自己効力感とは|高める方法やモチベーションとの関係を解説

自己効力感とは|高める方法やモチベーションとの関係を解説

自己効力感とは、どのような意味なのかな? そんな疑問を持ちながら、あなたはこの記事を読み始めるかもしれませんね。あるいは、自己効力感を高めることで、自分の人生に役立てたいと思っているのかもしれません。

ここでは、実際にこころの悩みを持ったお客さまに対して心理学も活用しているメンタルコーチが、自己効力感の意味やそれを高める方法を紹介します。この記事を読んで実践すると、あなたが目標に向って1歩を踏み出しやすくなりますよ。

目次 ~自己効力感を高める方法ややる気との関係を解説〜

1.自己効力感とは 意味や提唱者を解説

2.自己効力感を高めるメリットと低いままのデメリット

3.自己効力感の高め方4つ

4.自己効力感とモチベーション(やる気)の関係

5.自己効力感の変化と影響の例

6.自己効力感を高めるために

1.自己効力感とは 意味や提唱者を解説

自己効力感とは 意味や提唱者を解説

自己効力感という言葉を見ると、なんとなくムズカシそうですよね。でも、その意味合いは、一般的に言われている「自信」と同じようなものなのです。

それを知ると、少し身近に感じられますよね。

とはいっても、自己効力感は専門用語です。そのため、まずはその意味やこの考えを提唱した人物について触れておきます。

1-1.自己効力感(Self-efficacy)の定義

自己効力感とは、ある行動を起こす前に「自分にはこれだったらここまでできるんじゃないか」「やればできる」「なんとかできそう」と思う気持ちのことです。

たとえば、あなたがニューヨークに行きたいと思ったとします。このとき、自己効力感を抱くことができれば、そこにたどり着くために必要な行動を取りはじめるでしょう。

けれども、海外に行った経験がなかったり、飛行機に乗ることを怖いと思ったりする人は、そこに行けると思えないかもしれません。つまり、自己効力感を感じられないということです。

このように、自己効力感は、目標を実現するために必要な行動を起こすチカラになります。

1-2.自己効力感の提唱者バンデューラ

自己効力感は、スタンフォード大学教授のアルバート・バンデューラ博士によって提唱された考えです。

彼が恐怖症を克服した人をインタビューしたところ、とてもおもしろい発見をしました。それは、ゼッタイ克服できないと思っていた恐怖症を解消できたことで、その人たちは「自分は状況を変えられる」「自分は成し遂げられる」と信じられるようになっていたということです。

そういったことをきっかけに、彼は研究を通じて、自己効力感をもつ人は、ムズカしい課題にチャレンジしたり、失敗やカベにぶつかったりしても立ち直りが早いことを証明してきました。

2.自己効力感を高めるメリットと低いままのデメリット

自己効力感を高めるメリットと低いままのデメリット

自己効力感は、目標を実現するために必要な行動を起こすひとつのきっかけになります。それでは、自己効力感が高いとどんなメリットがあるのでしょうか? 逆に自己効力感が低いままだとどんなデメリットがあるのでしょうか?

ここでは、それについて説明していきます。

2-1.自己効力感を高めるメリット

自己効力感を高めると、自分は人生において大切なことを成し遂げることができると思う気持ちがますます高まります。すると、失敗したり、なにかカベにぶつかったりしても、自分の能力を信じることができます。また、課題をクリアするために新しいスキルを身につけたり、まわりに助けを求めたりすることもできます。

つまり、自己効力感を高めることは、目標を実現するために必要な行動を起こすことに役立つということです。その結果、うまくいく可能性も高まり、さらに自己効力感が高まっていくという好循環が生まれます。

自己効力感が高い人の特徴として、以下のようなことが挙げられます。

◆自己効力感の高い人の特徴

  • ムズカしい課題に対しても恐れることなく、チャレンジしようとする
  • 失敗の原因は、努力が足りなかったからだと考えられる
  • カベにぶつかっても、さらに努力する
  • 失敗しても、すぐに自信を取り戻す
  • ストレスやうつに強く、落ち込むことが少なくなる

2-2.自己効力感が低いままのデメリット

自己効力感が低いと「自分はうまくできるはずがない」という気持ちが強くなります。そのため、行動する気力もわいてきません。せっかく能力があっても、結果を出すことができません。うまくいかないと、その考えにますます拍車がかかり、さらに自己効力感が低くなってしまいます。それはモッタイナイですよね。

自己効力感が低い人の特徴として、以下のようなことが挙げられます。

◆自己効力感の低い人の特徴

  • ムズカしい課題にぶつかると、さけてしまう
  • 失敗の原因を、自分に足りないものや欠けているものに焦点を当てて、そのことばかりを考える
  • カベにぶつかるとすぐにあきらめてしまい、努力をしなくなる
  • 失敗すると、自信を失い、なかなか立ち直れない
  • ストレスやうつにやられやすく、落ち込みやすい

3.自己効力感の高め方4つ

自己効力感の高め方4つ

バンデューラ博士たちは、どのようにして自己効力感が育まれるかについても、さまざまな研究をおこないました。その結果、自己効力感に影響するものとして4つのことを挙げています。

