自己啓発本と聞くと、その印象は2つにわかれるようです。
10〜20代の若い方は、自己啓発本に対して、「やる気を出してくれて、元気にしてくれる本!」という印象があるようです。一方で、30代以降の方は、「たしかに良いことは書いてあるんだけど、実際のビジネスの現場ではあまり役に立たない本」というイメージを持っているようです。
なぜ、そのような印象の違いがあるのでしょうか? 私も、20代の頃は、自己啓発本に対して良いイメージを持っていました。ですが、今は役に立たないイメージに変わっています。
私自身、コンサルタントという職業柄、自己啓発本を含めて、ビジネス書を月に30冊は読んでいます。そして、のべ3000冊以上は読んできました。
そのうえで言えることは、ほとんどの人は自己啓発本の正しい「見つけ方」や「読み方」、そして「行動に移す方法」を知らない、ということです。
この記事では、自己啓発本を血肉にする方法とあわせて、自己啓発本が役に立たない本当の理由をお伝えします。
※自己啓発本とは、読んで字のごとく「自己啓発の本」という意味です。「自分の心と能力を成長させてくれる本」のことですね。自己啓発の詳しい意味は、このブログの中に、自己啓発の意味について書かれている記事がありますので、参考にしてください。
ご参考:
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ビジネス心理学とは?目次 〜自己啓発本を活かす方法を徹底解説〜
1.自己啓発本をおすすめできる人と、できない人とは?
はじめに、自己啓発本がおすすめできる人と、できない人について解説します。なお、この章に限らず、キレイごと抜きで、本音で書きますので期待してください。今までの常識がひっくり返ってしまう人もいると思います。
1−1.自己啓発本をおすすめできる人
まず、自己啓発本をおすすめできるのは、自己啓発本をほとんど読んだことがない人。こういう人は、3冊くらいは自己啓発本を読んでみてもいいと思います。私のおすすめの自己啓発本は、3冊、のちほどご紹介しますのでチェックしてみてください。
ただ、なにがなんでも「自己啓発本を読みなさい!」と言っているのではありません。人生勉強として、3冊くらい読むのも悪くないかな、程度です(なぜ、自己啓発本があまり役に立たないかは、このあと解説します)。
お金を出すのがもったいないという方は、図書館などで借りるのもいいと思います。
1−2.自己啓発本をおすすめできない人
逆に、自己啓発本をおすすめできないのは、すでに自己啓発本を4冊以上読んでいる人です。こういう人に対しては、私は「これ以上、自己啓発本は読まなくてもいいですよ」と言っています。なぜなら、自己啓発本なんて、どれも皆ほとんど同じことが書いてあるからです(笑)。
自己啓発本というのは、読むとやる気が出ることが多いです。しかし、だからこそ自己啓発オタクが生まれてしまうのです。
自己啓発本を読んだときに得られる高揚感や感動、やる気、根拠のない自信……そういった感情の中毒になって、色々な自己啓発本に手を出してしまうのです。そして、いつしか自己啓発のオタクになってしまう……。
それはまるで麻薬。自己啓発も学べば学ぶほど、中毒は進行していきます。もし、あなたがそんな状況なら、頭を冷やす意味でもこの記事を読んでください。
2.自己啓発本って、役に立たないの?
結論から申し上げましょう。自己啓発本は、1%の有益な本と、99%の無駄な本に分かれています。ですから、その1%の有益な本だけを見つけられるのであれば、役に立ちます。
しかし、ほとんどの人は、本の選び方を誰かから教えてもらったことがありませんよね。学校教育の国語の授業にしても、「この文章を読みなさい」と与えられたものばかり。良書と悪書を見極めるトレーニングを積んでいる人は、私のような多読家くらいです。
これが、ほとんどの人にとって自己啓発本が役に立たない原因のひとつです。本屋さんに足を運び、自己啓発の棚の前に行き、魅力的なタイトルの本が並ぶ中で、「これが当たりだ!」と鑑定できますか? それができない人にとっては、自己啓発本というのは99%無駄なのです。
そこでこの章では、どういった本が有益でどういった本が無駄なのか、解説していきます。
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ビジネス心理学とは?2−1.自己啓発を教えている人の本は役に立たない
誰だって、「自分の人生を、今よりもよくしよう」とか「ビジネスで成果を出そう」というようにポジティブに考えますよね。しかし、私達のそんなポジティブな想いを利用して、儲けようとしている人たちがいます。それが、自己啓発のセミナーや教材を売っている人たちです。
彼らがやっているのはバイブル商法。つまり、本屋さんで自分が書いた自己啓発本(=バイブル)を買ってもらって、読んでもらう。そして、感動した読者を高額なセミナーや教材に勧誘するのです。
この手の自己啓発本は、読者に対して、高揚感や感動、やる気、根拠のない自信を与えることばかりにフォーカスしているので、中毒になりやすく、非常に危険です。
また、実は出版社そのものが、セミナーや教材の販売会社の場合もあるのです。特定の誰かを攻撃するのが目的ではないので、この記事では名指しをしませんが、気をつけてください。
高額なセミナーや教材を売ってくる人の見極め方は3つあります。
こんな本には注意!
