アートセラピーの可能性6つ|癒し効果~資格・仕事まで

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あなたは絵を描くのが好きですか?心理学にも興味あり?絵を描くのが好きで、さらに心理学やカウンセリングにも興味があるという人にとって「アートセラピー」はとても魅力的に映ります。
最近は、通信教育会社やスクールがチラシなどで「アートセラピーの資格を取得して独立しよう!」とさかんに宣伝をしているせいか、お手軽にアートセラピーで起業ができるようなイメージもできつつあるようです。

わたしは絵を描くのが好きで、大学の教育学部で美術科の中学校教員免許を資格した過去を持ち、社会人になってからは本格的にアートセラピーを学んだ経験を持っています。その後はアートセラピーを主体とした絵画教室に5年ほど通い、制作を続けることによって心の傷をかなり癒しました。

今回は、アートセラピーに最近興味を持ち始めた初心者の方から、本気で資格取得を考えだした方、またアートセラピーの知識を使って、ちょこっと日々の生活に彩りを加えたい方まで、お役に立つような「アートセラピーの魅力と可能性」を紹介していきます。

できる限り中立的な立場で語りたいと思いますので、ポジティブな部分だけではなく、ネガティブな情報も隠さずお伝えしますね。

目次 〜資格から仕事までアートセラピーのすべて〜

1.アートセラピーとは?

2.アートセラピーで得られる効果

3.アートセラピーは万能ではない

4.手軽に体験!アートセラピー

5.アートセラピーに関する資格と仕事の真実

6.新しい波!アートをビジネスに活かす

7.アートセラピーが持つ可能性はまだある

1.アートセラピーとは?

アートセラピーとは?

まずは、アートセラピーとはどういったものなのか、歴史や領域などを簡単にご説明します。とはいっても、とにかくアートセラピーは裾野が広く、それをこのスペース内に短くまとめられるものではないので、あくまでも「さわり」をお伝えします。

1-1.アートセラピーの歴史

アートセラピー(絵画療法・芸術療法)の起源は1940年ごろだといわれています。おもしろいことに、イギリスとアメリカで同時期にスタートしたようですね。画家が結核の診療所や精神病院などの患者に絵を描かせることで、治療効果がみられたところから、アートセラピーは発展していきました。

アートセラピーはこの後、アメリカ、イギリス、フランスなどで、治療の場に積極的に取り入れられます。日本におけるアートセラピーの歴史はそれより遅く、戦後に発展し、また欧米諸国にくらべて知名度も低く、最近までほとんどの方は知らなかったのではないでしょうか。

アートセラピー資格は日本の場合、民間資格ですが、ドイツには国家資格があります。アメリカやイギリスの場合、アートセラピストになるためには、専門の大学や大学院で学んだうえ、臨床心理学の知識とアートに関する知識もハイレベルなものを要求されます。日本のように民間スクールや通信教育などで、短期間学べば簡単になれるわけではありません。

1-2.アートセラピーの領域

絵画がいちばん知名度がありますが、コラージュ、 箱庭、 陶芸、 音楽などから、詩歌、 俳句、 物語、 ダンス……とにかく、芸術の分野であれば、なんでも「アートセラピー」と言えそうです。 ほかにも写真、 粘土造形、 立体造形、……なんと、人形劇や刺しゅう、 茶道、 生花、 書道などもアートセラピーの領域と捉えられていて、今後さらに裾野は広がっていくのではないでしょうか。

2.アートセラピーで得られる効果

アートセラピーで得られる効果

夢中になって絵を描いたり、粘土をこねたり、なにかを一心不乱に創ることで、なんだか気持ちがすっきりした経験がありませんか。絵を描いているときの脳波を調べたり、身体の微妙な変化を調べた結果などもあり、アートセラピーには一定の効果があることは証明されています。けれども効果には個人差が大きく、ここでそういった数値的な出しても意味がないので、おおまかにまとめてみました。

2-1.リラックス効果

絵を描くのが好きで絵画教室に通っているとか、イラストレーターやデザイナーをしているとか、そういう人以外の、普通のビジネスマンやOLのみなさんの場合、学校を卒業してしまってから絵など描くことは、今はほとんどないと思います。なので、ちょっと思い出してみてください。

小学校に上がって、初めて水彩絵の具を使って、画用紙に色を塗ったときのこと。
粘土で怪獣を作ったり、彫刻刀をおそるおそる使って板を彫ってみた感触。

算数や国語の授業は退屈だったけど、図画工作はけっこう好きだった……という方も多いのでは?

