コールドリーディングとは、コミュニケーション技術のひとつ。もっと具体的にいうと目の前の相手に信頼・信用されるために「この人、私のことよく理解している」という実感を与えるための会話術です。
「コールドリーディング」をという言葉をはじめて聞いた方もいれば、以前から知っていて、もっとうまく使いこなせるようになりたいという方もいるかもしれません。
この記事ではプロのカウンセラーがコールドリーディングのいろはを解説。使い方から心構えまでくわしく扱いますのできっと理解が深まることでしょう。ぜひ読んでみてください。
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ビジネス心理学とは?目次 〜コールドリーディングのやり方|恋愛や営業を改善〜
1.コールドリーディングとは
コールドリーディングとは、コミュニケーション技術のひとつ。もっと具体的にいうと目の前の相手に信頼・信用されるために「この人、私のことよく理解している」という実感を与えるための会話術です。
「コールド」とは事前準備なくとか、即興で、という意味。
「リーディング」は読み取るという意味があります。
つまり、事前準備なしで相手の心(感情)を読み取り、それを伝えることがコールドリーディングの基礎・基本となります。この技術を日本に広めたのは自己啓発本の作家でありセラピストの石井裕之さん。
石井裕之さんは数年前にすでに業界を引退されていますが、くわしい情報はこの記事にて扱っています(石井さんの著書数十冊をすべて読んだ私が書きました)。
1-1.占い師とコールドリーディングの関係
これはコールドリーディングを日本に広めた石井裕之さんが著書のいたるところで扱っていることですが、コールドリーディングとは「偽占い師」が顧客を騙すために使っている技術です。
偽占い師とは、コールドリーディングの技術を使って自分を信頼・信用させて、そのうえで恐怖や不安を与えて心を支配する詐欺師のことです。占い師とは本来、相談者に道筋や希望を与える存在であり、不安や脅かしをする存在ではありません。
相談者に対して「これを買わなかったら、あなたは地獄に落ちるわよ」などという人は、詐欺師の可能性が高いといえるでしょう。
1-2.コールドリーディングは恋愛・営業等にも応用可能
コールドリーディングは恋愛や営業にも高い効果を発揮します。なぜならば、目の前の相手に信頼・信用されるための技術だからです。たとえば、恋愛が上手な人もいれば、恋愛で悩んでしまう人がいます。
何が違うかというと、目の前の相手との信頼関係の作り方がうまいかどうかです。コールドリーディングができるということは、上手に信頼関係が作れるということ。恋愛(あるいは営業)が苦手な方はこの技術をマスターすると非常に良いでしょう。
1-3.ミヤネ屋でも紹介されたコールドリーディング
2012年の放送ですが、日本テレビのワイドショーである「情報ライブ・ミヤネ屋」でコールドリーディングが紹介されました。占い師の使う「相談者の過去や性格をあてる会話技術」という扱いでしたね。ミヤネ屋の放送開始は2006年の7月から。全国ネットの番組で紹介されたことでコールドリーディングの認知度は大きく上がりました。
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ビジネス心理学とは?2.コールドリーディングがオススメな人とそうでない人
コールドリーディングがオススメな人は
- 異性との信頼関係づくりが上手くいかない(恋愛が苦手)
- 職場や業務で社内外の人と会話が上手くできない
- セールスの仕事をしているが、業績がなかなか伸びない
という方です。以上のような方が学ぶと非常に大きな効果を発揮します。
逆にオススメでない方は
- やましい気持ちがある人
です。これは本気も本気で書いています。なぜならば、コールドリーディングはとても強力であり、人を笑顔にして幸せにできる面もありますが、逆に使い方を誤ると人を傷つけてしまうこともあります。
「自分は目の前の人を笑顔にしたい、幸せにしたい」という心構えで使用しなければ、遅かれ早かれ痛い目を見ることになるでしょう。
2-1.コールドリーディング使うメリット
コールドリーディングを使う最大のメリットは
- 短時間で強い信頼関係をつくることができる
ことです。
たとえば優秀なコールドリーダーと1時間過ごせば、この技術の価値に酔いしれることでしょう。まるで旧知の友のような感覚に陥り、「もっと話したい!」という気持ちになるからです。
