日本一カンタンなアドラー心理学入門|恋愛にも使える理論から本まで解説

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アドラー心理学とは、心理学者アルフレッド・アドラーの思想からはじまり、後を引き継いだ人たちが、発展させた心理学です。日本では、2013年の『嫌われる勇気』の出版やテレビでの紹介により、多くの人に知られるようになりました。正式な名称は「個人心理学」と言います。
 
あなたも『嫌われる勇気』を読んだり、テレビで紹介されたのを見たりして、アドラー心理学に興味をもったことでしょう。そして、「こんなに話題になっているアドラー心理学ってどんなものなの?」「私の人生に本当に役に立つの?」「どれがおすすめの本なの?」といった疑問がわいてきたのかもしれませんね。

私は十数年間、心理学の専門家として、心の悩みを持った人たちから相談を受ける中で、アドラー心理学を活用することもありました。そして、アドラー心理学を実践された方から「自分の過去を受け入れられるようになった」「部下とのかかわりがラクになった」「夫との関係が良くなってきた」「子育てにやりがいがもてるようになった」などの報告を受けています。

そんな私が、お客さまの体験をまじえながら、アドラー心理学について、わかりやすく解説していきます。

目次 〜『嫌われる勇気』とアドラー心理学〜

1.アルフレッド・アドラーについて

2.アドラー心理学とは? この5個をおさえよう!

3.アドラー心理学に対する批判の検証2つ

4.『嫌われる勇気』以外でおすすめの本とマンガ4選

5.アドラー心理学の講座|受講や資格は必要なの?

6.先生も親も必見!アドラー心理学|勇気づけの子育て

7.アドラー心理学はあくまで仮説に過ぎない

1.アルフレッド・アドラーについて

1.アルフレッド・アドラーについて

アルフレッド・アドラー

引用元: Classical Adlerian Photograph Gallery – Alfred Adler, His Family, and Friends

アドラー心理学とは、実はアドラーの歩んできた人生から導き出された、彼なりの心に関する考え方であると言っても過言ではありません。

というのも、アドラーが生きていた時代の心理学は、人の心理を科学的に証明するということが主流ではありませんでした。その代わり、研究者の考え方が「もっともらしい」「それっぽい」と思えれば、社会に認められました。つまり、その研究者の知識や経験が学説の構築に大きく影響を及ぼしたというわけです。

したがって、彼がどのような人生を送ってきたのかを知ることが、アドラー心理学を理解する上で重要なカギとなります。

1-1.アドラー心理学のベース

アドラー心理学のベース

幼少の頃のアドラー

引用元: Classical Adlerian Photograph Gallery – Alfred Adler, His Family, and Friends

アドラーはユダヤ人の裕福な家庭に生まれました。7人兄弟の2番目の子として生まれ、2つ年上のお兄さんがいました。このような大家族の中で育ったことが、アドラー心理学の理論を生み出す基盤になったといいます。

幼い頃のアドラーは病弱であったため、思うように体を動かすことができませんでした。お兄さんは走ったりジャンプしたりできるのに……これは、アドラーが劣等感を感じた最初の体験ともいえるでしょう。

それでも、外で友だちと遊ぶことが大好きで、友だち思いの人気者だったそうです。

また、アドラーは1歳の弟を病気で亡くしました。その次の年には、アドラー自身も肺炎で生死の境をさまよいました。これらの体験は、アドラーが医者を目指すきっかけになったと言われています。

ウィーン大学の医学部に進学したあとは、講義のあいた時間に友だちとカフェで議論や談笑を楽しむことが多かったようです。この頃から社会主義に関心を持ち、人は対等であると考え始めるようになりました。

大学を卒業して2年後に結婚しました。その後、内科医として開業します。

1-2.フロイトとの別れから個人心理学(アドラー心理学)へ

1-2.フロイトとの別れから個人心理学(アドラー心理学)へ

ジークムント・フロイト

フロイトは、心理学の歴史上で有名な精神科の医者です。あるとき彼が、夢を心理学的な観点から分析する研究を発表しました。しかし、その研究はほかの医者からは認められませんでした。