よく研究されているのは、脳の使われ方です。算数などを勉強しているときと、絵を描いているときは、脳の別の部分が使われているということは、かなり有名です。脳は同じところばかり使っていると疲れてしまうんですね。だから、別の部分を使うことで、すっきりした気分が得られます。

粘土をこねたり、ハサミを使って切ったり、ノリで貼りつけたり……リラックス効果が得られる理由としてもうひとつ挙げられるのは、手指を使うことで脳の活性化を促すということです。

2-2.心理的な傷を癒す

この効果があることがわかったことで、アートセラピーは発展してきました。心の傷はカウンセリングなどの場で、カウンセラーに注意深く聴いてもらうことで癒すこともできます。けれども「言葉にできないモヤモヤしたもの」があった場合、どう表現していいのか困ってしまうことがあります。

とくに感情は、どう表現していいのかわからず、抑圧されてしまうことが多くあります。そういった場合に、非常に有効とされているのが、アートセラピーです。わたしがアートセラピーで心の傷を癒した経験をお話しましょう。

その絵画教室は、絵の具やクレヨンだけでなく、毛糸や布地、針金やボタン、スパンコール、色紙、紙ねんど、どうやってつかえばいいのかわからないものまで画材として置かれていて、その日の気分で好きなものを選んで創作できました。

疲れがひどい時は、水彩絵の具で、大きな画用紙にただただひたすら線を描くだけ。上から下に青い絵の具で線を描いていると、なんだか涙を描いているような?そんな気分になって、どんどん線を描きました。そうしているうちに気分がすっきり。シャワーを浴びたあとのような感じもありました。

人間関係のこじれから、嫌がらせを受けたこともありました。そのときは、クレヨンをつかって、画用紙からはみ出るくらい激しく色を塗りつけました。怒りと悲しみの入り混じった強い感情をそこに閉じ込めるかのように。数分後、赤と黒で埋め尽くされた画用紙。

とっても気分がウキウキしているとき。このときは、キラキラひかるスパンコールや色とりどりのボタンをつかい、さらにはその上を透明なセロファン紙で包んで、お菓子のような作品を作りました。

ただ創作するだけでも効果がありますが、あとからその作品を見ることとで、自分の感情を客観視できます。その絵画教室では創作の後に、ふりかえりの時間があり、他の人の作品を鑑賞して感想を述べ合ったりもしました。自分の心の傷を表現した作品を他人の目で見てもらい、受け入れてもらうことで傷が癒えていく……という経験もできました。

2-3.創造性開発、アイデア創出

アートセラピーは精神的な傷を癒すだけではありません。さきほども書きましたが、大人の場合、普段の脳の使い方には偏りがあります。夢中で創作活動をすると、なんだかすっきりするのは、脳の「いつも使っている部分」とは「ちがう部分」を使うことによる、リフレッシュ効果があるからです。

なので、仕事をしていてどうにも行き詰まってしまったときに、ちょっと一休みして絵を描いたりすることで、意外なアイデアが出てきたり、すばらしい企画を思いついたりすることができます。くわしくは「6.新しい波!アートをビジネスに活かす」をお読みください。

2-4.ビジネスにも有効

激務の経営者の中には、仕事を忘れてアート制作に没頭する方もいらっしゃいます。

絵画やクラシック好きなら、サントリー美術館、サントリーホールなどはご存じでしょう。そのサントリーの二代目社長であった故・佐治敬三氏。のちにサントリー会長となり、経営者として辣腕を振るっただけでなく美術館やホールの建設にも力を注いで、日本国内での芸術・文化的な貢献もされた方です。

