ビジョナリー・カンパニーとは? 要約や感想、書評を公開

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ビジョナリー・カンパニーとは、その名のとおりビジョンを持っている企業のことです。または先見的(ビジョナリー)な企業を指します。ただ実際には、業界の中で卓越した企業とか、不景気でも安定的に成長し続ける企業のことを指すことが多いでしょう。

また、経営コンサルタントのジム・コリンズが『ビジョナリー・カンパニー』という本を書いているため、その本に出てくる会社のことを指す場合もあります。この『ビジョナリー・カンパニー』という本はベストセラーになり、続編が4まで出ています。

この記事ではジム・コリンズの『ビジョナリー・カンパニー』シリーズを1〜4まで読破している私が、要約して書評にまとめました。これから読む人も、復習をする人も参考になると思います。

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目次 〜ビジョナリー・カンパニーの意味や感想、書評〜

1.ビジョナリー・カンパニーとは? 意味を解説

2.『ビジョナリー・カンパニー』シリーズの要約と書評

3.『ビジョナリー・カンパニー』の私の感想

1.ビジョナリー・カンパニーとは? 意味を解説

1.ビジョナリー・カンパニーとは? 意味を解説

経営書『ビジョナリー・カンパニー』シリーズ(1〜4)とは、一言であらわすなら「何百万社ものデータを分析してわかった、正しい経営をまとめた経営書」シリーズです。

ここから先は、このシリーズ(1〜4)について解説します。

1-1.『ビジョナリー・カンパニー』を読むメリット

『ビジョナリー・カンパニー』シリーズを読むメリットは、正しい経営とは何なのかが分かることです。リーマン・ショックのときも、9.11のときも安定して業績を伸ばしている企業がやっていたことが紹介されているのは勇気が出ます。

『ビジョナリー・カンパニー』シリーズを読むデメリットは特にありません。しいて言えば、自分の会社が悪い経営をしているときに、「私の会社は今後、業績が悪化するかも……」という不安な気持ちになる可能性があるくらいです(笑)。

正しい経営とは何かがデータをもとに細かく書いてありますので、自分の会社がそれに当てはまった場合、不安にならざるをえないでしょう。

1-2.『ビジョナリー・カンパニー』がおすすめの人

『ビジョナリー・カンパニー』シリーズは、起業家や経営者には絶対におすすめです。また、会社員であっても自分の会社の未来を占える、良い水晶球になるでしょう。

『ビジョナリー・カンパニー』シリーズがおすすめではない人は、ぶ厚い本を読むのが苦手な人ですね。翻訳書に特有のむずかしさがありますので。

ただ、そういう人であってもこの記事だけでも読んでいただけたらと思います。要約をしましたので。

また、私は過去にこの『ビジョナリー・カンパニー』シリーズを別の記事でも解説したので、ぜひそちらもあわせて読んでみてください。

成功した起業家や経営者が、「私はこうして成功した」とか、「これがビジネスの成功の法則です」と言っていることがありますよね。しかし、そういった意見って、真実なのでしょうか?実際には、成功の法則を勇ましく語っていた起業家が、何年後かに会社を潰してしま...

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2.『ビジョナリー・カンパニー』シリーズの要約と書評

2.『ビジョナリー・カンパニー』シリーズの要約と書評

この章からは、『ビジョナリー・カンパニー』の1〜4を要約して、表にまとめました。

また、この『ビジョナリー・カンパニー』シリーズの特徴として、ビジョナリー・カンパニーと比較対象企業(ビジョナリー・カンパニーではない企業)を対比させて分かりやすく解説していることがあげられます。

これ以降の表で比較対象企業と書いてあった場合、ビジョナリー・カンパニーと同業で業績が良くなかった会社のことだとご理解ください。

2-1.『ビジョナリー・カンパニー』の要約と書評

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則
ジム・コリンズ (著), ジェリー・I. ポラス (著), 山岡 洋一 (翻訳)

『ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則』は、経営者が入れ替わった後も長期にわたって成長し続ける企業の特徴を洗い出した本です。