そんな中、アドラーだけはフロイトの研究を認めたのです。

さっそくフロイトは、アドラーを自分の研究グループに招待しました。しかし、次第にアドラーはフロイトの考え方とは違う考えを持つことが多くなりました。

フロイトは相談者のどんな悩みに対しても、「それはあなたの性欲が原因だ!」という、たったひとつの解決策を押しつける心理学者でした。今の常識からすると、見当はずれですよね。それに対しアドラーは、「劣等感の克服」を重視しました。

そして、フロイトにライバル心を抱かれ、アドラーはその研究グループを去りました。それを聞きつけたアドラーに賛同していた仲間もあいついで脱退します。そして、その次の年アドラーはその仲間と「個人心理学会」という新しい研究グループを作りました。これがアドラー心理学の起こりです。

フロイトは人の心を「イド」「エゴ」「スーパーエゴ」と機械的、構造的に分けました。それに対しアドラーは、個人はまさに分けられないもの(=In-dividual)だと主張するために、Individual Psychology(個人心理学)というネーミングにしました。つまり、アドラー心理学とは、フロイトの心理学とは「正反対」だったのです。

1-3.アドラー心理学の広がり

第一次世界大戦でアドラーは軍医として戦場に向かいました。そこでの悲惨な現実を目の当たりにしたアドラーは、「誰もがみんな仲間だと思えれば、きっと争いはなくなるだろう」という考えを抱くようになります。

戦後、アドラーは教育の分野にも協力して、世界で初めての児童相談所をつくりました。子どもやその親へのケアを行うだけではなく、教師やカウンセラー、医者などの育成も行いました。ここでのカウンセリングで、アドラーがつくった個人心理学が一気に知名度をあげるようになりました。

1-3.アドラー心理学の広がり

子どものケアを行うアドラー

引用元: Classical Adlerian Photograph Gallery – Alfred Adler, His Family, and Friends

本を書いたり講演をおこなったりと、有名人となったアドラーはアメリカでの講演にも招かれました。そこでは、アドラーの講義や名言を編集した本が大ヒットしました。誰にでもわかりやすい形で解説することが個人心理学の特徴でした。

ただし、まだ脳スキャンの技術などがなかった時代なので、アドラー心理学のほとんどは彼の仮説であり意見でした。

晩年のアドラーは時間を惜しまず講演や診療をこなしました。

1-4.アドラー心理学がおすすめの人/おすすめでない人

1-4.アドラー心理学がおすすめの人/おすすめでない人

アドラー心理学は、実現したい夢を持っている人におすすめします。あなたも、夢を実現するまでの間に、他者との関係で悩んだり、自分の気持ちがネガティブになってしまったり、行動が止まったりしたことがありますよね。

そのとき、アドラー心理学の知恵を素直に受け入れて、実践していくと、ひとつひとつ解消することができます。そして、夢の実現に向けて、実力がついていきます。

逆に、心の状態が不安定な人にはおすすめしません。なぜなら、アドラー心理学を実践することで、かえって自分が傷ついてしまうことがありますし、ほかの人との関係も悪くしてしまうことがあるからです。あなたが心に不安定さを抱えているなら、まずダメな自分も、ステキな自分も、どんな自分も受け入れることからはじめましょう。

1-5.アドラー心理学で恋愛・結婚がうまくいく?

