メンターとは、人生やビジネスなどの指導者、支援者のことです。『オデュッセイア』という叙事詩の賢者「メントール」がその由来です。メンターは多くの経験や実績を持っているのですが、手取り足取り教えるのではなく、精神的な支えをする人物を指します。
さて、私は昔、次のような悩みを持っていました。「ああ、いいメンター(師匠)がいて、自分のことを引き上げてくれないかなあ……」「メンターがいれば、私もビジネスで成功できるのに……」私も昔、そんな悩みを持っていました。などなど。今思い出すと青臭いですね。
とはいえ、私が今、ビジネスで小さな成功をすることができたのも、人生の要所要所で、メンターから良いアドバイスを受けられたからです。少なくとも、自分の力だけではここまで来られませんでした。
「机をはさんで賢者とかわす1回の会話は、1カ月かけて本を読むのに値する」。これは中国のことわざですが、まさにそのとおりです。
この記事では、メンターの意味や探し方、良いメンターの条件、メンターになってもらう方法、メンターから離れるタイミングなど、メンターについてのすべての悩みを網羅しました。
本気で書きましたので、ぜひブックマークして、あなたの人生の色々なステージで何度も何度も繰り返し読んでいただければと思います。
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ビジネス心理学とは?目次 〜メンターとは? 意味から探し方まで教えます!〜
1.メンターとはなにか? 意味を解説
私は、有名な経営者の本が好きでよく読むのですが、そうすると興味深いことに気づきます。
大きな成功をおさめた経営者には、メンター、すなわち師匠がいる、ということです(もちろん、まったく師匠がいない経営者もいますが)。
たとえば、サイバーエージェントの藤田晋(ふじた・すすむ)さんにとってのメンターは、USENの宇野康秀(うの・やすひで)さんや、幻冬舎の見城徹(けんじょう・とおる)さんでしょう。
ヴァージングループの会長、リチャード・ブランソンにとってのメンターは、フレディー・レイカー卿ですね。
ビジネスの修羅場や踊り場で、メンターと呼ばれる人が適切なアドバイスをすることで、ビジネスがうまくいっているのです。こうした、常につきっきりで教えてはもらえないけれど、人生の要所でよいアドバイスをくれる人、それがメンターです。
他にも成功者に共通する特徴はいろいろありますが、この記事では説明しません。ビジネスやダイエットなど、誰もが憧れる成功者に共通の特徴は以下の記事でくわしく解説しています。この記事では成功するための習慣化の方法や成功を支える名言も紹介していますので、成功者の仲間入りをしたい方は、読んでみてください。
1-1.メンター探しの前に、メンティーを知っておこう!
アドバイスをくれる師匠がメンターですが、その対義語はメンティーです。つまり、メンティーとは弟子のことですね。
ここでメンターとメンティーの役割について考えてみましょう。
想像してみてください。あなたが、成功した経営者だとします。そんなとき、どういう人に対して、無料でアドバイスをしてあげたくなりますか?
私も経験がありますが、「とにかく何でも教えてください」と言ってくるような、自分勝手な人には何も教えてあげたくないですよね。「なんでわざわざ、あなたに無料でアドバイスをしなければいけないんだ」と思うはずです。
つまり、メンティーの役割は下記になります。
- メンターに時間やお金をかけさせないこと
- メンターのプライドを満たしてあげ、決して顔にドロをぬらないこと
- 素直に、教わったアドバイスを実行し、逐一報告すること
- メンターに何かしらの貢献をすること
- メンターに「こいつ、将来が楽しみだな」と思わせること
- 人間的な「かわいらしさ」があること
もしあなたが、メンターを見つけたいと思ったら、まず自分自身(メンティー)の役割を思い出してください。この役割を果たせない人は、そもそもメンターが見つからないか、メンターが見つかってもメンターから利用されるのがオチです。
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ビジネス心理学とは?2.必読! メンターの条件と探し方とは?
