現役コーチ直伝! コーチングの傾聴の技法とスキルアップ法

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あなたはコーチングやカウンセリングについて学びはじめて、傾聴について知りたくてこの記事にたどり着いたのでしょうか。それとも、福祉や心理などに関する仕事をしていて、同僚などから傾聴という言葉を聞いて調べているのかもしれませんね。

傾聴とは、こころを込めて相手の話に耳を傾けることです。

これって、わかってはいるけれど、意外とムズカしいと感じませんか。

ここで紹介する傾聴のスキルを実践すると、あなたの仕事の幅が広がるのはもちろん、お客さまの人生にもより良い変化を与えることができます。

わたしもメンタルコーチとして実際に傾聴を実践していますが、このスキルなしにはお客さまに喜んでいただけることはありません。

それでは、リラックスしながら読み進めてみてくださいね。

目次 ~コーチングの傾聴の技法とスキルアップ法~

1.傾聴とは?

2.コーチングにおける傾聴スキル

3.コーチングにおける傾聴の重要性

4.傾聴力の高め方

5.傾聴力を高めることで相手のチカラになれる

1.傾聴とは?

1.傾聴とは?

あらためて傾聴とは、相手の話をただ聞くことだけではなく、積極的に相手に興味を持って、相手が思っていること、感じていることまで注意深く耳を傾けることです。

たとえば、仕事でミスをした部下から「明日から、またがんばります」という言葉を、あなたが聞いたとします。そのとき、「がんばります」という言葉だけをとらえれば「次は失敗せずに取り組んでくれるだろうな」と思うかもしれません。

けれども、もしこの言葉を暗い表情で、チカラのない声で言ったとしたらどうでしょう。なにか不安を抱えているのかもしれませんよね。

話された言葉と同時に、相手の表情やしぐさ、声のトーンや大きさなど、言葉以外の「声」にまで注意を向けて聴くことが傾聴のポイントです。相手のすべてを受け入れながら、よく観察するということですね。

これは、「相手を理解しよう」「相手の気持ちに寄り添おう」という姿勢がないとなかなかできません。

そして、本当に上手な聴き手に傾聴されると、話し手は自分自身のこころの声を聴くことができます。すると、いままで気づかなかったことに気づいたり、ひらめきや思いなどが浮かんできたりします。

1-1.傾聴することで得られる3つのメリット

それでは、傾聴することで、どのようなメリットがあるのでしょうか? 

  • お互いに親しみを感じられる
  • 自分の世界観が広がる
  • 自分についての理解が深まる

まず1つ目は、傾聴することで、お互いに親しみを感じることができます。
わたしたちは誠意を持って自分の話を聴いてくれる人に好意を抱きます。
そして、信頼を寄せるようになります。すると、円滑にコミュニケーションを取ることができるので、人間関係が良好になります。

2つ目は、傾聴することで、相手の気持ちや考えなどを理解することができるようになります。
そのため、自分だけではなく、相手の経験からも学ぶこともできるので、自分の世界観が広がり、人間性が豊かになります。
あなたにも相手の話を聞いて新しいことに気づいた経験がありますよね。
傾聴すると、相手の考えや気持ちも話してくれることがあるので、人をより深く理解する経験を持つことができます。

3つ目は、傾聴することで、自分についての理解が深まります
自分の気持ちに素直になったり、自分のこころの課題に向き合ったりすることは、自分の本音に気づくことにつながります。
自分の言葉や感じを表現しようとより自分の内面にアクセスするようになるので、自分を深く理解することになります。

1-2.傾聴できる人が、いま求められている

経済産業省が示している考え方に「社会人基礎力」というものがあります。これは、仕事をするうえで必要となる基本的なチカラを知るときや、人材を育成するときに参考となる考え方です。

社会人基礎力とは

引用元:社会人基礎力 – 経済産業省

この中で「傾聴力」は、チームワークに必要なものとされていて、社会人としてもっておきたいチカラのひとつとされています。

また、中間管理職クラスのわたしの友人の話では、若い社員が本当は(本音のところ)どう思っているのかわからないことがあるのだそうです。そのため、なにげない機会をねらっては部下の話を聴くようしていると言っていました。

話を聴いているうちに、仕事に関する新しいアイデアが出ることもありますが、仕事でつらいことや苦手にしていること、部下がこれくらいは知っているだろう……と思っていたことが、意外にわかっていないことがあることにも気づいたようです。

このように、上司が部下の話を傾聴することは、部下のメンタル面での改善に役立ちます。

また、お客さまの話にも傾聴することで、お客さまが本当に求めていることや考えていることをくみ取ることができます。こころから満足のいくサービスや商品を提供することができますから、接客業や営業職の方などもスキルとしてもっておくことをオススメしておきます。

そのほか、高齢でひとり暮らしの人、災害にあわれた人、長い間入院している人などに向けて、悩みや不安、さびしさやかなしみなどを、話を聴くことで解消する、傾聴ボランティアなどのニーズもあるようです。

