「自信がない」とか「どうしようなく不安」、「失敗をして落ち込んでいる」……そんなとき、多くの人はポジティブになろうとします。私も昔はそうでした。
インターネットで「ポジティブになる方法」を調べてみたり、自己啓発の本やセミナーにお金を投資をしてみたり。ですが、今思い出してみるとまったく効果がありませんでした。その結果、「ポジティブになる方法」について、私は真剣に心理学を勉強することにしたのです。
この記事は、そのまとめです。多くの人が勘違いしている誤解についても説明します。たとえば、「ポジティブ思考をするほど、うつ病になる」という心理学の実験結果はご存知ですか? 多くの人が、ポジティブになろうとして、逆に不幸になっています。
もし、真剣にポジティブになる方法を探しているなら、その前にこの記事で衝撃的な事実を知ってください。
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ビジネス心理学とは?目次 〜ポジティブになる方法|仕事や恋愛に効く心理学〜
- 2-1.まず、完璧にポジティブな人にはなれないと心得る
- 2-2.恋愛や失恋の場合は、やる気の心理学を学ぼう
- 2-3.仕事でポジティブになりたいなら、環境を変える
- 2-4.受験でポジティブになるには、他人と比べない
- 2-5.ポジティブ心理学の本を読んでみよう
1.ポジティブになる方法を知る前に、3つの質問
多くの人は、ポジティブになろうとして、逆に不幸になっていることをご存知ですか?
また、手っ取り早くポジティブになる方法というのは、対症療法が本当に多い。瞬間的には効果があっても、長期的に見るとメンタルを病む原因になることもあります。ポジティブになる方法を知る前に、この3つのことを考えてみてください。
1-1.ポジティブ思考は悪だということを知っていますか?
まず、ポジティブ思考が、心理学では完全に否定されていることをご存知でしょうか? その最先鋒はニューヨーク大学の心理学の教授、ガブリエル・エッティンゲン博士です。
ポジティブ思考はお金や人間関係、健康、成績、メンタルなどに甚大なデメリット
エッティンゲン博士は83人の学生調査し、卒業したあとのキャリアをイメージしてもらいました。そして、2年後に追跡調査をした結果、キャリアに対してポジティブなイメージをした学生ほど給料が低く、貧乏になっていたのです。
また、エッティンゲン博士の研究によると、ポジティブ思考の人ほど、「ダイエットで失敗しやすい」、「モテない」、「1か月後にうつになりやすい」、「関節炎などのケガの回復が遅い」、「大学の成績が悪い」といったことが分かっています。(1991、2002、2011、2012の論文より引用)
このように、ポジティブ思考をしようとすると、お金や人間関係、健康、成績、メンタルなどに甚大なデメリットがあるのです。また、「ポジティブ思考になるメリットは、せいぜい現実逃避をすることくらいである」とガブリエル・エッティンゲン博士は発表しています。
ですので、そもそも「ポジティブにならなくていいんだ」ということをまず知って欲しい。これは私からあなたへのお願いです。そして、過去の私にも言いたいことですね。
エッティンゲン博士や、ポジティブ思考のウソについては、こちらの記事を読んでみてくださいね。衝撃です。
1-2.自分自身が嫌いだったりしていませんか?
「常にポジティブでいなければいけない!」と考える人に共通する、1つの考え方があります。それは自己否定。「自分の性格が嫌い」とか「自分の顔が嫌い」、「頭が悪いのが嫌い」……そうやって自分をいじめていませんか?
それは、自分への虐待というんですよ。私たち人間は、自分を愛するために生まれてきたんです。
また、自分が嫌いな人の特徴として、他人のことをよく心の中で批判するということもあります。「あの人は性格が悪い」とか「この人は顔が悪い」とか「その人は頭が悪い」とか。ほら、見てください。全部自分に対して言っている言葉ではありませんか?
