プラス思考では成功できない?プラス思考の効果と短所の真実

プラス思考では成功できない?プラス思考の効果と短所の真実のイメージ画像

どんなネガティブな出来事も「ハッハッハ」と大きな声で笑い飛ばすプラス思考な人。あなたの周りにもいるかもしれません。そんな人を見ると「自分もこんな風に強くなれたらいいのになぁ」とつい思ってしまいますよね。

実は私もそうでした。借金、失恋、仕事での大失敗。たくさんのトラブルに見舞われても笑顔で乗り切ってしまう友人を見て、とても強いあこがれを抱いたものです。しかし、時が流れてカウンセラーとして知識と経験を積んでいくと、プラス思考はむしろマイナスに働くことがあるという意外な真実がわかってきました。

今回は、プラス思考の意外な真実を現役カウンセラーの私が解説。この記事のメイン・メッセージである「夢を叶えるのにプラス思考は必要ない」ということがわかれば、あなたはよりラクに、自然体で、充実した毎日を送れるようになるでしょう。

初めて当サイトに訪れた方へ

ビジネス心理学とは?

目次 〜プラス思考の効果|トレーニング法や欠点を解説〜

1.プラス思考とは?

2.これでプラス思考になれる!簡単な方法5個

3.意外! プラス思考では成功できないという研究結果!

4.真のプラス思考とは?

5.プラス思考でなくてもいいんです

1.プラス思考とは?

1.プラス思考とは?

まずは、プラス思考という言葉の由来や、意味について確認していきましょう。

1-1.プラス思考の語源とは?

プラス思考という言葉は、斎藤澪奈子さん(作家、タレント)が『超一流主義』(マガジンハウス)という本に書いた造語です。プラス思考の意味は、起きた物事に対して肯定的に解釈する考え方のこと。たとえば、出かける予定があったのに天気が悪くて外に出られない場合は、つい予定が狂ってしまったことをなげいてしまいますよね。

しかし、プラス思考で考えると、家の中でたまっていた家事ができるとか、読みかけの本をたっぷり読めるといった風にとらえることができます。これは、いわゆる「ポジティブシンキング」と同じですね。

超一流主義

超一流主義
斎藤 澪奈子(著)

1-2.プラス思考のメリット

プラス思考にはどのようなメリットがあるかを下記にまとめてみました。

プラス思考のメリット4つ(1)おだやかで、やわらかい雰囲気になれる

プラス思考になると、とてもおだやかでいられます。日ごろからニコニコしていて、周りの人がつい話しかけたくなる、やわらかい雰囲気を持つことができます。

(2)将来を明るく考えていられる

プラス思考になると、自分の将来についてとても明るく考えることができます。物事を肯定的にとらえられるので、未来に対してポジティブなイメージを持ち続けることが可能です。

(3)何事にも積極的で交友関係が広くなる

プラス思考になると、何事にも積極的になってとても充実した時間を過ごすことができます。趣味や好きなことを通じて他人と知り合う機会が増えて、交友関係が広まっていきます。

(4)ストレスに強い

プラス思考になると、ストレスに強くなれます。たとえば、仕事で大きなミスをして上司に怒鳴られても、数分後には「まぁ、つぎから頑張ろう」と頭を切り替えられるようになります。

初めて当サイトに訪れた方へ

ビジネス心理学とは?

2.これでプラス思考になれる!簡単な方法5個

2.これでプラス思考になれる!簡単な方法5個

プラス思考のメリットを確認したとき、あなたはプラス思考こそ自分にとって必要なものだと感じたかもしれません。私自身、プラス思考の恩恵を感じたことがあります。とくに、東日本大震災を体験した方とのカウンセリングでは、プラス思考をもちいることで、一時的にストレスを取り除く対症療法としては効果がありました。

この記事ではプラス思考のすべてを否定しているわけではなく、良いところは取り入れていくべきだと考えています。そこで、この章ではプラス思考になる方法を5つご紹介します。

2-1.プラス思考の人は口ぐせが超ポジティブ

プラス思考になるためにもっともかんたんな方法は、毎日の口ぐせを変えることです。プラス思考の人は口ぐせが超ポジティブ。その理由は、言葉の使い方が自分の気分をコントロールするということを知っているからです。

かれらはネガティブな言葉をつかうことはほとんどありません。その代わりに、自分のテンションを上げる用語をたくさん使います。たとえば、このような感じです。

例)仕事でミスをしたときマイナス思考:「やばい、怒られる、最悪だ…。明日会社行きたくない…」
プラス思考:「ミスした。まぁ、死ぬわけじゃないし。ちゃんと謝って、次のチャンスを頑張ろう!」