これは私の経験則ですが、コールドリーディングを使わないでコミュニケーションをとるのと、コールドリーディングを使うのとでは、親密度の差は3倍以上でしょう。つまり、コールドリーディングを正しく使って他人と1時間過ごせば、3時間分ぐらいの関係性構築ができるようになります。
2-2.コールドリーディング使うデメリット
「素晴らしい! ぜひ覚えたい!」と思うかもしれません。しかし、結論を急がないでください。じつはデメリットもあります。世間一般で知られているコールドリーディングは、プロの眼からすると非常に痛々しいのです。どういうことか。
コールドリーディングを少しかじったレベルの素人は「相手の心理を当てる」ことに重きを置きすぎるあまり、話し方がとてもうさん臭くなったり、なんとなく雰囲気が詐欺師っぽくなったりします(笑)。
先ほども書きましたが、大事なのは心構えです。相手を騙そう、支配しようという目的でコールドリーディングを使用する人ほど、うさん臭い詐欺師のような姿になります。
あなたがコールドリーディングを使用するときは、テクニックと併せて心構えもしっかりと教えてくれる人から習ってくださいね。下手なコールドリーダーほどよく喋り、優秀なコールドリーダーほど観察に時間を使います。このことを覚えておいてください。
※コールドリーダー……コールドリーディングを行う人のことを指す
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ビジネス心理学とは?3.コールドリーディングのやり方を実例で解説
この章では、コールドリーディングのやり方を、実例を交えて紹介していきます
3-1.コールドリーディングの基本的考え方
コールドリーディングの基本的な考え方として、いくつかの重要な原則があります。
(2)「この人はだれよりも私を理解してくれる」と思ってもらえればいい
(3)相手があなたに理解されたいことを探し、敬意をもって理解を示す
優先度の高い順番で紹介すると、下記のとおりです。
くわしく解説すると大量の文字数になってしまうので、手短に書きます。
まず(1)ですが、これはなによりも重要な考え方です。この心構えを忘れたコールドリーダーは詐欺師と同義ですので、絶対に忘れないでください。
そして(2)ですが、コールドリーディングのすべてのテクニックの本質は、相手に「この人は私を理解してくれた」という気持ちにするためのものです。大きな言い方をすると相手への尊敬や愛情の気持ちです。テクニックはそれを伝えるための手段だと覚えましょう。
最後に(3)です。非常に多くの人が「コールドリーディングとは相手の心理を当てることだ」とカン違いしてしまいます。その間違いは(1)の心構えがないから発生します。
コールドリーディングの本質は相手への理解を示すことです。相手が理解されたいことを観察して探して、そしてそこに敬意をもって理解を示しましょう。つまり、心理を当てるのではなく、相手の不安や心配事に寄り添ってあげることが大切です。
3-2.恋愛に使えるバーナム効果
バーナム効果とは、だれにでも当てはまることを言われたときに、それが自分の特徴だと信じてしまうことです。たとえば、下記のようなものです。
おそらく、文面を読んだ限りではあまりピンと来ないかもしれません。しかし、薄暗い部屋の中で、薄紫の衣装を着て、宝石をたくさんつけた占い師が、美しい水晶玉に手をかざしながら、真剣な表情でそういったら? どうです? 当たりすぎて怖くありませんか(笑)
コールドリーディングを恋愛に活用した事例も併せて紹介しましょう。私の知っているある大学生(男性)は、同級生の女性に恋をしました。その時、バーナム効果を意識して会話したそうです。かれの決まり文句はこうでした。
そもそも前提として甘えん坊を前面に出している人は少ないのですが、かれの場合はこれがうまくいったとのことでした。一応ご参考に。ただし自己責任でお願いします。
3-3.営業テクニックにも使えるダブルバインド
これはセールスが得意な方なら、すでにご存知かもしれませんが、もうひとつ代表的なテクニックを紹介します。ダブルバインドです。
ダブルバインドとは、こちらから事前に選択肢を提供することで、相手に意思決定をさせないテクニックです。たとえばこのようなもの。
「ご飯はカレーにする? ラーメンにする?」
このように、A or Bという形で提案することです。これをされると相手は「飲み物を注文するかどうか」という前提を忘れてどちらかを頼んでしまうというからくり。
