その正しさを主張したのです。フロイトはそんな彼の熱心な姿勢を見て、自身の研究グループに招待しました。こうして、フロイトとアルフレッド・アドラーの共同研究が始まったのです。

1-3.アルフレッド・アドラーとフロイトの別れ

一度は共に研究をする仲になったアルフレッド・アドラーとフロイトですが、最終的には決別します。その理由は、お互いの方向性の違いでした。

ひとつ例を挙げるとすれば、アルフレッド・アドラーは、フロイトが主張するエディプス・コンプレックスが理解できませんでした(※エディプス・コンプレックスとは、異性の親に強い愛情を感じ、同性の親をライバル視する感情のことです)。

彼は幼少期の頃から父親に対してライバル心を燃やすよりも、自分以外の兄弟をかわいがる母親に不愉快な気持ちを抱いていました。つまり、母親の関心を父親と奪い合うのではなく、多くの弟・妹に奪われていたのです。

このように、フロイトの提唱するエディプス・コンプレックスとは異なる実体験をもっていたため、その理論に対して次第に違和感を抱くようになりました。このようなことを契機にフロイトとの間に距離が生まれ、アルフレッド・アドラーは自分自身の理論を確立していくことになったのです。

1-4.アドラー心理学を確立する

かくして、アドラーは自分自身の心理学を確立していきます。下記に、フロイトとの違いをまとめてみましょう。

アルフレッド・アドラー=未来志向(目的探し)

フロイト=過去志向(原因探し)

理論の特徴

  • 人間を個でとらえるのではなく全体として考える
  • 行動を原因ではなく目的で考えようとした
  • 客観的な事実よりも、その人がどう思うかを理解しようとした
理論の特徴

  • 人間を個としてとらえ、すべての行動は無意識から作られていると考えた
  • 原因を追求すればその人の無意識に眠る強い欲望があらわになると考えた
思想の特徴

  • 他人を支配しないで生きるという覚悟を持つ
  • 相手に関心を持つ
  • 相手を援助する
思想の特徴

  • 人間は動物である
  • 人間を動かしているのは性的衝動である
  • 社会のルールは本能を抑えるものなので悩みは尽きない
治療の特徴

  • 共同体感覚(心と心のつながり)が最重要
  • クライアントの発言を丁寧に確認し解釈する
  • クライアントが責任を持つべき問題と、そうすべきでない問題を丁寧に分ける
治療の特徴

  • 欲望を抑えようという働きが神経症を生むと考え、無意識を見える化しようとする
    例)自由連想法、夢判断…etc

少し難しいですよね。両者の違いを簡単にいうとこうなります。

フロイト 

  • 1. 治療の目的は原因を探すこと(なぜ、そうなったのか? を考える物理学的なアプローチ)
  • 2. 人間をいくつかの要素に分けて考える(意識、前意識、超意識…etc)
  • 3. 人間は環境の影響を強く受ける(環境がその人の人間性を決めるという前提)

アルフレッド・アドラー

  • 1. 治療の目的は、その人が症状を引き起こしている「目的」を探すこと
  • 2. 同じ出来事でも人それぞれの意味づけがある(みんな違ってみんな良いという前提)
  • 3. 同じ環境でも人それぞれの生き方がある(環境はその人を決めないという前提)

過去の体験や経験などの「原因」を掘りさげようとするフロイトのアプローチ。一方、アルフレッド・アドラーは、今そのひとが考えている「目的」を探ることが治療のきっかけになると考えました。つまり、過去を見つめるのか、未来を見つめるのか。その視点に大きな違いがあります。

2.アルフレッド・アドラーの心理学

アルフレッド・アドラーの心理学

もしかしたら、あなたはアドラー心理学に強い興味を持っているのかもしれません。もっと詳しく知りたい!という方にはこちらの記事をおすすめします。アドラー心理学について詳述しています。

日本一カンタンなアドラー心理学の説明|理論から本まで解説
アドラー心理学とは、心理学者アルフレッド・アドラーの思想からはじまり、後を引き継いだ人たちが、発展させた心理学です。日本では、2013年の『嫌われる勇気』の出版やテレビでの紹介により、多くの人に知られるようになりました。正式な名称は「個人心理学」と言...

アルフレッド・アドラーがユダヤ人だということもあり、アドラー心理学はユダヤ教の教えが色濃く出ていると思っていませんか? しかしアドラー心理学からは、そのような傾向は読み取れません。その証拠をひとつ挙げましょう。

ご存知の通り、ユダヤ教には、旧約聖書に知られる「目には目を、歯には歯を」という考え方があります。たとえば、『旧約聖書』にはこのように記されています。

もし人がその隣人に傷を負わせるなら、その人は自分がしたと同じようにされなければならない。

骨折には骨折。目には目を。傷には傷を。人に傷を負わせたように人は自分もそうされなければならない。

動物を殺す者は償いをしなければならず、人を殺す者は殺されなければならない。

引用:『旧約聖書』レビ記 24章19-1

つまり、ユダヤ教では報復することを認めているのですね。

しかし、アドラーの他者に向けたやさしいまなざしは、この考えとは正反対です。さらに、アルフレッド・アドラーは1904年(34歳のとき)にカトリックに改宗しています。なにが理由かは諸説ありますが、もともと、ユダヤ教に対して信仰があまりなかったとされています。