その佐治氏の趣味は、油絵を描くことでした。

「十年ほど前から始めた油絵は、いまでは毎年政財界の画人が集まって開く展覧会に出品するほどの腕前。『画を描いているときは何も考えなくてすむから』。製作は別荘で過ごす休暇があてられる」(「文藝春秋」平成二年四月号「日本の顔」より)

引用:本の話WEB  文春写真館 あのとき、この一枚「文化、芸術を愛した佐治敬三の趣味は油絵」

3.アートセラピーは万能ではない

アートセラピーは万能ではない

現在、さまざまな心理療法があり、それぞれに一長一短があります。アートセラピーも例外ではなく、万能な心理療法ではありません。ここではアートセラピーの注意点を2点挙げました。

3-1.被災地で起きた過剰なボランティア活動によるトラウマ悪化の例

アートセラピーは、他の心理学療法やセラピーと同じで万能ではありません。気をつけなくてはいけないのは、特に小さな子供のこころのケアに使う場合です。アートセラピーは、言葉にできない、表現しにくいものをアート制作によって心の外に吐き出す、ある意味排泄行為にちかい部分があります。
なので、子供の場合は、無意識に絵にしてしまったもの(自分の内側から出てきたもの)を見て、驚いたり怖くなったりしてしまうことがあるのです。

臨床心理士ら約2万3千人が所属する同学会が9日にまとめた「『心のケア』による二次被害防止ガイドライン」では「絵を描くことは、子ども自身が気づいていなかった怒りや悲しみが吹き出ることがある」と指摘。特に水彩絵の具のように、色が混ざってイメージしない色が出る画材を使う際には、意図せず、強い怒りや不安が出てしまう心配があるため、注意が必要とした。

引用:朝日新聞digital  2011年6月10日記事 「アートセラピー」かえって心の傷深くなる場合も

記憶にまだあたらしい東日本大震災の後、アートセラピーを行ったことで、子供が不安定な精神状態に陥ったと新聞で警告がありました。津波の恐ろしさは、経験していないわたしには想像もできませんが、それをムリヤリ絵にさせられるようなことは、非常に危険なことです。

神戸大精神科の田中究准教授によると、子どもが心を表現するのは自然で、自発的に絵を描くのは構わないという。ただ集団の場では、絵を描くことを断れない子も出てくる。阪神大震災後のアートセラピーにも注意を促したと言い「心を表現した子を長期間ケアできねば治療にはならない」と指摘する。

引用:朝日新聞digital  2011年6月10日記事 「アートセラピー」かえって心の傷深くなる場合も

心の傷を癒してあげたいという気持ちは、決して悪いものではありませんが、相手の立場にたったとき、それが本当に有効なのかは、冷静に考えないといけません。新聞の記事で警告されているとおり、大きな心の傷は、ボランティア精神だけでなんとかできるものではありません。アートセラピーの手法を、1回や2回のイベントで終わらせるような用い方はしないでいただきたいものです。

3-2.絶対にやってはいけないこと……絵を批評すること

昔の職場で、わたしが美術の教員免許を持っているということを知った隣の席の女性から、相談を受けたことがあります。保育園に通う息子さんの描いた絵について、保育士さんから言われた言葉に傷ついていました。息子さんが描いた絵には紫色がたくさん使われていて、なにか心理的に問題があるのではないか?と言われたらしいのです。

たしかに、紫色というのは、子供はあまり使いたがらない色で、カラーセラピーなどでも、心理および肉体的な不調や不安感を表す色だといわれているのは確かです。だからといって、紫色を使っているから心理的に問題がある……という判断はあまりにも短絡的です。

アートセラピーに限らず、心理学を学ぶことでついついやってしまいがちなことが、他人の批評です。●●と言ったから●●という性格だ……テレビのバラエティ番組などで、おもしろおかしく心理テストなどを行うことがありますが、●●の絵を描いたら●●な性格とか、そういった占いのように判断することは、本来のアートセラピーではありません。

子供のケースをご紹介しましたが、大人であっても同じです。なんども繰り返しますが、アートセラピーは言葉にできない自分でもよくわからないものを表現するもので、「こころの傷」となっているものを他人の目にさらすことにもなりますから、デリケートに扱わなければいけないことは肝に銘じておきましょう。

4.手軽に体験!アートセラピー

手軽に体験!アートセラピー

アートセラピーを本格的に行うためには、相当の訓練が必要ですが、堅苦しく考えすぎてしまうのも、もったいないとわたしは思います。日常生活の中でも、ちょっとした息抜きに、日々の生活にワクワクする変化を出すことにもアートセラピーを活用してみてはいかがでしょうか。

4-1.オトナもコドモに戻って楽しもう!