たしかに、このように提案されると意思決定をこちら主導でしてもらいやすいです。しかし、信頼関係が不十分な状態であると「え、なんで勝手に決めるの?」と指摘されるので注意が必要です。
先述した通り、テクニックは相手の気持ちをより深く理解し、相手を幸せにするためにつかうもの。自分本位にテクニックを使っても意味がないことをもう一度深く覚えておきましょう。
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ビジネス心理学とは?3-4.コールドリーディングの実践|ストックスピール
先ほど紹介したバーナム効果とダブルバインドは、コールドリーディングの基本中の基本。ここからはもう一つ大切なテクニックである「ストックスピール」をご紹介します。
ストックスピールとは、先ほど述べた「バーナム効果」と「ダブルバインド」を使った言葉かけのことです。具体的例は下記のようになります。
- あなたは自分に対して厳しすぎるところがあるし、ときどき自分を必要以上に甘やかすこともあります。そんな自分が好きでもあり、場合によっては嫌いになる時もあります。
- あなたはとてもユニークで自由を大事にしますが、最低限これだけは守りたいというこだわりは、他人から驚かれるぐらい大事にします。周りからするとその姿が頑固に映る時もあるようですね。あなた自身も自分で分かっていながら、それは自分らしさとして残しておくべきだと思っています。
このように、バーナム効果とダブルバインドを組み合わせた言葉かけをすると、相手は「この人は私のことをわかってくれるんだ」という感覚になります。相手が自分のことをよりくわしく話し始めたらストックスピールは成功です。じっくり話を聞いてあげてください。聞けば聞くほど、信頼関係は強化されていきます。
心理学には、ここまで紹介したテクニックや効果以外にも、恋愛や営業をうまくいかせるテクニックがたくさんあります。こちらの記事を読めば、生まれ変わったように結果出すことができるでしょう。初心者でもわかりやすい内容ですが、悪用厳禁です!
4.コールドリーディングをより理解するためにおすすめの本
コールドリーディングを深く理解するのに役立つ本を2冊紹介します。まずは入門編からどうぞ!
『なぜ、占い師は信用されるのか? 「コールドリーディング」のすべて』
石井 裕之 (著)
コールドリーディングを学びたい方にとっては基礎・基本が学べる本です。様々なテクニックが事例と共に紹介されています。余談ですが、私も学生時代にこの本を読み、コールドリーディングの世界を知りました。非常にオススメです。
ちなみに、石井裕之さんの本をすべて読破したうえで、石井裕之さんに関する特集記事を私が執筆しました。コールドリーディングを学びたい方は、まず石井裕之さんについてよく理解しましょう。著者の内面を知ることで技術習得のスピードは倍速になります。
『コールド・リーディング―人の心を一瞬でつかむ技術』
イアン ローランド (著), Ian Rowland (原著), 福岡 洋一 (翻訳)
こちらは、入門を終えてもう少し突っ込んだ内容をくわしく知りたい方向けの一冊。
作者のイアン・ローランドはイギリスのマジシャンでもあり、コールドリーディングの名手です。その実力は広く認められており、英国国防省やFBIへの講義活動を実施していることで知られています。
この本には40種類近くのテクニックが公開されていて、そのどれもが非常に刺激的。心理職の方にはぜひ手に取っていただきたい一冊です。石井裕之さんの本にも参考文献で載っており、いわばコールドリーディングの元祖ですね。
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ビジネス心理学とは?5.コールドリーディングは相手を理解するために使う
コールドリーディングで最も大事なことは、相手を理解しようという姿勢です。ただ、これをいうと元も子もないのですが、それって相手に「いま、どういう気持ちですか?」と確認すれば済む話なんですよね(笑)。
つまり、信頼関係を深めるためには、いちいちコールドリーディングをする必要はないんです。たしかに、コールドリーディングをつかえば「なんで初対面なのにそんなことわかるの?」と驚かれます。しかし、占い師でない限りはミステリアスな演出をする必要はありません。
相手の心理を無理に当てようとせず、「あなたを理解したい」という姿勢を提示すれば信頼関係を強めることは十分に可能です。営業も恋愛もそのスタンスを大事にしてみてください。