1.本のはさみ込みハガキで、メールアドレスなどの登録をせまってくる
2.著者のプロフィールに、セミナーを開催していることが書いてある
3.本の中で、自分のセミナーや教材などの宣伝が書いてある
すべてとは言いませんが、この3つはセミナー会社、教材会社が大好きな方法です。こうした手口にひっかからないよう、気をつけてくださいね。
2−2.いわゆる成功者が書いた本もあまり役に立たたない
たとえば、あなたが内向的なプログラマーだったとします。そんなとき、営業で成功した経営者の話を読んだとしたらどうでしょうか? 完全に役に立たないとは言いません。しかし、ほとんど有益ではないでしょう。
本を読むとしても、自分と同じような性格で、自分と同じようなスキルを持っている人のものでないと、結果には直結しないのです。
また、私も経営者のはしくれなのでわかりますが、経営者というのは、自己顕示欲や思い込みが非常に強い生き物です(笑)。ですから、自己顕示のために、体験談を必要以上に脚色して書くのは日常茶飯事。それどころか、自分の思い込みを、「絶対的な成功法則」だと信じこんでいる人も少なくありません。
ビジネスの成功者というのは(あくまでビジネス上では)、優秀であることが多いのです。そのため、自分が当たり前にできる「曲芸」を、みんなも当たり前にできると思っている場合もよくあります。そのため、にわかには信じられないことも書いてあります。たとえば……
「営業? そんなのカンでやればいいんだよ! 営業の本なんか1冊も読まなくても、とりあえず営業先に行きさえすれば、なんだって売れるんだ!」みたいなことです。普通の人が営業先に行ったって、門前払いが関の山ですね(笑)。
たしかに、著者本人にとってはそうなのでしょう。悪気はないのでしょうが、読者からすると、無意味なアドバイスなのです。そんな本を読んでも、「自分には無理なんだ」と自信喪失するだけですね。
2−3.小説になっている本もあまり役に立たない
自己啓発本の中には、小説もあります。小説仕立ての自己啓発本は、フィクション、ノンフィクションを問わず、初心者にはおすすめできません。どこに要点が書いてあるのかわかりにくいため、読書がかなり得意な人向けの本です。
初心者の場合、小説のストーリーを追いかけることに必死になってしまいます。主人公の言動に一喜一憂。本を読み終わって気づいてみたら、感動はしたけれども、何も頭に入っていなかった……なんてことになりがちなのです。
しかし、困ったことに、初心者ほど小説になっている自己啓発本に惹かれるのです。そして、小説になっている自己啓発本ほど、ベストセラーになりやすいのです。
たしかに、ストーリーは読みやすいのですが、とにかく避けてください。また、最近はやりの、マンガになっている自己啓発本も同様です。
ただし、例外もあります。小説にせよ、マンガにせよ、細かく章で分けられていて、章の終わりに「まとめ」が1ページ以上ある自己啓発本の場合は話は別です。最初に、「まとめ」を全部しっかりと読んでから本を読み始めると、かなり頭に入るからです。しかし、そうでない限りは、避けた方が無難です。
2−4.心理学者の本は読んでもよい
自己啓発本の中で、「これは読んでも大丈夫」というのは、心理学者が書いた自己啓発本です。たいていの場合、著者のプロフィールの一行目に、「●●大学 心理学部教授」といった肩書が書いてありますので、それがあればOKです。
なぜ、おすすめできるかというと、心理学者は膨大なデータを取っているからです。心理学者は、「こういう人は目標達成率が高い」とか、「こういう人は挫折しやすい」とか、「こういう人はしあわせを感じやすい」といったことを説明してくれますが、その主張はデータにもとづいているため、ほとんどの場合において正確です。
学者が書いている本なので、他の自己啓発本に比べて表現がむずかしい場合が多いのも事実です。また、翻訳書であることも多いので、読みにくい場合もあります。しかし、時間をじっくりかけてもいいので(場合によっては、わからないところを飛ばしてもいいので)、読んでみてください。
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ビジネス心理学とは?3.最高の自己啓発本の見つけ方とは?
