ビジネスアイデアの6つの例|発想法から実現までを解説

「何か良い、ビジネスのアイデアはないかなあ?」あなたはそんなことを考えたことはありませんか? あるいは、上司からビジネスアイデアを求められたことがあるかもしれません。

世の中には、すばらしいアイデアをもとに成功した人はたくさんいます。では、そういった良いビジネスアイデアはどうやって発想すればいいのでしょうか?

この記事では、ビジネスアイデアを3つに分けて解説します。

1.不可能を可能にしたビジネスアイデア
2.今あるものをよりよくするビジネスアイデア
3.日常の問題や不満を解決するビジネスアイデア

さっそく次の章から、わかりやすい成功事例をご紹介していきます。もちろん、その発想法から実現までをくわしく解説します。

ぜひ、あなたにビジネスの役立ててください。

目次 〜ビジネスアイデアの6つの例と実現までを解説〜

1.不可能を可能にしたビジネスアイデア

2.今あるものをよりよくするビジネスアイデア

3.日常の問題や不満を解決するビジネスアイデア

4.ビジネスアイデア発想法

5.ビジネスアイデアは人を幸せにする

1.不可能を可能にしたビジネスアイデア

不可能を可能にしたビジネスアイデア

ビジネスアイデア発想の方法:
ビジョンや目標を掲げ、それらを共有し不可能を可能にする

ご紹介する最初のパターンは、不可能を可能にしたビジネスアイデアです。

素人はもちろん、専門家からしても不可能と思われるアイデアは、どのようにして実現すればいいのでしょうか? それではさっそく、具体的な事例を2つご紹介します。

1−1.ミドリムシは50年前から研究されていた

1−1−1.そもそも、ミドリムシとは?

あなたは、世界の食糧問題を救うかもしれない健康食品をご存知ですか? それはミドリムシです。

「えっ、ミドリムシ? 中学校のときに、理科の授業で習った、あの藻(も)のこと?」とお感じかもしれません。そう、そのミドリムシです。

意識が高い方なら、株式会社ユーグレナというミドリムシを扱った会社が、2014年に東証一部に上場したことをご存知かもしれません。(このユーグレナというのは、ミドリムシの学名です。)

少しむずかしい説明をすると、ミドリムシは動物と植物の両方の特性をあわせ持っているのです。そのため、植物に含まれるビタミンA、B、C、D、Eはもちろん、肉や魚に含まれるDHAや必須アミノ酸まで、多くの栄養素がふくまれています。

好ききらいは別にして、「ミドリムシがあれば、栄養不足で悩む子供を抱えた国が救われる」……そんな可能性がある食品なのです。

そのため、50年以上も前から、多くの研究者がミドリムシの研究をしていたのです。しかし、ミドリムシの研究は困難をきわめました。そして、多くの研究者があきらめていたのです。

その理由はたったひとつ、「ミドリムシを培養することができない」ということでした。ミドリムシは、人間にとって栄養満点であるのと同時に、酵母やカビ、目に見えないような小さな微生物などにとっても栄養満点。そのため、すぐに食べられてしまい、培養がとてもむずかしかったのです。

栄養素の高さは、50年前にすでにわかっていた。しかし、海外の研究者も含めて、誰ひとりとして培養ができなかった。それがミドリムシなのです。

1−1−2.20年間のショートカット

2005年のある日、のちに株式会社ユーグレナの創業者となる出雲充(いずも・みつる)さんは、ひとりのミドリムシ専門家のもとをたずねます。大阪府立大学の中野長久(なかの・よしひさ)教授、その人でした。

「中野先生、実は僕、ミドリムシが夢なんです! 先生がもう1回だけミドリムシの培養をやろうっておっしゃって下さるんでしたら、僕は会社を作ります!」

実は、1980年代から、ミドリムシの培養は日本の国家プロジェクトになっていました。しかし、どんなにがんばって培養しても、ひと月で耳かき1杯分くらいしか培養できず、プロジェクトは失敗していたのです。そのプロジェクトの中心メンバーが、中野教授でした。

中野教授は、ミドリムシ培養のむずかしさをよく分かっていたので、出雲さんを制しました。「培養は本当にむずかしいから、手を出さないほうがいいですよ」と。

しかし、出雲さんは熱く、中野教授にうったえます。とうとう中野教授が折れ、出雲さんの熱い想いにこたえることにしたのです。そして、全国のミドリムシ研究者に連絡しました。「今までの調査データを、この若者にたくせ」と。

