欲しいものを引き寄せることができる、手に入れることができる、やりたいことができる、仕事も恋愛もお金も人生も健康も、なんでもかんでも、引き寄せることができる秘密がある……そんな、「偉大な秘密」がついに世界に公開されました！！！ という触れ込みで2006年にアメリカで発売されたDVD、それが「ザ・シークレット」です。
日本では遅れて2007年に発売され、その後書籍版「ザ・シークレット」も発売になり、一時期は大ブームとなりました。AmazonのDVD販売ページの解説によれば、2012年6月の時点で、全世界で800万部以上売り上げているとか。日本円でも5000円未満、時間にして約90分の映像を見るだけで、そんな「偉大な秘密」を簡単に手に入れることができると知れば、世界中みんなが買いますよね。
しかし、本当のところ、どうなんでしょうか？ ブログやネットの掲示板などで「ザ・シークレット」について知り、うさんくさいなあ〜と思いつつも、心ひかれてしまうあなたに、できるだけわかりやすく、解説をします。そうそう、ウラ話もたっぷりありますからね。楽しみにしてください。
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ビジネス心理学とは？目次 〜ザ・シークレット｜引き寄せの法則とは違うの？〜
1.ザ・シークレットとは？
まずは、AmazonのDVD販売ページ・内容紹介の引用をお読みください。
『ザ・シークレット』は、この宇宙をつかさどる法則に関する、もっとも明確な解説です。それは歴史上のあらゆる偉人たちが、知っていた法則であり、彼らがかつて成し遂げた偉業は例外なくすべて、この強力なる法則のもとで行われてきました。
（中略）
『ザ・シークレット』は人類の歴史と共に存在してきました。
（中略）
歴史上初めて“シークレット”の全容がまとめられ、人類の目の前に明かされました。
なんだか、すごそうですよね。“宇宙をつかさどる法則”ですよ！ ほほぉ〜、そりゃあ、ぜひ知りたいな！ となりませんか。ですが、いきなり水を指すようですが、これは大変上手にできた宣伝コピーです。踊らされてしまうのもしかたがないくらいですね。
そして、販売方法も、まずはYoutubeでさわりの20分を無料で見せることにより、購買意欲を高めているところが、憎いほど上手です。
Youtube映像：『ザ・シークレット』 始めの20分
観てみるとよくわかりますが、映像と音によって視覚、聴覚が刺激されるので、ワクワクする感じになり、もっと続きがみたい！ と強く思わせる作りになっています。書籍も販売されているのですが、実際、映像を観ずに、書籍だけ読んでも、ちょっと物足りない感じがするでしょう。
書籍の内容はこの後、2章でご紹介します。
1-1.ザ・シークレット｜DVDの秘密
世界で800万部以上売り上げている、「ザ・シークレット」のDVDですが、実はオリジナル版とリニューアル版の２つのパターンがあるのはご存じですか。たまたまですが、このDVDの日本発売直前、わたしはアメリカ人セラピストが行った特別セミナーに参加して、字幕もなく吹き替えもされていない完全オリジナル版の映像を観ることができました。
オリジナル版とは、書籍「引き寄せの法則」の著者である、エスター・ヒックスさんが登場しているバージョンです。そのセミナーの中でも、日本で発売される時は、内容が変わるだろうとアナウンスされていました。
なぜ、削除されてしまったのでしょうか。ネットを探るとこの件に触れているブログがいくつかヒットします。そして、わたしがそのセミナーで聞いた話も総合すると、このDVDの製作者である「ロンダ・バーン」とエスター・ヒックスさんとの間で、揉めごとがあったようです。
かいつまんで説明しましょう。まず最初に、エスター・ヒックスさんと夫のジュエリー・ヒックスさんが、「引き寄せの法則」についてのセミナーを行っていたところに、映像制作（TVプロデューサー）の仕事にしているロンダ・バーンさんが、ぜひ映像作品にしたいので出演して欲しいと頼みに行ったところから「ザ・シークレット」がスタートしました。
