会話術やコミュニケーションスキルを追求していくと、必ず2つの名前を聞くことになります。ひとつは、米国発祥の信頼関係を短期間のうちに構築する技法「コールドリーディング」。そしてそれを日本に広めた「石井裕之さん」です。
石井裕之さんはセラピストという立場から、コールドリーディングを日本に広めた張本人。しかし近年は表立った活動は見られず、石井裕之さんについてくわしく知りたいと思っても、なかなか情報がありませんでした。
そこで今回は、石井裕之さんのすべての著書を読破し、実際に教材で学んだ私が、カウンセラーという立場から石井裕之さんについて客観的にわかりやすく解説します。この記事を読めば、石井裕之さんについての理解が深まることでしょう。
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ビジネス心理学とは?目次 〜石井裕之の本やDVDの評判と、引退の理由とは?〜
1.石井裕之の経歴 Wikiより分かりやすく解説
最初に立場を明確にしておきます。私は石井裕之さんを「コールドリーディングを日本に広めた人」として尊敬している、ファンのひとりです。しかしご本人と面識や利害関係はありません。この立場を守ったまま、公平中立を意識して執筆していきます。
石井裕之さんの著書によると、生い立ちは1963年の東京生まれ。獨協大学の外国語学部英語学科を卒業し、有限会社オーピーアソシエイツの代表取締役です。催眠療法やセラピストとしての心構えを学べる「沢雉会(たくちかい)」を主宰し、心の問題のカウンセリングやコミュニケーション技術を提供されていました。
過去に出版された著書の数は30冊以上。CDやDVD教材も多数販売されています。
石井裕之さんの著作のテーマに多いのは下記の通りです。
- 男女間のコミュニケーション:恋愛など
- ビジネスのコミュニケーション:交渉や信頼関係構築など
- 考え方について:引き寄せの法則など
「なんか人間関係に疲れちゃったなぁ」「最近、うまくいってないんだよなぁ」という方に対して、石井裕之さんはさまざまな自己啓発のコンテンツを配信してきました。
ちなみにコールドリーディングとは、コミュニケーション技術のひとつです。恋愛や営業などにも高い効果を発揮し、信頼・信用されるためのテクニックです。コールドリーディングについて詳しく知りたい方は以下の記事をお読み下さい。
1-1.ブログは削除され、現在の更新はツイッターのみ
2016年3月30日の本人運営のツイッターによると、その日で自己啓発業界を引退してちょうど2年とのことでした。
この投稿から察すると、2014年の3月30日で引退されたということですね。
いま現在、石井裕之さんの最新情報はご本人のTwitterによってのみ確認できるようです。Twitterでのツイートも、石井裕之さんらしさがにじみ出ていてファンにはうれしい内容ですね。たとえば、こちら。
1-2.引退の理由は2chで嘘つきと批判されたから?
ところで、引退の理由は何なのでしょうか。ご本人の事情なので詮索するのもヤボですが、ファンとしては気になるところですよね。世間一般的に、ある人が熱心に取り組んでいたものを辞めるときは、だいたいポジティブな理由かネガティブな理由かに分かれます。
ポジティブな理由:新しいことをはじめたい! もっと情熱が湧くものが見つかった!
ネガティブな理由:面白くなくなった、つまらなくなった、自分らしく取り組めなくなった、飽きた
これはあくまでも推測の域を出ませんが、いずれかに該当する本人の事情があったことと察しましょう。仕事において私たち自身にもあるように、本人にしかわからない気持ち、苦悩や葛藤があったはずです。
一方で、匿名掲示板の2chでは、長らく賛否両論が飛び交っています。その中には石井裕之さんに対する単なる悪口のような内容も見受けられます。
ご本人は名無しの書き込みなど気にされていないと思いますが、仮にもし私がこのように誹謗中傷されたら、即引退を考えます(笑)。引退発表はユーストリーム配信にて行われたといわれていますが、現時点でその内容を確認する方法はありません。引退の理由を推察するほかないようですね。
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ビジネス心理学とは?2.石井裕之から学んで役に立つ人とは?