信じられないことに、出雲さんは、20年分の調査データを、「タダ」でゆずり受けたのです。全国の研究者の手の内を明かしてもらったのです。

出雲さんは、当時を振り返ってこう言います。「中野先生のおかげで、20年間をショートカットできました。あれがなければ、私はまだ成功していないはずです」と。

出雲さんの、中野教授への熱いうったえが、ミドリムシ培養の研究を再開するきっかけになったのです。

1−1−3.そして……会社設立の4ヶ月後! 奇跡がおきた!

従来の方法では、栄養満点なミドリムシを、他の微生物がいない清潔なところで培養していました。しかし、出雲さんはそれを止めました。かわりに、ミドリムシを狙う外敵がたくさんいる環境の中で育てることにしたのです。

ただし、そのままでは培養したミドリムシは一瞬にして食べられてしまいます。そこで、蚊取り線香のように、ミドリムシの外敵をよせつけない方法を考えだしたのです。この方法は、蚊取り線香方式とよばれました。

そのミドリムシの培養の方法については、現在、公開されていません。つまり、特許を取っていないのです。

その理由は、コカ・コーラ社が、コカ・コーラの香料のレシピに対して、特許を取っていないのと同じでしょう。特許を取ったら、同業他社に一瞬でマネをされるからです。ミドリムシの培養については、そのやり方はあくまで秘密。今なおベールに包まれたままなのです。

ミドリムシのビジネスが成功したのは、出雲さんの、中野教授への熱い言葉がきっかけだったのです。人生が変わるきっかけは、いつ訪れるかわからないものですね。

参考文献:出雲充、神田昌典(インタビューCD)『食料・エネルギー問題をミドリムシで解決する!』

1−2.ヤマト運輸の宅急便の開発秘話

1−2−1.個人向けの配送をしていなかった、むかしのヤマト運輸

「クロネコヤマトの宅急便」でおなじみのヤマト運輸は、むかしは商業貨物の配送「だけ」をしていました。

商業貨物というのは、個人用貨物の反対です。簡単に説明すると、個人から個人に送るのは個人用貨物です。反対に、工場から問屋や小売店などに送るのが商業貨物です。つまり、ヤマト運輸は、昔は個人向けの宅急便をしていなかったのです。

当時、時代の変化などが原因で、ヤマト運輸は売上が伸びなやんでいる状態でした。

宅急便の最初のアイデアは「お中元、お歳暮などは、誰が配送しているんだろう?」という疑問から生まれました。その結果わかったことは、お中元やお歳暮は、郵便小包と国鉄の小荷物で配送されているということでした。

民間の運送業者は誰も参入していない。もしこの分野を我が社が手がけたらどうなるだろうか、というのが宅急便のはじまりでした。

商業貨物は、工場、倉庫、問屋、小売店など配送先が決まっています。配送ルートも決まっています。毎日毎日同じことの繰り返し。ですので、配送業者にとっては、とてもありがたい相手ですね。

それに対して、家庭から出る荷物は送り先がバラバラ。ということは、配送ルートもバラバラ。あげくの果てに、配送のタイミングもはっきりしない。そのため、コストが高くつき、採算があわないと思われていたのです。

1−2−2.世間の非常識に挑戦!

「個人用貨物なんて、取り扱おうとするのがおかしい」……これが、世間の常識であり、社内の風潮だったのです。

たしかに1件1件で考えると採算はまったくあわない。商業貨物の10倍くらいの経費となってしまう。そこで、ヤマト運輸の創業者、小倉昌男(おぐら・まさお)さんは経費を下げることは出来ないかと考えました。

もし、ある町で1日に100個集荷できれば、荷物1個あたりの経費は100分の1ですむ。1個しか集荷できなければ、経費はべらぼうに高くつく。つまり、個人用貨物の配送がうまくいくかどうかは、荷物の「密度」で決まる、という結論にいたったのです。

