フォトリーディングとは、アメリカで開発された読書のやり方のひとつ。あなたも速読に興味があるなら、耳にしたことがあるでしょう。
とはいえ、「本当に学習効果があるの?」とか、「1ページ1秒で読めるって…本当?」と、疑問をお持ちかもしれませんね。
この記事では、フォトリーダーとしてフォトリーディングを実践していた私が、どういったトレーングが必要なのか、誰でもできるのか、といった疑問に答えながら、実際の効果についてもお伝えします。
記事を読み終えるころには、フォトリーディングのウラとオモテを知り、読書についてより本質的な理解ができるようになります。速読ができるようになりたい方にもオススメです。
初めて当サイトに訪れた方へ
ビジネス心理学とは?目次 〜フォトリーディングとは?NASAが効果を検証〜
1.フォトリーディングとは? 神田昌典や勝間和代も実践!
フォトリーディングは、アメリカのNLP(神経言語プログラミング)と加速学習の権威であるポール・R・シーリィ氏によって、1985年に開発された読書法。正式には、フォトリーディング・ホール・マインド・システムといいます。
日本には神田昌典氏という経営コンサルタントが、2001年に日本に紹介しました。「1ページ1秒で読める」というキャッチーな宣伝のもと、経営者や自己啓発が好きな人の間で広がっていきました。経済評論家の勝間和代氏も、ご自身の本でフォトリーディングの実践者であることを告白していますね。
神田昌典氏をご存じない方はこちらをご覧ください。フォトリーディングを輸入した人の人物像を知ることは、この記事の内容のご理解には必須です。
また、フォトリーディングを実践する人を「フォトリーダー」と呼び、もともと速読に興味のある人が学ぶことが多いのです。とはいえ、一般の速読とフォトリーディングは、似て非なるもの。
以下に一般の速読とフォトリーディングの違いを、簡単にまとめました。
フォトリーディング | 一般の速読 |
---|---|
目をリラックスさせる | 目を速く動かす |
2日間の講座か本でも習得可能 | 習得には数週間かかる |
必要な情報の取り出しが目的 | 速く読むことが目的 |
NLPについて「くわしく知らない」「興味がある」という方は、以下の記事をご覧ください。特にフォトリーディングを理解したいあなたには基礎となる内容ですので必読です。基礎なくして正しい理解はできませんからね。
1-1.フォトリーディングのメリット/デメリット
フォトリーディングの一番のメリットは、メンタルブロックをとることができること。たとえば、「本は1ページ目から最後まで順番に読まなければいけない」とか、「全部読まなければいけない」という読書に対する『完璧主義』をやめるよいキッカケとなります。
端的にいうと、『完璧主義』を手放すだけでも、読むスピードはずっと速くなるものですからね。
デメリットは、書かれている内容を細かく把握しておく必要がある資料には向かない、ということ。
たとえば、会社で上司にとっさに「●●のシステムについての詳細はどうなっているんだっけ?」と聞かれた時に、フォトリーディングで資料をざっと読んだ程度では、理解や認識は不十分になりがちですね。その結果、『準備不足』という評価をくだされてしまうことも……(泣)。
1-2.フォトリーディングがオススメの人/そうでない人
フォトリーディングがオススメな人は、前述の『完璧主義』にあてはまる人。読書で完璧主義のクセがある人は、普段の仕事やプライベートでも同じ傾向を持っていることが多いものです。
完璧主義の人がフォトリーディングなどで、完璧主義を手放すことができれば、なんと仕事やプライベートでも、もっと柔軟にモノゴトをとらえることができたり、楽に生きられたりという効果を得られることもあります。
逆にフォトリーディングがオススメでない人は、「速く正確に学習する」という本来の速読の目的を成し遂げたい人。この記事の『4章』でもご紹介していますが、フォトリーディングより効果の高い読書法があります。
速読をひと通りやってきた人は、だいたい4章で紹介する速読法に落ち着きますね。後ほど紹介いたしますので、楽しみに読みすすめて下さい。
2.フォトリーディングの効果|NASAが真偽を検証
1分間に2万5千字も読めるとうたっているフォトリーディング。しかしながら、アメリカのNASA(アメリカ航空宇宙局)の報告では、効果がないことが判明しています。