「ずっとやりたかったことを、やりなさい。」というタイトルの本があります。自己啓発本? たしかにそういったとらえ方もできますが、原題は「The Artist’s Way」……つまり 「アーティストの道・生き方」を教えてくれる本です。

ずっとやりたかったことを、やりなさい

ずっとやりたかったことを、やりなさい。
ジュリア・キャメロン (著), 菅 靖彦 (翻訳)

この本の中には、自分の内側に眠っている「アーティストの魂」を、揺さぶり起こしてくれるようなエクササイズがたくさん入っています。それは、とても簡単なことばかりです。

わたしはこの本の中のエクササイズをはじから試しています。著者いわく「脳の排水作業」と呼んでいる、朝起きてすぐにノート3ページ分書く「モーニングページ」は、何年続けているかわかりませんし、「アーティスト・デート」と名づけられた、ひとりで行う「アート活動」も、時間があればやっています。

アートと聞くと、ついついむずかしいことをしなくちゃいけないのかな?と思ってしまいがちですが、そんなことは一切ありません。

ここでは簡単にできて効果を実感できる「アートセラピー」をご紹介します。気になったものをぜひやってみてくださいね。

4-1-1.クレヨン・色鉛筆で塗り絵

絵を描くのは苦手だった……だけど、社会科の白地図に色を塗るのは好きだった……そんな方はいませんか?だったら、文房具店に行って、塗り絵を買ってきましょう。ついでに、クレヨンか色鉛筆も買ってきてください。お子さんの使っているものを横取りしてもいいですが、怒られますよ(笑)できれば、お子さんと一緒に塗り絵が楽しめたらいいですね!
最近は、大人向けの塗り絵もあります。ネットで検索してみて、気に入ったものを使ってくださいね。

まずはクレヨンの独特の匂いをちょっと嗅いでみてください。懐かしい気持ちがよみがえってきませんか。ずーっと時間を忘れて色を塗っていた小さいころを思い出したりするかもしれません。いろいろな記憶がよみがえることで、仕事に新たな発想がうまれたりするかもしれませんよ。

ひたすら、色を塗ってみてください。できれば30分以上できると、すっきりした気分を味わえると思います。

4-1-2.禁断の?シールをペタペタ!

冷蔵庫のドア、タンス、テーブル……小さい頃、どこにでもシールを貼って、親に怒られませんでしたか。「シール貼り」という遊びは、わたしの甥っ子も保育園でやっていましたが、大人がすると童心に帰ることができ、インナーチャイルド(内なる子供……心の中にいる傷ついた子供の自分)を癒すことができるといわれています。

まずは、シールを大人買いしてきましょう。私の場合、一気に5000円分のシールを買ったときは、とても興奮しました(笑) 子供のころの自分にほめられた気分です。

そして、画用紙に思うまま、貼っていきます。テーマは決めても決めなくてもいいですよ。コツはあまり考えこまず、スピードを出してペタペタと貼っていくことです。そのうち楽しくなって、どんどん貼ってしまいます。女性は手帳などにシールを貼る習慣がある方も多いでしょう。あまったら、手帳にも貼ってみましょう。

大人になってあらためてシールを買いにいくと、今は驚くほどたくさんの種類のシールがあります。気をつけないと、すぐに1万円くらいになってしまいますが、大量に買って楽しんでください!

4-2.ビジネスマンは日常でカラーセラピーを!

