『金持ち父さん貧乏父さん』とは、全世界で1000万部、日本国内でも100万部を突破し、51ヶ国語に翻訳、109カ国で紹介された本です。著者はロバート・キヨサキ。本の内容を習得できるキャッシュフローゲームというボードゲームを開発した人物です。
あなたがもし本好きなら、ひと昔前の書店には自己啓発コーナーに必ず『金持ち父さん貧乏父さん』がおかれていたことを覚えていると思います。
インターネットで『金持ち父さん貧乏父さん』と検索すると、たくさんの書評ブロガーが内容の要約と感想を紹介していたり、Amazonで調べると、たくさんの方が概要や書評を投稿していたりするのを目にできます。
とはいえ、いろいろな人が十人十色の意見を書き込んでいるので、「実際読むに値する本なの?」とか、「そもそも『金持ち父さん貧乏父さん』の著者はどういう人なの?」というさまざまな疑問もわいてくるでしょう。
この記事では、自己啓発セミナーの主催者と一緒に働いていた経験があり、『金持ち父さん貧乏父さん』やロバート・キヨサキのウラ事情にもくわしい私が、“世界一わかりやすい解説!”を心がけて、本の要約から著者についての説明まで、オモテには出てこない情報も交えながら、あなたに本気でお伝えしていきます。
しかしながら、徹底的にくわしく解説するつもりですので、ネタバレのオンパレードになります(笑)。もし、あなたが「いや〜〜、さすがにくわしすぎる解説は読む楽しみがなくなるからいらないよ〜」と思われるのであれば、ここから先はご覧にならないことをオススメいたします。
また、『金持ち父さん貧乏父さん』の黒いウワサについて、私の実体験も含めて、以下の記事に書きました。本書のダークな側面を調査した結果を公開しています。本記事とセットになっていますので、あわせてお読みください。
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ビジネス心理学とは?目次 〜アムウェイとの関係や勧誘被害についても暴露〜
1.『金持ち父さん貧乏父さん』とは? シリーズや電子書籍
『金持ち父さん貧乏父さん』は米国では1997年に、日本では2000年に発売された、「金持ち父さんシリーズ」の一番はじめの作品です。シリーズは全26作に加えて、5作の改訂版が出されています。
『金持ち父さん貧乏父さん』
ロバート キヨサキ (著), シャロン・レクター(公認会計士) (著), 白根 美保子 (翻訳)
最近はある程度売れている本ですと、電子書籍化や文庫化されることが多いのですが、「金持ち父さんシリーズ」については、電子書籍版も文庫版も発売されていません。
また、『金持ち父さん貧乏父さん』は改訂版が2013年に出版されています。オリジナル版との内容の違いはほとんどありませんが、改訂版はリーマン・ショック以降の市場の動向を考慮に入れて書きなおされています。
表紙も、オリジナル版では、「金持ち父さん」と「貧乏父さん」をイメージしたイラストが描かれていたのですが、改訂版ではテキストのみのスタイリッシュなデザインに変更されています。
さらに、Amazonランキングでも上位をとり続けています。私が確認したところ、
2017年4月末の時点で、改訂版は、全体で261位、株式・投資信託部門で2位、一般読み物部門で3位でした。
もちろん、売れる本が必ずしも名著であるというわけではありません。しかしながら、多くの人に長い間支持されている本であることはわかりますね。
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ビジネス心理学とは?2.『金持ち父さん貧乏父さん』の著者ロバート・キヨサキ
『金持ち父さん貧乏父さん』の著者:ロバート・キヨサキ
『金持ち父さん貧乏父さん』の著者であるロバート・キヨサキについて簡単にご紹介しておきましょう。ロバート・キヨサキは、ベストセラー作家の他に、投資家、起業家としても活躍しています。
投資家としては、不動産投資で今でも資産を増やし続けていますし、さまざまなベンチャー企業に投資もしています。また、起業家として、会社をいくつも立ちあげています。有名なのが、キャッシュフローテクノロジー社。キャッシュフローゲームを販売している会社です。
2-1.『金持ち父さん貧乏父さん』のキャッシュフローゲームとは?