ここまで、抽象的なことを書いてきました。ここからは、どうやって本を選べばいいのかを具体的に解説していきます。
3−1.タイトルよりもプロフィールを読もう
私のような多読家からすると、多くの人は、本のタイトルだけで本を買いがちです(笑)。本のタイトルは、出版社の編集者やコピーライターが、考えに考えて、とにかく目立つようにしていることをお忘れなく。
たとえば、「一瞬で〜」とか、「年収1億」とか、「世界のトップエリート」とか……本のタイトルには、それはもう、魅力的なキャッチコピーが並んでいます。
しかし、当たり前ですが、読んだ人すべてが「一瞬で」何かできるわけではないですし、「年収1億」になれるわけではないですし、「世界のトップエリート」になれるわけではないのです。
初心者ほど、そうしたキャッチーなタイトルに引っかかってしまい、内容が悪いのに買ってしまったりします。
断言します。大切なのは、タイトルよりもプロフィールです。どんな著者であっても、自分のプロフィール以上のことは本には書けないからです。
たとえばプロフィールに「営業の研修講師」と書いてあった場合、営業のことしか本に書けないのです。そして、その営業の内容も、実践でつちかわれた最先端の営業テクニックというよりは、営業の全体像や総論などについて書かれた本である可能性が高いです。
なぜなら、営業の研修講師というのは、何年も実践から離れていることが多いからです。そして、営業の研修というのは、トップセールスの人を育てるのではなく、営業マン全員の営業スキルの底上げのために行われるからです。
ということは? もしあなたが、実践バリバリのトップセールスマンだったとしたら、営業の研修講師の本を読んでも、役に立たないだろうということがわかります。それよりも、現役のセールスマンが書いた本の方が、最先端の営業テクニックが書いてあるので有益でしょう。
プロフィールを読みながら、次のことを考えてみてください。
プロフィールを見ながら考える、3つの質問
1.このプロフィールであれば、どんな内容の本が「書ける」のか?
2.そして、その内容は、私にとって有益か?
3.このプロフィールであれば、どんな内容の本は「書けない」のか?
プロフィールは、本屋さんはもちろん、オンラインの書店でも調べられるので、絶対に確認してください。これをしっかりとおさえておけば、悪書をつかまずにすむでしょう。
3−2.書店の場合、前書きと後書きと目次を立ち読みしよう
書店の場合、前書きと後書きと目次の3つを立ち読みしましょう。この3つを読むと、だいたい何が書いてあるのかがわかるからです。
特に目次は何が書いてあるのか一目瞭然です(Amazonなどのオンラインの書店でも、目次が書かれている場合は必ず読んで下さい)。
チェックポイントは、この記事で今まで書いてきたことと同じです。
書店で確認するべきこと
1.しっかりとデータをとっている本なのか?
2.著者の思い込みが書いていないか?
3.セミナーや教材を売るための方法ではないか?
4.内容は、私にとって有益なのか?
面倒かもしれませんが、ぜひチェックしてみてください。
3−3.オンラインの書店の場合、レビューを読もう
オンラインの書店の場合、前書きや後書き、目次は読めない場合が多いです(もし読める場合は必ず読みましょう)。
その場合は、代わりに、レビューを穴があくほど読みましょう。特にAmazonは、レビューが多いのでおすすめです。
レビューを読むときに、注意する点は下記の4点です。
レビューのチェックポイント
- 他のレビュアーは、自分と同じくらいのレベルの人か?
- 高評価をつけているレビュアーは自分と近い人たちか?
- レビューがサクラばかりでないか?
- レビューに、その人のセミナーや教材のことが書いていないか?