著者のジム・コリンズは多くの企業を分析した結果、下記のような結論に達しました。

『ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則』の要約

1.起業時に、すばらしいアイデアは必要ない
ソニーにしても、ヒューレット・パッカードにしても、起業時にすばらしいアイデアは持っていなかった。試行錯誤の末、アイデアは偶然見つかるものである。
2.カリスマ経営者は不要、生え抜き経営者が必要
カリスマ経営者の場合、新しい経営者に経営を引き継いだら業績が落ちる。大切なのは優秀な経営者を継続させるために生え抜き経営者を育てること。
3.利益の最大化だけでは不十分
ビジョナリー・カンパニーは比較対象企業に比べて、利益だけでなく理念も同時に追求している。また、大切なのは理念に書いてある中身ではなく、組織全体が理念をどれだけ追求しているかである。
4.会社が最高の作品である
たとえばウォルト・ディズニーにとっては、アニメやディズニーランドは作品ではなかった。彼にとって、最高の作品とはディズニー社そのものだった。
5.社運を賭けた大胆な目標がある
業績をのばす促進剤として、ビジョナリー・カンパニーは社運を賭けた大胆な目標をかかげる。それによって組織のやる気を引き出す。
6.カルトのような文化がある
ビジョナリー・カンパニーは価値観が合う人にとっては最高の職場。しかし、価値観が合わないと病原菌のように追い払われる職場でもある。
7.大量のものを試して、うまくいったものを残す
3M社の技術者は労働時間の15%を研究開発にあてる。そこから予想しなかった革新を産み、新商品の開発につなげる。成功には多くの失敗が必要である。
8.決して満足しない
ビジョナリー・カンパニーは安心感を目標にしない。むしろ社内で不安感を作り出し、改善をうながす環境にしている。

この本では、偉大な企業のレシピが書かれています。もちろん、このレシピは結果論と言えば結果論です。が、膨大なデータから導き出された結論なので非常に信ぴょう性が高いと言えるでしょう。

2-2.『ビジョナリー・カンパニー2』の要約と書評

ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則

ビジョナリー・カンパニー 2 – 飛躍の法則
ジム・コリンズ (著), 山岡 洋一 (翻訳)

『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』は、ある時をさかいに急に業績をのばした企業を分析したものです。その飛躍の瞬間に、何がビジョナリー・カンパニーの中でおこなわれたのかがまとめられています。

『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』の要約

1.個人としての謙虚さと、職業人としての意思の強さ
経営者の我が強い会社は低迷が続く。一方、ビジョナリー・カンパニーの経営者も野心的だが、その野心は会社に向けられていて、自分には向かっていない。
2.適切な人を組織に入れる
ビジョナリー・カンパニーは目標を決めてから、それに見合う人を組織に入れて“いなかった”。驚くべきことに、適切な人を集めてから目標を決めていた。
3.厳しい現実を直視する
ビジョナリー・カンパニーも他の企業と同じくらい逆境にぶつかっている。決して幸運なわけではない。厳しい現実を直視し、逆境に向かい合っていただけ。
4.3つの円が重なった部分(ハリネズミの概念)に集中する
(1)情熱をもって取り組めるもので、(2)自社が世界一になれる部分で、(3)経済的原動力になれる分野、という3つの円が完全に重なった部分(ハリネズミの概念)に集中する。
5.人ではなく、システムを管理する
ビジョナリー・カンパニーは規律の文化を作るが、比較対象企業は規律をもたらす暴君がいるだけ。前者は有益だが後者は有害であり、似て非なるもの。
6.新技術にふりまわされない
ITなど、新しい技術を使えば業績が上がるわけではない。前述した「4.3つの円が重なった部分」を促進する新技術だけが業績を伸ばす原因になる。
7.劇的な転換はゆっくり進む
劇的な転換が起きている最中に何か特別なことが起きているわけではない。今までの行動の蓄積によって、急にスピードが上がっているだけである。

意外なのは、業績が飛躍する瞬間に何かが起こっているわけではないということです。今までの積み重ねの結果、あるとき急に飛躍しているだけなのです。その積み重ねとは何か、そのレシピがこの本に書かれています。

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2-3.『ビジョナリー・カンパニー3』の要約と書評

ビジョナリーカンパニー3 衰退の五段階

ビジョナリーカンパニー3 衰退の五段階
ジム・コリンズ (著), 山岡 洋一 (翻訳)

『ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階』は、なぜ偉大だった企業が転落したり消滅したりしてしまうのかにフォーカスを当てた1冊です。ジム・コリンズは、企業は下記の五段階をへて衰退することを発見しました。

『ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階』の要約

第1段階:成功から生まれる傲慢
自分たちなら成功して当然だと思ってしまうのが1段階目。幸運に恵まれたとか、今までの努力の結果だと思わずに、成功が無条件に続くと考えてしまう。
第2段階:規律なき拡大路線
持続不可能な成功を追い求めたり、今までと関連しない分野に参入したりする段階。権力や名声を追い求める社内政治がおこなわれることもある。
第3段階:リスクと問題の否認
良いデータを大きく見せ、悪いデータを小さく見せる段階。事実の裏付けがない大きな賭けにでたり、あいまいなデータにもとづいてリスクをとったりする。
第4段階:一発逆転策の追求
業績にかげりが出始めるため、特効薬を求める段階。新技術の導入、リストラ、他社の買収、一貫性のない新戦略などの対策をするが業績は回復しない。
第5段階:屈服と凡庸な企業への転落か消滅
経営者が戦いをあきらめるか、なんとか戦い続ける段階。以前とは比較にならない大きさの企業に転落してしまうか、消滅してしまう。

この本から分かることは、衰退の原因は「景気が悪くなった」とか「取引先が潰れた」という外部環境の変化ではない、ということです。意外なことに、全て経営者の行動や考え方が原因になっています。

2-4.『ビジョナリー・カンパニー4』の要約と書評

ビジョナリーカンパニー4 自分の意志で偉大になる

ビジョナリーカンパニー4 自分の意志で偉大になる
ジム・コリンズ (著), モートン・ハンセン共著 (その他), 牧野洋 (翻訳)

現代は「先行きが見えない不確実な時代」と言われています。そんな時代でも、なぜ一部の企業だけは業績を伸ばすことができるのでしょうか?

不確実な時代に中小企業からスタートして、15年以上にわたって同業他社を上回る実績を出した企業を、本書では分析してまとめています。

『ビジョナリー・カンパニー4 自分の意志で偉大になる』の要約

先駆者が勝者になるわけではない
業界でイノベーションを起こした企業が勝者になったのはたった9%だけ。たとえば、Amazonは本のオンライン販売の先駆者ではないが、勝者である。
スピードではなく規律が重要
ビジョナリー・カンパニーに共通するのは、スピードではなく規律である。彼らは意外なことに、追い風でも業績を伸ばしすぎないようにあえて自制していた。
テストが成功してから大きなリスクを取る
ビジョナリー・カンパニーは、比較対象企業に比べて小さなリスクしか取っていなかった。小さくテストをして、その成功を確認してからリスクをとっていた。
常に余裕を持つと同時に、危機をいち早く察知する
業績が良い時でも警戒をおこたってはいけない。リーダーは、どんなに先行きが明るいときであっても、急な逆風に見舞われることを想定しておく。
外部環境が変わっても業務のやり方を大幅には変えない
具体的で整然としていて一貫したレシピ(やり方)を決め、それを何十年にもわたって適用し続けよう。そのやり方は、たとえ外部環境が変わっても一部しか変えてはいけない。
幸運を活かすと同時に不運を避ける
ビジョナリー・カンパニーは比較対象企業に比べて幸運でも不運もなかった。幸運を活かすことと、致命傷になるような不運を避けることの2点が重要。

この本を読むと、不確実な時代でも経営の仕方によっては業績を上げ続けられることが分かります。不運なことが起きても生き残れるという結論には、勇気を貰えますね。

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3.『ビジョナリー・カンパニー』の私の感想

この本は、経営書であると同時に自己啓発書です。それは、ジム・コリンズが経営者という人にフォーカスしてデータを分析しているからでしょう。ジム・コリンズが経営学者のピーター・ドラッカーの後継者と呼ばれるゆえんはこの辺りにあるのでしょう。

この本は、経営者でなくても、このように生きればいいという指針を与えてくれます。私としても、この記事でご紹介した指針を1人でも多くの人が実践していただけたら、うれしく思います。

また、繰り返しになりますが、『ビジョナリー・カンパニー』シリーズを私は過去に別の記事でも解説したので、ぜひそちらもあわせて読んでみてください。

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