ここでは、その4つについて紹介しますが、最も効果があるのは「3-1.自己効力感は小さな成功体験を重ねることで高まる」です。残りの3つについては、それを補足するために活用するものと考えてください。

3-1.自己効力感は小さな成功体験を重ねることで高まる

自分で行動して、なにかをやり遂げた、成し遂げたという「達成できた」という成功体験の積み重ねが、自己効力感を高める上でもっとも大切なことです。

成功体験とは、これまでにも同じような状況があって、同じように課題にぶつかったけれど、それを乗り越えてきた経験があるということです。つまり、この成功体験が多ければ多いほど、「これならできる」と自分には課題を克服できるチカラがあると信じられます。

たとえば、あなたが「明日までにプレゼンテーションで使う資料をつくってほしい」と上司から依頼されたとします。そのとき、何度も資料をつくったことがある人は、「それならできる」と思えるでしょう。しかし、あまりつくった経験のない人は、つくることができるかどうか不安で仕方がないかもしれません。

小さな成功体験を積み重ねていくには、いきなり高い目標を設定するのではなく、徐々に達成することができるムリのない目標を自分で立てていくことがコツです。

たとえば、体力に自信がない人が、フルマラソンを完走することを目標にするとします。そのとき、いきなりフルマラソンにチャレンジすると、うまくいかないですよね。かえって、自己効力感を低くしてしまいます。

まずは、近所を散歩することからはじめてみるのもいいかもしれません。はじめるときは、ていねいに考えて少しの努力でできることを選びましょう。

それに慣れてきたら、次は駅の階段を上り下りする、その次は会社の最寄駅の1駅前で降りて歩いていく、その後に1kmジョギングするといった具合に、ムリのないレベルで、段階をおって達成することができる目標を立てて、着実に成功体験を積み重ねていきましょう。

小さなことでも成功体験を積み重ねることで、自己効力感が高まり、自分ができると思える範囲が少しずつ広がっていきます。そのため、自分の可能性にチャレンジする機会もますます増えていきます。

3-2.自己効力感が高い人を観察する

自分が行動しようとしていることを、ほかの人がうまくおこなっている場面を見たり聞いたりすると、自己効力感は高まります。特に自分自身では達成の体験がなくても、自分と似た人が努力して達成した場合は、より効果が期待できます。

たとえば、10年ものキャリアのあるベテラン上司が営業をしている場面を見ると勉強にはなります。ただ、自分のキャリアと、このベテラン上司と比べてしまうと、自分はあそこまでうまくできないなと思ってしまうかもしれませんね。けれども、入社が同期の友人が営業をうまくこなしているのを見ると、自分にもできそうな気になりやすいものです。

あなたの周りで、自分がおこなおうとしている行動をうまくこなしている人を探して、少し意識してその人の行動を観察してみましょう。もし身近で見つからない場合は、メディアを活用して、動画や音声、本などから取り入れてみましょう。

ほかの人の経験を見て学ぶことで、「あの人にできるなら、わたしにもできるはず」「あのやり方なら、わたしにもできるかもしれない」と考えることができます。そして、自己効力感が高まるので、行動を起こしやすくなり達成しやすくなるのです。

3-3.自己効力感が高まることばをかけてもらう

信頼している人から「あなたならできるよ」とことばをかけられたり、少しでも前に進んだことに対して「ここまでできたね」などほめられたりすると、自己効力感が高まります。

あなたも憧れの上司からそのようなことばをかけられたら、くじけそうなときでも「もう少しやれるかもしれない」「よし、がんばろう!」などと思えますよね。

優れた先生や親などは、そのように適切にはげましたりほめたりすることで、相手に少しでも達成感を味あわせようとします。

仲間同士で同じ課題に取り組み、お互いに教え合ったり、ほめ合ったりはげまし合ったりしてみるのも効果的です。

もし仲間がいなければ、自分で自分の成果を認めて「よくがんばったね」とほめてみましょう。目標を達成したら自分にごほうびをあげるのもひとつの方法です。

もしかすると、自分の成果を認めようとしても、自分を客観的に評価することがカンタンではないと思うかもしれませんね。そのときは、こちらの記事を読んで、適切に自分を評価できるようになりましょう。

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このように、自分のおこなった行動に対して適切にことばをかけてもらえると、自己効力感が高まります。そして、さらに行動を起こしやすくなり、達成感を味わうことができるので、努力はむくわれるんだとわかり、さらにがんばることができます。

3-4.自己効力感が高まる状態になる

どのような気持ちでいるか、どのような健康状態でいるかは、自己効力感を高めるうえで影響を及ぼします。

気分が落ち込んでいたり、疲れていたり、ひどいストレスを感じていたりなど、健康状態がすぐれないときは、いつもならできることでさえもできないと感じてしまいがちです。

たとえば、これからプレゼンテーションをおこなおうとしているとき、胸がドキドキして緊張している状態とリラックスして頭もスッキリしている状態とでは、どちらが自己効力感が高まるかはミエミエですよね。

