ジョセフ・マーフィーとは、アメリカの牧師であり、潜在意識についての自己啓発書の著者、そして講演家でもあります。また彼の理論は、自己啓発の考え方のもとになっているため、現在も本やプログラムが世界中で学ばれ続けています。
あなたも、「眠りながら成功できる!」とか、「イメージするだけで思った通りになる」というウワサを聞いたことがあるかもしれません。もしくは、ただ単に「怪しい……」という印象をお持ちかもしれませんね(笑)。
この記事では、これまでジョセフ・マーフィーを含め800冊近くの自己啓発本を読破し、現在は心理学の講師としても教壇に立っている私が、ジョセフ・マーフィーの考え方が正しいのかどうか、客観的に解説いたします。
記事を読んでいただければ、ジョセフ・マーフィーを正しく理解できます。また、自己啓発セミナーの講師は絶対にいわない潜在意識のウソや真実を、心理学の視点からあばいていきますので、ご期待ください!
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ビジネス心理学とは?目次 〜ジョセフ・マーフィーとは?眠りながら成功する嘘〜
1.ジョセフ・マーフィーとは? マーフィーの法則との違い
ジョセフ・マーフィーとは、アメリカの牧師であり、潜在意識についての自己啓発本の著者。数々の著作や講演をとおして、「潜在意識の法則」を後世に伝えています。
また、彼は生涯を通して、キリスト教徒。若い頃はキリスト教の一派であるイエズス会、後年はニューソートと呼ばれる19世紀に起こったキリスト教の異端的な考え方を信仰していました。そういうわけで、ジョセフ・マーフィーが提唱している成功法則は、ニューソートの考え方が大いに影響しています。
ちなみに、現在の自己啓発の考え方の根底にある、“ポジティブ・シンキング”は、ジョセフ・マーフィーの「潜在意識で強く願ったものは現実化する」という思想に色濃く影響を受けています。
たとえば、「眠る直前は潜在意識にアクセスしやすく、願いが通じやすい」といった話も、彼の考え方によるところが大きいのです。そこから、「眠りながら成功する」といった怪しいワードが生まれるわけですね(笑)。
余談ですが、「マーフィーの法則」といわれているものは、ジョセフ・マーフィーの唱えている成功法則とは似て非なるもの。「マーフィーの法則」は、アメリカのエドワード・A・マーフィー・Jr.というエンジニアがまとめたまったく別の法則のことです。
1-1.ジョセフ・マーフィーから学ぶメリット/デメリット
ジョセフ・マーフィーから学ぶメリットは、考え方の制限が外れること。どういうことかというと……私たちはどうしても、自分自身の可能性について過去の延長で考えるものです。
なにかやりたいことがあっても、夢が大きいものであるほど「これまでの自分では到底やりとげられない目標だ……だから、挑戦してもムダだろう」と。
しかしながら、良くも悪くも、ジョセフ・マーフィーが唱えているように、“眠りながら成功する”ことができるなら、「がんばってみようかな」と可能性を信じられることでしょう。
デメリットは、ジョセフ・マーフィーのいうことをいつまでも信じていては、肝心の叶えたい夢には近づかないこと(汗)。あくまでも彼の唱えていることは、疑似科学の域を出ませんので。
1-2.ジョセフ・マーフィーがオススメの人/そうでない人
ジョセフ・マーフィーがオススメの人は、自分のやりたいことをガマンしている人ですね。一度きりの人生なのですから、本当にやりたいことがあるなら、ジョセフ・マーフィーが唱えている理論をいっときは信じて、考え方の制限をはずして、最初の小さな一歩を踏み出してみても良いと思いますよ。
逆にオススメでない人は、実際にビジネスや本当にやりたいことに向かって、行動し始めている人です。最初の小さな一歩が踏み出せたなら、その先は厳しい現実が待っています。しかしながら、恐れることなかれ。目標と課題に向きあって、コツコツと前進を続けることで必ずあなたは、得たい成果を得ることができます。
ジョセフ・マーフィーのような「ラクに成功する方法」でなく、本当に成果をあげるための情報を集めて実践していきましょうね。
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ビジネス心理学とは?2.ジョセフ・マーフィーの代表的な本2冊と名言
この章では、ジョセフ・マーフィーの代表的な本を2冊紹介します。とはいえ、あなたに積極的に読んで実践してほしいわけではありません。なぜなら、彼の本の内容は科学的に実証されているわけではありませんので、再現性が低いからです。くわしく知っていただいたうえで、興味があれば読んでみてもよいですが……。
では、2冊を人気が高い順にご紹介いたしますね。
2-1.『眠りながら成功する』
『眠りながら成功する―自己暗示と潜在意識の活用』
ジョセフ・マーフィー (著), 大島 淳一 (翻訳)
1963年にアメリカで初版が発行されたジョセフ・マーフィーの代表作。潜在意識を使いこなす方法を中心に書かれています。内容は大きく分けて2つ。
1.潜在意識に語りかける方法
2.つかう言葉を選ぶこと
では、そもそも潜在意識とは何でしょうか……?