キャッシュフローゲームは、ロバート・キヨサキがお金持ちとそうでない人の格差を解決するための手段として考えだしたものです。そもそも、『金持ち父さん貧乏父さん』は、キャッシュフローゲームを販売するために書かれた本でした。
キャッシュフローゲームについては、以下の記事にまとめてあります。考案者のロバート・キヨサキは、「さぞお金の運用がうまかったのだろう……」と思われるでしょう。ところが、「彼は実は貧乏だったのでは……?」という疑惑の真実を、以下の記事中の第6章で明かしています。
また、キャッシュフローゲームとネットワークビジネスとの関係についてもくわしく紹介していますので、この記事を読まずにゲームに参加してしまうと痛い目にあうかもしれません。興味がある方は、必ず読んでからゲーム参加を決めてください。
ロバート・キヨサキの資産総額は、80億円を超えているとも言われています。
ロバート・キヨサキについては、以下にひと記事を割いて、解説しています。なぜロバート・キヨサキがこれほどまでに盲信されるのか? 彼から学んで本当に役立つのか? 真実を書き記しています。必読!
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ビジネス心理学とは?3.『金持ち父さん貧乏父さん』の3つのあらすじ
この章では、『金持ち父さん貧乏父さん』の内容について簡単にご説明いたしましょう。特に、タイトルにある「金持ち父さん」、そして「貧乏父さん」とはナニモノなのか? 彼らがそれぞれどんな考えを持っていて、その結果どんな将来を過ごすことになったのか? 本の内容にそって、ご紹介していきます。
ちなみに、物語では『金持ち父さん貧乏父さん』の著者の実体験として描かれていますが、「金持ち父さん」や「貧乏父さん」は実在しない人物であるということをお伝えしておきます。
3-1.金持ち父さんとは? 正体を暴露!
金持ち父さんとは、主人公ロバート・キヨサキの実の父親のことではありません。彼の幼なじみである「マイク」の父親のことです。主人公が子供の頃は、金持ちというわけでなく高校も卒業していませんでした。とはいえ、勤勉でよく働き人を引きつける魅力や影響力を持っていました。
また、お金に対する考え方についても独特なものを持っていました。
主人公に対してよく次のような言葉を口にしています。
- 「金がないことこそが悪の根源だ」
- 「税金は生産するものを罰し、生産しないものに褒美をくれてやるためのものだ」
- (欲しいものが買えないときには、)「どうやったらそれを買うためのお金を作り出せるだろうか?と考えろ!」
教育についても、勉強することのメリットを「会社を買うことができるから」と教えたり、食事中にビジネスや投資の話をすることをすすめたり、「経済的には100パーセント自分に依存することが大切である」と考えていました。
さらには、経済的に行き詰まっている状態のときでも、「自分は金持ちだ」と言い続け、「貧乏と破産は大違い。破産は一時的な状態にすぎないが、貧乏はずっと続く」とか、「わたしはお金のために働くのではない、お金がわたしのために働くのだ!」という名言も残しています。
有言実行。金持ち父さんはお金がない状態からでも、ドンドン投資を増やしていくのです。
3-2.貧乏父さんとは? 真実を公開!
一方で、貧乏父さんとは、主人公の実の父親のことです。大学を卒業し博士号を取得したあとも、スタンフォード大学、シカゴ大学、ノースウェスタン大学などの一流大学で学びました。
しかも、成績優秀のためすべて奨学金で学校へ通い続けています。マイクの父親の「金持ち父さん」と同様に、勤勉でよく働き、人に対する影響力も大きい人でした。
しかしながら、お金や社会に対する考え方は「金持ち父さん」とはまったく異なっています。
- 「金への執着は諸悪の根源だ」
- 「金持ちはお金に困っている人を助けるためにもっと税金を払うべきだ」
- 「それを買うためのお金はない」
さらには、貧乏父さんの家では食事中にお金の話をすることは禁止されていましたし、会社や国にたよることも良いことであると信じていました。
貧乏父さんは、金持ち父さんと同じようにお金がないときに、「自分は絶対にお金持ちにはなれない」と、現状をかえることをあきらめていました。
3-4.『金持ち父さん貧乏父さん』を読んだ人の感想
私が『金持ち父さん貧乏父さん』をはじめて読んだのは、2008年のこと。当時読んだ直後は、こう感じていました。
「すごい本だ」
「このシリーズを参考に不動産投資をはじめれば、自分も人生が変わるかも?」
「職場の人たちは絶対読んでいないであろう本だな……これで他の人を差し置いて一発逆転してやろう!」
今考えると、お恥ずかしい感想だと思います。上記のような感想しか感じないかった当時、私の現実は散々たるものでした。