アートセラピーの一種にカラーセラピーがあります。資格もあるのでご存じの方も多いでしょう。忙しいビジネスマンの方にもアートセラピーを体験していただきたいので、お手軽なカラーセラピーをご紹介します。

4-2-1.ネクタイ・ハンカチ・シャツで楽しむ

ビジネスマンの場合、お休みの日はカラフルな服を着られるけれど、会社に行く日は紺やグレーのスーツでちょっと味気ない。そんな方が多いはず。本当は仕事の場にこそ、ちょっとした癒しが必要なのでは?

一番安価で簡単なのはハンカチでしょう。外回りの営業の方などは、汗をかいたときにさっとポケットから取り出したハンカチがキレイな色だとそれだけでいい気分になるのではないでしょうか。

ネクタイは男性のオシャレの定番ですね。ハンカチとちがって目に入りやすいものですから、原色や派手な色は、職種によって禁止されていることもあるでしょうし、印象も軽薄になる場合があります。色えらびに不安があるなら、デパートの紳士服売り場などで店員さんにアドバイスをもらってみるのもいいかもしれません。ここぞ!というプレゼンのために勝負ネクタイを買っておく……、というのもいいですね。

ネクタイは基本渋い色がほとんどです。色に敏感になってくると、渋い色合いの中にも、さまざま色があることに気づきます。落ち着いた深い色が持つ、癒し効果を体験してみてください。

就業規則のきびしくない会社であれば、カラーシャツもいいですね。今までホワイトのシャツしか着たことがないようであれば、まず最初はパステルカラーの淡い色から試してみるといいと思います。夏場のクールビスの時期には、ブルー系の涼しげな色を着てみてはいかがでしょうか。

ハンカチ、ネクタイ、シャツと、色合わせをコーディネイトできれば、かなりの上級者です。
ぜひ、楽しんでみてください。

4-2-2.自分のテーマカラーを持って印象をよくする

織田信長といえば戦国三大武将の中でも、いちばんのオシャレさんだったと言われています。あなたは「織田信長」と聞いてイメージする色がありませんか。テレビドラマなどの影響もありますが、圧倒的に「赤」と答えた方が多かったと思います。織田信長は、自分の印象を強くさせる意味で赤を多用していたという説もあります。そこで戦国武将にあやかって、あなたも自分のテーマカラーを持ってみませんか。

わたしの印象に強く残っている男性がいます。わたしが業務中に電卓が必要になったときのこと。
持っていなかったわたしは、異動してきたばかりのその人に電卓を貸してほしいとお願いしたところ、ポケットから取り出したのは鮮やかなターコイズブルーの電卓でした。

彼が部署にもなれてきた頃、スマートフォンの機種変更をしたといって取りだした、そのスマホの色もターコイズブルー。またレジャーに行く予定でもあったのか、週末に彼がカジュアルなバッグを会社に持ってきたことがありました。その色は……もう書かなくてもわかりますよね?

彼の場合、ただ単に好きな色だったのだと思いますが、ここまで徹底していると強く印象に残ります。あなたも、これをヒントに、持ち物の色を統一させて印象的な人になってみてはいかがですか?

5.アートセラピーに関する資格と仕事の真実

アートセラピーに関する資格と仕事の真実

資格取得がブームになっている現在、アートセラピーの資格も知名度が上がってきました。しかし、すべての資格について言えることですが、資格は取得しただけでは意味がなく、それを活用してはじめて資格取得のメリットが得られるのです。アートセラピーも本来は「芸術療法」という名称で、れっきとした心理療法です。

2章でも少し触れましたが、1回や2回、絵を描いて終わり……というインスタントな癒しのテクニックではありません。絵を描いてすっきりする……そういう効果について書いておいて、逆のことを言うようですが、アートセラピーを本格的に学んで仕事にしたいのであれば、しかるべき教育は必ず必要です。

5-1.アートセラピーの資格について

日本国内のアートセラピーの資格としてよく知られているものは、「芸術療法士」を筆頭に「臨床美術士」や「園芸療法士」「色彩芸術心理療法士」などで、すべて民間資格です。