では、本題です。どうやればメンターが見つかるのでしょうか。そのためには、メンターの心理状況を考えてみることです。
今の時代は、TwitterやFacebookなどのSNSで、結果を出している経営者に直接連絡ができる時代です。
ですから、ビジネスがそこそこ成功している経営者は、「ビジネスで結果を出す方法を教えてください」というようなことをよく言われます。それこそ頻繁に、そういった連絡がくるので、食傷気味です。
そのためにも、前述したメンティーの条件を満たしていないと、まず相手にされないと思ってください。いきなり、「メンターになってください」と言ってくるような人は、相手にもされないでしょうね。
この章では、メンターの条件と探し方について、解説します。
2-1.メンターを探すときの必須の条件 2つ
メンターの条件としては2つあります。
まず、メンターの条件として一番重要なのは、「あなたが得たい結果を得続けている人」ということです。なぜ、得続けていることが重要なのか? それは得たい結果を得ているのが短期間だけであれば、ラッキーパンチが当たった場合もあるからです。
ビジネスの場合、「たまたまテレビがとりあげてくれて、商品が大ヒットになった」とか、「よく理由がわからないけれど、ブームが起きた」みたいな、ラッキーパンチを当てる経営者はいます。残念ながら、そういう人のアドバイスには再現性がありません。
メンターの2つ目の条件は、「人間的に好きか」ということです。もしメンターになってもらった場合、あなたは、ずっとその人からアドバイスをもらうことになります。
あなたのことを利用したり、馬鹿にしたりするようなメンターだと、ずっと付き合い続けるのが苦しくなってくるはずです。「人間的に好きな人」をメンターにしないと、メンターから教えをもらい続けるのはむずかしくなるでしょう。
2-2.メンターの探し方 4つのヒント
続いて、メンターの探し方ですが、これはなかなか難しいです。色々な経営者の自伝を読んでも、私の経験談からしても、「これをすれば必ずメンターが見つかります」という方程式は見つけられませんでした。
ただ、いくつかの共通項をあげるとしたら、こうなります。
1.自分の得たい結果を明確にして、常にそれを意識する
2.得たい結果を出している人の本を読んでみる
3.得たい結果に関するイベントに顔を出してみる
4.得たい結果を色々な人に話し、紹介をお願いする
当たり前の方法論ばかりでごめんなさい(笑)。でも、現実はこんなものです。私自身も、メンターとは本当に偶然の出逢いばかりでした。
人と人との出逢いというのは偶然によるところが多いので、「とにかく色々と行動しまくってみましょう」としか言えないのです。
あと、上にはあえて書きませんでしたが、「得たい結果に関するセミナーを受けてみる」といった方法もあります。ただ、セミナーは高額なことも多いので、行きまくっているとすぐにお金がなくなります。行くセミナーは厳選してください。
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ビジネス心理学とは?3.メンター制度とは 何の準備もなくメンターになることも
どうやってメンターになってもらえばいいのかを解説する前に、メンター制度についてご紹介しておきましょう。というのも、最近は何の準備もなくメンターにさせられてしまう方もいるからです。厚生労働省が、メンター制度を導入した企業に助成金を出しているため、この制度を利用する会社が増えています。
この章ではあなたがメンターになったとき、どんなふうにメンティに接していけばいいかについて、特に効果のある方法を紹介します。ですから、純粋にメンターを探している方は、この章を飛ばして読んでいただいても構いません。ただし、メンター(教える側)がどんな考え方をして、どんな苦労をしているのかを知っておくことも、きっとプラスになると思います。
3-1.メンター制度とは メリット・デメリット
メンター制度とは、会社などの組織において、上司とは別に指導したり相談に乗ったりする役割を担う社員が、後輩社員をサポートする仕組みのことをいいます。
この仕組みのメリットは、まず先輩社員と後輩社員のコミュニケーションが円滑になることが挙げられるでしょう。また、メンター側の社員のリーダーシップを育てることにもつながります。メンティ側もいつでも相談できる先輩を持つことで、離職などを避ける効果も期待できるでしょう。
メンター制度のデメリットとして考えられるのは、相性の悪いメンターを後輩社員にあてがってしまうと、上記のメリットがすべて反対に作用してしまうことです。ですから、メンターになる先輩社員と、そのメンティになる後輩社員の性格や特性などを十分に吟味する必要があります。
3-2. メンター制度の導入で突然メンターになったら
あなたは、会社で突然メンターになってここを見ているかもしれませんね。ここでは、そうした方に向けて有効な考え方や情報を紹介します。
まず、メンティに根性論や精神論でのアドバイスは避けたほうが無難です。たとえば、「気合が足りないから君はそうなんだ」とか、「仕事に対する姿勢が悪いから結果が出ないんだよ」などといったことです。
こうしたアドバイスは、一時的には効果があるかもしれませんが、長期的に見ればメンティのプラスにはならないことが多いです。逆にあなたに不信感を持つかもしれません。アドバイスはできる限り具体的にしたほうがいいでしょう。そうしないと、メンティは何をすればいいのかわからなくなってしまいます。