2.コーチングにおける傾聴スキル

2.コーチングにおける傾聴スキル

傾聴するにあたって大切なことは、本来、スキルよりも相手をありのままで尊重して、気持ちに寄り添いながら理解することです。とはいえ、はじめの段階では、スキルを活用することで傾聴するきっかけをつかむことができます。

ここでは、効果のあるものを5つにしぼって、スグにできるものから紹介します。

2-1.傾聴スキル|うなずき、あいづち

うなずきやあいづちは、「あなたの話をちゃんと聴いていますよ」ということを相手に伝えるメッセージになります。

あなたが誰かに話しているときに、うなずきやあいづちが少ないと「ちゃんと話を聴いてくれているのかな」「わかってくれているのかな」と不安な気持ちになりますよね。そんな状態が続くと、「話しても仕方ないな」とだんだん口が重くなってしまいます。

ただし、「ウンウンウンウン」「アッ、ソー」「ナルホドネー」なんて、うなずきすぎたり、あいづちを打ちすぎたり、話の内容も聴かないでテキトーにしていると、かえってバカにされているように思われます。そのため、うなずきやあいづちは、相手の話すペースに合わせたり、適度に間を置いておこないましょう。

2-2.傾聴スキル|アイコンタクト

相手の目を見て話を聴くことで、相手は自分の話が伝わっていると思えます。

もしあなたが誰かに話を聴いてもらっているときに、よそ見をされたり、別な作業をしている方へ視線を向けられたりしたら、「この人、わたしの話を聴いているのかな?」「この人に話していいのかな?」などと不安に思いますよね。

ただし、じっと見つめられると話しにくいという人もいます。

あなたもずっと目を合わせ続けられたらイヤかもしれません。

アイコンタクトのコツとしては、相手の顔のあたりをボーっと見ていたり、鼻の頭やネクタイの結び目あたりを見ながら、ここが大切だというところで、しっかりと視線を合わせるといいですよ。

いろいろためしてみて、あなたがしっくりくるアイコンタクトを見つけ出してみてくださいね。

2-3.傾聴スキル|繰り返し

相手の話の要点をくり返し伝えます。たとえば、話の中で何度も繰り返し話されている点やキーワードなどは相手にとって大切な気持ちを表した言葉です。そのため、そのままくり返して伝えます。

すると「あなたの話を理解している」ということをより明確に伝えることができます。そして、相手は「ちゃんと話を聴いてくれているんだな」と思うことができます。

傾聴がうまくなったら、聴き手の理解が相手の気持ちや思いを正しく理解しているかどうか確かめるような繰り返しをしてみるのもいいかもしれません。これができると、お互いがより理解し合えている感じがして、傾聴に深みが増します。

2-4.傾聴スキル|言い換え(要約)

傾聴をしていると、相手の話が状況や場面などの説明で長い場合があります。

それをそのまま相手にくり返して話すとタイクツしていまいそうですよね。さらには、自分の内側の感情や考えに集中できなくなってしまいます。

その場合は、傾聴する側が、話の要点を自分の言葉に置き換えて返すことが有効です。説明の部分ははぶいて、相手が伝えたい話のポイントだけを返すようにしましょう。

2-5.傾聴スキル|沈黙

相手がなにも話してくれないと、ついこちらから話してしまうという経験、あなたにもあるかもしれません。

でも、あなたの傾聴がうまくいっている場合の沈黙は、相手が自分のこころの深い部分を探っている可能性があります。あるいは、自分の感情にひたるため、思考をめぐらすためにだまっているのかもしれません。

そのときは、沈黙を破らず待ってあげましょう。そして、相手の表情や体の動き、呼吸などに注意を向けながら相手の様子を観察してみてください。

しばらくして、「うん、わかりました」「そういうことか」などと言いながら、相手は自分の中で納得することもありますし、整理するためにあなたに話しはじめるかもしれません。

もしかすると、あなたには話したくないという警戒心のあらわれかもしれません。そのときは、「話したくないのかな」「話すことが浮かばないのかな」などとやさしく問いかけてみるのもいいでしょう。日を改めたり場所を変えてみたりすることもひとつの方法です。

3.コーチングにおける傾聴の重要性

3.コーチングにおける傾聴の重要性

コーチングは、対話をとおして相手の能力を最大限に引き出し、目標を達成したり自己実現に向かわせたりする手法です。「すべての答えは相手の中にある」という前提で対話をおこなっていきます。相手のこころの声を聴くうえで、傾聴することがとても重要になります。

3-1.傾聴はクライアントとの信頼関係をつくる

わたしたちは、自分のことをわかってほしいという気持ちを抱いています。

相手に話を聴いてもらえると、わたしたちは「自分のことを理解してもらえた」「尊重してもらえた」「自分に興味を持ってくれた」と感じます。すると、聴いてくれた相手に対して好感や安心感を抱きます。それらの感じは、この人には話しをしても大丈夫、話をしたいなという気持ちにつながり、それは信頼関係を築くための第1歩になります。