このように、言葉の使い方を意識して、自分のプラス思考の質を高めているのです。

2-2.プラス思考の人は自分を変えるコツを知っている

プラス思考になるために次にかんたんな方法は、自分を変えるコツを覚えるということです。プラス思考の人は自分を変えるのが上手です。たとえば、生活の中に「好きな場所」を作ります。そして、そこで過ごす時間を大切にしています。

私の周りのプラス思考の人たちも、仕事と家の往復ではなく、もう1つの「好きな場所」を必ず作っています。たとえば料理教室などの習い事やスポーツジム。

自分を変えるなら、自宅と職場と好きな場所をトライアングルのように結んで生活する方法が非常にオススメです。自分を変えることについてさらに知りたければこちらの記事もぜひご参考にしてみてください。最速最短で変える方法が書いてあります。

自分を変えたい......わたしも過去に何度思ったことでしょう。あなたもきっと今、そんな心境なのでしょう。理由はさまざまだと思います。失恋、仕事の失敗、人間関係のイザコザ……今の自分にウンザリして、もっとステキな人に変われたらいいのにと、むなしく思う……。...

2-3.プラス思考の人は自信を持つのがうまい

プラス思考になるための3番目のアクションは「自信」に対して学ぶということです。プラス思考の人は「自信がない」という状態に陥ることがありません。かれらは自信の大切さを知っていて「コレをすれば自分に自信を持てる」という基準をもっているからです。

なお、この基準を持つための方法は、こちらの記事で紹介していますので参考にしてみてください。「折れてしまった心を簡単に素早く回復させる5つの方法」など、心が折れる人にとっては有益な内容を私が書きました。

「仕事で大きな失敗をしてしまい、ショックで心が折れてしまった」「大好きだった彼に振られてしまい、ポキっと音がするくらい、心が折れた」「いじめにあって、心が折れてから、今もずっと辛いまま」あなたは、「心が折れる」という体験をしたことはありますか?人...

2-4.プラス思考の人は小さなことにくよくよしない

プラス思考になるためには、小さなことにくよくよしないということも大切。よく観察してみると、プラス思考の人はストレスを受けると以下の2つの反応をします。

プラス思考の人の特徴的な反応
(1)物事のとらえ方が非常にポジティブで、自分にとって都合よく解釈する
(2)たとえ傷ついても、気持ちの「回復スピード」が異様に早い

心理学では、ストレスで受けたダメージから回復する心のはたらきのことを「レジリエンス」といいます。プラス思考の人は、このレジリエンスが普通の人に比べてとても高い傾向があります。

つまり、レジリエンスが高いから、小さなことにくよくよしないで済むのです。プラス思考になるためには、小さなことにくよくよしないことを意識しましょう。

レジリエンスについて詳しく知りたければ、こちらの記事に詳しく解説されていますので参考にしてください。

テレビや雑誌、ネットで静かなブームを起こしている言葉、それが「レジリエンス」です。「心の回復力」という意味ですね。これは、もともと物理学用語でした。それが心理学にも使われるようになり、3.11の震災以降、心の回復力が大切だということで、少しずつ知られ...

2-5.プラス思考の人は自己啓発本を読んでいる

プラス思考の人は、自己啓発本を読んでいます。自己啓発本で自分の考え方を変えたり、将来のイメージをよりポジティブに変えたりしているのです。「そもそも自己啓発本ってなんだ?」という人は、以下の記事で自己啓発の言葉の意味をチェックしましょう。

自己啓発(じこけいはつ)とは、本人の意志で自分自身(=自己)の能力を開発したり、精神的な成長を目指したりすることを指し、そのための訓練を行うことを意味します。自己啓発は、特に能力開発や自己実現などのテーマにおいて扱われ、「よりよい自分」や「より大きな成...

初めて当サイトに訪れた方へ

ビジネス心理学とは?

3.意外! プラス思考では成功できないという研究結果!

3.ウソ?プラス思考では成功できないの?

いよいよ、プラス思考の意外な真実を解説していきます。結論からいうと、プラス思考では成功できません。ついにそれが心理学の研究で証明されました。のちに詳しく述べますが、およそ20年にも及ぶ研究によって、プラス思考では「夢が叶わない」ということがわかったのです。

つまり、プラス思考であればあるほど、理想や目標を達成することができなくなります……というと、なんかスゴそうな話に聞こえますよね(笑) その真意たるや、いったい……! それでは第3章のスタートです。

3-1.意外かも?プラス思考でうまれる大きなマイナス面

意外に思うかもしれませんが、プラス思考には大きなデメリットが3つあります。

プラス思考のデメリット(1)知らないうちに思い込みが激しい人になる

プラス思考の人は、物事を肯定的にとらえようとするあまり、物事のポジティブな部分以外のところを信じなくなります。それは自分で意識的に見ないようにしているので当たり前なのですが、その様子は第三者から見るとたんなる思い込みが激しい人にみられ、融通の利かない頑固な印象をもたれることがあります。