検証をおこなったのは、アメリカのオールド・ドミニオン大学心理学部の教授ダニエル・マクナマラ博士。彼はNASAより調査委託を受け、2000年に調査結果を発表しています。報告内容は、「熟練したフォトリーダーでも、1分間で読める文字数は1873字」「理解力が20%下がった」「読み間違いがおこりやすい」というもの。
特に専門的な書籍や書類ほど、上記の結果になりやすいようですね。
また、私自身も2008年ころにフォトリーディングの2日間の講座を10万円支払って参加したことがあります。私は前述の完璧主義のクセがあったので、メンタルブロックが外れて、読むのが速くなりましたが、その後に学んだ速読のほうがずっと効果があったな、という実感があります。
特に疑問だったのは、「ミカン集中法」という集中力を高めるやり方。自分の頭の上にミカンがあることをイメージするのですが、イメージすればするほど本の内容でなく、ミカンが気になって集中できませんでした(笑)。
初めて当サイトに訪れた方へ
ビジネス心理学とは?3.フォトリーディングのやり方5ステップセミナー
3章は、フォトリーディングを習得してみたいあなたに向けて贈ります。さらにくわしい解説は、以下の本で学んで下さい。とはいえ、この章で紹介する内容だけでも十分フォトリーディングを身につけることはできます。
『 [新版]あなたもいままでの10倍速く本が読める』
ポール R.シーリィ (著), 神田 昌典 (監修), 井上 久美 (翻訳)
3-1.ステップ1|準備
読書の目的を明らかにします。「本から得たい情報は何か?」「どれくらい時間をかけるのか?」といったことですね。
そして、前述のミカン集中法でリラックスします。まず、ミカンの手触りやニオイ、カタチや色をありありとイメージ。そして、あなたの後頭部から15cmくらいのところに、ミカンが浮かんでいることを感じながら、ミカンのバランスをとります。イメージを続けると、あなたは段々とリラックスしてきます……。
この状態が読書にもっとも適していると言われている、集中状態とのことです。
3-2.ステップ2|予習
本を手に取りザッと目を通します。タイトル、著者や出版社、発行年や帯の文字、目次や小見出しなどを1〜2分ほどで簡単にチェックしましょう。そして、あなたの欲しい情報が本から得られそうか、判断して下さい。
もし、「得られそう」なら読みすすめましょう。逆に、「得られそうにないな……」と、少しでも感じるのなら、遠慮なく本を読み進めるのはやめましょう。
上記をご案内すると、あなたは、「えーっ! せっかく買った本なのに読まないなんてもったいない!」と思うかもしれませんね。とはいえ、冷静になって考えてみてください。目的を成し遂げられない行動を効率的にやっても、意味が無いと思いませんか?
読書にかぎらずですが、あなたの目的にそった行動を増やすことで、あなたはより早く目的を達成することができます。
3-3.ステップ3|フォトリーディング
もう一度リラックスします。深呼吸をくり返して、もう一度、読書の目的を思い出しましょう。そして、“アファメーション”と呼ばれる短い文章を、心のなかで唱えます。アファメーションはたとえば、次のような内容です。
- 読書中、私は完全に集中している
- 私がフォトリーディングする情報は、私の脳に写し撮られ、私はそれを利用することができる
- 私は〜を達成するために、本の中の情報を得たい
次に、視野を“フォトフォーカス”と呼ばれる状態にしていきます。フォトフォーカスは、文字でなく、ページ全体をボンヤリと見る方法。ページの見開きの四隅に意識を向け、全体をやわらかく眺めます……。
さらに、“チャント”と呼ばれる言葉を心のなかで繰り返しながら、ページをめくっていきましょう。言葉は「リラックス」。「リー」で1ページめくり、「ラーックス」でまた1ページめくる……。この調子で1秒1ページくらいの速さで、ページをめくり続けます。
フォトリーディングの解説によると、この時、本の内容は右脳で処理され、写真を撮るように脳に写し撮られているとのことです。もちろん、科学的に証明されているわけではありませんが……。
3-4.ステップ4|復習
フォトリーディングの段階を終えたら、以下の3ステップで復習をしましょう。
1. 本の内容の調査
表紙、裏表紙、目次、最初&最後のページ、太文字、見出し、小見出し、囲み記事、数字、図表、紹介記事、要約、感想や批判部分などをもう一度、簡単に目を通します。
2. トリガーキーワードを取り出す