独立を夢見て、自己啓発本を読んだりセミナーに通ったりして、時間とお金を浪費しているだけで、「自分は成長している」、「夢に近づいている!」と、自分に酔っている状況。現実を見ると、銀行口座の預金はいつもすっからかんで、コミュニケーション能力も低く、人付き合いも避けている、といった、起業とか独立とは程遠い状態だったのです。
それでは、現在はどういう感想を持っているかというと、こちらのとおりです。
「金持ち父さんがいっていることは至極当然」
「ただ、自己啓発本にすぎないので、この本に感化されているようでは人生は変わらないだろう」
「著者が言っているセールス・マーケティングが重要という発言は同感」
上記のような感想を当たり前に持てている今は、独立も果たし、会社員だったころよりも高い収入を得ながら、好きな仕事をしながら自由な生活をおくることができています。満員電車にゆられる毎日ともオサラバできました(笑)。
つまり、『金持ち父さん貧乏父さん』の内容を取り入れて役に立つ部分もあれば、役に立たない部分もあるということです。
ただ、お金に不自由している状況だと、何が役に立って、役に立たないかを判断する基準がないですよね。本で人生を変えようとするなら、他にもっと適切な本があると思います。
「適切な本がなんなのかわからない?」という方のために、こちらの記事をご用意いたしました。本を選ぶ時の判断基準が書かれています。そもそも、こちらの記事のような基準で選ばないと、お金や時間をかけて本を読んだとしても、まったく意味も価値もありませんので、ご注意くださいね。
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ビジネス心理学とは?4.『金持ち父さん貧乏父さん』の内容を6つに要約した!
主人公は『金持ち父さん貧乏父さん』の中で、金持ち父さんから大きく分けて6つの金持ちになるための大切な考え方を学んでいます。6つの考え方を学べば、著者であるロバート・キヨサキの、基本的な思考についても理解できるでしょう。
4-1.お金のために働くな
あなたが会社員なら、思い当たることがあるかもしれません。毎日、同じ家から同じ道を通って、おなじ電車に乗って、同じ建物にむかって、朝から晩まで働きづめ。いつか給料が上がるだろう、と待ち続ける。もしくは、アルバイトなどのダブルワークに手を出す。
しかしながら、これではいつまでたっても暮らしはラクにならないし、あなたが望んでいるような人生を送ることもむずかしいでしょう。
この状態を本書では「ラットレース」とよんでいます。そして、ラットレースから抜け出すために、自分に正しいお金についての教育をしていくことを説いています。
金持ち父さんは、主人公に「中流以下の人間はお金のために働く、金持ちは自分のためにお金を働かせる」と教えています。
わたしたちは通常、大学や高校まで学ぶと「これで勉強はおわり」と考えます。しかしながら、金持ち父さんにとって、少なくともお金の勉強は、学校を卒業しても学べば学ぶほどわからないことがでてくる、深いものであるのです。
そして、大切なことは、感情をコントロールする技術をみにつけること。感情に支配されずに、頭でモノを考えられるようになることが、ラットレースから抜け出す解決のための第一歩です。
また、主人公がマンガ図書館というビジネスをたちあげ、自分がいなくてもお金を生み出してくれる仕組みを作りあげたストーリーも書かれています。金持ちは自分のためにお金を働かせるという、金持ち父さんの教えが分かりやすく説明されているのです。
大切なことは学んだことを、「実際に自分にもできそうだ」と思えるかどうか、ですね。
4-2.お金の流れの読み方を学べ
「金持ちになりたければお金について勉強しなければならない」。これは、読んでみるとアタリマエのことのように思えるかもしれません。しかしながら、わたしたちの多くは、学校でたくさんのこと学んできたにも関わらず、お金について多くのことを知りません。
金持ち父さんは、資産と負債の違いをしっかりと理解することを教えています。
- 資産:わたしのポケットにお金を入れてくれる
- 負債:わたしのポケットからお金をとっていく
この資産と負債の違いを理解してその流れを把握するために、会計の仕組み(損益計算書や貸借対照表など)について学ぶことが大切なのです。
あなたが資産についてくわしくないのであれば、たとえば、「持ち家が負債なのだ」聞くと驚くかもしれません。とはいえ、前述の資産と負債の定義で考えれば、一般的には住んでいるだけで価値が減っていく持ち家は負債になりますよね。こういった自分自身の1つ1つの価値観を変えていくことこそ、お金持ちに考え方を合わせていくプロセスだといえます。
4-3.自分のビジネスを持て
わたちたちは「仕事」と「ビジネス」を一緒にして考えがちです。しかしながら、2つは似て非なるもの。たとえば、銀行につとめている人に「あなたのビジネスはなんですか?」と聞くと、十中八九「銀行員です」という答えがかえってくるのではないでしょうか?