アドラー心理学で、必ずしも恋愛・結婚がうまくいくと断定はできませんが、うまくいく確率を上げることはできそうです。

恋愛や結婚の場面では、どうしても「愛されたい」という気持ちが強くなりがちです。しかし、愛されたいという気持ちが強すぎると恋愛はうまくいきません。アドラー心理学では、「自分から愛さない人は幸せになれない」としています。

愛されたいと思うあまりに、自分本来のよさをなくしてしまい、相手の要望に応えすぎたり、相手の顔色をうかがって行動したりすることになります。これは、とても苦しいですよね。だんだん恋愛自体が辛くなってしまいます。

「この人を愛そうと決心する」ところから恋愛は始まる、とアドラー心理学では教えています。今まで、恋愛がうまくいかなかったと嘆いている方は、この後の4章でご紹介するアドラー心理学を学べる本やマンガを読んでみてはいかがでしょうか。

1-6.アドラーの名言

アドラーはたくさんの名言を残しています。名言を知ったからといって人生が変わるわけではありませんが、考えさせられる名言をいくつか紹介いたします。

変われないのではない。変わらないという決断を自分でしているだけだ。
人生が困難なのではない。あなたが人生を困難にしているのだ。人生は極めてシンプルである。
ピンク色のレンズのメガネをかけている人は、世界がピンク色だと勘違いをしている。自分がメガネをかけていることに気づいていないのだ。
重要なことは、人が何を持って生まれたかではなく、与えられたものをどう使いこなすかである。
人生におけるあらゆる失敗の原因は、自分のことしか考えていないことにある。

2.アドラー心理学とは? この5個をおさえよう!

 
アドラー心理学とは?この5個をおさえよう!

アドラーは先ほど出てきたフロイトに比べて、あまり著作を残さず、それほど弟子も取らなかったため、名前が知られていません。アドラー自身も「私の名前が残らなくなるとしてもそれでいい。それは私の考えがそれだけ普遍的な考え方になったということだからだ」と述べています。

しかし、アドラー心理学の考え方は、『夜と霧』の著者、ヴィクトール・E・フランクル、『7つの習慣』の著者、スティーブン・R・コヴィー、『人を動かす』の著者、デール・カーネギーなど、多くの著名人に影響を与えています。

アドラー心理学を活用された私のお客さまからも「職場で苦手な同僚との関わり方を変えたら、自分の仕事に集中できるようになった」「夫の態度にイライラしていたが、自分の考え方や接し方を変えたら、夫がやさしくなった」「なんとかしなくてはと自分を追い込んでいた子育てを、冷静に見つめなおすことができて、心に余裕がもてた」など、喜びの声が届いています。

ここでは、私がお客さまにアドラー心理学の実践を提案してきた中で、目の前の現実を変えていくことに、特に効果があったものを順番に、5つ厳選してお伝えします。

2-1.アドラー心理学|目的論、トラウマの否定

目的論とは、人の行動には目的があるということです。トラウマを否定します。
これまでの心理学では、何か問題が起きたら、その原因を探りました。なぜなら、それを取り除くことで問題が解決できると考えていたからです。しかしアドラー心理学では、何か問題が起きたら、それは何らかの目的を果たすためにおこなわれたと考えます。

たとえば、女の子にモテない理由はなんでしょう? イケメンではないということを原因にするかもしれませんね。しかしアドラー心理学では、「フラレてキズつくことをさけるという目的」のために、あえて告白しないからモテない、というように考えます。

この考えですと、いくらイケメンになる努力をしても(原因を取り除いても)、キズつくことをさけるという目的のために、また別な原因をつくりだしてしまいます(たとえば、太っているからなど)。

つまり、私たちの思考や行動は、どのような目的に向かっているのかによって変わってくるということです。

そのため「本当はどんな目的のためにこの行動をしているのかな?」「どうやったら、うまくいくかな?」と問いかけてみると、その思考や行動の目的を見出す手がかりになります。

2-2.アドラー心理学|課題の分離

課題の分離とは、自分の課題と相手の課題を分けて考えるということです。

たとえば、あなたが同僚から飲みに誘われたとします。しかし、あなたにはどうしてもはずせない予定があったとします。

2-2.課題の分離|自分の課題と相手の課題を分けて考える

そのとき、あなたは誘いをことわりますか? それともしぶしぶ誘いを受けますか?