アドラー心理学の考え方は、ユダヤ教の教えよりも、彼が過ごしてきた人生経験そのものが反映されているといえるでしょう。

3.アルフレッド・アドラーの本

アルフレッド・アドラーの本

アルフレッド・アドラーの本でおススメはありますか? というご要望には、こちらの三冊がおすすめです。

嫌われる勇気

嫌われる勇気
 岸見 一郎(著), 古賀 史健(著)

出版不況のこの時代に、50万部を超える大ベストセラーになった一冊。この『嫌われる勇気』は対話形式の本のため、とても読みやすいのが特徴です。
ビジネス心理学でも関連した記事がかかれていますので、ぜひお読みください。

小学生でもわかる『嫌われる勇気』の要約|ネタバレ有・本・ドラマ・名言も
『嫌われる勇気-自己啓発の源流「アドラー」の教え』(以下、『嫌われる勇気』という)とは、心理学者アルフレッド・アドラーの思想を、物語にしてまとめた自己啓発書です。2013年に出版され、累計発行部数は100万部超え。テレビでも紹介されるほど大ヒットしました...

アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉

アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉
 小倉 広(著)

もし、あなたが手軽にアルフレッド・アドラーの考え方に触れたいのであれば、この本がおすすめです。
アルフレッド・アドラーの力強い言葉がまとめられた珠玉の一冊。内容としては初心者向き。なにより表紙が豪華で、かっこいいですね。彼の言葉は疲れた心にスッと染み込みます。

怒られた日、喧嘩した日、くじけた日、疲れた日……。パラパラとページをめくって、気になるところを読むと良いでしょう。気持ちが落ち着きます。

アドラー心理学入門

アドラー心理学入門
 岸見 一郎(著)

しっかりと腰を据えてアルフレッド・アドラーに向き合いたい。そんなあなたにおすすめするのはこの一冊です。著者は、『嫌われる勇気』の執筆者でもある岸見 一郎さん。アルフレッド・アドラーの息づかいに触れたいあなたは、日本にアドラー旋風を巻き起こした第一人者の一冊としてチェックすると良いでしょう。

4.アルフレッド・アドラーの名言

アルフレッド・アドラーの名言

なぜ日本でアドラーブームが起きたのかわからない! もしもあなたがこんな風に頭を抱えているとしたら、それはおそらく、アルフレッド・アドラーの言葉に触れていないからかもしれません。なにしろ、彼の言葉は力強いのです。

そのパワーたるや、『7つの習慣』のスティーブン・R・コビー博士にも影響を与えたとされています。ここでは、3つの名言をご紹介させていただきますね。

健全な人は相手を変えようとせず、自分が変わる。

不健全な人は相手を操作し、変えようとする。

「よくできたね」と褒めるのではなく、「ありがとう、助かったよ」と感謝を伝える。
感謝される喜びを体験すれば、自ら進んで貢献を繰り返すだろう。

間違いを指摘せず、原因研究という吊し上げもせず、
「こんなやり方はどうかな?」と提案する。それこそが、相手を育てる有効な方法である。

まさに、勇気がこみあげてくる言葉です。彼の残してきた考え方や言葉たちは、自己啓発分野の源流にもなっているといわれるほど。一節によると『道は開ける』や『人を動かす』の著者である、D・カーネギーも彼の考え方に学んだとされています。

アルフレッド・アドラーの生誕から100年以上たった今も、彼の心理学に世界中の人が癒され、歓喜し、希望を抱いているのです。ぜひ、あなたも彼のパワフルな言葉に触れてみてください。

D・カーネギーの著書については、以下の記事をご覧ください。世界で売り上げ1500万部を超える大ベストセラーで日本では1986年に出版され、現在までに300万部以上も売れている不朽の名作です。およそ世間一般に売られている自己啓発本のほとんどをこの本でカバーできるぐらい内容の濃い本です。

カーネギー「道は開ける」を人生に活かす|要約・感想・名言
デール・カーネギーの著書『道は開ける』。その内容は知らなくても、名前は聞いたことがあるという方は多いでしょう。ご存知の通り、自己啓発書の中では同著の『人を動かす』と共に超有名。多くの経営者や著名人もこの本に学んだといわれています。そこで今回は心理...

5.勇気を補充してくれるアドラーの言葉

さいごに、アルフレッド・アドラーの言葉の中でも特に私のお気に入りをご紹介させていただきます。

暗いのではなく、優しいのだ。

のろまではなく、丁寧なのだ。

失敗ばかりではなく、たくさんチャレンジをしているのだ。

この言葉を知ったとき、私はとても感動しました。とてもシンプルなのにあたたかくて、勇気があふれてくる。そんな気持ちになったのです。いまでも、少し気持ちが疲れたときは、彼の言葉を読み、勇気を補充しています。

ぜひ、あなたもアルフレッド・アドラーの世界を体感してみてください。きっとこれまでとは違った考え方に、驚くはずです。

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