集客とは、お店やWebにお客さんを集めることです。マーケティングと集客の違いは、マーケティングの方が集客よりも上位概念で、集客もふくまれます。たとえば、認知度を上げる活動はマーケティングの一部ですが、これはお客さんを集めるわけではないため、集客ではありません。
この記事では、集客に特化をして起業支援のコンサルティングをしてきた私が、集客のイロハをご紹介します。のべ200業種以上のクライアントに今までコンサルティングをしてきたので、その中から代表的な例をお伝えしましょう。
また、ブログやフェイスブック、ツイッターといった方法別の集客から、飲食店や美容院や整骨院などの業種別の集客まで解説します。「私のビジネスは特別なので、集客はむずかしい……」と思う前に、この記事を一読ください。
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ビジネス心理学とは?目次 〜集客の方法から業界別の集客まで徹底解説〜
1.集客ができない3つの原因をご存知ですか?
「集客ができない……」と嘆く前に、まず集客ができない原因をおさえておきましょう。前置きしておきますが、これからお伝えする3つの原因に当てはまっている場合、どんな高度な集客テクニックを使っても集客するのがむずかしくなります。
1-1.業種やビジネスモデルが悪い
業種やビジネスモデルによって、集客のしやすさは大きく変わります。順番に説明しましょう。
まず業種について。たとえば、カフェと焼肉屋ではどちらが集客しやすいと思いますか? 答えは焼肉屋です。なぜなら焼肉屋の方がカフェよりも客単価が高く、利益が出やすいためです。利益が出れば、そこから広告費などを出せますから。
ビジネスというのは、客単価が高い業種の方が広告費を出しやすいため、集客しやすいのです。カフェのような業種だと、広告費はおろか人件費を払うのも大変です。そのため、カフェのオーナーはブラック企業のように長時間労働するしかなくなるのです。
また、同じ業種であっても、ビジネスモデルによって利益率は大きく変わります。ビジネスモデルについては、このビジネス心理学に良い記事がありますので、ぜひチェックしてみてください。
基本的にこの記事に書いてあるビジネスモデルであれば集客できると思ってください。ですが、この記事に書いてないビジネスモデルの場合、集客はきわめて困難と思っていただいていいです。あなたのビジネスモデルはこの中に入っていますか?
1-2.そのビジネスのKSFをわかっていない
KSF(キー・サクセス・ファクター:主要成功要因)という言葉をあなたは知っていますか? KSFとは「成功のキモ」のことで、「このビジネスでは、この部分をおさえないと絶対に成功しない」という原因のことです。
たとえば、飲食店の場合は「原価率の高さ」がKSFですね。飲食店は、基本的にはリピートしてくれるお客さんのおかげで成り立っています(ただし、観光地にある飲食店をのぞく)。
ですので、あまりにも原価率が低い料理を出せば、リピートしてくれません。当たり前ですが、原価率が低ければ、値段の割においしくない料理になるからです。
こうしたKSFというのは定石のようなもので、どんなビジネスにも必ずあります。おいしくない飲食店に集客しても、リピートしてくれないので繁盛しないのです。つまり、KSFを押さえていないビジネスに集客しても効果がないのです。
こうしたKSFは、ビジネスモデルや業種によって百人百様でまったく違うので、ここでは書ききれません。ぜひ、成功している同業の経営者に聞いてみることを強くおすすめします。
1-3.マーケティングの勉強不足、実戦不足
集客がマーケティングの一部分であることは前述しました。ですので、集客をする前にしなければいけないマーケティングの施策はたくさんあるのです。たとえば、その1つはポジショニングというマーケティングの施策です。
※ポジショニングは、マーケティングでは必須の知識です。知らない場合はこちらの記事をお読みください。ダイソンやハーゲンダッツ、すき家がなぜ成功したのか、その理由が書いてあります。
たとえば飲食店の場合、自分の店の半径700mの商圏の中に「同じ種類で自分よりもおいしい飲食店」があった場合、まず失敗します。つまり、飲食店が儲かるかどうかは出店時に決まるのです。これは集客の力ではひっくり返せません。
商圏の中に強い競合がいる場合、何かの料理に特化して絞り込むのです。たとえば、競合がイタリア料理店なら、自分のお店はピザ専門のイタリア料理店にするとか、パスタ専門のイタリア料理店にするとかですね。
ポジショニングを知らないと、そもそも負け戦だということに気づかずに集客をしてしまいます。が、ポジショニングを失敗していると、いくら綺麗なホームページにしようと、いくらチラシをまこうと、絶対に成功できません。
具体的には、下記の1〜3のステップをおこなったあと、集客をしてください。
ステップ1 ポジショニングを決める
ステップ2 売れる商品を開発する
ステップ3 実際に売っていく
この3ステップについては、くわしくは下記の記事で説明しています
「ビジネス心理学 マーケティング入門|始め方から用語解説、有名人の評判まで」
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ビジネス心理学とは?2.集客の方法をステップ・バイ・ステップで紹介
それでは、この章からは集客について解説していきます。念のため、お伝えしておきますが、前章の3つを必ずやったあとに実践してくださいね。
2-1.集客のステップ1:値上げを考える
集客よりも先にするべきことがあります。値上げです。なぜか? 多くの経営者は値段を下げればお客さんは買ってくれると思っているのですが、それは間違いだからです。
専門用語では価格弾力性という概念で説明されるのですが、値段を少し上げても顧客が一気に離れることはマレです。ですので、顧客が離れない範囲で値上げをすることが重要なのです。よほど価格競争が激しいビジネスでない限り、5%程度値上げをしても客離れはおきません。