仮にあなたが誘いを受けたとしましょう。それはなぜですか? 相手のキゲンをそこねたくなかったからかもしれませんね。でも、よくよく考えてみると……あなたがことわったことで相手がキゲンをそこねるかどうかは相手の問題ですよね。ことわられたとしてもヘッチャラな人もいます。

つまり課題の分離とは、相手の課題に対して、それは私の解決すべき課題ではないと切りはなすことです。

もしかしたら、気持ちのやさしいあなたなら、同僚はよかれと思って誘ってくれたのに、その気持ちをないがしろにするのは悪いなと思うかもしれませんね。

そのときは、「もし自分が相手の課題にかかわることで、相手が成長する機会をうばっていることになっているとしたら……?」と考えてみてください。どちらが本当に相手を思いやっていることになりそうですか?

大切なのは、私たち一人ひとりの人生はそれぞれであり、相手の人生を必要以上に抱え込まなくてもいいということです。相手の課題に踏み込まないということは、相手にも自分の課題に踏み込ませないということにつながります。

2-3.アドラー心理学|劣等感

劣等感とは、主観的に自分の理想に達していないと感じることです。

アドラー心理学では、私たちは理想があるから劣等感を抱くとしています。そして劣等感があるから、それを克服して理想を実現しようとがんばれると考えました。つまり劣等感を、自分の理想に向かってよりよく生きるためのシゲキととらえたのです。

たとえば、収入が少ないことに劣等感を抱いていた人に恋人ができたとします。そして、一緒に食事をしたり、映画を見たり、旅行をしたりと、理想を実現するにはなにかとお金が必要になります。

2-3.劣等感|主観的に自分の理想に達していないと感じること

そのとき、「自分は十分に稼いでいないからダメだな」と思うこともあるでしょう。しかし、「よし、カノジョを幸せにするためにセールスの勉強をして稼ぐぞ!」と劣等感を克服するためのシゲキとすることもできます。

私たちはカンペキではありません。そのため、劣等感を抱くことは自然なことです。大切なのは、理想が現実になるために、それをどのように活用するかということです。

今読んでいるこの記事では、劣等感についてくわしく解説していません。劣等感と自己嫌悪については、以下の記事に原因や解消法がくわしく書かれていますのでこちらをお読みください。

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劣等感の克服|仕事も恋愛もアドラー心理学があなたを救う!
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2-4.アドラー心理学|共同体感覚

2-4.共同体感覚|自分は共同体の一部である

共同体感覚とは、自分は共同体の一部であると感じられることです。

共同体感覚とは、私たちは職場や学校、地域や家庭など、社会という共同体の一部分だと思える感覚をいいます。そして、仲間に関心を持ち、幸せになるための行動をすることが大切であるとアドラーは考えました。

アドラー心理学では、以下の3つをその感覚を持つために必要なものとして挙げています。

  • ほかの人を無条件に信頼する
  • ほかの人のために役に立ってみる
  • ありのままの自分を受け入れる

この3つを見るとキレイゴトのように思えて、なかなか実践するのが簡単ではないなと思うかもしれませんね。そのときは、あなたのできる範囲からでいいので「ほかの人のために役立ってみる」ことから始めてみてはいかがでしょうか?

誰かの役に立っていると思えることで、自信が持てたり、自分の価値を実感できたり、自分の居場所を感じられたりすることができます。

2-5.アドラー心理学|ライフスタイル

2-5.ライフスタイル|その人の考え方や行動のクセ

ライフスタイルとは、その人の考え方や行動のクセを言います。

私たちは、性格を変えるのは簡単ではないというイメージを持っていますよね。しかし、性格ではなくライフスタイル、つまり私たちの考え方や行動のクセと考えれば、変えることができそうですよね。

たとえば、ある人が「内気な性格だから営業が苦手だ」と考えるクセがあるとします。しかし、営業が苦手な原因は内気だから……と考えることを止めてみます。

そして、内気のせいにしないで、緊張してもうまく営業ができるように行動を変えるのです。事前にお客さまのニーズをくわしく調べたり、見るだけで理解できるようなわかりやすい資料をつくっておいたりと。