私はカウンセラーとして毎日さまざまな人の相談を受けています。この章を書くために日々のカウンセリングの時間を縫って、石井裕之さんの本をすべて買い読破しました。この章では、その結果わかった私なりの見解を紹介していきます。
2-1.石井裕之から学んで役に立つ人
たとえば、下記のような悩みを抱えている人にとって、石井裕之さんの本や教材はとても役に立つでしょう。
- 人間関係や恋愛で、うまく人とつながれない。人と接するのが怖い
- 失恋して傷ついている。恋をしたいけれども相手と気持ちがすれ違うのが怖い
- 自分に自信がない。いつも「自分はダメだ」という言葉が頭の中でぐるぐる回っている
このような悩みを抱えている人には、石井裕之さんの本や教材は役に立つことでしょう。なぜならば、それらを解決する具体的なヒントや、心構えがたくさん書かれているからです。
「こういうときはもっとこうすれば良い」とか「こういう風に考えると良い」といった実践的なアドバイスが紹介されています。悩みを抱えている人にとって大きな価値になることでしょう。
2-2.石井裕之から学んでも役に立たない人
たしかに、石井裕之さんの本や教材は人間関係や恋愛に悩んでいる人にとって大変役に立ちます。しかし、石井裕之さんの本や教材が合わない方もいます。それは、具体的な学術的根拠を求めるタイプの方です。
たとえば、石井裕之さんの教材には「モチベーション(やる気)」に関するものがあります。ダイナマイトモチベーションという音声教材です。広告文によるとすでに1万人以上がこのプログラムを実践されたとあります。
私自身も過去に手に取って学んでみたのですが、石井裕之さんの人生哲学としては興味深いものの、学術的根拠としては薄い印象を受けました。「なんとなく話は分かるんだけど、実験データや統計はあるのかな?」という疑問がぬぐえず、あえなく途中で挫折。私のダイナマイトは不発に終わってしまいました。
個人の思い込みや心構えを真似しても、それが万人に当てはまるわけではありません。データや統計を踏まえて理論的に自分自身のやる気を高めたい方は、研究や臨床データが公開されている心理学を学ぶ方が効果的といえるでしょう。現代では、やる気は科学的に解明されています。こちらの記事を参考にしてください。
3.石井裕之のコンテンツの評判とは?
この章では、石井裕之さんの本や教材の評判・レビューを紹介していきます。
3-1.『ダメな自分を救う本』などの本の評判
石井 裕之 (著), 中村 純司 (イラスト)
こちらは、ベストセラーになった一冊。ファンの間では「ダメ本」という愛称で呼ばれています。内容は、自分に自信が持てない人に向けて、自分らしく自信を持つための具体的なヒントをさまざまな視点で解説しているもの。アマゾンレビューでは、五つ星がズラーっと並んでいます。一部の声を紹介しましょう。
<高評価の声>
- ワークの内容がすごくよかった。取り組んでいくうちに頭の中がどんどんスッキリしていった
- 自分を責めてしまう悪い癖がなくなった
- よくよく考えたら当たり前のことだけれども、全然できていない自分に気づけた
<低評価の声>
- タイトルに魅かれて購入したが、真新しい内容が書いてなかった
- 自己評価が低い人に向けられた成功ノウハウ本。自分にとっての根本治療にはならなかった
こちらの本は、石井裕之さんの考え方やノウハウを学ぶ上で入門書になる一冊。Twitterで更新されている石井裕之さんの言葉にピンときた方は、ぜひ手にとって読んでみてください。たくさんの学びが得られるはずです。
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ビジネス心理学とは?3-2.ダイナマイトモチベーションなどのDVDの評判
ダイナマイトモチベーションは、石井裕之さんのセラピーを音声や動画で受けられるプログラムです。やる気を高めることをテーマに制作されています。
ちなみにこれは私の知り合いからの“また聞き”なので、石井裕之さんの意図と反するかもしれませんが、参考までにお伝えしますと、このプログラムの参考文献には、アメリカの自己啓発の大家であるアンソニー・ロビンズの存在があったそうです。
参考:
石井裕之さんがアメリカで活動をされているときにアンソニー・ロビンズの「パーソナルパワー2」という教材に触れ、それに感銘を受けて「日本でこのような教材を作りたい」という想いがあったと聞きました(石井裕之さん、もし違っていたら、訂正してお詫びします)。
先述の通り、このプログラムは1万人以上の手に渡ったと広告文にはありますが、ネット上を探してもレビューが見つかりません。私は残念ながらこの教材は合わずに不発に終わってしまったので、私以外の人のダイナマイトが爆発していることを願ってやみません。
4.良し悪しは自分の目で確かめて
少しだけ私事を書かせていただくと、私は駆け出しのカウンセラー時代に石井裕之さんの著書から得た学びによって、とても救われた経験があります。
コールドリーディングの知識がなかったら、私は多くのクライアントに出会えなかったかもしれません。そして、クライアントたちもまた悩み続けていたかもしれません。そう考えると、私は石井裕之さんのコンテンツによって人生を変えられた1人といえます。
しかしながら、匿名掲示板の2chを読むと、誹謗中傷や罵詈雑言が多く見受けられます。どこまでが真実で、どこまでが虚言なのか、客観的には理解できませんでした。石井裕之さんの本や教材で大きな成果を手にした自分としては、そういった書き込みを見ると本当に胸が痛くなりました。
なにが正しいかは私たち一人ひとりが自分の頭で決めることです。
インターネットの情報に流されず、客観的な視点に立って自分の頭で考えましょう。
そして、自分に合う、良いと思ったものを学びましょう。