専門書の場合、やたら専門用語ばかりでレビューが書かれていることが多いです。レビューの文章がむずかしい本は、たいてい内容もむずかしいので、初心者は避けましょう。
たとえば、あなたが会社員だったとします。気になった本に、★5をつけているレビュアーのほとんどが、経営者のようだったら? おそらく、今のあなたには役に立たたない本でしょう。自分と近い立場の人たちが、高評価をつけている本ならOKです。
特に、セミナーをしている講師が著者の場合、自分の受講生に、★5で、絶賛のレビューを書かせている場合があります(サクラだと、その本にしかレビューをしていないレビュアーばかりなのです)。こういった著者の本はハズレです。
もし書いてあったとしたら、読むのは止めましょう。その本は、高額なセミナーや教材を売るためのツールでしかないのです。
以上の4点に気をつければ、オンラインの書店であっても、当たりの本をそこそこ見つけられるでしょう(しかし、それでも書店で立ち読みする方が、当たりの本を見つける精度は高くなります)
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ビジネス心理学とは?4.自己啓発本の正しい読み方、知っていますか?
自己啓発本というのは、あなたのために書かれた本ではありません。あなたを含めた数十万人の読者のために書かれた本です。あなたには役に立たないけれど、他の数十万人の読者には役に立つ、という部分はたくさんあります。
ですから、自己啓発本の中で、自分に必要な部分「だけ」を読めばいいのです。学校教育の国語の授業とはちがうので、自分に関係のない行や段落はどんどん読み飛ばしましょう。
1.自分に必要がない部分
2.おもしろく感じない部分
3.むずかしい部分
この3つは容赦なく読み飛ばしてください。この章では、自己啓発本の正しい読み方をお伝えします。
4−1.そもそも、本を読む目的を明確に!
まず、一番大切なこと。それは、本を読む目的を明確にすることです。これは、読書に限らず、学習の基本ですね。
「なんとなくおもしろそうだから……」で読み始めた本は、「なんとなく……」の学びしかないことが多いです。本を読む前に、著者のプロフィールと目次を読んで、「私はこの本から、◯◯を得る!」と目的を決めて欲しいのです。
そして、目的に合わないところは、容赦なく読み飛ばしましょう。もし、その本を読んでいる途中で、目的を達成できそうになければ、本を読む目的を決め直しましょう。あるいは、その本を読むのを、そこで終わりにしましょう。
もちろん、目的から外れてそのまま読み続けても、意外と良い学びがあるかもしれません。しかし、その学びは、それが必要になったときに、再読すればいいだけのこと。今必要なければ、ジャンジャン読み飛ばすようにしましょう。
こんなアドバイスする理由は、私がマーケティングコンサルタントとして、今まで多くのクライアントを見てきて、非常に残念に感じているからです。なぜか、多くの人が強迫観念のように、最初から最後まで一字一句飛ばさずに読まなければいけないと思い込んでいるのです。学校の国語の授業の弊害ですね。
あなたが自己啓発本を読むのは、手段であって、目的ではないはずです。意味のないことに時間をかけず、合理的な読書をしましょう。
4−2.速読と精読(せいどく)を使いわけよう
本というのは、速読と精読を使いわけると、最短時間で、最大の効果を得られます(速く読む速読に対して、精読というのは、じっくりと一字一句読むことです)。ブレーキとアクセルを使い分けるF1レーサーのように、速読と精読を使いわけて、本を読むスピードを自由に変えるのです。
速読をするときは、一字一句読む必要はありません。サーッと紙面の上を、目をすべらせる感覚。新聞をサーッとながめる感じです。あるいは、本屋さんで歩きながら、「なんか、良い本ないかな……」と本のタイトルをながめる感じです。
速読のポイントは、一文字、一文字を、頭のなかで発音(音読)しないこと。本を速読できない人ほど、黙読しているときでも、一文字、一文字を頭のなかで発音(音読)しているのです。それではスピードが上がりません。頭のなかで発音(音読)しないでサーッと目を滑らしても、ちゃんと人間の脳は理解してくれます。
そして、「ここは重要そうだ!」というところだけ、じっくりと精読するのです。本というのは、全ての行が等しく重要ではないからです。80対20の法則のように、本の20%の部分だけで、80%の大事なことが書いてあるのです。その20%の部分だけを精読すればOKです。あとは全部、速読で問題ありません。