それが功を奏すれば、内気なのは変わらずとも、営業が得意になりますよね。それをさらに続けていけば、内気な性格も変わるかもしれません。

また、このライフスタイルですが、幼いころにつくられたと言われています。そのため、意識してつくられたものばかりではなく、現在のライフスタイルに不満を感じている人もいるかもしれません。

しかし、その当時の出来事や環境などを解釈してライフスタイルをつくりあげてきたのは、どんな事情があろうとほかならぬ自分自身なのです。

そして、それは生まれたあとに自分でつくりあげたものです。そのため、満足いくものでなければ、今からでも自分で変えることができます。もちろん、変えないという選択をすることもできます。

たとえば、キビシイ親に育たられたから、自分の気持ちをおさえるクセがついたというライフスタイルを選ぶか、キビシイ親に育たられたから、周りの人には親切にしてあげているというライフスタイルを選ぶかは、自分自身で決められるということです。

3.アドラー心理学に対する批判の検証2つ

アドラー心理学への批判

先にも述べましたが、アドラー心理学はあくまでもアドラー独自の理論で展開されています。見方によっては、アドラー心理学は、彼の仮説のもっともらしさを証明しているに過ぎないとも取れます。

もちろん、彼の思想によって感銘を受ける人も多いでしょう。しかし、すべての人がそうであるとは限らないこともまた事実です。

したがってここでは、アドラー心理学に対する批判についても見ていくことにしましょう。

3-1.アドラー心理学の批判|「目的論」は本当に正しいか?

目的論とは・・・

原因論:感情や行動は過去の原因から生み出される
目的論:全ての感情や行動はある目的を達成するために生み出される

引用元:目的論 – アドラー心理学.com

近年の科学のめざましい発展によって、心理学への科学的アプローチが広まっています。科学的アプローチは、仮説を立てて、実験をして、その結果を考察していきます。つまり、原因と結果の関連によって人の心を解明しようとするものです。原因論的な性質ですね。

しかし、そのように機械的に人を解釈することや、動物などの実験で人を理解しようとする試みに違和感を覚える人もいます。

そういう人たちは、人はそれぞれ個性を持っていて、生きる意味や価値を見出すことを重視します。つまり、夢や希望、その人の可能性など、未来や目的に目を向けます。未来は目には見えない、測定不能な可能性の塊です。

科学のように因果関係を重んじて、目に見えるものだけを論じるものに対して、目的論が出るのは自然なことなのかもしれません。

アドラーはフロイトの考え方である「人の心を機械的にとらえること」に反発しました。目的論を唱えるのは自然な流れだったのかもしれません。そして、その時代にはマッチしていた思想だったのかもしれません。

目的論が正しいかどうかはわかりません。ただ、夢や希望は人に活力を与えてくれます。本来の目的を明確にすることによって行動力が増したり、想像以上の力を発揮することができたりします。しかし、現実から目をそむけることにも有効な手段になります。

つまり、あなたがそれをどのように使うかによって、あなたの人生を豊かにするかどうかが変わってきます。科学は絶えず進歩しているので、いつの日か、両者が折り合うときが来るかもしれませんね。

3-2.アドラー心理学の批判|対人関係がすべての悩みの原因?

3-2.「すべての悩みは対人関係の悩みである」という意見は本当か?

アドラー心理学では、私たちの悩みはすべて対人関係の問題であるとしています。
それについてここでは、「モノ」と「個人」というものと対比して検討してみたいと思います。

私たちは、ほかの存在があることで、自分が存在していることがわかります。それは人かもしれませんし、モノかもしれません。モノとの関わりの場合、対人関係の問題ではないとも言えます。

たとえば、なにかの研究をしているときは、人以外のモノと向き合うことになり、そこから生じる問題に悩まされることもあります。しかし、このモノとの関わりは、社会で暮らしていくためになされているととらえるならば、対人関係の問題とも言えます。

個人の内面(心)の問題についてはどうでしょうか?