こういった自己否定が強い人は、日常的にネガティブな感情になりやすい。自分にたいしては罪悪感とか恥を感じやすくなりますし、他人にたいしては怒りや悲しみなどの感情になりやすくなります。
つまり、自己否定が強い人がポジティブになる方法を探すのは、自分自身が日常的にネガティブ感情に襲われているからです。もし、自分のことをもっと好きになれば、ネガティブ感情に襲われなくなるので、そもそもポジティブになる必要がなくなります。
ネガティブ思考になるのは、あなたが自己否定をしていることが原因です。このときに、ポジティブになろうとするのは対処療法。その証拠に、ポジティブになろうと思っても、ポジティブになれなかったのではないでしょうか? ネガティブ思考を原因から根本治療するには自分を好きになる以外にないのです。
このブログには、自己否定をしている人におすすめの記事がいくつもあります。もしピンと来たら、ぜひこれらの記事も読んでみてください。
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ビジネス心理学とは?1-3.小さな欠点があったとき、全否定していませんか?
全ての人には、良いところも悪いところも両方あります。綺麗な月も、近くで見たらクレーターで穴ぼこだらけなのと同じ。
ですが、ポジティブになる方法を探している人ほど、0点か100点しかない、白か黒しかない、極端な考え方をしているのです。自分の中に小さな欠点があったら、それだけで「自分は価値がない」と、0点だと考えてしまうのです。
ちょっと待って! 1点〜99点もありますよね。それなのに、「100点ではないから自分には価値がない」と0点にしてしまったら、ほとんどいつも、0点になってしまいます。
こういった0点か100点しかない極端な考え方だと、ネガティブ思考になりやすいことが分かっています。その結果、ポジティブになる方法を探しまくってしまうのです。
厳しいようですが、この「0点か100点しかない、極端な考え方」を直さないかぎり、絶対に根本治療にはなりません。この0点か100点かという白黒思考を直したければ、こちらの記事を読んでみてください。とても参考になると思います。
2.それでもポジティブになりたい人へ、5つの原因療法
前の章を読んでいただければ、「そもそもポジティブ思考は悪だ」という心理学の実験結果をご理解いただけたと思います。
また、日常的にネガティブ感情におちいるのであれば、その考え方を変えなければいけないということも分かっていただけたのではないでしょうか。
この章では、これらの事実を知ったうえで、それでもポジティブになる方法を探している人の道しるべをさしあげます。
2-1.まず、完璧にポジティブな人にはなれないと心得る
「あの人って素敵だなあ。どんな最悪な状況でもとてもポジティブで、不安なんか何もないみたいだし。私もあの人みたいになりたい」……こんなことを考えたことはありませんか? 何を隠そう、私もよくありました。
ここで残念なお知らせ。そんな方法はありません。心理学の実験の結果わかっているのは、「わたしたち人間の性格は、先天的に遺伝で約50%決まっていて、後天的に環境やしつけなどで残りの50%が決まる」ということ。
たとえば、不安のなりやすさは、不安遺伝子とよばれる「セロトニントランスポーター」の型によって決まります。この型には3つあり、不安になりにくいLL型、不安を感じやすいLS型、不安を特に感じやすいSS型があります。
不安を特に感じやすいSS型の人の場合、日常的な不安がとても苦しくて、ポジティブになる方法を探してしまうのかもしれません。ですが、それは生まれつきの性格なので、どうしようもないのです(ちなみに、不安になりにくいLL型は、日本人には3.2%しかいないことが分かっています)。
「自分とはこんな人間で、あまり変われないんだ」と、いい意味であきらめることが大事。遺伝子の問題なので、完璧にポジティブな人にはなれないし、その必要もないのです。
2-2.恋愛や失恋の場合は、やる気の心理学を学ぼう
「恋愛でうまくいくか不安でしょうがない」とか「失恋で落ち込んでいる」……そんな場合はどうすればいいでしょうか? まず、無理にポジティブになろうとしないことです。
最初のステップは、「自分は今、不安でしょうがないんだ」とか「私は今、落ち込んでいるんだ」と、今の感情を認めること。できれば、もう1人の自分になったつもりで「あなたはよく頑張ってるよ。無理しないでね」と自分を励ましてあげましょう。
次のステップは、「何で不安を感じているのか?」とか「何に落ち込んでいるのか?」を紙に書き出してみてください。具体的に書くと、不安や悲しみというのはなくなることが多いのです。