スクールは千差万別、資格取得までかかる時間も費用もさまざま。簡単に修得できるイメージがありますが、心理療法の一種ですので、基礎的な心理学の知識もないまま、アートセラピーの資格だけを取得したとしても、活かせる場所はボランティア程度でしょう。

今現在、日本国内にはおびただしい資格が氾濫している中、なぜあなたはアートセラピーの資格取得をしたいと思ったのでしょう?まず、そこをしっかり明確にしておきましょう。なんとなく……とか、オシャレだし……そういうイメージで資格取得しても、せっかく稼いだお金をドブに捨てることになります。

また、アートセラピー資格の一種といえますが「カラーセラピー」があり、「色彩検定」「カラーコーディネータ検定」の名称で資格取得も可能です。色彩検定の資格は、どちらかというと、ファッション関係のお仕事の方やデザイナー、インテリアコーディネーターなどが副次的に持つ資格です。色彩検定も含め、各種スクールの発行するカラーセラピー資格を単独で取得しても、あまり意味はないでしょう。自分の今の仕事に活かせないのなら、取得はおすすめしません。

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5-2.アートセラピーの資格取得だけで独立は、ほぼ不可能

ここでは、さらに厳しいことを言わせていただきます。アートセラピー資格取得して独立開業をすすめるスクールも多々ありますが、残念ながら、独立して稼げるのはほんの一握りです。実はわたしも、それを考えたことがないわけではありません。しかし、よーーく、考えてみましょう。

アートセラピーの教室を運営するには、まずある程度の広さの教室を借りなければいけませんよね。最近は自宅サロンがブームですが、最低でも5人程度の生徒さんを収容できる大きさの部屋が、あなたのお家に今ありますか?地方なら可能かもしれません。しかし、あなたのお家は最寄駅からアクセスはいいですか?お稽古ごとは、アクセスが悪いとすぐに生徒さんは通わなくなります。

だんだん、イメージができてきたでしょうか?次は集客です。今はインターネットという便利なものがあるので、ブログを書いて無料で集客という手段も可能です。

ですが、目の前にあるパソコンもしくはスマホで「アートセラピー スクール」と検索してみてください。うわ!っと声を出しそうになるくらい、スクールの宣伝サイトが出てきます。あなたは、ネット上に乱立するスクールの中でいちばん目立つことができ、そして生徒さんを募ることができると思いますか?

ごめんなさい。アートセラピーで独立を本気で考えていた方を、暗い気持ちにさせてしまったかもしれません。けれども、本気であればこそ、きびしい現実は知っておいて欲しいと思いました。

ひとつご提案できることとして、アートセラピーの教室を開くのではなく、他の心理療法を学んだ後、(もし資格があるのなら)その心理療法の資格を取得して、「アートセラピーテクニックも駆使できる、心理セラピスト」として開業するのはいかがでしょうか。

たとえば、コーチングとアートセラピー。NLPとアートセラピー。意外な組み合わせかもしれませんが、かなり注目度は高くなるはずです。

とはいえ、コーチングにしろ、NLPにしろ、他の心理療法にしろ、短期間で修得できるような心理療法はありませんので、じっくり腰をすえて学ぶ覚悟は必要になります。

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5-3.アートセラピーでビジネスの成功は可能か?

さきほど少し触れましたが、どんな分野で開業するにしても、いちばん苦労するのは集客です。開業はだれでもできます。個人事業主としてスタートするのであれば、名刺の肩書を「アートセラピスト」にして配れば、あなたも今日から「アートセラピスト」です。

世の中には、立派な肩書を持っていても、実は開店休業状態の人はたくさんいるのです。つまり、お客様がいない……ということです。

もしかして、すでにアートセラピーの資格を取得してしまった方もいるでしょう。資格取得がまだの方もどちらも、まずは集客について学びましょう。それをしないと、いつまでたっても、名ばかりのアートセラピストです。

手軽なブログですが、ただ日記のようなものばかり書いていても、集客にはつながりません。Facebook、Twitterなども、ビジネスユースの方法を学ばなければ、「いいね!」はもらえても集客など不可能です。

甘い考えではビジネスで成功できないと、こころえてくださいね。

6.新しい波!アートをビジネスに活かす

新しい波!アートをビジネスに活かす

わたしは、いろいろなジャンルの本を読むことが好きですが、最近のビジネス書の中に「アート」の文字をみつけるようになり、少しばかりうれしくなっています。いまはまだマイナーですが、ビジネスの場に入ってきた「アート」の可能性について、ここでご紹介したいと思います。

6-1.論理思考だけでは、ビジネスは行き詰ってしまう?