また、メンティの心構えや精神といったことよりも、どういう行動をしているか、実際にどんな結果を出しているかに着目しましょう。こうした定量化できることに注視することで、具体的なアドバイスをしやすくなります。また、あなたがメンターになったことで、どんな結果が出たかを測定する指標にもしやすいです。
なお、メンターになったあなたにぜひ身につけてほしいことは、コーチングや傾聴のスキルです。特に傾聴を身につければ、あなたは後輩のことをより深く理解でき、メンターとしてどんなアドバイスをすればいいかが手に取るようにわかってくるはずです。
傾聴の方法については、以下の記事で詳しく説明しています。よりよい指導者になりたいと考えるならぜひ記事を読んで、後輩メンティから信頼されるメンターになってください。
4.メンターになってもらう方法 3ステップ
続いて、メンターになってもらう方法です。もしメンターの候補が見つかったとしても、「私のメンターになってください!」と懇願しまくることだけはやめてください。無視されるだけですから。
幼少期に親との関係が悪かった人だと、大人になっても、「親の代わりに愛情をもらえる存在」として、メンターを探し求める場合がありますので要注意。こういう人は、メンターよりも先にカウンセラーを探して、心のキズをなおした方がいいでしょう。そんな依存的な状態では、メンターから見捨てられるだけです。
この章では、メンターになってもらうために有効だと思える方法を3つ、ご紹介します。
4-1.思い切った行動をして、接点を作る
まず、大切なのは思い切った行動をしてみるということです。メンター候補の人から「今度、私のイベントがあるけれど、来る?」みたいに誘われたとしたら、必ず参加しましょう。
これはメンターに限らず、人脈作りのコツですが、相手からの1回目のお誘いはできる限り断らないことが大切です。1回目で断ってしまうと、「ああ、この人は脈がないな」と思われて、2回目のお誘いがありません。すると、関係はそこで終了です。
さらに、「そのイベント、何かお手伝いできることはないですか?」と逆に聞いてみるくらいの行動力が欲しい。世の中のメンターたちは、多くの人を見ているので、思い切った行動をする人でないと、ほぼ記憶に残らないからです。
4-2.メンターにメリットを提示する
続いて、大切なのは、「メンターから何かを与えてもらいたい」というスケベ心で接しないことです。逆に、「メンターに、いかに与えられるのか?」を考えてください。
メンターとは、あなたに与えてくれる人ではなく、あなたが与える人、と言ってもいいかもしれない。
「そんなことを言ったって、自分よりも格上の人に、何を与えればいいのかわからないですよ」と思うかもしれませんね。そのとおりです。だからこそ、メンターになってもらうのが難しいのです。
何も与えてあげられないとしても、メンターのプライドを満たしてあげるくらいはできるはずです。メンターの持っているものとか、出した結果、人間性、やってきたことなどに「感動」してあげましょう。
とにかく何でもいいので与えてあげようという姿勢を見せてください。
4-3.十分な実績を出して、人を育てる喜びを与える
最後に重要なことは、あなたが十分な実績をだすことです。
私たち人間には、人を育てる喜びというものがあります。人の成長を見ていく楽しさというのは格別ですよね。
そのためにも、自分の実績をアピールして、「私は有望株です!」ということを、メンター候補に示さなければいけません。それではじめて、「こいつを育ててもいいかな」と思ってもらえるのです。
私も含め、世の中の経営者というのは、「ビジネスを教えてください!」と言われることが多いです。しかし、どうせ教えたところで、ほとんどの人は「でも……」と言い訳ばかりで行動してくれない。また、行動したとしても教えてもらったとおりに素直に行動しないことを、世の中の成功者たちはよく知っています。
ですから、教えるのは、はっきり言って面倒くさい(笑)。「どうせ、この人も、私がアドバイスをしたところで、行動してくれないだろう」とあきらめているのです。あなたは、そういった「その他大勢」とは違い、結果を出せる人間だということを示してください。
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ビジネス心理学とは?5.メンターとの接し方で大切な3つのポイント
世の中のメンターと呼ばれるような人というのは、毎日を本気で生きています。
なかには、大病をわずらっていて、先が長くない人もいます。そういった方々の、残り少ない命のともし火をムダにしないようにしましょう。
「あなたの死後は、私にお任せください」と言えるくらい、本気で接しましょう。メンターは、あなたにそれを望んでいます。
5-1.メンターに依存をしない
まず、大切なことは、メンターに依存をしないことです。メンターというのは、あなたの親ではありません。自立した人間同士の関係を築きましょう。
与えてもらってばかりではなく、Give & Takeで、与えてもらった分は必ず恩返ししましょう。あなたが与えてもらってばかりでは、関係は崩壊します。
また、メンターと言えども人間です。たいてい、大きなことを成し遂げている人というのは、人間的に変な人が多いです(笑)。頭のネジがいくつか外れているからこそ、普通ではできないことを成し遂げているのです。