しかしながら、金持ち父さんにいわせれば、銀行員というのは「仕事」であって、「ビジネス」ではありません。
また別の例で言うと、マクドナルドの創業者であるレイ・クロックはセールスマンの仕事を長くやっていましたが、彼の持っていたビジネスはマクドナルドという不動産業だったのです。(マクドナルドがなぜ不動産業なのかくわしく知りたい場合は、書籍をご覧ください。)
ビジネスは資産になります。仕事は収入を与えてくれますが、資産でありません。前述したように資産とは、「自分のポケットにお金を入れてくれる」ものでしたね。金持ち父さんの定義で言うとビジネスは、あなたが現場にいなくても、あなたのポケットにお金を入れてくれるものでなくてはならないのです。
そして、金持ち父さんはお金持ちになるためにあなたが自分のビジネスを持つことを強くすすめいています。そして、多くの人にとって現実的な選択肢として、会社をやめて起業をするのでなく、今の仕事を続けながら、一方で自分のビジネスを持って育てていくことを教えてくれています。
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ビジネス心理学とは?4-4.会社を作って節税しろ
「税金はしっかりと納めるもの」。わたしたちはこう思っています。たしかに、法律の範囲で税金は収める必要があります。しかしながら、金持ち父さんは「税金は本来貧乏人のためのものである」という考えをもっています。
ですから、会社を作って法律の範囲で効果的な節税をして、資産を築きあげることに役立てようと教えています。特に米国や日本などの先進国では、お金持ちになるほど高い税率を課税されますから、正しい節税のやり方を覚えることはあなたの資産を守るために大切なことです。
資産を守るために大切な能力のことを、金持ち父さんは「ファイナンシャルインテリジェンス」とよんでいます。ファイナンシャルインテリジェンスは次の4つからなります。
- 会計力 ・・・・・・ 数字を読むチカラ
- 投資力 ・・・・・・ 戦略を立てるチカラ
- 市場の理解力 ・・・・・・ チャンスをつかむチカラ
- 法律力 ・・・・・・ 会計や会社、国や自治体に関する法律をうまく活用するチカラ
これらのお金の知識に対して理解を深めれば深めるほど、お金を自由にあやつれるようになっていくでしょう。
4-5.お金を作り出せ
金持ち父さんは「そもそも、お金なんていうものは存在しない。みんなが“これがお金だ”と同意して決めているだけだ」といっています。そして、「お金は存在しないものだと理解するほうがより早くお金を作ることができる」とも教えています。
さらにいうと、お金を作り出すための基本が、前章で紹介したファイナンシャルインテリジェンスなのです。たとえば、不動産や株式を購入するときも、なにが自分に多くの資産をもたらしてくれるのかを「見る目」をもっていなければ、いくら投資をしても資産は減っていくばかりでしょう。
ファイナンシャルインテリジェンスをみがくことは、市場をみたときに、あなたにより多くの資産をもたらしてくれる測定器を手に入れるようなものなのです。
また、金持ち父さんは 投資家には2種類があり、あらかじめ用意されているパッケージ化された投資を買う人と、自分で投資対象を作り出す人にわかれると教えています。多くの投資家は前者ですが、本当に大きな資産を築くことができるのは後者の投資家なのです。
後者の投資対象を作り出す投資家として成功するためには、次の3つの能力を伸ばしていくことが必要です。
- ほかの人が見過ごすチャンスを見つける技術
- 資金を集める技術
- 頭のいい人間を集めて組織にする技術
どれも一朝一夕で身につくような能力ではありませんが、ひとつひとつはあなたに計り知れないほどの大きなリターンをもたらしてくれる知恵なのです。
4-6.学ぶために働け
お金持ちになるためには、才能だけではむずかしいのが現実です。さまざまな経験や失敗から学び続けなければいけません。
お金持ちになっていく人はお金持ちになる前に、お金のためには働きませんが、学ぶために働いてきています。金持ち父さんは、ファイナンシャルインテリジェンスを中心に広く浅く学ぶことをすすめています。
ひとつひとつの知識について、必ずしも専門家レベルまで、くわしくならなくてもよいのです。必要なときに必要なだけ学べば良いということです。
わたしたちは、つい目先のことに気を取られがちですよね。「わたしは今この仕事がしたいから転職するんだ!!」、「給料少なっ! とっとと、こんな会社やめてやろう!!」と、将来をしっかりと見すえた判断がなかなかできません。