「では、どうすれば利用者がたくさん増えるだろう?」そこで小倉さんが考えたのが次の2つのアイデアでした。

ヤマト運輸の利用者を増やす2つのアイデア
1.翌日配送
2.地域均一料金

「ひとつの町で、多くの数を集荷できれば、コストをどんどん下げられる」小倉さんはそう考えたのです。

そのために、2つのアイデアを採用しました。1つ目は翌日配送です。「郵便小包は届くのが遅い。送り先が遠いと何日もかかってしまう。もし、宅急便が集荷した翌日に確実に配達をすることができたら、消費者は我が社を選ぶだろう」それが小倉さんの見込みでした。

2つ目は地域均一料金です。例えば、東京から九州へと荷物を送る場合、九州のどの県でも同一の料金にすれば、分かりやすいですよね? これによって、利用者が爆発的に増えると小倉さんは予想しました。

1−2−3.社内からの猛反発

しかし、小倉さんのこのアイデアは、社内では反対の嵐でした。

商業貨物の場合、輸送先が毎日商売をしている関係で、届けるのが1日くらい遅れてもあまり問題になりません。多少在庫に余裕があるからです。

それに対して、家庭から出る荷物は中身がわかりません。例えば、海外旅行に必要なパスポートを送るような場合や、結婚式の衣装を送るような場合、なにがなんでも期日に間に合わせなければいけません。

また、同じ地域内でも距離がずいぶんと違ってくるなど、問題は山積みだったのです。これらの問題を乗りこえるため、小倉さんは次の3つの経営目標をかかげました。

ヤマト運輸の3つの経営目標
1.ダントツサービス
2.社員のゆとりある生活
3.安定した利益

しかし、実際には宅急便を始めてから10年間は、この3つのうち、1つ目の「ダントツサービス」しか小倉さんは言わなかった。いや、言えなかったのです。

1−2−4.サービスを追求した10年間

ダントツサービスを追い求めるほど、社員のゆとりや、安定した利益という目標が達成できなくなるからです。サービスと、社員の生活と、利益は同時には実現することはできませんでした。

小倉さんは、利益を追い求めることでサービスがおろそかになることを恐れました。そのため、会議でも、小倉さんは収支については一切触れなかったのです。ひたすら、「サービス! サービス! サービス!」と言い続けました。「サービスが先、利益が後」と紙に書いて張り出したほどです。

そうして、この3つの目標のもと、多くの問題をひとつひとつ乗り越えながら、宅急便が一気に世の中に広まっていきました。今では当たり前のサービスとなっている宅急便は、日本の流通を大きく変化させたのです。

参考文献:小倉昌男(著)『自ら語る小倉昌男の経営哲学』

2.今あるものをよりよくするビジネスアイデア

今あるものをよりよくするビジネスアイデア

ビジネスアイデア発想の方法:
ひらめいたアイデアを大切にし、今すぐできることから行動する

続いて、今あるものをよりよくするビジネスアイデアです。これは、0から1を作り出すというよりも、既にある1を、2や3にするためのビジネスアイデアです。

といっても、抽象的でよく分からないと思いますので、さっそく具体例を見ていきましょう。

2−1.ハウスウェディングが広まった経緯とは?

2−1−1.結婚式業界に革命をおこした、ハウスウェディングとは?

ハウスウェディングとは、その名前のとおり、一軒家(ハウス)を丸ごと使って、結婚式(ウェディング)をすることです。

このハウスウェディングは、テイクアンドギヴ・ニーズという、結婚式を企画する会社が日本に広めたスタイルです。

2−1−2.ハウスウェディングが発想された瞬間

さて、テイクアンドギヴ・ニーズの創業者である野尻佳孝(のじり・よしたか)さんは、どのようにしてこのハウスウェディングを思いついたのでしょうか?

実は、このビジネスアイデアを思いついたのは、野尻さんが友人の結婚式に参加したのがきっかけでした。野尻さんが参加した、その結婚式は非常に伝統的だったのです。金屏風(びょうぶ)の前であいさつをする、ぎょうぎょうしいものでした。

野尻さんは、その結婚式について、まわりにいた友達に、こんな質問をしたそうです。「こういう結婚式、どう思う?」と。

その質問に対し、友達たちは口々に「やだー。ダサい!」と答えたのです。そのときに、伝統的な結婚式は、自分と同じ世代の若者たちにはあまり好まれない、ということに野尻さんは気づきました。