しかし、DVD販売後、契約上の問題で、製作者側から夫妻に対して「出演している部分の映像をカットするか、知的財産権をこちらに渡すかどちらかを選べ」と迫ったことにより、結局、映像がカットされてしまったのです。
実は、Youtubeを検索してみると、削除された部分を観ることができます。わたしのおぼろげな記憶ですが、エスター・ヒックスさんが出演しているオリジナル・バージョンは、かなりスピリチュアルに寄った内容でした。現在販売されているバージョンは、精神的な部分は弱く語られていて、モノを手に入れる、カネを手に入れる的な、自己啓発色の強い即物的な感じに仕上がっていると感じます。
「引き寄せの法則」に関しては、わたしが解説をした記事があります。「引き寄せの法則」をスピリチュアルな視点からではなく、現実的な視点から解き明かしていますので、目からウロコが落ちるかもしれません。この記事とともに読んで、理解を深めてください。
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ビジネス心理学とは？1-2.ザ・シークレット｜書籍の秘密
『ザ・シークレット』
ロンダ・バーン (著), 山川 紘矢 (翻訳), 山川 亜希子 (翻訳), 佐野 美代子 (翻訳)
DVD発売後に、書籍も発売されました。33ヶ国語に翻訳されており、売上は全世界で約2000万部を突破しています。日本国内では2007年10月に発売されましたが、発売前に重版（増刷）が決まり、さらには発売直後にアマゾンランキングで1位を取得、半年で40万部以上を売り上げました。
この本、手に取るとわかりますが、装丁が非常に凝っており、表紙だけでなく、中の紙もカラー印刷されていて、とてもきれいな本です。しかし、「ザ・シークレット」は一般の書籍とは異なり、まずDVDが先行発売されていることもあって、書籍は、そのDVDの映像表現では語り尽くせなかった部分を活字で補完するような内容になっています。
書籍はあくまでも、DVDの補助と考えたほうがいいでしょう。「欲しいものをイメージすることで、欲しいものが手に入る」という、「ザ・シークレット」の根幹の教えとも言える部分は、DVDの映像で具体的に表現されているので、活字オンリーでは、わかりにくいのです。
書籍の読み方は2章でくわしく解説します。
1-3.ザ・シークレット｜著者の秘密
DVD「ザ・シークレット」の監督（出演もしています）、そして書籍の著者は「ロンダ・バーン」という女性です。オーストラリア人で、テレビ番組のプロデューサーをしていました。「ザ・シークレット」の始まりはこんな感じでした。
失意に沈んでいた50代のある夜、当時24歳だった娘が自室からある本のコピーを取り出してきて、「いいから読んでみて」と手渡した。この本がきっかけとなり、とてつもない『答え』が見つかろうとしているという直感的な確信を得、歴史上のありとあらゆる偉人や賢者についての調査に取り憑かれたように没頭。
行き着いた思いがけない答えをテレビ映画にして、全世界のすべての人々に知ってもらいたいという一心で、「ザ・シークレット」（DVD版）が完成した。
引用元：角川書店 The Secret
彼女は、かなりやり手のプロデューサーだったようですね。このDVDと書籍の売上の成功には、彼女のテレビプロデューサーとしての手腕が発揮されています。
まず「ザ・シークレット」は、アメリカ史上最高のテレビ番組とも評されている「オプラ・ウィンフリー・ショー」に取り上げてもらいました。日本で言えば「徹子の部屋」のようなトークショー番組です。
このオプラ・ウィンフリーさんという黒人女性は、“アメリカ・メディア界の女帝”とも言われ、純資産30億米ドルを誇るセレブリティで、その影響力はすさまじく、この番組に取り上げてもらった書籍や商品はその後、飛ぶように売れるのです。
たくみなメディア戦略で一気に有名人の仲間入りをしたロンダ・バーンは、2007年５月、アメリカの雑誌『TIME』の、世界で最も影響力ある100人（The TIME 100:The People Who Shape Our World）に選ばれ、その後は経済誌『Forbes』のセレブ100人番付（The Celebrity 100）リストにも登場しました。