(2)ネガティブな人を無意識に拒絶する(あるいは、ポジティブを押し売りしてしまう)

プラス思考の人は、ネガティブな人を無意識のうちに拒絶します。他人からネガティブな言葉や態度を受けると、自分の心地よい雰囲気が乱れるためです。また、自分の感情を保つために自分のポジティブさを相手に押し売りし、お互いに気分を害してしまうことがあります。

(3)意外に行動力が低い

最も重要なデメリットは、意外に行動力が低いということです。プラス思考の人は、頭の中で夢や理想を思い描くことにエネルギーを消耗してしまい、現実で行動を起こす力が残っていません。心当たりがある人もいるかもしれません。次項で詳しく解説します。

3-2.プラス思考では夢がかなわない

「プラス思考では夢がかなわない」。そういったのは、ニューヨーク大学、ハンブルク大学で心理学教授をされているガブリエル・エッティンゲン教授。彼女が1991年におこなった研究によると、次のことがわかりました。

ガブリエル教授は、25人の肥満女性を2つのグループに分けて、プラス思考がもたらすダイエットの影響を調査しました。ひとつは、成功後の自分を空想したチーム(プラス思考)。

もうひとつは、ダイエットの難しさや、甘いものの誘惑などのネガティブな空想したチームです(マイナス思考)。なお、このチーム分けにおいては、過去の成功体験ついては考慮していません。

1年後、この2つのチームの減った体重を比較すると、なんとマイナス思考のチームの方がより多くの成果を出していたのです。このことから教授は、成功した自分を思い描くというプラス思考をすると、目標達成を遠ざけるという仮説を強めたのです。

また、ダイエットで失敗しやすいこと以外にも、「モテない」、「1か月後にうつになりやすい」、「関節炎などのケガの回復が遅い」、「大学の成績が悪い」ということがわかっています。失敗を避けるためにも、以下の記事を急いで読んでください。

「自信がない」とか「どうしようなく不安」、「失敗をして落ち込んでいる」……そんなとき、多くの人はポジティブになろうとします。私も昔はそうでした。インターネットで「ポジティブになる方法」を調べてみたり、自己啓発の本やセミナーにお金を投資をしてみたり。...

3-3.成功したければプラス思考はやめた方がいい

「成功したければ、プラス思考はやめるべきである」。ガブリエル教授のこの主張が世の中に受け入れられるようになるまでに、じつに20年以上の年月がかかりました。

この理論は多くの研究によって検証され続け、ついにガブリエル教授の理論は欧米を中心に認められたのです。いまでは世界で唯一、学術的根拠のある目標を達成の正しい方法論とされています。

成功するには ポジティブ思考を捨てなさい

成功するには ポジティブ思考を捨てなさい 願望を実行計画に変えるWOOPの法則
ガブリエル・エッティンゲン (著), 大田 直子 (翻訳)

この本の要点をご紹介すると以下のようになります。

『成功するには ポジティブ思考を捨てなさい』の要点

  • 夢を見る(理想をイメージする)という行為によって、人は頭の中でそれを達成してしまう。そして、現実世界でのトラブルや逆境を乗り越えようとする行動力が低下する。
  • ポジティブな空想にふけると、そのときは楽しくてもやがてエネルギーが枯れる。やがて無気力になり、計画性なく、衝動的に行動するようになる。そして失敗してしまう。
  • 夢を見るだけでなく、さらに夢の実現をさまたげる障害を思い描く。夢と現実の障害の両方を比べてこそ、行動を起こすエネルギーを得られる。

さらに深く学びたい方は、ぜひこの本を手に取ってみてください。ガブリエル教授の数十年に及ぶ研究の成果を学ぶことができます。

また、下記記事は実質、この3章の続きになります。ポジティブシンキングの弊害やネガティブでも成功できる簡単な方法をご紹介していますので、ぜひこちらも合わせてお読み下さい。

ポジティブシンキング(Positive Thinking)は、プラス思考や積極思考を指します。暗いことやネガティブなことを考えるよりも、ポジティブシンキングは、なんとなーく、いいことのように思っている人もたくさんいそうですね。「オマエ、考え方がネガティブだな〜」な...