たとえば、大好きなケーキを目の前にして「ダイエット中だから食べてはいけない」という自分と、「1回くらいなら大丈夫だから食べてしまえ」という自分が、心の中で対立することもありますよね。

これもダイエットしたい自分(1)とケーキを食べたい自分(2)の、対人関係の問題だととらえることもできます。

小さいころの親との関係

また、小さいころの親との関係などの過去の対人関係は、その人の心の中(記憶)のものなので、個人の内面(心)の問題ともいえます。でも、過去であろうと現在であろうと、人が関わっているのだから対人関係の問題だと言われればそれまでです。

このように、ある場面や状況によって、あるいは、その人がなにを基準にするかによって、対人関係の問題なのかどうかは変わってきそうですね。

4.『嫌われる勇気』以外でおすすめの本とマンガ4選

『嫌われる勇気』以外でおすすめの本とマンガ4選

『嫌われる勇気』は、アドラー心理学の研究で権威のある著者が原案を担当しています。そのため、アドラー心理学の内容がこの1冊につまっています。

だからといって、内容がムズカシイわけではありません。

登場する人物は哲人と青年の2人。青年の人生に対する問いに、哲人が具体的に答えていきます。
その問いは、ふだん私たちが考えていることや日常で抱く疑問なので、読んだあとすぐに実践することができます。

小説のような読みものとしても楽しめますので、とてもわかりやすくアドラー心理学を学ぶことができます。

もちろん、本書を買ってもいいのですが、こちらの記事では、『嫌われる勇気』を読まないとわからないような内容を、無料で書いてしまっています。

小学生でもわかる『嫌われる勇気』の要約|ネタバレ有・本・ドラマ・名言も
『嫌われる勇気-自己啓発の源流「アドラー」の教え』(以下、『嫌われる勇気』という)とは、心理学者アルフレッド・アドラーの思想を、物語にしてまとめた自己啓発書です。2013年に出版され、累計発行部数は100万部超え。テレビでも紹介されるほど大ヒットしました...

『嫌われる勇気』を最もおすすめするのですが、本には自分に合う、合わないというものがありますよね。

もしあなたが、アドラー心理学をもっと簡単に知りたい、もっと読みやすい本はないのかな、と思われるのであれば、以下の3冊を補足的に読んでみるのもいいかもしれません。

4-1.『物語でよむアドラー心理学』

物語でよむアドラー心理学

物語でよむアドラー心理学
谷口のりこ (著), 土居一江 (著)

『嫌われる勇気』と同じように、こちらも物語をとおしてアドラー心理学を学ぶことができます。主人公であるアラサー女性の職場などで起きる問題に対して、心理学にくわしいおばあちゃんがアドラー心理学をわかりやすく教えていきます。そして、日常の生活で活かしていくことで、女性が成長していく物語が描かれています。

全体的にやさしい語り口で描かれているので、とても読みやすいと思います。アドラー心理学のエッセンスを知り、アドラー心理学を軽く使ってみたいという方にはおすすめします。

4-2. 『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉』

アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉

アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉
小倉 広(著)

アドラー派の心理カウンセラーによって書かれた本です。ページの右側にアドラーの言葉の超訳が書かれてあり、左側に著者の解説が載せてあります。両方のページで完結しているので、どのページからでも読むことができます。

私たちは、ある言葉との出会いによって、人生の方向性が変わることがあります。もしあなたが、そんな言葉との出会いを楽しみたいのであれば、この本をおすすめします。

4-3. 『アドラー心理学-人生を変える思考スイッチの切り替え方-』 

アドラー心理学 ―人生を変える思考スイッチの切り替え方―

アドラー心理学 ―人生を変える思考スイッチの切り替え方―
八巻 秀(著)

アドラー心理学について、マンガや図解で解説しているので、とても気軽に読めます。今回はこちらの本を紹介しますが、アドラー心理学に関する本はマンガ版もいろいろ出ています。