そういった、メンターの汚い部分や理解できない部分を見ても、軽蔑したりしないでくださいね。相手に依存をしていると、メンターの汚いところや理解できないところを見るたびに不快な思いになるでしょう。
5-2.定期的に現状を報告する
これは、私からのお願いです。あなたが結果を出そうと、出すまいと、定期的に現状の報告をしてあげてください。最低でも、月に1回は報告しましょう。
「最近の現状は、●●です。さらに、今度は●●の結果を狙います。なお、メールの返信は不要です」というように、相手の手間をかけないように報告を続けましょう。
運が良ければ返信が返ってくる場合もありますが、基本的には返信はないと思ってください。それでもいいのです。報告を続けましょう。
メンターが、なぜメンティーを取るのかと言えば、前述したとおり「人の成長を見ていく楽しさ」のためです。あなたの報告を、楽しみにしているはずなので、とにかく現状の報告は忘れずに。
半年から1年くらい報告を続けていると、意外とメンターの方から「食事でもしませんか?」と誘ってくれる場合もあります。そうしたら、「はい、ぜひ!」と返信しましょう。ここで謙遜してはいけません。
5-3.常にメンターの言動を先読みする
もしあなたが、メンターの行動を直接観察できる機会があったらチャンスです。注意深く観察し、メンターの言動を先読みするようにしましょう。
そして、相手がして欲しいと望むことを、何か指示をされる前にできるようになってください。お客さんがタバコをくわえた瞬間にライターの火を差し出すホストのように(笑)。
これをするメリットは2つ。まず、メンターから「気が利くな」と気に入られること。そして、こちらの方が大きいのですが、メンターの思考パターンがあなたの中にインストールされること。
常にメンターの言動を先読みできるようになったとき、あなたはメンターと同じ結果を出していることでしょう。
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ビジネス心理学とは?6.メンターから離れるときは?
メンターから、生涯学び続けてもいいですが、あなたの成長のためにメンターから離れたほうがいい場合もあります。
この章では、メンターから離れたほうがいいタイミングについてご紹介しましょう。
6-1.そもそもメンターとして相手がふさわしくないとき
「この人はすごい結果を出しているから、色々と学ばせてもらおう」と思ったしても、実は相手がメンターとしてふさわしくないときがあります。
たとえば、実は自分の勘違いで、大した結果を出していなかった、とか。または、すごい結果を出していても、そのプロセスを生理的に受け入れられなかったり、今の自分のステージでは何も学べそうになかったりしたとき、とか。
こういうときは、あなたのためにも、離れたほうが無難です。「新しく、やりたいことができました。今までありがとうございました。」とお礼を言って、離れましょう。この断り方なら角が立ちません。
6-2.メンターから利用されていると感じたとき
大きな結果を出しているメンターは、頭のネジが外れていると書きましたが、これは本当なので、気をつけてください。
「人のことを利用しても、何とも思わない」というような自己中心的な経営者を、私は今までたくさん見てきました。メンティー(弟子)からお金をとって自分の家の家事をやらせるような人や、メンティーの会社の売上をネコババするような人など。
もしあなたが、メンターから利用されていると感じたときは、離れるのがいいでしょう。特に、セルフイメージが低い人は、「私は人から利用されて当然」と思っていて、メンターに利用されまくる場合が多いです。
なお、セルフイメージが低いと、それ以外でも様々なデメリットがあります。「人間関係がうまくいかない」とか「ダイエットできない」、「高額なお金をもらうと罪悪感が生まれる」などなど。
もし、自分のセルフイメージが低いと感じる場合はこちらの記事をお読みください。セルフイメージを変える4つの方法が書いてありますが、とても参考になります。
6-3.メンターから学ぶものが少なくなったとき
メンターから学び続けていると、「ああ、この人から学びたいことは、ほとんどないな」と感じる瞬間がいつか来ます。そうしたときは、メンターから離れましょう。卒業、おめでとうございます。
当たり前ですが、メンターの人生とあなたの人生は違います。方向性が似ているから、メンターのもとで学び始めたのでしょうが、いつまでも同じ方向に進み続けるわけにはいきません。
あなたがメンターからずっと長く学び続けた場合は、完全に離れなくてもいい場合もあります。相手が望めば、定期的に情報交換をする関係になったり、友達として付き合う関係になったりするのもいいと思います。
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ビジネス心理学とは?7.最後はあなたがメンターになろう
さて、私がなぜこの記事を書いているかというと、私も今まで、色々な経営者から、色々なアドバイスをいただいてきたからです。そして、ビジネスを通して、育てていただきました。
私も昔は、とても依存的な人間で、自己中心的な人間でした。今でも、その傾向は強いですが、それでもだいぶマトモな人間になれました。
ですので、その恩返しができればと思って、この記事を書いたのです。あなたもぜひ、いつかはメンターとなって、自分の業界へ恩返しをしてあげてください。それが、私からの一番のお願いです。