もし、5%の値上げをした瞬間に客離れが起きるようであれば、そのビジネスは賞味期限切れ、もしくは成功できないビジネスなので、一刻も早く新規事業を立ち上げてください。
そして、値上げをした分を、そっくりそのまま集客のコストに回すのです。では、どうやって、集客をすればいいのか? それが次章です。
2-2.集客のステップ2:ターゲットに情報を届けて集客する
集客のコストを捻出したあとは、いよいよ集客です。ただ、集客の方法は業種によって全然違います。たとえば、整骨院などの治療院の場合、チラシを近隣住民へポスティングするとか、看板広告(A型看板など)は未だに有効です。
飲食店の場合、外観の改装(とくに入り口周辺を目立たせたり、店内を見せる)とか、のぼりも効果的な集客手段ですね。
また、インターネットを使った方法では、SEOとかリスティング広告なども有効と言えるでしょう。こういった方法は、業界に特化した集客法を書いた本が売っていますので、それを参考にするといいでしょう。Amazonで、「業種 集客」と検索すると、専門書が見つかります。
ただし、チラシにせよ、ホームページにせよ、大切なのはコピーライティングです。たまに「お店の名前をデカデカと書いたチラシ」を見かけますが、これでは集客できません。
いきなり文章を書く前に、コピーライティングについてはしっかりと勉強しましょう。書く文章次第で、広告の効果は10〜100倍はザラに変わります。コピーライティングを学ばずに集客したところでまず集客できません。
2-3.集客のステップ3:リピート購入や紹介を促す
ほとんどのビジネスは、基本的にはリピート購入や紹介によって支えられています。なかには、墓石のようなリピート購入も紹介も起こりにくい商品もありますが(笑)。
ただ、商品の品質が良ければ黙っていてもリピートや紹介が起こると思ったら大間違い。ポイントカードを作ったり、ブログを書けばいいと思っている人もいますが、それらはかなり効果が薄いです。
ほとんどのビジネスでは、こちらからメールマガジンを出すなどしないと、すぐにお客さんに忘れられてしまうのです。
もしあなたがお店を経営していて、固定客化をしたいのであれば、こちらの本がおすすめです。メールをつかって、客離れを防ぐ方法が書いてあります。
『「1回きりのお客様」を「100回客」に育てなさい!』
高田 靖久 (著)
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ビジネス心理学とは?3.方法別の集客|実際のところを教えます!
集客の全体像を理解したところで、次は各論に入っていきましょう。この章では、集客の色々な方法についてご紹介します。
3-1.ブログ集客|地味で貧弱だが、効果は一応ある
もしかしたら衝撃をうけるかもしれませんが、ブログをはじめとする無料の媒体で集客するのは、基本的に効果が薄いと思ってください。これは断言します。
なぜなら、多くの人は金銭的なリスクをとりたがらないので、みんな無料の媒体にこだわって、超がつくほどの競争過多になるからです。
たしかに、ブログやYouTubeを使って集客できている人はいます。でも、それは本当に一握り。ほとんどの人は集客できていません。
私が知る限り、成功している経営者の多くは広告を打って集客しています。成功したから広告を打てるようになったのではありません。逆です。大してうまくいっていないときから、少額で広告を打ち続けた結果として成功しているのです。
ただ、どうしても無料で集客したいのであれば、無料の集客法の中ではブログがおすすめです。興味があればやってみてください。
『儲かるアメブロ 改訂版 ~新・ネットで稼ぐ方程式~』
田渕 隆茂 (著)
3-2.フェイスブック集客|投稿は効果なし、広告は効果あり
私もフェイスブックで集客をしています。が、それはフェイスブックにコツコツと毎日投稿をしているからではありません。フェイスブックの広告を打っているからです(笑)。
フェイスブックに投稿して集客する場合、地域のお店の集客にはあまり向きません。フェイスブックは日本全国の人が見ているためです。
また、利用している人もバラバラです。こういったフェイスブックのようなSNSの場合、集客につながるのは「お金儲け、ダイエット、健康、人間関係などの情報商材」くらいですね。
つまり、誰でもそこそこ興味があり、情報なので全国どこでも買えるような商品ですね。それ以外は、フェイスブックの投稿では売れません。
一方で、フェイスブックの広告は、住んでいる地域や興味、仕事などを指定して広告を打てるため、お店であっても集客することが可能です。
3-3.ツイッター集客|脱毛くらいしか効果なし
ツイッターは、結論から言うとおすすめしません。効果としてはフェイスブックの投稿以下です。私も少し使っていて、フォロワーが2万人くらいいますが、ほとんど売上につながっていないのです。
ツイッターが集客に使えない理由は、ユーザーの5割以上が10代〜20代と若く、お金を持っていない層だからです。また、フェイスブックとちがって、ターゲットを絞りにくいのです。
ツイッターのユーザーは男性よりも女性が多いため、脱毛の全国チェーンなどの集客には使えますが、せいぜいその程度。ツイッターを使ってアフィリエイトをしようとする人も多いため、変に営業活動をするとアカウントを消されてしまいます。
ツイッターで集客しようとするくらいなら、まだブログを書いた方がいいでしょう。
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ビジネス心理学とは?4.業種別の集客|アイデア出しから実行まで
この章では、業種別に具体的な集客手法を見ていきましょう。前章はオンラインの集客方法ばかりだったので、この章ではオフラインの業種を中心に説明していきます。
4-1.飲食店の集客|市場や立地、原価率に注意!