この時、野尻さんは、思い出したのです。野尻さん本人が、自分自身の成人式のあとに企画した、ホームパーティのことを。

そのホームパーティは、プールと庭がついた一軒家を借りきって、友人たちを集めておこなったのです。その雰囲気は、まるで海外の映画のようで、友人たちにもとても喜ばれたのです。

野尻さんは友達たちにたずねました。「昔、成人式のあとに、一軒家を借りきって、ホームパーティをやったじゃない? あんな場所で結婚式をやってみたくない?」

すると、友達たちは異口同音。みんな口々に「そっちの方がいい!」と答えたのです。

「わかった。じゃあ、オレがそんな結婚式を企画する会社を作るよ!」と野尻さんは返事をしました。それが、ハウスウェディングという新しいスタイルの結婚式が生まれたきっかけだったのです。

しかし、当時は一軒家を借りきって行うハウスウェディングは、まったく世の中に知られていませんでした。それどころか、レストランを借りきって行うレストランウェディングでさえ人々にあまり知られていなかったのです。そのため、野尻さんは非常に苦戦することになりました。

では、野尻さんはどのようにハウスウェディングを実現したのでしょうか? ここからは、その流れを解説しましょう。

2−1−3.ハウスウェディングの実現までの流れ

野尻さんは、まず、結婚式を企画する会社に入社しました。結婚式業界のノウハウを学ぶためです。そこで3ヶ月間みっちりと働きました。

その後、テイクアンドギヴ・ニーズを設立。といっても、当然、最初はお金がなく、ハウスウェディングなんてできません。「まずは手をつけられるところから」ということで、野尻さんはレストランと提携することにしました。そうです。最初はハウスウェディングではなく、レストランウェディングからスタートしたのです。

「レストランの客単価は2000円ですが、レストランウェディングなら客単価が2万円になりますよ!」と、レストランの店長を野尻さんは説得。少しずつ売上を増やしていきました。その後は収容人数の多いレストランと提携するなど、確実に実績を積みかさねていったのです。

しかし、野尻さんの目標はあくまでハウスウェディング。売上は上がっていたもののレストランウェディング事業だけでは満足しきれなかったのです。

「少しでも早くハウスウェディング事業を始めたい。しかしそれにはお金がかかる……」野尻さんはあせっていました。

しかし、ハウスウェディングをするにあたって、何よりも問題なのは結婚式をするための一軒家の建設費用でした。その費用、なんと3億円! 当然そんなお金はありません。

2−1−4.資金調達に苦しむ毎日

「なんとか、借り入れないといけない……」野尻さんの想いとは裏腹に、資金調達は困難をきわめました。実績があまりなかったので、金融機関から融資を受けることができなかったのです。

その後は、ベンチャーキャピタルなどの投資家も訪問しました。しかし、全く投資してもらえません。長者番付で1位~1000位までのお金持ちに「投資をして欲しい」とダイレクトメールを送ったものの、やはり反応はなし。いろいろなことをやっても、資金調達はまったくうまくいかなかったのです。

そして、ある年のクリスマスイブ。野尻さんは寒空の下、サンタクロースの格好をしたのです。その手に、ラッピングをした事業計画書を握りしめて。

目当ての社長が現れるのを待ち伏せしていたのでした。そして現れた社長に、「私からのクリスマスプレゼントです。お願いです。投資をしてください!」と、その事業計画書を渡したのです。このように、考えられる限り、あらゆる手をつくして、資金調達をしようとしたのです。

しかし、それは逆効果でした。経営者や投資家たちからは、「野尻という変なヤツがいる、近づかないほうがいいよ」と悪いウワサになっていたのです(笑)。

しかし、悪いウワサでも、ウワサはウワサ。そのようなことを繰り返しているうちに、上場企業の経営者の集まりで、野尻さんのことは「ガッツのある、おもしろい男がいる」と以前とは真逆の評価となり話題になったのです。

それがきっかけとなり、野尻さんは最終的に5億円の資金調達に成功しました。そのお金をもとに、全国に直営店を増やして上場。今では海外にまで出店をのばしています。

以上が、ブライダル業界に革命を起こした、野尻さんの創業期の物語です。

これは、友人の結婚式がきっかけで、アイデアをひらめき、大成功した例です。ハウスウェディングのように、アイデアが新しすぎて、世の中に存在しないと相当な苦労をするようですね。

最終的には、決してあきらめず、今やれることを着実に行動していったことが、成功の要因だと言えるでしょう。

参考文献:ビジョネット(編集)『すごい人の頭ん中−すごい起業家』

2−2.ネット専門の高級パン屋さんのアイデア

2−2−1.なんと、1本2600円の高級パンが、たった3分で700本完売!