上記の図のように、わたしたちの意識を海面に浮かぶ氷山に例えます。わたしたちが認識できる部分が、海面上の“意識”。そして、わたしたちが認識できない部分が、海面下の“潜在意識”と呼ばれます。
見ての通り、潜在意識が意識全体の大部分を占めています。つまり、潜在意識を味方につければ、眠っている間もあなたを成功に向けてドンドン導いていくれる、というわけです(笑)。
そのために、わたしたちが普段つかっている言葉を選ばなくてはいけないそうです。なぜなら、日頃何気なくつかっている言葉は、潜在意識に大きな影響を与えるから……。
たとえば、ジョセフ・マーフィーには以下のような名言があります。
「あなたの成功や目標達成をじゃまする唯一のものとは、あなた自身の考えや心で思っていることです。」
上記のようなポジティブな言葉を常に自分に投げかける。すると、潜在意識が自動的にあなたを目標に導いてくれる……そんな理論ですね。
あくまでも、ジョセフ・マーフィーが主張している考え方です。参考までに知っておくとよいでしょう。
2-2.『マーフィー 眠りながら巨富を得る』
『マーフィー 眠りながら巨富を得る―あなたをどんどん豊かにする「お金と心の法則」』
ジョセフ マーフィー (著), Joseph Murphy (原著), 大島 淳一 (翻訳)
1972年にアメリカで初版が発行されました。前章の本とともに、ジョセフ・マーフィーの代表作です。
基本的なコンセプトは、『マーフィー眠りながら成功する 』と同じです。潜在意識の力をつかって、経済的な豊かさを手に入れる方法について書かれています。そして、前作と同様に精神的な安らぎを得ることについても、触れていますね。
ジョセフ・マーフィーの本の効果としては、後者の精神的にラクになることのほうが大きいでしょう。心がささくれだっている方には、オススメの本かもしれません。
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ビジネス心理学とは?3.ジョセフ・マーフィーの潜在意識による成功法則と体験談
潜在意識をつかった成功法則といえば、近年では“引き寄せの法則”が有名ですね。もし、引き寄せの法則をくわしくご存じないのであれば、以下の記事をご覧ください。潜在意識や引き寄せの法則を盲信して、人生を棒に振る前にしっかり理解を深めましょう。
さて、この章では過去にジョセフ・マーフィーを盲信し、実践していたわたしの体験談をお話したいと思います。当時のわたしは、とにかく「ラクに、簡単に、確実に」人生がうまくいく方法に魅せられていました(泣)。
たとえば、ジョセフ・マーフィーの教材を数十万円で販売している会社があります。その会社では、以下のような音声を数時間にわたっておさめたプログラムを販売しているのです。
ジョセフ・マーフィー(Joseph Murphy)■お金・豊かさ編■【YouTube】
こんな音声を寝る前に5分、朝目覚めてから5分、リラックスして聞き続けるだけで成功できるというのです……(汗)。わたしがマジメに上記のような音声を聴き続けて1ヶ月……どうなったかというと……?
もちろん、なにも起こりませんでした。そして、なにも変わりませんでした(笑)。
世の中には、わたしたちの「ラクに、簡単に、確実に」人生をよく変えたい、という欲求を狙い、さまざまなプログラムが販売されています。お金が十分にあって、どういうものか聴いてみたい、と言うかた以外は、他の自己投資を考えたほうが、コスパがよいですね。
4.眠りながら巨富を得ることは“不可能”
ここまで記事を読みすすめていただいた賢明なあなたなら、すでに答えはわかっていますよね?
わたしたちがジョセフ・マーフィーの考え方や、ワークを実践しても、眠りながら成功したり、巨富をえたりすることは不可能です。
それは潜在意識の存在自体が、疑似科学であり、100年近く前の心理学者であるフロイトやユングの理論をネタに、自己啓発の著者やセミナー講師が流用しているだけだからです。
たとえば、100年前の車をつかっているというと、わたしたちは「ありえない! 古すぎでしょ!」と感じますが、100年前の心理学を信じているといっても、なぜか違和感がないのです。
しかしながら、心理学も進歩しています。最新の心理学を手軽に学びたいあなたには、こちらの記事をオススメいたします。正しい心理学を学べば、潜在意識系のセミナーにハマって借金地獄におちいったり、精神不安を持ち続けるといった、一生抜けられない迷路に迷い込むこともなくなります。
また、ジョセフ・マーフィーと同じような理論を提唱している自己啓発の著者に、ナポレオン・ヒルがいます。「思考は現実化する」という主張をしていますが、果たして真偽のほどは……? 以下の記事も潜在意識の理解を深めて、一生、思考を現実化できない人生を避けることに役立ちます。