ランダムにページをめくり、重要そうなキーワードをピックアップします。おおよそ1冊につき、20〜25個くらいの単語がみつかるはずです。
3. 質問をつくる
出てきたトリガーキーワードを元にあなたが知りたいことについて、“著者への質問”を作りましょう。
初めて当サイトに訪れた方へ
ビジネス心理学とは?3-5.ステップ5|活性化
一番時間をかける部分です。活性化は次の5ステップで進めていきます。
1. 休息
できれば一晩。少なくとも、10分は休んでから次に進みます。
2. 質問の見直し
“復習”の段階で作った質問の更新。絞り込む、削る、付け加える、などして、より適切な質問にしましょう。
3. スーパーリーディング&ディッピング
スーパーリーディングとは、重要と思われる部分や興味のある章、気になる部分だけをすばやく読むこと。ディッピングとは、さらに気になる部分を数行〜多くても2ページほど、じっくり読む方法。
たとえるなら、スーパーマンが事件をさがして空をパトロールしているのがスーパーリーディング。事件を見つけて悪党と戦うのがディッピングです(笑)。
4. マインドマップをつくる ※ここからは、学んだ内容をより深く落とし込みたい人向けの段階
イギリスの著名な著者であるトニー・ブザン氏が開発した学習ツールの1つである『マインドマップ』。以下の図のように本から学んだ内容を、中心からまわりに向けて、木の枝のようにまとめていきます。まとめる内容は、本の目次、あなたが作った質問、キーワードなどを参考にするとよいでしょう。
5. 高速リーディング
最後に、本や章の全体を高速で読んでいきます。すでに理解している部分や、必要がないと感じる部分は飛ばしてOKです。とにかく、とまらずに読みすすめること。目安としては1ページ3〜10秒の速さですね。
4.本当に効果のある速読とは?
先に触れておいたとおり、速読を身につけて、より高い効果を感じたいあなたのための速読のやり方を学べる書籍を2冊ご紹介します。私は速読だけでも20種類近くの方法を試してきましたが、以下の2つがもっとも効果を感じられ、ストレスなく実践することができました。オススメです。
また、どうしても“無料”にこだわるあなたのために、私が過去に20種類近くの速読の方法を学んできた経験から、もっとも効率のよい速読法を以下の記事にまとめました。ぶっちゃけ、以下の記事だけで十分速読はできてしまいます(笑)。まずはこちらをクリックして、ご確認ください。
4-1.『フォーカス・リーディング』
『フォーカス・リーディング「1冊10分」のスピードで、10倍の効果を出す いいとこどり読書術』
寺田 昌嗣 (著)
フォーカス・リーディング。フォトリーディングが流行ったことによる速読ブームが去った後も、満席続出の3日間の講座を1冊の書籍にまとめもの。開発者は寺田昌嗣氏。彼はもともと学校教員でしたので、ノウハウもわかりやすくまとめられています。私自身もこの本だけで、フォーカス・リーディングを訓練し、上達しました。
4-2.『魔法の速習法』
『頭がよくなる魔法の速習法』
園 善博 (著)
もともとフォトリーディングのインストラクターだった園善博氏が、フォトリーディングを含め、それまで学んだ学習法を1つのやり方に体系化した内容がまとめられています。早く読むだけでなく、効果的な学習法も学べますよ。
この記事を読んでフォトリーディングを実践した後に、園氏の本で学んでいただくと、著者がフォトリーディングのデメリットを熟知しているだけに、より彼のノウハウの効果を実感できるかもしれませんね。
初めて当サイトに訪れた方へ
ビジネス心理学とは?5.フォトリーディングより“何を学ぶか”と行動が大切
フォトリーディングの紹介と、フォトリーディングより効果的と思われる読書法についてご紹介してきました。ここまで記事をお読みいただいたあなたは、「どれが一番効果的か?」「どのやり方が一番速いのだろう?」という質問が頭のなかに浮かんでいるかもしれません。
しかしながら、大切なことは“効果”でもなく、“速さ”でもありません……。
もっとも重要なことは、「何を学ぶか」。そして、「学んだことを実際の行動にうつせるか」です。どんな読書法を学ぶにせよ、このことは肝に銘じてくださいね。
「何を学ぶか」
「学んだことを実際の行動にうつせるか」
ちなみに、「何を学ぶか」という質問の答えとして、以下にご紹介している本は学ぶ価値が高いです。これまで3000冊以上、もしくは800冊以上の本を読破してきた執筆者たちが厳選しておすすめする本だけをご紹介していますので。