ビジネスといえば、ロジカルシンキング(論理的思考)ですよね。しかし、今、そのロジックの対極にあるともいえる芸術(アート)をビジネスの場に取り入れて、企業内の問題解決を図ろうというおもしろい取り組みをしている方たちがいます。

アートが持つ力に、企業の注目が集まっている。

絵を描くことで、普段、言葉だけでは表現できなかったビジョンや思いを会社の社員同志やチームが共有するのに役立っている。

日立システムズ、旭化成、日本山村硝子、東京海上日動システムズなど、意外な日系企業を含め、新事業の立ち上げや次世代リーダーの育成に、「お絵描き」を活用する企業がすでに30社を超えている。

引用:東洋経済ONLINE  企業にこそ「アート」を導入すべきだ
「コンサルタントとアーティストが手を組んだ!」

一昔前なら、「芸術でメシは食えない」といったイメージがありましたが、このプロジェクトはしっかり黒字を出しているそうです。これは、あくまでもわたし個人の仮説ですが、これからのビジネスは、論理思考だけでは行きづまってしまい、感覚や感性が重要視されるようになっていくのではないでしょうか。

実は、成功しているリーダーや経営者になればなるほど、感覚と理論の両方を自然に使っていたりするんですよね。直感で感じていたものを説明するためにロジックを使ったりします。

引用:東洋経済ONLINE  表現力のない企業は生き残れない
「リーダーがこぞって頼るアートの力とは?」

これから先、こういったアートをビジネスに活かす動きがもっと活発になるといいなあと思っています。

6-2.ラクガキでイノベーション?

最後に、1冊、変わったビジネス書を紹介します。


描きながら考える力 ~The Doodle Revolution~

描きながら考える力 ~The Doodle Revolution~
サニー・ブラウン (著), 壁谷さくら (翻訳)

サブタイトルは「ドゥードル革命ーラクガキのパワーが思考とビジネスを変える!」です。この本が提唱しているのは、なんとラクガキ(落書き=ドゥードル)。 著者は、ラクガキは決してアートではないと言います。

「アート」は敷居が高くて、みんな尻込みしてしまうもの。わたしもそうですが、絵を描くと自分の描いた絵は下手じゃないか?みんなに笑われないか?などと考えてしまうんですよね。また、絵を描くには才能が必要という神話も昔からあります。なので、著者は堅苦しいアートではなく、ドゥードル(ラクガキ)=ビジュアル言語 を使いましょうと提唱しています。

本の中には、なんとも頼りない線で描かれたラクガキがたくさん載っていて、絵が得意ではなかった方も、「あ、これくらいなら、自分でも描けるかも?」と思わせてくれます

著者は決して論理を否定していません。ビジネスの場にラクガキを取り入れて、ガチガチになった脳をやわらかくしてみたら?といった感じです。職場(主にミーティングの場など)において、どうやってラクガキを活かしていくのかの具体例も豊富で、読んでいるうちにすぐやってみたくなりますよ。

7.アートセラピーが持つ可能性はまだある

最近の資格ブームに乗って、知名度はあがりましたが、日本では、まだまだ欧米諸国より遅れている領域といえる「アートセラピー」…… だからこそ、まだまだ可能性を秘めていると思うのです。

「クールジャパン」という言葉がありますが、アニメやマンガだってアートです。日本人ならではのオリジナルなアートセラピーがこれから出てくることを期待したいところです。

今、アートセラピーに強く惹かれている方は、ぜひ資格取得をあおる宣伝などに惑わされず、真摯に学んでください。そして、いろいろな場所で活躍をしていただきたいと思います。

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