パラパラとめくってみて、もしあなたがそちらの方が読みやすいと思われたならば、それを選んでみるといいでしょう。

大切なのは、アドラー心理学の知見をあなたの人生に生かすことです。そのとき読みたいと思った本が、今のあなたにベストな本なのです。

4-4.『マンガでやさしくわかるアドラー心理学』シリーズ


マンガでやさしくわかるアドラー心理学

マンガでやさしくわかるアドラー心理学
岩井 俊憲 (著), 星井 博文 (その他), 深森あき (その他)

こちらのマンガは、シリーズ作で3巻出版されています。電子書籍もありますから、気軽に読めますね。主人公は女性OL、由香里28歳。人気洋菓子チェーンに勤務し、念願のエリアマネジャーに抜擢されます。しかし、うまくいかず悩んでいたところ、なんと、アドラー先生の幽霊と出会います。アドラー先生から助言・アドバイスを受けながら、由香理里が成長していく物語。読みながら、主人公と一緒になってアドラー心理学を学ぶことができます。

2巻めは「実践編」となり、主人公は男性になります。3巻めは「人間関係編」です。いずれもマンガと解説のサンドイッチ形式で構成されていますので、楽しみながら学べるでしょう。いきなり、本を読むのはハードルが高いなあ、と思っている方は、このシリーズからアドラー心理学に馴染んでみてはいかがでしょうか。

5.アドラー心理学の講座|受講や資格は必要なの?

アドラー心理学の講座

アドラー心理学に興味があるあなたなら、もっと深くアドラー心理学について学びたいと思うかもしれませんね。そのひとつの選択肢として、アドラー心理学に関する講座に参加するという方法もあります。

ただ、基本的な内容を知りたいだけならば、本を読んで学ぶ方をおすすめします。アドラー心理学に関する本はたくさん出ています。講座の料金を考えれば、本の代金はとても安いですよね。

講座に参加することのメリットは、アドラー心理学に精通している人の話を直に聞けるということです。本では聞けないエピソードなども聞ける場合もあります。また参加している人たちとのワークもあるので、実際に活用するための練習をすることができます。

ただし、あくまでもアドラー心理学に興味がある人たちとの間での練習です。日常の場面ではそういう人は少数派です。そのため、日常の場面で実践したあとに、それについてアドバイスを求められる環境のある講座ならばおすすめします。 

単にアドラー心理学を学ぶだけならば、数千円から数万円ほどの料金でできます。カウンセラーなど資格が絡むと10万円を超えるものも出てくるようです。

もしあなたが心理カウンセラーの資格などに興味があるなら、以下の記事を読まないで講座を受けても、まず間違いなく失敗します。特に受講したくてたまらないあなたは、急いで読んでください!

心理カウンセラーの種類・資格・収入・求人の実態を教えます
わたしが心理職を目指した頃……それは、もう10年以上も前のことです。民間のカウンセラー資格は今現在のように多くなく、臨床心理士と産業カウンセラーの知名度もほとんどありませんでした。そんな頃に、わたしは産業カウンセラー資格を取得したのですが、資格取得し...

とはいえ、講座を受講するのは下記記事を読んでからでも遅くはありません。下記記事ではアドラー心理学の創始者である「アルフレッド・アドラー」の視点からアドラー心理学を知ることができます。アルフレッド・アドラーはどんな人物なのか? アドラー心理学誕生の歴史、おすすめの本をご紹介しています。詳細はクリックして記事をご覧ください。

アルフレッド・アドラーとは?彼の心理学と本、名言のすべて
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6.先生も親も必見!アドラー心理学|勇気づけの子育て

アドラー心理学の子育て

アドラー心理学には、「ほめるのではなく、勇気づけ」という考えがあります。この考えは子どもの成長にとても役に立ちます。

「子どもをほめて育てよう!」 これは一般的によく聞く言葉ですよね。

たとえば、子どもが遊んだおもちゃをかたづけたとき、あなたはどのような言葉かけをしますか?