実はこれ、やる気を出す方法なのです。ポジティブになる方法とやる気は似て非なるもの。ポジティブになる方法はただの現実逃避ですが、やる気というのは前向きなエネルギーです。
ぜひ、この記事でやる気について学んでみてください。恋愛や失恋で役に立つ知識が満載です。
2-3.仕事でポジティブになりたいなら、環境を変える
「職場だと、どうしてもネガティブな気持ちになってしまう?」……そんなあなたにオススメなのは、できる限り環境を変えることです。
あなたも経験があると思いますが、私たちの考え方とか感情というのは、周りの人の影響を受けてしまいます。周りの人に、ポジティブな考え方の人が多いと、自分もポジティブになりやすい。逆もしかり。
特に大きいのは経営者の考え方で、経営者がポジティブならポジティブな社風になりやすく、ネガティブならネガティブな社風になりやすい。
ですので、部署を変えたり、職場を変えたりできるのであれば、それが根本的な解決になります。これがむずかしいことは重々理解しています。しかし、それでも「私たちの感情は、とにかく周りの人の影響を受けやすい」ということを分かって欲しくて、この記事を書きました。
どうしても仕事に行きたくない、仕事をやめたいと思っているのであれば、こちらの記事が参考になります。
2-4.受験でポジティブになるには、他人と比べない
最も簡単に、不幸になる方法をご存知ですか? それは他人と自分を比べることです。「あの人と比べて、自分は頭が悪い、要領が悪い」などと、自分よりもできている人と自分を比べてしまうと、一瞬でネガティブになってしまいます。
私たち日本人は、学校教育で、他人と自分を比べるように教育されています。例えば偏差値などはその最たる例ですね。
私の学生時代の失敗談をお伝えしましょうか(笑)。私は中学生のとき、それなりに勉強ができたため、県内有数の進学校に進みました。すると、自分よりも頭がいいヤツがゴロゴロいる。自信喪失になって、どんどん勉強をしなくなってしまったことがありました。
「他人と比べず、昨日の自分と比べよ」。ありていの表現ですが、昔の自分にはそう伝えたいですね。
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ビジネス心理学とは?2-5.ポジティブ心理学の本を読んでみよう
世の中には、ポジティブ心理学という学問があるのをご存知ですか? この心理学は、人はどうしたら幸せになれるのかを研究した学問です(誤解しないで欲しいのですが、ポジティブ心理学というのはポジティブになるための心理学ではありません)。
このポジティブ心理学でわかったのは、人はポジティブにならないほうがいい、という衝撃の結論です。前述した、「ポジティブ思考の人ほど、うつになりやすい」というデータも、この学問の研究結果です。
ポジティブ心理学の本の中で、オススメの本を3冊リストアップしておくので、もし興味があればぜひ読んでみてください。
『成功するには ポジティブ思考を捨てなさい 願望を実行計画に変えるWOOPの法則』
ガブリエル・エッティンゲン (著), 大田 直子 (翻訳)
ポジティブ思考になるほど、人生がうまくいかないというデータがこれでもかと列挙された衝撃の1冊。この章でおすすめしている本の中で、最もおすすめです。成功者の自己啓発書を読むくらいであれば、この本は必読です。
『ハーバードの人生を変える授業』
タル・ベン・シャハー (著), 成瀬 まゆみ (翻訳)
あのハーバード大で、最も多くの人が履修している授業が何かご存知ですか? それが、この本の著者であるタル・ベン・シャハーのポジティブ心理学の授業です。シンプルな教えの中に、人生を変えるヒントが隠されています。
『オプティミストはなぜ成功するか』
マーティン・セリグマン (著)
マーティン・セリグマンは、ポジティブ心理学の生みの親です。セリグマンは実験の結果、ペシミスト(悲観主義者)よりもオプティミスト(楽観主義者)の方が成功しやすいことを発見しました。この本は、つまるところ「オプティミスト(楽観主義者)になること」を勧めています。
学校の成績、営業、プロスポーツ、健康、寿命など、あらゆる点でオプティミストの方が良い数字をとるなどのデータは、納得感があります。
3.無理にポジティブになるのはやめよう
この記事の中でも再三再四、ポジティブ思考の危険性については説明したとおりです。「ポジティブでいなければいけない」といった社会的な思い込みがあったりしますが、そういったものは無視しましょう。
また、成功者が自己啓発で言う「ポジティブになろう」という教えも無視してよし。この記事が、あなたが幸せになる一助になれば幸いです。
最後に、このビジネス心理学には、いくつもおすすめの記事があります。参考になる記事をリストアップしたので、あわせて読んでみてください。