金持ち父さんは、お金持ちになりたいなら長い目で見て、本当にわたしたちが将来に得たいだけの資産をきずくために、必要な知恵を学べる仕事を選びましょうといっています。ヤミクモに学ぶのと、仕事をしながら明確な目的を持って学ぶのでは、学習効率がまったく違ってくるのは火を見るよりも明らかですよね。
実際、『金持ち父さん貧乏父さん』の著者も経理や皿洗い、工事現場、営業、予約受付、マーケティングなどたくさんの仕事を経験し、その中から必要な知恵を学んできたそうです。単にたくさんの経験をすればいいということでなく、ひとつひとつの仕事を選ぶ“意図”が大切、ということですね。
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ビジネス心理学とは?5.『金持ち父さん貧乏父さん』を盲信するな!勧誘に要注意
さて、ここまで『金持ち父さん貧乏父さん』について書きつづってきました。金持ち父さんの教えについては、ある程度理解していただけたと思います。その上でお伝えしておかなければいけないことがあります。
それは、『金持ち父さん貧乏父さん』で書いてあることが必ずしも正しいこととは限らないということです。たとえば、ビジネス書ウォッチャーの漆原直行氏は、『金持ち父さん貧乏父さん』について、以下のようにコメントしています。
「この本に煽られ、自分も金持ち父さんになろうと、資本家きどりで投資に走ったりして、失敗した人がたくさんいました。20代のうちは、他人を食い物にして自分だけのし上がる方法を考えるより、人とのつながりを大事にして、勤勉にやっていく基本を身につけるべきですね」
5-1『金持ち父さん貧乏父さん』とアムウェイの関係は?
『金持ち父さん貧乏父さん』がお金について多くの人の考え方と逆の価値観を教育する性質があることから、アムウェイをはじめとしたネットワークビジネスの勧誘や情報商材を販売する際のあおり文句としても乱用されています。特にアムウェイの一部のグループでは、『金持ち父さん貧乏父さん』を教材にしたり、推薦書として強力に読むことを勧められるようです。
そもそも、『金持ち父さん貧乏父さん』が根強い人気を誇っているのは、そういったネットワークビジネスの販売員や情報商材を販売する情報起業家たちが、ネタにしていることが原因とも言えるのです。
5-2.『金持ち父さん貧乏父さん』勧誘被害に気をつけて!
わたしが最後にお伝えしたいのは、『金持ち父さん貧乏父さん』は星の数ほどある情報のひとつにしかすぎないということ。この本を生かすも殺すも、無視するも、すべての選択に良いも悪いもないということです。あなたの責任で判断して、この記事でご紹介したことも含めて『金持ち父さん貧乏父さん』の情報をお役立てください。
そして、前章でも触れましたが、『金持ち父さん貧乏父さん』はネットワークビジネス・マルチ商法の勧誘に使われることが非常に多い書籍です。『金持ち父さん貧乏父さん』の話が出たら気をつけろ! と新入学生に教えている大学もあるようです。勧誘被害に遭わないよう、十分に注意してください。
ネットワークビジネスについての詳細は、こちらに書いています。ここ十数年で流行っているビジネスですが、注意しないとうまい話にだまされてしまって、借金をかかえることもあるので、よく読んで対策方法について学んでください。
さらに、自己啓発セミナーの勧誘にもよく使われます。『金持ち父さん貧乏父さん』の著者が言っていたセリフを引用して、「よくわからないけれど、海外のすごい人が言っていることだから、確かなのだろう」という感覚を持たせるためのトークに過ぎません。
私も実際、上記のような手口でネットワークビジネスの勧誘にあったことがあります。セミナーで知り合った知人から、ある日連絡が来たのです。
「ロバート・キヨサキが認めた、日本上陸直後のすごいビジネスの話があるの。見込みのある人にしか話していない内容だから、あなただけにまっさきに伝えたいと思っているの。今度、お茶でもしない?」
そんな内容でした。結局、彼女のネットワークビジネスのお誘いはお断りました。ただ、話もうまかったので、ネットワークビジネスのことをよく理解していない人であれば、勧誘にのってしまうだろうな、とも思いました。
こういった話は、あなたのまわりに今後いくらでもやってくる可能性がありますので、充分ご注意を。
3−2.貧乏父さんとは?
3−3.その2人の父親は、将来どうなったのか?
4−1.お金のために働くな
4−2.お金の流れの読み方を学べ
4−3.自分のビジネスを持て
4−4.会社を作って節税しろ
4−5.お金を作り出せ