この数字、すごいと思いませんか? 計算してみると、3分間で182万円の売上です。これは、ネット販売専門の高級パン屋さんである、ルセットの事例です。

ルセットは、「高いパンなんて売れない。ましてや、インターネットなんて商売にならない」と人々から言われながら開業しました。さて、あなたは、開業後、ルセットはどうなったと思いますか?

計算では1日6万円の売上で、十分な利益を得られるはずでした。が、フタをあけてみたら、意気消沈。売上は6万円どころか、2万円を切る日さえあったのです。

その結果、毎月20〜30万円の赤字になりました。しかも、その赤字は約1年間続いたのです。「こんな状態では、会社をつぶすしかない」そう考えなければならない状態だったのです。

何が悪かったのでしょうか? これを解説する前に、まずパン屋さんについて少し考えてみましょう。

2−2−2.パン屋さんというビジネスがかかえる問題点

私は、ポータルサイトの運営で小さな成功をしていますが、そんな私からすると、パン屋さんの開業は大変だなあと感じます。一般的なパン屋さんでは、こんな問題を抱えています。

  • パンは保存ができないので、その日のうちに完売する必要がある。
  • パンは通常、100円〜200円くらいと安く、たくさん売らなければならない。
  • しかし、一日に作れるパンの数には上限がある。

ルセットは、ネット通販を利用して、低価格競争を避ける狙いでした。つまり、全国のお客様を相手に、品質の良いパンを高価格で販売しようとするビジネスアイデアです。

そのアイデアは決して悪くなかった。悪かったのはアイデアではなく、開業当初の見込みの方でした。つまり、見込みが甘かったのです。1本2600円という高級すぎる食パンは、お客様がすんなりとは受け入れなかったのです。

「パンにこんなお金は出せないよ」ルセットの高級なパンの値段を見た人は、最初、誰もがそう思うからです。そのため、少しずつお客様の意識を変えていく必要があったのです。

また、インターネットでお客様を集めるのにも、ある程度の時間が必要です。大きく広告を打たない限りは、ホームページを立ちあげてすぐに見に来てくれる人などいるはずもありません。そのホームページの存在を知りようがないからです。

2−2−3.少しずつ、高級なパンが売れはじめた!

しかし、ルセットの高級なパンは、雑誌などでも取り上げられて、少しずつ、少しずつ売れ始めていったのです。また、一度パンを購入してくれたお客様に、メールマガジンを送ったのも良かった。リピートして購入してくれるようになったのです。

そして、販売個数が限定なのも功を奏したようです。「売り切れてしまって、買えない」となると余計に欲しくなるからです。そこからは順調に売上も伸びていきました。

以上が、ルセットの事例です。

アイデアそのものは決してむずかしいものではありません。普通のパンを、より美味しくして、ネットで売っただけです。この事例も、今やれることをコツコツ行動していったことが、成功の要因だったと言えるでしょう。

参考文献:田中明子(著)『ネットのパン屋で成功しました』

また、ネットを使ったビジネスについては、私が以下の記事で紹介していますので、興味があれば参考にしてみるのもよいでしょう。

ネットビジネスの真実|経験者が種類ごとに成功と失敗を解説
あなたは、ネットビジネスという言葉を聞いてどのような印象を受けますか? 私自身は最初、「普通のビジネスよりカンタンそう」「カンタンに稼げるかも?」といったイメージを漠然と描いていました。また逆に「詐欺も多そう、少し怪しいかも」といった印象もありま...

3.日常の問題や不満を解決するビジネスアイデア

日常の問題や不満を解決するビジネスアイデア

ビジネスアイデア発想の方法:
日頃から問題意識を持ち、不満などをメモする

あなたは、日本がほこる商品開発の天才をご存知でしょうか? その方とは、梅澤伸嘉(うめざわ・のぶよし)さんです。

「えっ……誰それ?」と思うことでしょう(笑)。私も最近まで、この方の名前を知りませんでした。ただ、この方の名前は知らないと思いますが、この方が開発した商品の名前は聞いたことがあるでしょう。

例えば、カビキラー、固めるテンプル、ジャバ、禁煙パイポ、ズックリン、スキンガードなど……あなたも、ひとつくらいは聞いたことがありますよね?