「よくできたね」「おかたづけしてえらかったね」

この言葉をかけられた子どもはとても喜ぶでしょう。しかし、これを続けていくと、ほめられないと片付けをしない子どもになってしまうことが心理学でわかっています。

あるいは、ほめられないとがっかりしたり、おとなにほめられるために自分では望んでいないことをしてしまったりするかもしれません。

そして、このようにほめるということは、自分が「上」だと思っている人が、自分より「下」だと思っている人にかける言葉であるとも言えます。そして、子どもをコントロールするための対応とも言えます。

アドラー心理学では、「私たち人間はみんな対等である」というアドラーの考えに基づいています。そこで大切になってくるのが「勇気づけ」です。

勇気づけは、相手を尊重し、信頼することを基本にしています。そして、相手に課題を乗り越えられる活力を与えることにあります。つまり、人はみんな仲間であり、自分には目の前の課題に対して乗り越えられる能力があると相手が思ってもらえるような対応をすることです。

先の例での「勇気づけ」としての言葉がけには、たとえばこんなものがあります。

「おかたづけをしてくれて、うれしかったよ」
「ありがとう」
「今日は1時間も勉強できたね」

このような「勇気づけ」の関わり方によって、以下のようなことが期待できます。

◆「勇気づけ」による効果

  • ご褒美やバツがなくても、自ら勉強したり、家事を手伝ってくれたりするようになる
  • できたことよりも、がんばった過程を認めてもらえるので、チャレンジする子に育つ
  • 子どもを一人の人としてみなすので、親子がお互いを尊重し、自立した関係を保つことができる

もし子どもへとの接し方にカベを感じていたら、「勇気づけ」の対応を試してみてはいかがでしょうか。
もちろん、このようなテクニックも大切ですが、親をはじめとした、その子を取り巻く大人が、どれだけあたたかく真剣に手間暇かけてかかわるかの方が、もっと重要であることは忘れないでくださいね。

7.アドラー心理学はあくまで仮説に過ぎない

アドラーが生きた時代の心理学は、科学的に証明されたものよりも、その時代の哲学や宗教などの影響を受けていました。したがって、アドラー心理学はアドラーの思想であり、仮説に過ぎません。つまり、その仮説を検証したものではないということは頭に入れておくといいと思います。

現代に生きる私たちは、過去の賢者の英知を学びながらも、新たな知識も取り入れ、自分の力で考えたり、行動したりすることが大切になってきます。

その力をつけるために、アドラー心理学は有効な知見となるかもしれません。

1度しかない人生、自分の中にある勇気を育てていって、今このときを大切に生きてほしい、そして、人のために行動することがとても価値のあることだということを実感してほしい、アドラー心理学にはそういった願いが込められていたのかもしれませんね。

アドラー心理学は、アドラーが送ってきた生涯の集大成です。しかし、今読んでいる記事だけでは、まだまだ語りつくせません。そのため、こちらの記事と2つでセットになっています。ぜひ一緒にお読みください。

アルフレッド・アドラーとは?彼の心理学と本、名言のすべて
もしかしたら、あなたは『嫌われる勇気』(岸見 一郎/古賀 史健:著)という本をご存知かもしれません。アドラー心理学について書かれたこの本は、なんと50万部以上の大ベストセラーになり、アルフレッド・アドラー博士の名を日本に広めました。今まさにアドラーブ...

以下の記事は2013年に出版され大ヒットした『嫌われる勇気-自己啓発の源流「アドラー」の教え』に関する記事です。この記事では『嫌われる勇気』を読まなくても日常で使えてしまうくらい濃い内容を凝縮して解説しています。本の内容を手っ取り早く知りたい!と思うなら必読です。

小学生でもわかる『嫌われる勇気』の要約|ネタバレ有・本・ドラマ・名言も
『嫌われる勇気-自己啓発の源流「アドラー」の教え』(以下、『嫌われる勇気』という)とは、心理学者アルフレッド・アドラーの思想を、物語にしてまとめた自己啓発書です。2013年に出版され、累計発行部数は100万部超え。テレビでも紹介されるほど大ヒットしました...
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