ところが……。海の向こうでは、「ザ・シークレット」の教えを忠実に守って行動したのに、うまくいかなかった人たちがロンダ・バーンに対して訴訟を起こしているという話も聞こえてきました。
「ザ・シークレット」制作時、協力者として多数出演していた成功者たちとの交流が、今はなくなってしまったのか、最近の彼女の著作は、彼女自身のオリジナルの意見や考えを書いているようです。日本で出版されている著作は、「ザ・パワー」「ザ・マジック」「ザ・ヒーロー」と、似たようなタイトル、似たような装丁、似たような内容の自己啓発本ばかり。
あとは「ザ・シークレット」の焼き直しのような本ばかりです。デビューのインパクトが強かったせいで、そのイメージから脱却できないでいるようですね。
2.ザ・シークレット｜DVD鑑賞のしかた、書籍の読み方
ここまで、いろいろと暴露してきましたが、「ザ・シークレット」のDVDや書籍を活用する方法はないのでしょうか。その前に、まずは、「ザ・シークレット」が「役に立たない人」と「役に立つ人」を教えましょう。
2-1.ザ・シークレットが役立たない人
自己啓発本やスピリチュアル本を読むのが大好き、行動するより空想（妄想）しているほうが好き。そういった人は、早く目を覚ましましょう。同じような内容の本を何冊読んでも、現実は変わりません。とくに「ザ・シークレット」の教えのキモは“イメージすることで欲しいものを引き寄せる”というものですから、どんどん行動しなくなってしまいます。
自己啓発書の中には、とても役に立つ本もあります。まず、本の選別のしかたから学びましょう。以下の２つの記事は、自己啓発本に依存している人には、かなり厳しい内容となっています。けれども、「ザ・シークレット」のような、フワフワとした内容の自己啓発本ばかり読んでいては、成功は絶対できません。本気で現実を変えたい、成功したいなら、この2本の記事を必ず読んでくださいね。
2-2.ザ・シークレットが役立つ人
これは、ズバリ、企画力が必要な仕事をしている人。「ザ・シークレット」をひとつの成功事例と考えると、爆発的ヒットを出すための戦略やアイデアがたくさんみつけられるでしょう。
2007年に発売されてから2015年の時点でも、アマゾンのベストセラーランキング上位の常連ですから、ロングセラー商品とも言えます。今回わたしも、この記事を書くためにたくさん検索しましたが、世界的ヒットにさせるためのしかけが、たくさん張られていたことがよくわかりました。
また、論理的な思考ばかりしている人も、息抜きに読んでみると面白いかもしれません。男性に多いかもしれませんが、少し視点をずらして、硬直した思考を柔軟にしてみるために、こういったDVDや本で刺激を得てみてはいかがでしょうか。
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ビジネス心理学とは？2-3.ザ・シークレットを楽しむ重要ポイント
まず、DVDも書籍も、とにかくたくさんの人物が登場して、入れ替わり立ち替わり、いろいろな話をしていく構成になっています。登場人物は、さまざまな分野の成功者とか賢人といわれている人です。
そういった理由で、DVDの映像はインパクトはあるものの、理解を深めたければ、何度か繰り返し観ないとなりません。書籍はさらに、まとまりがない構成になっています。論理的に勉強するために情報を得るというよりも、感覚的に入っていくようにつくられている本です。
「ザ・シークレット」の世界を堪能したいのであれば、まずDVDを観てから、その後書籍を読み、2回め以降DVDを見る時は書籍をそばにおき、映像を観ながら書籍で確認をしていくと、理解がよくできるはずです。また、オリジナル版のDVDから惜しくも削除されてしまった部分は、「引き寄せの法則」を読むことで補完できますし、「ザ・シークレット」と「引き寄せの法則」を読み比べてみるのもおもしろいでしょう。
カテゴリとしては、自己啓発に分類される「ザ・シークレット」ですが、とにかく楽しみながら観たり読んだりしながら、気づかないうちに「偉大な秘密」のキモの教えが記憶に残っていく……そんなふうに考えて、気楽に、娯楽作品のように観たり読んだりするのがいちばんいいと思います。
2-4.ザ・シークレットの要約