もう何十年も継続して売れ続ける、超ロングセラーの商品をいくつも開発しているのです。売上の累計も「兆」円単位。商品開発のコンサルタントは世の中にいますが、ここまでの超ロングセラー商品を作り続けている方はなかなかいません。

梅澤さんは、商品開発の本を何冊も出しています。ここでは、その梅澤さんのアイデア発想法を、できるかぎり、わかりやすく紹介しましょう。

3−1.「カビキラー」のアイデアが生まれたきっかけ

3−1−1.主婦の「日常の不満」が、アイデアのきっかけ

あなたは、カビキラーをご存知ですよね? そう、お風呂場の黒ずみに、プシュップシュッと吹きかける、あのカビ取り剤のことです。

このカビキラーは1982年に世の中に出ました。その後、30年以上にわたって、カビ取り剤の市場でNo.1の座を守り続けています。この商品はどのような発想で生まれたのでしょうか? そして、なぜ、No.1の座を30年も守れているのでしょうか?

最初の発想は、お風呂場のタイルの黒ずみを取りたいという、主婦のニーズからでした。しかし、当時はこの黒ずみがカビということを知らない主婦も多かったのです。普通の洗剤をつけたタワシでゴシゴシとこするのが普通でした。

しかし、今考えると当たり前ですが、こすっても、こすっても黒ずみは落ちるわけがありません。このことに主婦は不満を感じていたのです。この、なかなか落ちないという「日常の不満」からカビキラーは生まれました。

お気づきでしょうか? このような「日常の不満」が、良いビジネスアイデアのヒントになるのです。

3−1−2.「仕方なくやっていること」には、かなり強いニーズがある!

この話の中に、実はもうひとつ、ビジネスアイデアのポイントがあったのにお気づきですか? そのポイントがあったからこそ、カビキラーが大ヒットになったのです。

そのポイントとは、「普通の洗剤を付けたタワシでゴシゴシとこする」という部分です。この、「やりたくないのに仕方なくやっていること」には、かなり強いニーズが隠れていると考えられるのです。

そうです。商品開発の発想法には2つのポイントがあり、「日常の不満」があり、かつ「やりたくないのに仕方なくやっていること」が重要なのです。

この「やりたくないのに仕方なくやっていること」とは、言いかえると「我慢してやっていること」とか、「他の人に頼みたいこと」と言えるでしょう。これらは、ニーズがかなり強いと考えられます。普通、やりたくなければ、やらなければいいだけのことだからです。しかし、どうしてもやらざるを得ないわけですから。

ですので、そのニーズを解決できる商品を開発した場合、大ヒットになる可能性があるのです。

3−1−3.新カテゴリーの商品は、ロングセラー商品になる!

また、今まで世の中になかったカテゴリーの商品なので、「カビ取り剤と言ったら、カビキラー」というように、そのカテゴリーの代名詞として、人々に覚えられることになります。つまり、ロングセラーにもなりやすいのです。

あなたが、「日常の不満」を見つけた場合には、最初に、周りの人が「仕方なくやっているか」チェックしてみてください。そして、仕方なくやっていた場合、次に、その悩みを解決する商品がないか調べてみて下さい。

もし、その悩みを解決する商品がない場合は、商品開発した場合は大ヒット、かつロングセラーになる可能性が高いでしょう。

3−2.「固めるテンプル」の商品化の課題とは?

3−2−1.「天ぷら油の処理が面倒!」という「日常の不満」

続いて、もうひとつの有名な例として、「固めるテンプル」をご紹介します。この「固めるテンプル」も、天ぷら油処理剤の市場でNo.1の座を守り続けています。しかも、1983年の発売から30年以上にわたって、です。

さて、あなたは、「固めるテンプル」がどのようにして生まれたのたのか、ご存知でしょうか?