完璧主義を捨てて、やってみてください。1冊を全部精読する時間があるのなら、速読と精読を使いわけて、その時間で何冊も違う本を読んでください。その方が、学びが大きいということを覚えておきましょう。あるいは、速読と精読を使いわけて、同じ本を何回も繰り返して読んだ方が学びが大きくなります。
ちなみに、速読の1つでフォトリーディングというものがあります。本の1ページが1秒で読めると言われるフォトリーディングですが、下記の記事ではそのトレーニングの必要性や実際の効果についてお伝えしています。速読に興味があればぜひ読んでみて下さい。
4−3.固有名詞、数詞、動詞を中心に読もう
日本語にかぎらず、どんな言語でも、固有名詞と数詞と動詞をおさえておけば、だいたいの意味が理解できるものです(数詞というのは、4cmとか、9リットルとか、14万円とか、数字の入った名詞を指します)。
人間の視界というのは、意外と広いものです。本の中の、どこか一点を見ていたとしても、その周りの文字までなんとなく視界にはいってきます。その、なんとなくの情報だけでも、結構理解できるのです。
もちろん、固有名詞、数詞、動詞だけしか読まなかったら意味は通じませんので、気をつけてください。他の単語は、なんとなく頭に入れる感じで読むのです。つまり、固有名詞、数詞、動詞は精読し、それ以外は速読するのです。
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ビジネス心理学とは?5.自己啓発本の内容を、行動に移す方法
行動しなければ、結果は出ないということは、賢明なあなたならわかると思います。しかし、自己啓発本を読んで、どうやって行動するのか? これがなかなか難しい。
なぜなら、自己啓発本の多くは、非常に抽象的だからです。「相手のいい分をよく聞こう」ということは、自己啓発本に書かれていることが多いですよね。しかし、具体的にどう行動すればいいのでしょうか? よくわからないですよね。
そこで、この章では、自己啓発本の内容を行動に落とし込む方法について、順番に解説していきます。
5−1.まず、自己啓発本を読む(おすすめランキング)
お気づきだと思いますが、世の中の本には、具体的なビジネススキルの本から、抽象的な自己啓発本まで色々とあります。そしてもちろん、具体的なビジネススキルの本の方が、行動に落とし込みやすいのです。
しかし、「あえて」抽象的な自己啓発本を先に読みましょう。その理由は、行動をするためではなく、あくまで全体像をおさえるためです。学習の基本で、全体像をおさえてから、各論を学んだ方が、学習効率が上がるのです。
さて、私の、自己啓発本のおすすめは、下記の3冊です(難易度がやさしい順にしました)。
1冊目
『人を動かす 新装版』
デール カーネギー (著), 山口 博 (著)
この本を一言で要約するなら、「相手のことを大切に扱えば、相手は自発的に動いてくれる」ということです。まさにタイトルのとおり、人を動かすための17の方法が書かれています(とは言っても、そこまで具体的ではありません)。
2冊目
『「原因」と「結果」の法則 』
ジェームズ アレン (著), 坂本 貢一 (翻訳)
この本には、今のあなたの結果は、昔のあなたの行動が原因である、ということが書かれています。つまり、将来のあなたの結果を変えたければ、今のあなたの行動を変えよう、ということです。
3冊目
『7つの習慣-成功には原則があった!』
スティーブン・R. コヴィー (著), ジェームス・スキナー (翻訳), 川西 茂 (翻訳)
歴史上の、ありとあらゆる自己啓発書を著者が読み、体系化したのがこの本です。「得たい結果を得続けている人には、大切にしている習慣が7つあった」ということが書かれています。著者と、この本の翻訳者は、自己啓発のセミナーをしていますが、それを差し引いても、この本は良い本です。
繰り返しになりますが、この3冊はどれも抽象的です。ですから、「ああ、結果を出すにはこんな要素が大事なんだな」と全体像をつかむために読んでください。
なお、このブログには、自己啓発本の選び方や、推薦書についてまとめた記事もあります。くわしくはそちらも参考にしてみてください。
こちらの記事では、書店の自己啓発のコーナーによく並んでいる、苫米地英人(とまべち・ひでと)氏の本に書かれている理論について考察しています。胡散臭いといわれる苫米地英人の真実について知りたい方は、ぜひお読みください。