また、気分の落ち込みは、「自分にはできない」「自分にはムリだ」というような思い込みからきていることもあります。そのときは、視点を変えてみることもひとつの方法です。別の考え方に気づくことができて、状態が変わることがあります。

こちらの記事では、視点を変えるための具体的なやり方について書いてありますので、その内容を試してみることで状態が変わることを実感できます。おかしな思い込み(思考のクセ)が自己効力感を高める邪魔をしているケースもあります。ぜひ読んで、自己効力感を高めていきましょう。

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このように、自己効力感を高めるにあたっては、ふだんから状態を整えておく生活習慣やどのような思考のクセを身につけるかがカギになります。

4.自己効力感とモチベーション(やる気)の関係

自己効力感とモチベーション(やる気)の関係

自己効力感とモチベーションの関係については、2つのことが考えられます。

まず1つ目は、行動すれば結果が出るとわかっていても、自己効力感が低ければ(それを達成するための過程をうまくこなせるとは思えないと)、モチベーションは上がらないということです。

たとえば、毎日1時間ジョギングをすればダイエットがうまくいくということがわかっていても、それを毎日続けることに疑問を抱いていては、モチベーションは上がりませんよね。

2つ目は、自己効力感が高くても(過程はできると思えても)、結果が出るかどうかを疑っていると、モチベーションは上がらないということです。

たとえば、上の例を用いれば、毎日1時間のジョギングはできるけれど、本当にダイエットがうまくいくのかどうか疑っていると、モチベーションが上がらないということです。

そのようなときにモチベーションを上げる1つのコツとして、興味や関心、好奇心といった、あなたの内側から自然にわいてくることを意識してみて、それを行動に移してみてはいかがでしょうか。

その行動をすること自体が目的となるので、モチベーションもムリなくわいてきて、喜んでやり続けることができます。

こちらの記事では、モチベーションを上げなくても自然に行動できる秘密を公開しています。なにかと誤解されがちなモチベーションについて、とてもわかりやすく解説しています。そして、すぐに行動できるあなたに変われる秘訣も書いています。必ず読みましょう。

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5.自己効力感の変化と影響の例

自己効力感の変化と影響の例

わたしのお客さまの事例です。お客さまには同じサークルの中に苦手な人がいました。

その苦手な人は、そのサークルのリーダー的な存在。そのため、サークルに参加できないときは、その苦手な人に欠席の報告することになっています。けれども、子どもが熱を出したり、家の用事があったりして、参加を断りたいときでも、伝えることができないでいました。

そのため、いつもイヤイヤ参加することになり、ときには家族から叱られることもあったそうです。

そこで、少しずつ達成体験を味わいながら、その状況を克服することにしました。

なるべくその人に会うことを避けていたようなので、まずは、同じ空間にいることからはじめました。慣れてきたらその人に自分から「おはよう」とあいさつをすることにしました。そして、それがクリアできたら、世間話をするようにしました。

少しずつ会話の量が増えてきたところで、次に本人を目の前にイメージして、テンプレートどおりにお願いをする練習をしました。何度も何度も繰り返して、そのテンプレートを見なくても言えるまでになりました。

そして、サークルに参加できないことを伝えなければならない日を迎えた当日。無事、本人に伝えることができました。

けれども、あっさり「いいよ」と言われたので、拍子抜けしたと言っていました。

そのお客さまは、少しずつ達成体験を積み重ねた結果、自己効力感が高まっていきました。実は、結果はそれだけで終わりではありませんでした。

「参加したくないときはいつでも伝えることができる」という安心感を得ることができました。そして、そのサークルも楽しくなったと言っています。お子さまからも「ママ変わったね!」と言われたそうです。

そして、あまり関係の良くなかったご自身の母親にも、「言いたいことが言えました」と驚きと喜びを伝えてもらいました。

このように、小さな達成体験を積み重ねながら自己効力感を高めていくことで、自分では思いもよらなかったことまでがうまくいくこともあります。

6.自己効力感を高めるために

自己効力感を高める上でもっとも効果的なのは、小さな成功体験を積み重ねるということです。そして、本当に自己効力感が高い人は、特になにも考えることなく、自然に自己効力感を高めることをおこなっているものです。

たとえば、もしあなたが自転車に乗れるのであれば、特に自己効力感など意識せずに自然に自転車に乗っていますよね。

けれども、初めから自転車に乗れたわけではないと思います。少しずつ距離を伸ばしたり、姿勢よく乗ったりしながら、何度も何度もチャレンジして、少しずつ乗れるということを体験して、いまではなんなく乗ることができているのだと思います。

自転車に乗れるということは、あなたにどんな可能性をもたらしてくれたでしょうか?

その可能性は、初めの1歩があったから得られたものです。

自己効力感を高める最大の要素は、小さな成功体験を積み重ねることです。ぜひ、小さなことでいいので、できることからはじめて、コツコツ成功体験を積み重ねていきましょう。その結果が、あなたの可能性を大きく広げてくれますよ。

以下の記事は現役メンタルコーチが、どのような自分であっても、それを受け入れて、自分を大切な存在であると思える方法をくわしく解説しています。この自尊心は自己効力感と共に非常に大切です。特に4章の自尊心を回復して高める6つの方法は必読です。

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