これは、「揚げ物が終わった後の、天ぷら油の処理が面倒!」という、主婦の「日常の不満」からスタートしました。

良心的な主婦は、使い終わった天ぷら油を新聞に吸わせたり、天ぷら油を十分に冷ましてから牛乳パックにつめて捨てていました。 しかし、どちらもかなり面倒くさい作業ですよね? また、牛乳パックにつめるとしても、手や服が汚れるなどの不満があったのです。

この「日常の不満」を解決するために、どんな商品を作ればいいか、梅澤さんは考えたのです。このときに、「廃油石けんをつくる技術」を応用して、使い終わった天ぷら油を固められる、ということに気づきました。

3−2−2.「固めるテンプル」の商品化の課題

とは言え、そのままスムーズに商品化できて、大ヒットになったわけではありませんでした。次の2つの課題があったからです。

「固めるテンプル」の商品化の課題
1.廃油石けんのようには、油がきれいにカチカチに固まらない
2.今までタダで油を捨てていたのに、売れないのではないか?

1つ目の「油がきれいにカチカチに固まらない」という課題は、実は、現在にいたるまで、いまだに30年以上も解決されていません。使ったことがある方はご存知だと思いますが、固めるテンプルを使うと、石けんのようにカチカチに固まるというよりは、ゼリーのようにプルプルに固まりますよね?

しかし、そこで、「捨てられる程度に、そこそこ固まれば十分では?」という発想の転換があったのです。その結果、課題をあえて解決していないで、商品化に踏み切ったのです。プルプルにでも固まってさえいれば、捨てられるわけですから。

2つ目の「今までタダで油を捨てていたのに、売れないのではないか?」という課題は、どのように解決したのでしょうか? これは、小さくテスト的に販売をしてみたのです。すると、お金を払う人がいることが分かりました。

その結果、売れる実感が出てきました。そこでようやく、商品化して、発売を開始。その後の売れ行きはあなたも知ってのとおりです。「固めるテンプル」というネーミングセンスの良さも手伝って、一気に世の中に広まっていったのです。(テンプルとは、「テンプラ油をプルプルにする」の略だと思われます。)

参考文献: 梅澤伸嘉(著)『【ビジュアル図解】ヒット商品を生む!消費者心理のしくみ』

4.ビジネスアイデア発想法

ビジネスアイデア発想法

ここまで読んで頂いて、「ビジネスアイデアって、すごいなあ」と感じて頂けたかもしれません。そこで、この章では、役に立つアイデアの発想法を2つ、ご紹介します。

そして、実際にビジネスをする場合、かならずしも画期的なアイデアが必要になるとは限らないことも申し添えておきます。

たとえば、
1.普通の缶コーヒーを、「朝専用WONDA」というように、専門化する
2.メンズTBCのように、同業他社が見逃している一部の顧客層にしぼることで差別化をする

など、ほんの少しの工夫で成り立つケースも多いからです。

ぜひ気軽に発想を広げる感じでやってみて下さい。

※なお、新規事業のアイデアについては、「新規事業のアイデアを出す方法と、失敗しない立ち上げ方」 の記事にくわしく書いていますので、そちらをご覧ください。

4−1.ブレインストーミング

ブレインストーミングは集団でアイデアを出しあう発想法です。この発想法は、ご存知の方も多いでしょう。

斬新なアイデアは、最初、笑いものにされるケースが多いですよね。そのため、ブレインストーミングの場合、出たアイデアに意見をはさまないことがポイントです。おたがいの自由なアイデアを尊重し、ポジティブな雰囲気を作り出しましょう。これによって、より自由な発想ができ、おもしろいアイデアが浮かびやすいです。

4−1−1.ブレインストーミングの具体的な方法

ブレインストーミングのやり方は次のとおりです。

1.テーマを決める
2.書記担当役を決める
3.テーマにそったアイデアを自由に発表する
4.書記担当は出たアイデアをホワイトボードに書く
5.必要に応じてアイデアを整理し、アイデアをもとに議論する

アイデア発表時の4つの注意点

1.判断をはさまず、結論を言わない
2.奇抜なアイデア、ユニークなアイデアを歓迎する
3.アイデアの質よりも量を重視する
4.アイデアの発展を歓迎し、他人のアイデアへの便乗や改善を歓迎する

4−2.欠点列挙法

欠点列挙法は、日頃見逃している欠点を洗い出す方法です。これによって、商品やサービスの質を改善をするのです。

あなたは、1995年に、ユニクロが「ユニクロの悪口言って100万円」という広告を新聞に載せたのをご存知でしょうか? これを見たとき、私は「えっ、どういうこと?」と思いました。