成功者の特徴はもちろん他にもあります。ビジネスやダイエットなど、誰もが憧れる成功者に共通の特徴は以下の記事でくわしく解説しています。この記事では成功するための習慣化の方法や成功を支える名言も紹介していますので、成功者の仲間入りをしたい方は、読んでみてください。

ダイエットやビジネスなど、分野や目標は違えど、成功者と呼ばれてみたいとは思いませんか? 私は、これまでに研修や講演会の運営をしてきましたので、のべ1000人を超える参加者と交流をしてきました。その中には、1日に新車のフェラーリを2台買うような経営者や...

初めて当サイトに訪れた方へ

ビジネス心理学とは?

4.真のプラス思考とは?

4.真のプラス思考とは?

もしあなたが「プラス思考になれば成功できる」と信じていたのであれば、この3章の内容は衝撃的だったかもしれません。3章を一言でいうと「プラス思考では成功できない」ということです。それでは、どのような考え方を持つのが最適なのでしょうか。この章では夢を叶えるための真のプラス思考について解説します。

4-1.真のプラス思考|無理せずあるがままにという考え方

真のプラス思考を手に入れるために最も大切なことは「無理をしない」ことです。人は、他人が持っていて、自分が持っていないものに魅力を感じます。

私たちがプラス思考の人をみたときにあこがれを感じてしまう理由は、かれらの性格の特徴が自分の弱点を完全に克服しているから。そして、自分もそうなればかれらのようにタフになれると信じているからです。

しかし、それを真似してもうまくはいきません。逆に反動が起きてよりネガティブになったり、マイナス思考を強めてしまったりする可能性があります。そもそも性格とは、その人の養育環境や、親との関係性などが強く影響している部分であり、小手先で真似しようとしても、今日やって明日すぐに変わるものではないのです。

プラス思考はストレスへの対症療法としては効果的です。それは、ガブリエル教授も著書で認めています。しかし、長期的に行動し続けるという点では、解決策にはなりません。

重要なのは、その思考で行動できるかどうかです。つまり、もしあなたがマイナス思考であったとしても、夢に向かって少しずつでも行動できているならば、無理にプラス思考になる必要はないのです。

他人の性格にあこがれを抱くのは今日までにしましょう。あなたは他人にはなれないし、他人もまた、あなたにはなれないのです。「無理せずに、あるがままに」を意識し始めると、心はとてもラクになれます。

どのような自分であっても、それを受け入れて、自分を大切な存在であると思える気持ちを自尊心といいますが、あなたは具体的な自尊心の高め方をご存知でしょうか?

以下の記事では現役メンタルコーチが、自尊心が低くなってしまう理由や、その高め方などについてくわしく解説しています。特に4章の6つの自尊心を回復して高める方法は必読です。

自尊心とは、どのような自分であっても、それを受け入れて、自分を大切な存在であると思えることです。 もしかすると、あなたは、自分は自尊心が低いのではないかと不安に思っているのかもしれません。もしそうであるならば、どうしたら自尊心を高めることができるの...

4-2.真のプラス思考|自然体であること

目標を達成できる考え方を真のプラス思考とするならば、一番大切なことは自然体であることです。つまり、背伸びせずに、あるがままでいるということです。

自然体でいれば、理想と現実の間にある障害に対して、冷静に分析し、解決策を考えることができます。そして解決策が浮かべば1つずつ問題をクリアにできます。つまり、行動ができるのです。

それでは、どうすれば自然体でいられるのでしょう。自然体であり続けるために必要なのは、自分の心に対する知識をつけることです。本を読み、人から学び、自分で確かめていく。当たり前なのですが、これがもっとも効果的な方法です。

初代ドイツ帝国をおさめたビスマルクは「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。そして聖人は経験から悟る」といいました。私たちのような普通の人が聖人になるのはなかなか難しいかもしれませんが、既に出版された名著や、先人の足跡に学ぶことは、今日からすぐにできる小さな一歩になるでしょう。

初めて当サイトに訪れた方へ

ビジネス心理学とは?

5.プラス思考でなくてもいいんです

プラス思考でなくてもいいのです。プラス思考をしても、それで夢が叶ったり、目標が達成されたりすることはありません。むしろ逆で、プラス思考をして夢や理想を思い浮かべるあまり、現実の行動が伴わなくなってしまうという弊害がおきてしまいます。

だからといってプラス思考のすべてを否定する必要もありません。プラス思考は、対症療法としては効果的です。どうしようもないほど大きなストレスを感じたとき、プラス思考でその場をやり過ごすという手段を知っておくと役に立ちます。

モノゴトの良い面と悪い面の両方を受け入れることを「清濁併せ呑む(せいだくあわせのむ)」といいますが、大切なことは、プラス・マイナス両方から、自分にとって必要な影響を取り入れることです。その意味では、他人の精神論や根性論よりも、多くの研究や統計を元にした心理学を学ぶ方が非常に役に立ちます。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加