『7つの習慣』の翻訳者であるジェームス・スキナーについて詳しく知りたい方は「ジェームス・スキナーのセミナーやCDには効果あるかを検証」をお読み下さい。『7つの習慣』との関係や人物像、彼の教材などを解説しています。
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ビジネス心理学とは?5−2.次に、ビジネススキルの本を読む(おすすめランキング)
自己啓発本を読んで、全体像を把握したあとで読むといいのは、具体的なテクニックが書いてあるビジネススキルの本です。たとえば、下記のような本が私のおすすめです。
伝え方のビジネススキル本:
『「話す」「書く」「聞く」能力が仕事を変える! 伝える力』
池上彰 (著)
プレゼンテーションのビジネススキル本:
『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』
カーマイン・ガロ (著), 外村仁 解説 (その他), 井口耕二 (翻訳)
コピーライティングのビジネススキル本:
『シュガーマンのマーケティング30の法則 お客がモノを買ってしまう心理的トリガーとは』
ジョセフ・シュガーマン (著), 佐藤 昌弘 (著), 石原 薫 (翻訳)
「相手のいい分をよく聞こう」という自己啓発本によく書かれている抽象的な内容では行動しにくいですよね。一方、「自分の姿勢をやや前のめりにして、よくうなづきながら話を聞こう」といったことが、ビジネススキルの本には書かれていますが、こちらのほうが具体的な内容で行動しやすいですよね?
ここで、自己啓発本に出てきた「抽象的な内容」を、ビジネススキルの本に出てくる「具体的な内容」へと置き換えるのです。「相手のいい分をよく聞こう」 → 「自分の姿勢をやや前のめりにして、よくうなづきながら話を聞こう」という具合です。
つまり、ここから先は、具体的なビジネススキル本をどんどん読んでいくことになります。自己啓発本の役目は「5−1.まず、原理原則の自己啓発本を先に読む」で終わりなのです。
経営コンサルタントの神田昌典氏も自己啓発本を書いていますが、自己啓発の本やセミナーが好きでたまらないという人は読まないほうがいいでしょう。逆に、学んだほうがいい人についても書いてますので、ぜひご一読ください。
基本的に、自己啓発本というのは、どれも同じようなことが書いてありますから、何冊も読むのは時間とお金の無駄。これはいいな、と思える自己啓発本を3冊くらい選び、それを繰り返し読むだけで十分です(選ぶのが面倒であれば、ご紹介した3冊の自己啓発本だけでいいでしょう)。
わかりますか? 自己啓発本を何十冊と読んでも、私たちはビジネススキルがなければ、ビジネスでは結果が出せないのです。自己啓発なんて、しょせんそんなもの(笑)。
「自己啓発本なんて、役に立たない。きらいだ」と言う人がいますが、私も100%同意です。私は今まで1万人近くのセミナー参加者を見てきましたが、自己啓発本だけを読んで、結果を出している人に会ったことがありません。
結果を出している人は、たいてい、自分の好きな自己啓発本を年に1回くらいのペースで読み返しながら、ふだんはビジネススキルの本を読んでいます。こういった読み方をしていれば、自然と結果はついてきます。
6.自己啓発本はコンパスである
ここまで長々と書いてきましたが、この記事によって、あなたの人生が少しでも変わればいいな、と願っています。
自己啓発本というのは、知識を得るためのものではありません。コンパスのように、人生で進むべき方向を教えてくれるものなのです。丸暗記しても、全く価値がありません。何冊も読んでも全く意味がありません。
コンパスを何度も見たところで、同じ方向を指しているだけですよね。たまに見て、「うん、私は今、正しい方向に進めているな」と確認するためのものなのです。
また、自己啓発本であなたが進むべき方向がわかったとしても、それだけでは不十分です。あなたにビジネススキルがなければ、前に進めないでしょう。ぜひ自己啓発本とビジネススキルの本を使いわけてください。
私自身も、昔は自己啓発本の読み方を知らず、まわり道をたくさんしてきました。この記事が、これから人生を変えたい人にとっての福音になればさいわいです。
あなたは、「ありがとう5万回」や「トイレ掃除をすると運が良くなる」ということを聞いたことがありますか? 以下の記事は62才という若さで亡くなった小林正観の考え方や「ありがとう」という言葉を大量に唱える効果などを徹底解説しています。