このコンテストは、ユニクロの商品やサービスの欠点をお客様に出してもらうのが目的でした。そして、その欠点を改善することで、商品やサービスの質を上げようという試みだったのです。なんと、実際に100万円を払ったとのことで、試み自体も成功したとのことです。おもしろいですよね。

実際の顧客の声から生まれたのが、男性のベージュ色の肌着です。最近は、クールビズのため、夏に白いワイシャツだけで、スーツを着ないで仕事をする男性が増えました。

すると、白い色の肌着だと、首回りや腕周りに、肌着の線が目立ってしまうのです。そこで、肌に同化しやすい、ベージュ色の肌着をユニクロは開発しました。

このように、欠点を洗い出し、それを改善するのが欠点列挙法です。(ユニクロの場合、顧客に欠点を出してもらいましたが、普通は社内の人間だけで行います。)

4−2−1.欠点列挙法の具体的な方法

欠点列挙法の手順はこのとおりです。

1.テーマを決める
例:夏物の服の質について

2.そのテーマの問題点、短所、欠点などを付せんに書きだす
例:白い色の肌着だと、線が目立ってしまう

※この時のポイントは、発想を広げるため、色々な立場から欠点を考えることです。(例:若者だったら、女性だったら、新入社員だったら、お年寄りだったら、外国人だったら、身体が不自由な方だったら……など)

3.付せんから共通点を探してグループ分けをし、タイトルをつける
4.グループごとの問題や欠点を明確にする
5.どのグループから取り組むか優先順位を付ける
6.優先順位の高いグループから、その原因を具体的に書きだす
7.欠点の解決策を検討する
8.出てきた解決策をまとめる

※こうやって書かれているのを読んでみても、その感覚がつかみにくいかもしれません。ブレインストーミングと同様、実際にやってみると、色々なアイデアが出てくることに驚くと思います。ぜひ試してみて下さい。

5.ビジネスアイデアは人を幸せにする

さいごに|ビジネスアイデアは人を幸せにする

さいごに、日本一、社員が幸せな会社を紹介します。その会社は未来工業。特徴は次のとおりです。

  • 未来工業の特徴

1.ノルマなし。残業なし。さらに休みが多い(休日140日+有給40日)
2.全員正社員で給料は年功序列
3.定年70歳と長い(しかも、年収は60歳以降も年収600~700万円と高い)
4.ホウレンソウ(報告・連絡・相談)なし
5.5年に1度全額会社負担で海外旅行に行く。さらに離職率は1%以下

この特徴を守りながら、創業以来53年間赤字なしとのことです。バブル時代も赤字を出すことなく乗りきったのです。なぜここまで社員に手あつく、しかも黒字を出し続けられるのでしょうか?

そのヒントは、社員が常に問題意識を持ち、考える習慣を持つことにあります。未来工業ではアイデアを提案するための箱があり、社内で常にアイデアを募集しているのです。

  • 未来工業の提案制度

1.どんな提案に対しても1件500円を支給
2.提案の採用で3万円支給
3.簡単な提案でOK(例:ゴミ箱の位置を変えて欲しい)

アイデアの応募件数は、おどろくなかれ、年間で2万件前後! それだけで会社は1000万円程度のお金を、この提案システムに投資していることになります。

しかし、このシステムのおかげで、社員は問題意識をもち、自ら考えるようになっているのです。それだけではありません。ホウレンソウ(報告・連絡・相談)が禁止ということは、どのような効果を生むでしょうか?

上司に相談ができない。すると社員は、自分で考えるしかない。自分で責任を負うしかない。社員は愛する会社のために全力を尽くすようになる、というわけです。この会社で働くこと、そのものが誇りになるのですね。

このような社風が、未来工業を「日本一社員が幸せな会社」にしているといえます。

未来工業の評判は世界にも広がり、毎年海外から大企業が視察に訪れています。たとえば、家電販売で世界トップクラスの企業、サムスンなどが実際に視察に訪れています。未来工業の話を聞くと日本の未来に希望を感じます。

アイデアは、人を成功に導くだけでなく、幸せにもするということがわかるからです。この記事が、あなたのビジネスの役に立ち、すばらしいアイデアで日本の未来を明るくしてもらえたなら、とてもうれしいです。

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