飲食店の場合、まず大切なのは市場と立地です。半径700m以内で、自分のお店がNo.1になるようにしてください。
ポイントは、都心のお店ほど料理の種類を絞り込み、地方のお店ほど絞りこまずに色々な料理を出すようすること。地方は人口が少ないので、絞り込んでしまうとお客さんの絶対数も下がってしまうからです。
たとえば、都心であれば小籠包の専門店でも成立しますが、地方では中華料理のお店としてポジションをとらないといけないのです。つまり、良い立地を選び、商圏の中でNo.1の市場をおさえるのです。
このあたりは私が書いたランチェスターの法則の記事を参考にしてください。ソフトバンクが創業期にどのようにして成功したのかまとめてあります。
また、前述したとおり、リピートを増やすには原価率がある程度高いことは大事です。ただ、闇雲に原価率を上げてしまうと儲からなくなるので、気をつけてください。
ちなみに、飲食店の成功法としては、この本が抜群にオススメです。年商20億円の居酒屋チェーンに育てた鬼頭宏昌(きとう・ひろまさ)さんの本で、類書を圧倒する良書です。
『飲食店開業・経営の成功メソッド』
鬼頭 宏昌 (著)
4-2.美容院の集客|店販の売上を増やすのがキモ
ご存知、ブラック企業が多い美容院。美容師は若者が憧れる職業のため、供給過多になっていることが原因でしょう。全国の美容院の店舗数は23万件と、コンビニエンスストア4万6千件の約5倍。これでは集客がむずかしいのは当たり前ですね。
私のおすすめとしては、よっぽど好きでもないかぎり、美容院を開業することはおすすめしません。ですが、すでに美容院を開業している場合は、店販を増やすことが大切です。
サロン専売品のシャンプーやトリートメントなどを販売し、利益率を上げるのです。これによって実質、集客しているのと同じ効果があります。
たしかに、美容師の中には「必要のないものを売っているみたい」という理由で店販が苦手という人も多いでしょう。そういう人にはこの本のとおりに教育するといいでしょう。
『美容室「店販」の教科書 (DO BOOKS)』
佐藤 康弘 (著)
4-3.整骨院などの治療院の集客|総合力で勝負
15万件。これ、何の数字かわかりますか? 整骨院や整体院など、治療院に分類される店舗の数です。美容院ほどではないにせよ、コンビニの3倍以上もあり、非常に多いことが分かりますね。
私の周りでも整体院、整体院の経営者に集客を教えているコンサルタントは多いです。が、非常に競争が激しい業種だと感じます。
治療の技術が良いことは当然として、集客についても総合力が問われる時代になってきています。
整骨院などの治療院で必要なこと
- ホームページを作りこみ、スマホ対応させる
- リステイング広告を打つ
- 看板とチラシの文言を工夫する
- 紹介してくれるお客さんに紹介を依頼する
- 治療中のトークを工夫して、リピートを促す
このように、気をつける箇所はたくさんあります。ホームページを作れば集客できる、スマホ対応をすれば集客できるというのは今は昔。すべてで高得点を狙いましょう。
初めて当サイトに訪れた方へ
ビジネス心理学とは?5.集客できないのは色々な問題が原因にある
いかがでしょうか? 集客といっても、ブログを書けばいいとか、メールを出せばいいとか、そういう時代ではなくなってきています。とくに飲食店や美容院、整骨院などの競争が激しい業種の場合、どの要素も合格点にして、ようやく集客できるのです。
「これだけあれば、なんとかなる!」というように一発逆転を狙わずに、コツコツと経営をしていきましょう。面倒で誰もやりたがらないことですが、だからこそやったら効果がでるのです。