コーチングにおいて、まず大切なのは信頼関係を築くことです。その結果、コーチングもうまく進み、相手の望む結果へと導くことができます。

信頼関係を築くことは、コーチングをはじめこころの支援をされている方にとっては必須のスキルです。もちろん、傾聴は大切ですが、それだけでよりよい関係ができるわけではありません。

信頼関係のつくり方はこちらの記事でもくわしくお伝えしているので、ぜひ読んでみてください。

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3-2.傾聴はクライアントに自信をもたせる

どんなことでも聴き手に傾聴してもらえると、自分の気持ちを素直に話すことができます。

自分の気持ちを素直に話すという行為は、自分の中のこころの声をじっくり聴くことができるからこそ成り立つものです。コーチングをしているときの特別な空間の中でこころの声を聴くと、いままでは気づかなかったことに気づいたり、思いが浮かんできたりします。

そうしていくうちに、だんだんと自分の気持ちやありのままの自分を素直に受け入れられるようになります。つまり、自分の気持ちや感覚に自信が持てるようになります。

自分の感覚や気持ちに自信が持てると、ほかの人の評価が気にならなくなったり、人間関係がよくなったり、いろいろな考え方ができるようになるので、生きるのがラクになります。そして、もっとよい人生にしたいという意欲もわいてきます。

「わたし、これまでがんばってきたんですね。いろいろ聴いてもらって気づきました」

コーチングをとおして、わたしのお客さまからこのような言葉を多くいただきます。

相手の話を傾聴することで、実はこれまで多くの努力を積み重ねてきたことに気づくことができます。小さな成功体験の積み重ねは、本当の意味で自信につながります。

3-3.カウンセリングにおける傾聴

コーチングにおいてもカウンセリングにおいても、相手の話に傾聴することはとても大切です。

実際の場面では明確な線引きがあるわけではないのですが、しいて言うならば、この2つは目的がちがいます。

コーチングは、行動を変えて目標を達成することを目的としています。対話をとおして、相手の能力を最大限に引き出すサポートをしていきます。

対してカウンセリングは、自分の中での深い癒やしを目的としています。自分のこころの声を聴きながら、自分で解決したり、自分で決めたりできる、自立した人間へと成長していくサポートをしていきます。

ただ、わたしが実際に個別に相談を受けているときは、つねにどちらか一方の傾聴をしているわけではありません。その時、その場の状況に応じて、それぞれの目的に合った傾聴をしています。

大切なのは相手の方の人生に変化をもたらすことです。

4.傾聴力の高め方

4.傾聴力の高め方

傾聴するチカラを高めるためには、何度も傾聴する練習をすることです。

まずは、身近な人の話を傾聴することからはじめてみるといいと思います。もし、同じように傾聴するスキルを身につけたいと思っている仲間がいれば、聴き手と話し手をお互いに代えながら練習してみましょう。

仲間からどのように感じたか、どのようにすると話しやすかったかなどの言葉は、実際の場面で活用することができます。

また、練習や実践をはじめたばかりのときには、うなずきすぎて不快に思われた、こちらから沈黙をやぶってしまい相手が深く考える時間をこわしてしまった、目が怖かった、などと言われたり思われたりすることもあるでしょう。

そんなとき参考になってくれるのが、傾聴するのがうまいひとです。

もしあなたのまわりに傾聴することがうまい人がいるならば、その人はどのように相手の話を聴いているのか、観察してみましょう。そして、できることからマネしてみましょう。

可能であれば、その人にあなたの話を傾聴してもらうといいでしょう。自分が傾聴されることでどのような感じを抱くのかを体験することは、あなたがだれかの話を傾聴するときに必ず役に立ちます。

なお、あなたがもう少し傾聴について学びたいと思われるならば、こちらの本が役に立つかもしれません。

プロカウンセラーが教えるはじめての傾聴術

プロカウンセラーが教えるはじめての傾聴術
古宮 昇 (著)

傾聴のスキルはもちろんですが、傾聴する側の基本的な態度やこころの成り立ちなどについても触れているので、傾聴について幅広く学ぶことができます。

図解つきなので読みやすくなっています。

5.傾聴力を高めることで相手のチカラになれる

傾聴をするときに大切なのは、「相手の世界観を尊重して理解しよう」とする聴く側の姿勢です。

そして、相手の話に耳を傾けることで、相手が自分自身の内側の声と対話できるようになれば、かなり素晴らしい傾聴ができている証です。

ぜひ練習や実践をとおして、傾聴するスキルを身につけてください。そして、相手の望む結果へと導いてあげてください。

そのときに相手からあなたにかけられる感謝や喜びの言葉は、時にあなたの人生に大きな影響を与えるほどのとても尊い経験となりますよ。

傾聴について理解できた方は、次のステップとして以下の記事をおすすめします。この記事はよりよい人間関係をつくるアサーションについて解説しています。アサーションの考え方やスキルを使えば、より上手に自己表現したり、苦手な相手との関係をよくすることができます。

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