「2−3.ザ・シークレットを楽しむ重要ポイント」に書きましたが、とにかく、要点がわかりづらい作りになっている作品です。これは、ワザと意図的にそういう作品にしているとも言えます。自己啓発系やスピリチュアル系の書籍などの典型ですが、どんなふうにでも、受け取る側で解釈が変えられるようなことが書かれているのです。
「ザ・シークレット」つまり「偉大な秘密」は、“宇宙をつかさどる法則である”と大胆に宣言しているわりには、かなりテキトーです。なので、感覚的に読んで、個人個人がそれぞれの感性で受けとめればいいのではないかと思いますが、それでも、要点だけ知りたい！という方もいると思います。かなり苦戦しましたが、要約してみました。
- 思考は現実化する
- 引き寄せの法則＝類は友を呼ぶ
- イメージしたものが引寄せられる
- 創造のプロセス
（１）第一段階 お願いする
（２）第二段階 信じる
（３）第三段階 受け取る - いい気分でいるといいことが引き寄せられる
- 感謝すると欲しいものが引き寄せられる
- 期待することは物事を引き寄せる強力な手段
- お金を引き寄せるには、不足ではなく豊かさに焦点を合わす
- 宇宙最強の力は愛
- 病は気から
- すべてのものはエネルギー
- あなたはスピリチュアルな存在
- わたしたちはみなつながっていて、全てはひとつ
こうやって、並べてみると、耳障りはいい言葉なのですが、具体的にどう行動したらいいのか、なにをしたらいいのかが、さっぱりわかりません。
この“具体的にどうしたらいいのか”については、書籍よりもDVDの映像をなんども観ることをオススメします。これはいわゆる、左脳的な理解（論理的な理解）よりも右脳的な理解（感覚・感性での理解）のほうが強くインパクトを与えることができるからですね。文字で読んだことはすぐ忘れてしまいますが、映像で観たものは忘れにくいのです。
3.ザ・シークレット批判｜「ザ・シークレット」の真実
「ザ・シークレット」は非常に巧みな戦略で爆発的なヒットをしているだけあって、その反動ともいえる、闇の部分を多く抱えているようです。
『「ザ・シークレット」の真実』という批判本が2007年に出版されています。惜しくも絶版になってしまいましたが、「ザ・シークレット」の真偽を検証している本で、偉大な先駆者たち（シェイクスピア、カーネギー、ベートーヴェン、エジソンなど）が本当に「偉大な秘密」を使っていたのかなどを、ジャーナリストが膨大な資料を集めたり関係者にインタビューして解き明かしています。興味がある方は、古書を探して読んでみてもいいでしょう。
批判本が出るだけならまだしも、DVDの登場人物の中から犯罪者が出てしまいました。最近になって、殺人罪で捕まった人、学歴詐称で社長を首になった人、不正な投資がみつかり解雇された人などが出てしまったのです。そして、著者であるロンダ・バーン自身も訴訟をかかえています。
自己啓発書やスピリチュアル系の教えを、妄信的に信じることは危険だと知りましょう。
自己啓発およびスピリチュアルの業界に関しては、こういった闇の部分を知っておかなければ、痛い目に会うだけでなく、人生をだいなしにしてしまうこともあります。あなたには、この闇に落ちてほしくありません。以下の記事は絶対に読んでおきましょう。
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ビジネス心理学とは？4.あくまでも娯楽作品として鑑賞するならOK
世界的なベストセラーだからといって、良質な情報とは限りません。けれども、ちょっとした楽しみとて、読むのはOKです。
わたしの中では、ファンタジー小説を読んだりしたときと同じような感覚を味わえるので、あくまで娯楽作品といった位置づけです。頭の固い人だったら、息抜きに観たり読んだりしてみてもいいでしょうが、カルト宗教の信者のようになってしまっては問題です。
「ザ・シークレット」とよく似た自己啓発本「引き寄せの法則」については、こちらの記事をぜひ読んで目を覚ましましょう。冷たい水で顔を洗ったときのように、シャキン！とできます。
地に足がついたところで、現実的な目標の設定をしてドンドン行動していきましょう。結局は行動しなければ、現実はなにも変わらないのですから。
